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ドイツも音を上げるEV普及目標

北欧ニュース
この記事は約7分で読めます。

「ちょっと拙いんじゃないの」という空気は出てきたね。EVに関しては未だ未だ改善の余地があるのだろう。

独EV販売、30年に1500万台達成には転換点必要=経済相

2024年2月13日午前 10:08

ドイツのハーベック経済相は12日、電気自動車(EV)販売について、直線的な伸びでは2030年までに国内で1500万台を普及させる目標は達成できないとの見通しを示した。ただ条件が整えば需要の転換点を作り出せると付け加えた。メルセデス・ベンツのベルリン工場で開催のイベントでの発言。

ロイターより

個人的なスタンスとしては、「EVには興味はあるけど買わない」という事で、未だエンジン車の方に部があるとは思っている。

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EV普及には色々と課題がある

求む!ブレイクスルー!

さて、この話は詳しく踏み込んでも仕方がない面はある。

ハーベック氏は記者団の質問に対し「登録台数の直線的な伸びでは2030年までに1500万台には至らない。これは事実だ。しかし技術開発や、より重要な社会的な受容は直線的に発展しない。転換点が訪れる場合もある」と述べ、具体的にはより長い航続距離、価格の低下、充電インフラ整備の加速などの転換点が近くあり得る状況を挙げた。

ロイター「独EV販売、30年に1500万台達成には転換点必要=経済相」より

何しろ、ドイツが掲げた野心的な目標は、かなり幾つものハードルがある目標だったからだ。

それでも実直に実現してしまえば良いのだろうが、どうなんだろうね。一言で言ってしまえば二次電池の性能向上が鍵と、そういう話なんだ。

その他のEVの欠点など幾つも挙げられるが、そんな話をしても仕方がない。エンジン車だってハイブリッド車だって欠点は幾つもあるのだ。結局のところ、価格と利便性とのバランスが釣り合うか否かというだけの話になる。

ドイツ連邦自動車庁(KBA)の最新データによると、23年10月時点の電気モーター搭載車は220万台で、このうち完全EVは130万台だった。

ロイター「独EV販売、30年に1500万台達成には転換点必要=経済相」より

ドイツだってそんなことは分かっている。だからこそ、ブレイクスルーがないと達成が難しいということを言ったのだ。

とはいえ、今の130万台で、2030年に1500万台を達成というのだから、あと6年で毎年240万台づつ増えないと達成できない感じなんだよね。ちょっと無理ゲーなのでは?

囁かれる重量問題

そういえば、ちょっと前にはこんなニュースもあった。

EVのタイヤ摩耗、ガソリン車比で4~5倍か また一つ課題が浮上した

2024年02月02日 07時55分

電気自動車(EV)に関してまた一つ課題が浮上した。タイヤの摩耗がガソリン車に比べて4~5倍だと米紙が報じ、話題になっている。これが事実なら、環境への配慮が売りのEVにとっては「不都合な真実」だが、実際はどうなのか。

ITmediaビジネスより

このニュース、「ああ、そんな問題もあるのね」という納得感はあるんだけど、ちょっと違和感もある。だって、ガソリン車とEVを比較して、重量が重いからタイヤが減りやすいという話をしている。

うん、そういう話は分かる。分かるんだけど、そんなの重量の重い車の問題であって、EVの課題ではないと思うんだ。

日本の状況について国交省の担当者に聞くと、摩耗を比較したデータはないとしたうえで、「EVは加速がいいので、一般的なガソリン車より多少タイヤが減りやすい可能性もなきにしもあらずだ。ただ、走り方に依存するので、『EV車だから』とはなかなかいえない」と話す。

ITmediaビジネス「EVのタイヤ摩耗、ガソリン車比で4~5倍か」より

だって、重さから言えば、バッテリーとエンジンの両方を積んでいるハイブリッド車だってタイヤは減りやすいハズだ。

更に、タイヤ摩耗による粉塵問題も出てきたと言われているが、これもまたバカバカしい話。

車の走行でタイヤ摩耗による粉じん 欧州で新たに規制する動き

2023年8月11日 15時17分

自動車の走行中、タイヤと道路の摩擦で排出される、タイヤの摩耗による粉じんについて、ヨーロッパでは環境への影響が懸念されるとして新たに規制する動きが出ています。

~~略~~

タイヤの粉じんは、環境に優しいとして利用が広がっているEV=電気自動車にとって課題になるとも指摘されています。

自動車の環境への影響を分析する調査会社「エミッションズ・アナリティクス」によりますと、EVはガソリン車などと比べてより大きいバッテリーを搭載し、車体が重いため、タイヤの摩耗による粉じんの排出量がおよそ20%多いとしています。

NHKニュースより

車が登場してから何年経っているというのか、バカバカしい。

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安全性のタブー

そうした問題よりも、EVにとって頭が痛いのは安全性の問題だろう。

現代自、EV8.2万台を世界でリコール 費用総額9億ドル
韓国の現代自動車は、世界全体で8万2000台の電気自動車(EV)をリコールする。出火の恐れがあるため、バッテリーシステムを交換する。
EVトラック新興のニコラ、株価急落-バッテリー火災でリコール
電動トラックを製造する新興企業、米ニコラの株価が急落。バッテリー火災が複数起きたことを受け、トラックをリコールし、販売を一時停止すると発表した。

ちょいちょいとこの手の電池絡みのリコールが発生する。日本のトヨタとて、避けられない問題である。

トヨタ、米で185万台リコール 「RAV4」、電池発火の恐れ:時事ドットコム
【ニューヨーク時事】トヨタ自動車の米子会社は1日、主力のスポーツ用多目的車(SUV)「RAV4」約185万4000台をリコール(回収・無償修理)すると発表した。一部のバッテリーが発火する危険があると説明している。

この手の問題は、トヨタの中の人に話を聞いたことがあるのだが、相当に気を遣っているらしい。そもそも「燃えやすい素材を使って燃えないようにしているのだから、無理がある」との言。

燃え広がらないような工夫は幾つもあるのだけれど、結局のところ製造のエラーは完全にはなくせないので、リチウムイオン電池を使っている限りは難しいんだよね、問題の解決は。特にエネルギー密度が高いEV用の二次電池は危険性が高い。

これに関しても2つほど記事を書いたが、後の方のは寧ろヒュンダイの自動車制御の方が問題が大きいので少し違うかもしれない。

EV用の二次電池に使われるリチウムイオン電池は、火災による熱暴走リスクがあって、この状態に陥ると鎮火させることが難しい。

相次ぐEV火災の「消えない火」 バッテリー冷やせず再燃する
電気自動車(EV)の火災事故が世界各地で相次いでいる。衝突事故に伴う炎上など原因はさまざまだが、共通するのが事故処理の難しさ。一度鎮火してもバッテリーの発熱によって再燃してしまうのだ。全米防火協会(NFPA)や米国家運輸安全委員会(NTSB...

詳しく説明するのは避けるけれども、鎮火が難しく長時間燃え続ける性質があることが、トラブルが生じた時の対応を難しくしている。

そして、こうした話はあまり大々的に報じられることが少なく、メディアではタブーとして取り扱われている節がある。取り立てて騒ぐことではないとも言えるが、しかしEVを使う人は知っておくべき話だと思うんだ。

充電スタンド問題

で、最後に言及しておくのが充電スタンドの問題。

EV向け公共充電スタンド数、全国1.2万カ所

2024年2月8日

インド重工業省は6日、国内の電気自動車(EV)向け公共充電スタンド数が2日時点で1万2,146カ所だったと発表した。州・連邦直轄地別で西部マハラシュトラ州が最多の3,079カ所。これに北部デリーが1,886カ所、南部カルナタカ州が1,041カ所で続いた。北部ハリヤナ州は377カ所だった。

NNA ASIAより

インドがインド国内に公共充電スタンドを増やす話をしていて、こうした取り組みはその他の国でも進んでいる。もちろん、日本国内でも進んでいる。

ドイツでも取り組みは進んでいるんだけど、こちらの記事を読んで頂きたい。

ベルリンでヨーロッパのEV事情を体感【01】IONITYなどの急速充電インフラは? - EVsmartブログ
ドイツのベルリンへ取材に行くチャンスに恵まれて、フリーな1日ができたので市内を探訪、ヨーロッパのEV事情を見てきました。まずは、ベルリン近郊の急速充電スポットをUberで巡ってみたレポートです。高出力&複数台設置は当たり

何かというと、充電規格の問題がまだ残っているのである。日本で主流のチャデモ(CHAdeMO)という規格の他にも、欧州のCCS2だとか、テスラ提唱の規格であるNACS、支那のGB/Tなどがある。規格が乱立する状況で、アダプターを使って変換できるらしいけれども、そもそも規格統一に至っていないというのが大きな問題なのだ。

ユーザーにとってはさほど大きな問題にはならないのだが、統一規格が出てこないというのは、そもそも充電技術が発展途上にあるという意味でもある。

そして、充電に時間を必要とする話は未だ未だ解消されていない。

ファミマにテスラの「スーパーチャージャー」 15分で275km分充電
ファミリーマートとテスラは、ファミリーマート所沢インター店(埼玉県所沢市)にテスラ用の急速充電器「スーパーチャージャー・ステーション」4台を設置し、運用を開始した。両社が締結した「スーパーチャージャー・ステーション設置に関する基本合意書」に...

急速充電機能を持つ充電スタンドも増え始めてはいるんだけど、急速充電をすると二次電池の寿命を縮める問題があって、なかなかバランスは難しかろう。

EVのバッテリー交換は高い上に難しい。とはいえ、一般的には8年くらいは保つという話なので、多くの人には問題ないのかもしれないけれど。

というわけで、色々と問題があって普及が今ひとつというのがEVの現状で、一時期の狂乱が過ぎて、補助金停止などの影響で普及にブレーキがかかってしまった話も出ている。そこまでエコでもクリーンでもない事が分かってきたことも大きいのだろう。

だから、印象としてはブームは一旦落ち着いた感じになっていて、燃料価格高騰に起因する電気代の高騰の影響が続く以上は、ブーム再燃は難しいのでは?と感じている。

ドイツがEV普及に弱音を吐いているのは、そういう事情があってのことなんだろうね。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    そもそもが
    トヨタのHEV一強許すまじ!ならばディーゼルだ!

    VWが不正して炎上

    ならばEVだ!プラグインだ!域内保護だ!

    格安中国車が台頭して域内産業アップアップ
    の流れですからね……

    彼らお得意の「自分有利なルール変更」で自分の首絞めた好例と思ってますが、そもそもが、ロシアにインフラの生殺与奪件握らせるようなお花畑ですからね……

    ※タイヤの件は、車重と共に、ゼロ発進時のトルクが内燃機より太いモータの特性に、調子に乗ったバカがアクセル踏むからでは?と思ってました。

    • 木霊 より:

      こんにちは。

      ヨーロッパって結構、無計画に環境保全を叫びますから、自業自得な部分は大いにあると思います。
      ドイツがその典型ですからねぇ……。原発ゼロはちょっとやりすぎでは?

      タイヤの件は正にご指摘通りでしょう。
      重量と加速力の問題なんだと思いますよ。だからEV特有の問題ではなく、単に重量の重い車だからという話になるわけです。EVの加速力は素晴らしいですからね。