スポンサーリンク

泥船から逃げ出そうとするイタリア、一帯一路から離脱か → 離脱確定へ

北欧ニュース
この記事は約9分で読めます。

可能性だけなら、「アリ」かなとは思う。

イタリア首相、「一帯一路」離脱を訪米中に表明する可能性-関係者

2023年7月24日 15:25 JST

イタリアのメローニ首相は、中国の習近平国家主席が進める巨大経済圏構想「一帯一路」の投資協定から離脱する計画を週内にも米政府に伝える可能性があると、事情に詳しい詳しい関係者が明らかにした。

Bloombergより

ただ、こんな情報を事前に出すものかな?という気はしている。引き留め工作を期待してのことなのかな。

イタリアの「外交」

沈む支那経済

先日触れたこの記事は、結構多くの方が興味を示してくれたようだが、「支那経済ヤバイ」は共通認識になりつつあるとはいえ、急激に悪くなっている状況にある。

まあ、そうはいっても大きな国である。悪化したら直ぐに危機が訪れて、経済崩壊とかいうことにはならない。

中国相手の貿易・資本取引決済 人民元、初のドル超え - 日本経済新聞
中国が取引相手となる2国間決済で、中国の通貨・人民元の利用が広がっている。企業や機関投資家などによる決済通貨を集計したところ、人民元建ての割合は2023年4~6月期に49%となり、初めて米ドル建てを上...
中国の2国間決済、人民元初の米ドル超え 23年4〜6月 - 日本経済新聞
中国が取引相手となる2国間決済で、中国の通貨・人民元の利用が広がっている。企業や機関投資家などによる決済通貨を集計したところ、人民元建ての割合は2023年4〜6月期に49%となり、初めて米ドル建てを上...

経済に弱い日本経済新聞は、人民元がドルを超えたと大喜びの記事を書いているが、ロシアとの人民元決済の取引量が増えたのが影響しているからであり、国際通貨決済には相変わらずドルを使う必要がある。

人民元の影響が強くなったのは事実ではあるが、対ロシアで強くなったところであまり意味はない。そのうち、ロシアはルーブルじゃなくて人民元を通貨にするんじゃないだろうか。

まあつまり、人民元決済が増えたところで、支那経済が好転することを意味しているわけではないし、国際化に突き進んでいるわけでもない。

残念ながら貿易も、国内経済も厳しい状況にあるのは前回言及した通りである。更に、「強い政策」が打てる状況にはなくて、指導部は様子見をしている状況にあるので、不景気が長期化する可能性は高そうだ。

あまり恩恵を受けていない?

そんな中での冒頭の記事に繋がる話なのだが、これの前提として、先日にはこんなニュースがあった。

イタリアは中国の「一帯一路」から恩恵受けず=外相

2023年6月21日10:10 午前

イタリアのタヤーニ外相は20日、同国は中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に参加したことによって「多くの恩恵を受けていない」との認識を示した。国営放送RAIで語った。

イタリアは2019年、先進7カ国(G7)で唯一、一帯一路に加わったが、現在は離脱の是非を検討している。

タヤーニ氏は、一帯一路にとどまることが国の利益にかなうかどうか、政府は熟慮していると話した。メローニ首相は先月、離脱しても中国との良好な関係を保つことは可能だと語った。

ロイターより

なかなかゲスな話だが、イタリア外相のタヤーニ氏は、「一帯一路?イタリアにメリットあんの?」という態度を示していて、離脱はオプションとして有効であることを示唆したわけだ。

これ、よっぽどイタリアは支那から旨みがあるような話を聞いていたのだろう。ところが、結局、いつまで経っても利益に結び付かないことで、嫌気がさしてきたのだろうと思われる。

中国 イタリアの企業関係者に「一帯一路」関係強化呼びかけ

2023年6月27日 7時32分

イタリアが、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を検討していると報じられる中、中国共産党の高官が訪問先のミラノで企業関係者との会議に出席しました。 中国共産党としては、現地で「一帯一路」への支持を取りつけたなどと主張し、イタリアの引き止めを図るねらいがあるとみられます。

NHKニュースより

それに対する引き留め工作もあって、表向きにも「関係強化を」と呼びかけたらしい。

イタリアの裏切り

しかし、「恩恵受けず」ねぇ。

依存深刻、「中国マネー」に分断されるEU

2019/04/16 18:09

習近平国家主席に続き、李克強首相が欧州を訪問するなど、中国の欧州接近が目立っている。米中対立が深まる中、欧州は中国にとって重要なパートナーとの位置づけだ。欧州は経済協力を歓迎しつつも、中国マネーによる企業買収、技術流出には警戒感も強い。そんな中、イタリアが中国の巨大経済圏構想「一帯一路」参加を決めた。

~~略~~

これにより、イタリア企業は中国における製鉄所の建設などで数十億ユーロ相当のプロジェクトを受注するほか、中国はジェノバ港とトリエステ港の整備・拡張工事に投資することが決まった。

讀賣新聞より

恩恵は受けていたような気はするんだけど、しかし一方で、色々な企業買収などの動きもあって、市場を荒らされていたようである。

中国が違法に買収か 伊警察、無人機企業を捜索

2021年9月4日 0:50 

イタリア警察は2日、中国国営企業が技術取得のため違法に軍用無人機専門企業を買収した疑いがあるとして、この企業の家宅捜索を行ったと発表した。

APFより

イタリア政府、タイヤ大手ピレリの経営権を中国が握るのを阻止

2023年6月19日

イタリア政府は、タイヤメーカー大手「ピレリ」の経営権を中国の国有企業が握るのを阻止した。同社が18日、明らかにした。

ピレリはミラノに本社があり、151年の歴史をもつ。現在、中国政府が管理する化学大手「シノケム」が筆頭株主で、株式の37%を保有している。

イタリア政府は、ピレリの独立性を守ることを目的に、対応策を発表している。今回の動きはその一部。

BBCより

ピレリも危うく支那企業になるところだったが、取り返しの付かない状況を迎える寸前で引き留めた模様。

利に聡いイタリアのやり口は、日本人の感覚的にはちょっと理解しにくい部分もあるのだろうが、まあ、そういう流れなんだろうという気はしたよ。

これが決定かどうかは未だ分からないのだけれど。

何しろ、イタリアの場合はここから価値をつり上げて、更に支那から利益を出そうとする可能性も否定できないから。そういう国なのである。支那としては、EU唯一の一帯一路賛同国を失いたくないために、少なくないお金を出しているはずだが、それ以上にここで失うのはメンツの問題でちょっと困るかもしれない。

面白くなってきたね。

追記

えーと、ちょっと加速しそうだね。

中国の不動産株・債券が急落、資金繰り懸念深まる

2023年7月24日7:19 午後

中国不動産セクターの株式と債券は24日、およそ8カ月ぶりの安値圏に下落した。国内最大手のデベロッパー2社の資金繰り懸念を背景に、セクター全体への信頼感が一段と悪化した。

碧桂園控股と大連万達の資金不足は、最も安全と考えられていた企業にまで問題が及んでいることを示している。投資家の間では、政府が支援策を打ち出すのか懐疑的な見方が広がっている。

碧桂園の株価は8.7%下落し、1.26香港ドルと8カ月ぶりの安値。不動産管理子会社の碧桂園服務控股株は17.9%下落し7.4香港ドルとなった。碧桂園のドル建て債は額面の5分の1以下に下落した。

~~略~~

中国本土の不動産開発業者株指数は24日、6.4%下落し今年最大の下げとなった。

碧桂園は、中国の約300都市で数千のプロジェクトを展開する巨大企業。2019年の融資枠を借り換えるという動きは投資家を驚かせ、不安にさせた。JPモルガンは碧桂園控股の投資判断を「ニュートラル」から「アンダーウエート」に引き下げた。

ロイターより

なるほど。

これは、良くないね。

追記2

コメント頂いたので、以前の記事も追記に載せておこう。

イタリア、中国との「一帯一路」協定更新しない見込み=関係筋

2023年5月4日5:44 午後

イタリア政府高官は来年初めに期限を迎える中国との「一帯一路」構想を巡る協定について、更新する可能性は非常に低いとの認識を示した。

ただ非常に敏感な問題だとして、今月日本で開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)の前に正式な決定を下すことはないとの見方を示した。

ロイターより

これがG7前の記事で、その時にも一帯一路構想からの離脱を口にしていたようだね。

イタリアはG7で唯一の一帯一路構想の参加国。経済活性化を期待して2019年に加わったが、19年に130億ユーロだった中国への輸出額は、昨年は164億ユーロ(181億ドル)にとどまり、期待した効果は出ていない。

一方、イタリアのデータによると、中国のイタリアへの輸出は同じ期間に317億ユーロから575億ユーロに増加した。フランスとドイツは一帯一路に参加していないが、昨年は中国への輸出が大幅に増えた。

政府筋はイタリア経済の発展への寄与が少ないことを理由に協定の更新を取りやめるだろうと述べた。

ロイターより

経済効果が薄く、支那ばかりが得をしていると。そりゃ、それが支那の狙いなんだから仕方がないだろうに。

イタリア首相「中国は専制国家」 一帯一路見直しも

2021年6月14日 8:00

イタリアのドラギ首相は13日、主要7カ国首脳会議(G7サミット)閉幕後に記者会見し、中国について「多国間のルールを守らない専制国家であり、民主主義国家と同じ世界観を共有していない」と断じた。

日本経済新聞より

そもそも、支那と付き合う過程で、支那資本がイタリアの老舗ブランドの株を買いまくったり、事業買収を仕掛けてきたりと、散々な目にあっている。家電メーカーも買収されたし半導体企業も買収されている。

一帯一路構想が直接関係するとは言わないけれども、関係を深めれば深めるほど食い荒らされる状況が加速するのだ。だが、逆に言えば潤沢なチャイナマネーがイタリアに流入し続けている状況とも言える。

短期的な利益を追求しすぎたのが、悪手になったとは思うんだけど。

追記3

いよいよ本気らしいね。

イタリア首相、「一帯一路」離脱計画を米大統領に説明へ-非公開で

2023年7月27日 2:28 JST

イタリアのメローニ首相は、27日にバイデン米大統領と会談する際に中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の投資協定から離脱する計画を説明する意向だ。

Bloombergより

うん、まあ、アメリカに行けばそういう話はするんだろうけど、イタリアの駆け引きなんだよね、これ。「うちは支那から手を引いたら、アメリカさん、何かしてくれるの?」というわけだ。

なかなかの政治手腕だね。

やられる側はいやだろうけれど。

追記4

速報が入ってきて、裏がとれるのは多分ちょっと後なんだけど。

どうやら、イタリアは離脱を決めたようだね。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    伊は、G7サミット前から一帯一路を抜けるかも..と仄めかしていた。
    伊の一帯一路離脱のウワサ話は、伊が支那から譲歩を引き出すためのブラフである可能性は高いだろうね。それは支那も承知の助だろうけど。
    伊と支那の“シルクロード協定”は今年期限を迎えるので、是が非でも延長したい支那に対して、いま伊は相当に優位な交渉ポジションにあるといえそうだ。
    メローニは明日からの訪米でバイデンと話し合うらしいが、コレさえ支那を交渉で畳みかける戦術かもしれないしね。
    どんな結果になるか愉しみだね。

  2. アバター 河太郎 より:

    イタリアねぇ……この次はイタリア抜きでやろう…ってジョークが戦後にはあったけれども。古代ローマとルネサンス以外になんかあったっけ?って国で。
    ただ映画「ローマの休日」みたく、お上りさんを騙して金を巻き上げる事だけは、中世いらい延々と騙し続けてきた国ですから、交渉となれば一筋縄ではゆかないでしょうね。しかし、どこで着地するんだか、なかなか見ものでありますね。

    • 木霊 木霊 より:

      イタリアはそこそこ技術力のある国なんですが、なんというか味方にするにはちょっとやりにくい相手でしょうね。イタリア抜きというのは賛成ですよ。

      とはいえ、見ていて面白い国なので、興味深く見守りたいと思います。

    • アバター 七面鳥 より:

      横合いから&遅レスで失礼つかまつります。

      >この次はイタリア抜きでやろう

      このフレーズを多用していたS40年代製造品ですが、最近は
      「次はドイツ抜きで」
      が正しかったのではないか(当時も)……と思っています。

      とりあえず、メシの旨いところと組みたいものです。

      • 木霊 木霊 より:

        あー、ドイツか、イタリアか?と聞かれたらイタリアを選びます。
        イタリア、積極的に手を組みたい相手じゃないというのは本音なんですが、ドイツは絶対手を組みたくない相手ですね。正直、リスペクトはしているんですが、味方にいると疫病神になりそうですから。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    イタリアは、機を見るには聡い印象があります。
    枢軸国で、連合国に鞍替えした唯一の国ですし。
    F-3の件もあるので、是非とも離脱していただきたいところ。

    >経済に弱い日本経済新聞

    どっかの「雇用大統領」みたいですよね。執務室に就職率のモニタ置いてた人。

    • 木霊 木霊 より:

      F-3の件は、不安もありつつ、しっかり仕事をしてくれるんじゃないかという期待もありますね。
      頑張れイタリア、という感じですね。

タイトルとURLをコピーしました