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資金繰りに苦しむ支那、不動産開発業者を槍玉に

中華人民共和国ニュース
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凄い話である。

中国、恒大集団に厳しい処分 中核子会社は虚偽記載で900億円罰金、創業者は追放か…

2024/3/19 17:58

経営再建中の中国不動産開発大手、中国恒大集団の中核子会社に当たる恒大地産集団は18日、財務報告に虚偽記載があったとして中国当局から41億7500万元(約865億円)の罰金を科されたと発表した。恒大集団の創業者である許家印氏らは証券市場から永久追放になったという。

産経新聞より

恐るべき虚偽記載が発覚したわけなんだけど、何とも無理筋である。

救済をしないというメッセージ

恒大集団の救済はない

これ、「潰れるべきは潰れる」の代表として吊し上げた感じなんだろうか。

株式市場を監督する中国証券監督管理委員会(証監会)が、恒大地産の2019年と20年の財務報告に虚偽記載があったと認定した。売上高について計約5640億元(約11兆7千億円)を水増ししていたという。これにより最終利益も水増しされた。

証監会は、許家印氏の責任について「特に重大だ」と指摘し、4700万元(約9億8千万円)の罰金処分を科した。

産経新聞「中国、恒大集団に厳しい処分」より

2019年には売上高を全体の半分に相当する2,139億9,000万元水増しし、2020年には全体の78.5%に相当する3,500億元を水増ししていたんだとか。

合計で5,640億元(約11兆7千億円)が水増しされたのだとか。

でもこれ、監査はどうなってんの?という気がしてしまう。

さらに年次・中間決算、訴訟案件、債務残高の適時開示も怠った。

証監会は、当時の直接の責任者だった許氏の不正行為は特に「悪質で重大」だったとした。処罰対象には恒大不動産の元副会長と元最高財務責任者も含まれる。

恒大地産は42億元の罰金を科せられ、監督当局から是正命令を受ける。

ロイター「中国恒大、創業者に売上水増しで処分」より

決算を出さなかった時点で、会計監査をすり抜けられるというのは、何とも不可解である。監査する側もグルだった可能性は高いね。

倪虹住宅都市農村建設相は今月9日の記者会見で、不動産開発会社に関して「大衆の利益を損なう行為には、調査や処分を行い代価を払わせなければならない」と述べている。

産経新聞「中国、恒大集団に厳しい処分」より

そして、そもそも流動性の問題があって、「代価」を支払えない不動産開発業に、どうやってお金をはき出させるのか?というような疑問を呈さざるを得ない。

そもそも、今分かった話なの?という疑問が。

おそらくは単なるメッセージの可能性が強い。

地方政府債務問題も深刻に

話は少し逸れるが、融資平台(LGFV)の方にもかなりヤバイ雰囲気が漂っている。

中国 インフラ過大投資 「融資平台」“2000兆円”巨額債務の実態

3/17(日) 18:38配信

不動産不況に苦しむ中国経済にもう一つのリスクが浮上しています。融資平台、インフラ開発の資金集めをする投資会社などを通じて地方政府が2000兆円ともいわれる巨額の債務を抱えています。その実態を取材しました。

Yahoo!Newsより

テレ朝Newsで融資平台ネタを取り扱っていたのだけれども、ヤバイはなしは去年、一昨年辺りからチラホラ出てきて今更という感想しか出てこない。

報道されている内容も、特に目を惹くものはないのだが……。

中国、国内銀などの香港部門を調査 地方債保有巡り=関係筋

2024年3月15日午後 2:32

中国の金融監督当局が信用リスク抑制の一環として、国内の銀行と保険会社の香港部門が抱える地方政府債務へのエクスポージャーについて調査していると、事情に詳しい関係者3人が明らかにした。

国家金融監督管理総局(NFRA)が今週、銀行と保険会社の香港部門に対し、地方政府の資金調達を手がける「融資平台(LGFV)」が発行したドル建て債の保有状況を報告するよう求めたという。

ロイターより

こちらのニュースと併せて読むと味わい深い。ロイターは、地方政府債務について支那当局が調査を始めているということを報じていて、融資平台が発行していたドル建て債の腐り具合を査定し始めたようだ。

関係者2人によると、NFRAは主に、LGFVが発行した期間364日のオフショア債に対するエクスポージャーを報告するよう求めた。

多くのLGFVは昨年後半、期間364日のオフショア債発行を急いだ。国外で1年以上の借り入れを行う場合に承認取得を義務付ける規制を回避するためとみられる。

ロイター「中国、国内銀などの香港部門を調査」より

ここに出てくる364日のオフショア債に関しては、以前も触れたように思うのだが、1年もののオフショア債の発行を禁じた結果、登場した364日のオフショア債である。

不動産業界の債務状況が改善するはずもなく、随分とオフショア債にもゴミが混じっているということになるのだろう。そうすると、アメリカのリーマンショック(2008年9月15日)を思い出すのだが、じゃあ、世界恐慌の引き金を引くのか?というと、アメリカと支那とではそんな話にはならないんだけどね。

あっちもこっちも借金だらけ

困った話は未だあるのだが、そのうちに万科企業の話もまた出てくるだろう。

碧桂園の問題もまだまだ解消できていないしね。

中国碧桂園の債権者、「物件譲渡で債務返済」提案

2024年3月18日 20:25

経営再建中の中国不動産大手、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)の法的整理を申し立てた債権者が18日、開発物件の譲渡などでの債務の返済も可能だと提案し、碧桂園側に対話の継続を求めた。

日本経済新聞より

精算申し立てがあって資金繰りに苦しんでいる碧桂園の話には以前も触れていたが、色々な方法でお金を捻出しているらしい。

今回は「物件譲渡で」という話まで出てきたらしいが、利払いが出来ない状況が続いているのに、物件譲渡など出来るはずもない。そんな資産があればとっくにお金に換えているだろうからだ。

30日の猶予期間に突入したというニュースは先に報じられていたが、4月12日頃にまた「支払えませんでした」とニュースになりそうだ。

不動産仲介業者全てを救いません!というわけには行かないのだろうが、ある程度は潰す気なのだろう。今回は、そういう話なんだろう。

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軍事費なども増える

膨大な軍事費

そういえばこんなニュースもあったな。

中国経済、改革「逆流」がのみ込む 財政の苦境隠せず

2024年3月17日 4:00

11日に閉幕した中国の全国人民代表大会(全人代)では、李強首相の記者会見とりやめなど透明性の後退と習近平国家主席への権力集中が際立った。「長江と黄河は逆流しない」。改革開放をなぞらえた言葉は的外れになりつつある。同時に軍事や社会保障に圧迫される財政、地方の債務膨張も隠しようがなくなっている。

日本経済新聞より

こちらの記事では、地方債務の膨張の他に、「軍事や社会保障」についても触れられている。

予算不足が囁かれる中で、軍事予算は当然に増える。

中国 ことしの国防費 日本円で34兆8000億円余 昨年比7.2%増

2024年3月5日 12時42分

中国政府はことしの予算案を明らかにし、国防費は去年よりも7.2%増えて1兆6655億人民元、日本円で34兆8000億円余りで、軍備を増強する姿勢を示しました。

NHKニュースより
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防衛予算二桁増加という時代は流石に過ぎ去ったけれども、それでも今年も7.2%を増やす予定だそうな。

このなかで国防費については、去年と比べて7.2%増え、1兆6655億人民元、日本円で34兆8000億円余りにのぼっています。

NHKニュース「中国 ことしの国防費」より

もはや、日本の防衛費とは比べるべくもない規模になっている。

ただし、軍事費を費やしているからと言って、それに比例して軍事力も高まるかというと、そういう簡単は話でもない。

「中国軍は見掛け倒し」 不正横行、ずさんな兵器管理―インド軍元中将インタビュー

2024年03月12日07時08分配信

中国軍の動向を長年研究してきたラビ・シャンカル元インド陸軍中将が11日までに時事通信のオンラインインタビューに応じた。習近平政権は同日閉幕の全国人民代表大会(全人代)で前年比7.2%増の今年の国防予算を決めるなど、軍拡を進めている。しかし、シャンカル氏は、中国軍で不正が横行し、兵器の管理もずさんだと指摘。「中国軍は見掛けよりもはるかに弱い」との見方を示した。発言要旨は次の通り。

時事通信より

この記事で指摘されている一つ一つの事柄は、ある程度このブログで解説はしている。

ミサイルの燃料に水を注入したみたいな話もあったし、ロケット軍のトップが刷新したという話もあった。

そもそも膨大な兵器の維持にかなりお金を費やしているのである。

治安維持にも

更に治安維持にも苦戦しているらしい。

年28兆円の管理社会 移動や異論封殺、失敗許さぬ「理想郷」

2022/08/02

6月、中国中部の河南省。地元当局が新型コロナウイルスの感染対策アプリを不正に使い、1300人以上もの移動を封じていたことが判明する。山東省在住の楊さんもその一人だ。

日本経済新聞より

2022年の記事なので、現状予算はサッパリ不明なんだけど、減るわけもなし。

中国チベット自治区幹部、「治安維持」を強調 「市民の安心感99%以上」

2024/3/6 23:58

中国チベット自治区ナンバー2の厳金海主席は6日、治安状況について「去年は重大で政治的な集団暴力事件は起きていない。市民の安心感も満足度も99%以上だ」と述べ、安定を強調した。全国人民代表大会(全人代)の自治区代表団の会議で記者会見した。

産経新聞より

先日、「困ったことは起きていないよ」というアナウンスを出してはいたが、おそらく軍事費と同等の治安維持費を投入して、テロの発生を抑止していて、先日は習近平氏の自宅に突入したテロリストがいたとか、そんな話もあったし、結構連日のようにあちらこちらで火を噴いている。

工場大爆発 夜空に吹き上がる巨大火柱 中国で住宅街騒然
激しい爆発で建物の屋根が吹き飛びました。 ■激しく吹き上がる炎 工場で大爆発  激しく吹き上がる炎。夜の住宅地にとどろく爆発音。そして、響き渡る悲鳴。場所は中国中央部に位置する湖北省の工場。爆発の衝撃...

四川省でも大規模な山火事があって、これがなんの原因かは良く分からないけれども、湖北省の工場の方は人為的なミスか或いはテロによるものだろう。

こういった事故が多発することを考えると、今後一層、治安維持に力を割かねばならない。

支那が社会保障費をどの程度使っているのかは知らないのだが、年間およそ6兆元(120兆円)程度は費やしているらしい。

不動産仲介業者だけを悪者にした程度では、支那経済はなんともならないのである。

コメント

  1. アバター 匿名 より:

    二ポンのバブル崩壊を研究したから大丈夫アル、と言っていたのに。

    地方自治体負債の作り方が日本以上に惨い。
    政府の対応が失敗した日本と同じ。

    韓国もそうだけど、官僚に都合の良い日本式文系の経済学のせいなの?

    • 木霊 木霊 より:

      研究しても真似が出来なかった、というか悪いところを真似しちゃった感じですね。
      そして、規模感的にダメな企業を次々潰すと言うことも難しいという。

  2. アバター 砂漠の男 より:

    支那第2位の不動産デベロッパー「万科」にも債務危機のウワサが
    出ているようだ。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/e09419f33e90f29c3ef933f15832a707077aae2f
    不動産市場が氷河期入りして、資金繰りに四苦八苦していると。
    万科がどのような経営をしていたか不明だけど、深圳にある国有
    企業の子会社らしいので不明朗なことはやっていたんだろう。
    どれだけ隠し債務を抱えているんだろうね。

    融資平台の総債務2千兆円とか聞かされると、恒大の債務80兆円すら
    霞んでしまうね。これが白髪三千丈じゃなく現実だから凄いよね。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    軍隊、金食い虫なんですよね。
    特に、装備の更改が迫ると。
    そろそろ、最初に配備したお船達がその時期なんだとか聞きましたが、実は一番金のかかる兵隊の育成、それも、一人っ子世代でわがままで根性無しで、とも聞きますし、どうするんでしょう?
    作るだけ作って片っ端からポンコツ、ってのは、ソビエトというかワルシャワ条約機構がやらかしてたような……
    ※だから今、スクラップをかき集めて整備してウクライナに送っている、とも。

    軍も不動産も金は喰うけど生み出さない状況になって、欧州からは閉め出されそうで、国内はボロボロで、どうするんでしょう?ロシアが生きているうちは吸えるだけロシアから吸うのかな?

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