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KF-21の単価は1千億ウォンまで下げられる?!

韓国空軍
この記事は約7分で読めます。

ちょっと面白いニュースを見かけたので、記事にしておきたい。

タイメディア「KAI社長 ‘KF-21台当たり1千億ウォン’言及」

入力2024.04.04.午前10時33分 修正2024.04.04.午前10時34分

韓国航空宇宙産業(KAI)カン・グヨン社長が海外国防高位関係者を相手にしたマーケティング性格の行事で、韓国型超音速戦闘機KF-21の単価が約1千億ウォンまで下げられるという趣旨の言及をしたと伝えられた。

NAVERより

1000億ウォンは現在のレートで7213万ドル相当。結構お安い戦闘機という評価になるのかな?

完成した暁には

割高なKF-21戦闘機

戦闘機はお高い兵器である。

KF-21の初度物量40台の平均単価は約2千億ウォンだ。今後大規模量産に入ると、生産単価が相当水準低くなることを念頭に置いた発言という解釈が出ている。

NAVERより

現在韓国内で開発中のKF-21戦闘機だが、平均単価は2000億ウォンということになっている。ただ、これも「初回物量が40機」の前提で計算されている。

実際には、20機になる可能性が高いので、更に割高になる予定ではある。開発費を単純に生産台数で割れば、そうなる。

ただまあ、現状で2000億ウォンということなので、大凡1億5000万ドルという価格になるんだが。

米戦闘機F-35、米南部上空でパイロットが脱出し一時行方不明に 残骸を発見

2023年9月19日

米南部サウスカロライナ州上空で17日午後、戦闘機F-35からパイロットが緊急脱出し、機体が一時行方不明になった。軍当局は住民らにも捜索協力を呼びかけ、18日になって残骸を発見したと発表した。

当局によると、残骸は人の少ないウィリアムズバーグ郡で発見された。F-35の1機あたりの価格は1億ドル(約148億円)。

BBCより

えーと、引用ニュースは痛ましい事故で申し訳ないのだが、割と最近のF-35Aの価格が報じられていたので。

F-35Aの現在の価格は1機あたり1億ドル。

まだ、量産が始まっていない戦闘機と、世界中で売れている戦闘機の価格を比較するのは不適切なのは承知の上ではあるが、それでも性能でF-35AとKF-21を比較するとKF-21戦闘機が勝てる要素がない。

KF-21戦闘機を作る意味

それでは、韓国で戦闘機を作る意味はどれほどあるのか?といえば、殆どない。

日本が共同開発を目指しているF-3戦闘機とは決定的に違って、韓国製の戦闘機は安価でそこそこの性能を目指していた。

つまり、位置づけとしてはF-16の近代化バージョンを作るところだったハズなんだけど。

韓国初の国産戦闘機「KF-21」どんな機体? 米の第5世代戦闘機にそっくりな“第4.5世代”とは

2022.07.20

韓国・KAI(韓国航空宇宙産業Korea Aerospace Industries, LTD)の新型戦闘機KF-21「ポラメ(若鷹)」が2022年7月19日に初飛行しました。このまま同機がデビューすれば、韓国は中国につぐアジア2か国目の実用ステルス機開発国になるわけです。KF-21はどのような機体なのでしょうか。

英国のジェーン航空機年鑑によると、双発マルチロール機となるKF-21は、性能面での戦闘機の世代区分が「ステルス能力を持つマルチロール」の“第5世代戦闘機”と評価されています。その一方で、KAIは公式サイトでKF-21を「KF-16(F-16)クラスより高性能」としつつも、“第4.5世代戦闘機”とうたっています。

乗り物ニュースより

設計段階で紆余曲折をしたけれども、F-15戦闘機とF-16戦闘機の間くらいの性能を目指し、劣化F-15というかF-16改という感じのものを作ろうとしていたはずだ。

それでいてコストを抑えることで、第三国への輸出ということを目論んで、韓国お得意の隙間産業を目指したわけだ。

ただ、色々と欲張ってしまったことで、中途半端な方向性になりつつある。エンジンを2基にしたり、ウエポンベイを持たせずに半埋め込み式にしたり、形状もステルス性を狙っているはずなのに、低RCS(0.5m2)のステルス風戦闘機になってしまった。悪いことばかりではないが、良くも悪くも中途半端なのは事実である。

輸出は積極的にしていこうという話

個人的には劣化F-16でステルス性能は目指さない方向で作り、短時間で開発を完了する方がメリットが高かったと思う。

エンジンは1基でも良かったような気がするんだけどなぁ。

カン社長は追加注文した高等訓練機T-50視察車訪問したタイ関係者たちにT-50系軽攻撃機FA-50が米国F-16と対等な戦闘性能を備えた多目的戦闘機ながらも価格はほぼ半分水準だと説明した。

カン社長は引き続き新たに開発中のKF-21に言及し、1台あたりの価格が8千万ドル(約1千億ウォン)水準であり、飛行時間当たりの維持費も1万4千ドルにとどまる水準だと述べた。

NAVERより

いつも通り強気の韓国側の説明ではあるが、FA-50軽戦闘機がF-16戦闘機と「対等」というのは事実誤認が過ぎる。

米国戦闘機F-16の長寿で市場が狭まる韓国産戦闘機

2021.05.25 15:35

米空軍の戦略爆撃機B-52ストラトフォートレスは1956年に初めて導入された。ところが2021年現在も飛行しているうえ、最近はエンジンと航空電子装備をアップグレードしている。B-52を2050年代まで使用するというのが米空軍の構想だ。米ロッキードマーチンの戦闘機F-16もB-52に続いてセンチュリークラブ(導入100年)を狙っている。

~~略~~

問題はF-16の「無病長寿」が韓国が独自開発したKF-21ボラメの市場を奪うという点だ。KF-21の開発目標は「F-16を上回る性能」だ。ところがF-16も換骨奪胎を繰り返し、KF-21との性能の差が狭まっている。

中央日報より

今のところ、KF-21戦闘機は開発コンセプトから見るに、韓国空軍が採用するKF-16戦闘機(Block 52相当)を超える性能という感じで設定されていて、これが結構高いハードルとなっている。

おそらくはまともに使える状態となっても、単独運用するKF-16戦闘機と同等かちょっと落ちる程度の性能にしかならないだろう。

気になるのはデータリンクをどうしているのか?という点なんだけど、この辺りの話をしている記事は見かけない。初期要求性能はデータリンク搭載って話だったが……。

まああ、そのうち分かるか。

タイ空軍は戦闘機に何を望むか

というわけで、価格的に本当に半額以下に下げられるのか?という疑問点はありつつも、完成さえすればコストダウンを見込め、コストダウンさえすれば売れると、韓国側はそう思っているに違いない。

ただ、上で書いたように、出来るできないでいえば、先ず完成させることが難しいことと、完成した段階では時代遅れになっている可能性が高い。現時点でもF-16Vには劣る性能なので、アメリカが輸出できない国に対して売っていくしかない。それでも、それは完成品があってこその話。数が売れなければ量産効果が得られないので、コストダウンが難しくなってしまう。なかなかハードルが高い環境である。更に言えば、アメリカが輸出できない国ということは、KF-21のエンジンも輸出ができない。だからこそ、F-16Vの量産が間に合わない今こそ売り時なんだけど。

では問題はタイの方がどのように考えるのか?という話だ。

先にタイは2015年にKAIから8機のT-50と6機のFA-50を導入して戦力化し、今回T-50 2機を追加導入する。

タイは今後の老朽化した12機のF-16を新型戦闘機に置き換える事業を推進しており、KAIはタイ市場に最新型FA-50やKF-21の輸出の可能性も覗いていると伝えられた。

NAVERより

タイ空軍が主力と位置づけて使っているのはF-16系の戦闘機で、ブロック15世代のものを使っているだけに老朽化が問題とはなっている。

で、空対空ミサイルはIRIS-TやAIM-9サイドワインダーを使っているが、空対地ミサイルはGBUやAGMなどのアメリカ製である。KF-21戦闘機もIRIS-Tを採用しているので空対空ミサイルは問題ないにしても、空対地ミサイルはアメリカ製のそれを許可されなかった。

そして、T-50練習機やFA-50軽戦闘機を採用しているところから見て、タイ空軍が購入すべきはF-16Vである。ただ、F-16Vは世界的に売れているので、タイ空軍が欲しいといって直ぐに手に入るものじゃないんだよね。だからこそFA-50に手を出したわけで。

で、タイ空軍がKF-21戦闘機を買ってくれる可能性があるとすれば、F-16Vよりも先に手に入る場合に限るのだ。グリペンEを調達する可能性もあるんだけど、KF-21はどうなのかな。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >タイ空軍が主力と位置づけて
    そもそも、タイが仮想敵に位置づけている相手の戦力はどの程度なんでしょうね?
    これが本邦のように、国力も開発力も(額面上は)最新最強の相手だと(しかもデカイの二つ、コバンザメが二つ)、当然こちらも最強を求める必要がありますが。
    そこそこでいいなら、評価の定まったヤツの、新しめの中古でも充分、って判断もアリなんですよね、きっと。
    インドのテジャスなんかは、まさにそんな感じで、今時この程度?って思わなくもないですが、それが求められる環境もある、という事なんでしょうね。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      タイの安全保障政策は極めて近視的のように思います。
      http://ssdpaki.la.coocan.jp/proposals/82.html
      これなんか参考になりますが、米タイ同盟を重視せず、周辺国(ミャンマー、カンボジア、ラオス、マレーシア)との関係に苦慮しており、割と親支那的であるようですね。寧ろテロリスト対策の方に力を入れている感じなんで、したがって、FA-50くらいが結構使いやすいのかと思います。
      インドのテジャスを買うのもアリでしょうが、アレは未だ性能がどこまであるのかが。スーパーツカノみたいなCOIN機買っておけば良いのでは?という気はするんですけどね。

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