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支那のロケット軍で粛正が行われている模様

中華人民共和国ニュース
この記事は約7分で読めます。

ロケット軍の話は、去年の8月頃にもあったような。

中国ロケット軍戦力に疑義 ミサイルへ水、汚職背景か

2024/1/7 08:00

米ブルームバーグ通信は6日、米情報機関の分析として、中国軍で核ミサイル部隊を管轄するロケット軍の戦力に疑義が生じていると報じた。広がる汚職を背景に、ミサイルに燃料ではなく水を注入するなどの問題があり、習近平国家主席が数年内に大規模な軍事行動を検討する可能性は、以前よりも低くなったという。

産経新聞より

それにしても「水」ねぇ。

機能が危ういロケット軍

大規模粛正

さて、このニュースは去年末のニュースの追加情報的位置づけのものである。

中国 「ロケット軍」トップ務めた高官など9人を解任 汚職か

2023年12月30日 9時42分

中国軍で核兵器やミサイルを運用する「ロケット軍」トップを務めた高官など9人が、全人代=全国人民代表大会の代表職を一斉に解かれ、香港メディアは、前の国防相の関与が報じられている汚職疑惑との関連を指摘しています。

NHKニュースより

全人代で代表職を解かれた9人は、ロケット軍のトップを務めた高官を含んでいたと。

中国軍では、「ロケット軍」の調達をめぐり、大規模な汚職の摘発が行われているのではないかと取り沙汰され、一部の外国メディアはことし10月に解任された李尚福前国防相の関与を報じていました。

~~略~~

全人代常務委員会では、海軍トップの司令官を務めた董軍氏が新しい国防相に任命され、国防相不在という異例の事態は解消されましたが、12月27日には国有の軍需企業3社の幹部が国政の助言機関「政治協商会議」の役職を一斉に取り消されるなど、軍関係者への摘発が続いているとみられます。

NHKニュースより

この話はなかなか前代未聞というか、大規模な汚職だったようで、去年の国防相の電撃解任や8月頃のトップ刷新の話と関連しているのだと思う。

こちらの記事では去年の4月頃からその兆候があったということに言及しているが、かなり大掛かりな粛正になりそうである。

中国ロケット軍、部隊の欠点を発見=軍機関紙

2023年9月15日午後 5:13

中国人民解放軍で核・ミサイルなどを運用する「ロケット軍」のある部隊が演習の実地評価中に「欠点」を発見したと軍の機関紙、解放軍報が15日伝えた。同軍の戦闘準備態勢に不備があることが示された。

解放軍報は、最近現地調査を行った同軍の共産党指導者の話として、ボトルネックや困難を解消するために部隊の訓練・準備における問題の評価は「毎日、毎月」行われなければならないと報じた。

ロケット軍は2人の幹部が7月末に突然交代したことで注目を集めている。

ロイターより

去年9月の時点で「欠点が発見された」という不可思議な報道があったが、どうやら構造的な問題があったようだ。

6ヶ月で15人

こちらの中央日報がブルームバーグの記事を引用した記事を書いているのだが、それによると粛正された人数はこれまでに15人になるという。

中国ミサイルに燃料でなく水…不正腐敗で中国軍戦闘能力毀損

2024.01.08 13:28

中国の習近平国家主席が大々的な軍部の粛清をする背景には軍全般の不正腐敗で軍事能力が深刻に毀損されたという判断がある、という米国情報当局の分析があった。

~~略~~

米情報当局によると、最近確認された中国軍の不正事例として燃料でなく水を入れたり、規格が合わない蓋のため使用できないミサイルが倉庫にたまっているという。このような不正腐敗が、習主席がロケット軍と防衛産業企業の粛清を断行した理由になったと分析されている。

ブルームバーグ通信は5日、中国当局がこの6カ月間にロケット軍と防衛産業国有企業の首脳部15人を粛清したことが把握された、と報じた。ここには李尚福前国防相などの核心人物が含まれたが、軍当局は解任の理由を明らかにしていない。

中央日報より

そして、これ以降も増える可能性があると。

まあ、習近平氏の肝いりで作られたロケット軍の内部が腐敗していたというのは、自朽ちたるものがあると思う。しかし、それにしたって、やっていることはちょっと……。

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燃料の代わりに水

あと気になったのは、燃料の代わりに水を注入したという話である。

えーと、固体燃料では?と思って調べたら、東側諸国の弾道ミサイルは液体燃料がスタンダードなのね。使っているのは非対称ジメチルヒドラジンと四酸化二窒素の組み合わせが主流らしく、常温保存で問題ないので即応性もあるのだとか。

ただ、腐食性や強い毒性を持つ事でも知られていて、こんなものをまき散らされたらたまったもんじゃないよね。

また……中国で「長征3号B」ロケットのブースターが民家に落下、被害もたらす

2019年11月28日(木)17時40分

近年、中国の宇宙開発活動が活発だ。中国の軌道ロケットの打ち上げ回数は、2018年時点で米国やロシアを抑え、世界最多となった。2019年1月には無人探査機「嫦娥4号」が世界で初めて月の裏側での月面着陸に成功するなど、一定の成果を上げる一方で、ロケットの墜落による事故も相次いでいる。

中国は、2019年11月23日午前8時55分、四川省の西昌衛星発射センターから衛星打ち上げロケット「長征3号B」を打ち上げた)。「長征3号B」は、中国の衛星測位システム「北斗」(BDS)の衛星2機を軌道に送り込むことに成功したが、ブースターが地上に戻る際、近隣の居住地域に落下。民家を破壊し、有毒な煙が一帯を覆った。

Newsweekより

過去にはこんなニュースが散見された時代もあったが、この時代はロケットのブースターにもヒドラジンが使われていた。

中国、ロケット「長征」の再使用可や燃料無毒化を計画

2022.08.31 11:57

中国が「長征」ロケットの再使用可や燃料の無毒化といった大幅な改良と変更を計画していることを、中国の宇宙業界紙「中国宇宙報」が現地時間8月24日に報じた

~~略~~

例えば、「長征2号」では燃料に四酸化二窒素と非対称ジメチルヒドラジンが利用されており、これは非常に有害かつ腐食性が高く、打ち上げの準備や使用済みブースターの回収にあたり、高いリスクとコストが存在する。

そこでCASCは現在、長征のロケット燃料にケロシンと液体酸素を利用することを検討しているという。

UchuBizより

2022年の記事でこんなものが出ていたが、長征4号までは四酸化二窒素と非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)が使われていたようで、過去には長征3B型1号機がコントロールを失って近くの村に落下して死者を出すような痛ましい事故も起こしている。

ただ、この記事の内容はともかく、現在の支那のロケットには、ケロシンと液体酸素を使った推進剤を用いているようで、この技術は2007年頃には獲得されたことになっている。ロケットに搭載されたのは2016年であったが。

で、話は逸れたが、ミサイルには燃料として四酸化二窒素と非対称ジメチルヒドラジンが使われている。液体である。

ところが、コレを誤魔化すために水を入れちゃったと。

「水なら問題ないよね」と思う貴方。水は結構腐食性が高いので、大切な部品が酸化しちゃっている可能性もあるが、水分が内部に残っているとUDMHと反応してしまって危険な模様。

あと、ミサイル格納庫に違う蓋を取り付けた結果、ミサイルが発射出来なくなったとかちょっと意味が分からない話もあるようだ。

ロケット軍

そもそも支那のロケット軍は陸・海・空軍から独立した軍で、中央軍事委員会直属の部隊となっていた。2015年頃に組織改編されて今はちょっと命令系統がハッキリしないようだが、内部構造も色々と腐敗してしまったようだ。

なお、予算も防衛予算に含まれないようなので不明だ。

そして、そうした位置づけが逆に問題を生じてしまった可能性はあるのだが……。

中国の弾道ミサイル、5発が日本のEEZ内落下 岸防衛相

2022年8月4日 21:10

岸信夫防衛相は4日夜、中国が同日に発射した弾道ミサイルのうち5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したもようだと明らかにした。「日本の安全保障と国民の安全に関わる重大な問題で強く非難する」と強調した。

日本経済新聞より

ただ、過去には日本に威嚇的なミサイル発射をした事案もあって、支那の脅威が減退したとみるのは間違いだと思う。

とはいえ、習近平政権への打撃は必至。経済も不調なのに、粛正していて大丈夫ですかねぇ?え?不調だからこその粛正?そうかもしれない。

コメント

  1. アバター 匿名 より:

    液体燃料ロケット・ミサイルは発射するまで燃料・酸化剤は注入しないのが普通だけど?

    • アバター 匿名 より:

      こっちが本題
      中国のシャドーウバンキング大手の中植企業集団が破産

    • 木霊 木霊 より:

      ご指摘の点は、もう少ししっかりと書いておかねばなりませんでしたね。
      液体燃料ロケット・ミサイルの液体燃料・酸化剤は、西側と東側で常識が違います。
      西側の液体燃料ロケットは、液体酸素/ケロシン系が使われるので、使用前に本体に注入される形で使われますが、東側の液体燃料ロケットは、四酸化二窒素/ヒドラジン系が主に用いられていて(最近は違うようです)、こちらはタンクの中で長期保存が可能なのだそうです。とはいえ、漏洩事故に発展する危険性もあるので、それなりのノウハウは必要らしいですね。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    東側のこの手のエンジン、いわゆるハイパーゴリック推進薬で、自己着火性があるから点火栓が要らない奴ですね。
    ※西側でも、点火栓代わりだったり、姿勢制御用だったりで使用例はある。
    ちょっとググったら、四酸化二窒素は水に溶けやすいとのこと。それもあって水を入れたのか?

    どっちにしても、配管とタンクの清掃なんて今更出来るはずがないので、水入れたミサイルは廃棄でしょうね……え?もったいないから使う?どうせわかりゃしない?廃棄して新しいの買ったことにしてポッケナイナイ?
    ……お後がよろしいようで……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      なんというかかなり「杜撰」だったことが分かったのですが、問題は、どれが使えるかということが分からない状態になっている可能性がある事でしょうか。
      確かに「欠点」ではあると思います。

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