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共同富裕の実像は共同貧困に向かうこと?!

中華人民共和国ニュース
この記事は約7分で読めます。

その発想はなかったなぁ。そもそもの「共同富裕」は大同思想を下敷きに毛沢東によって作られた思想なんだけど、結局失敗した。もしかして習近平氏は、「俺なら成功させられる」と思っているのかも知れない。

この話をしていたのは某ニッポンジャーナルなのだけれど、僕自身はあまり考慮していなかった可能性だけに、目から鱗であった。

中国経済の苦境、波及すれば世界の株高に水差す恐れ-MLIV調査

2024年3月11日 9:26 JST

中国経済の停滞による影響は、上昇を続ける世界の株式市場に波及する恐れがあると、投資家は懸念している。最新のブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」調査が示した。

Bloombergより

資本主義的な考え方に基づけば、現在の支那の方針は確実に破綻に向かうものなんだけど、もしかしたら全体的に経済を萎ませることで軟着陸は可能かもしれないね。あ、この記事は、単なる与太話程度の話だとして読んで欲しい。

経済よりも社会統制の方が大切?!

トラもハエも叩く

過去に習近平氏が腐敗撲滅キャンペーンを掲げていた時代、これを利用して自分の権力拡大を目指していた。

習近平氏は「トラもハエもたたく」と反腐敗を掲げてきたが、自分はたたかないのか?

2016/4/25 09:05

「トラもハエもたたく」。中国の習近平主席は、こんな威勢の良い言葉で「反腐敗キャンペーン」を掲げ、権力を掌握してきました。想像ですが、このスローガンには次のような言葉が続いていたみたいです。「でも自分はたたかない」

世界的なスキャンダルに発展した「パナマ文書」に習氏親族の名前が記載され、ブーメランが同政権を直撃しています。腐敗一掃を声高に叫ぶ一方で、自らの資産はこっそりタックスヘイブン(租税回避地)に…。報道規制などでいくら情報を遮断しても、国民の一部は気付いているでしょう。

産経新聞より

で、2016年頃にパナマ文書が流出し、習近平氏の一族がその文書に名を連ねていたことで、一時期騒ぎになった。この話は、最早過去の話として忘れ去られてしまった。が、支那では未だに金盾によって阻まれているので、国内からその情報を知ることは出来ない。

租税回避をしたということで、世界中の有力者が槍玉に挙がるような事態になったが。

ともあれ、この「トラもハエも叩く」という発想は、大同思想に通じるものがある。習近平氏が毛沢東思想に傾倒しているという話も聞くので、解りやすいと言えば解りやすいか。

毛沢東化を狙う

実際に、こんな分析が出ている。

毛沢東思想から習近平の世界戦略を読み解く

2023年8月1日2023年9月27日

「国際情勢マンスリーレポートNo.2」では、習近平国家主席が異例の政権三期目入りを果たし権力基盤を強化させた直後から中国外交に変化の兆しが生まれたこと、そして“平和の仲介役”外交の究極の狙いが、米国の排除と中国中心の国際秩序構築にあることを指摘した。その後、中国はウクライナ戦争やパレスチナ和平仲介にも動き出した。また先進7か国首脳会議(G7広島サミット)で日本を含む自由陣営が対中政策の統一を図る中、中国は中央アジア諸国と首脳会議(「中国・中央アジアサミット」)を開催し、ユーラシアでの影響力拡大を誇示した。

こうした最近の動きも踏まえ、毛沢東を強く意識する習近平国家主席が、中国を米国にとって代わる新たな覇権国家となすため、一体どのような世界戦略を思い描いているのかを分析してみたい。

~~略~~

異例の国家主席三選を果たし、周囲を子飼いの部下で固めるなど独裁体制をさらに強化させた習近平氏は、1953年に建国八大元老と呼ばれた政治家・習仲勲の長男に生まれた。太子党の紅二代である。彼は中華人民共和国成立後に生まれた初の国家主席であり、習氏にとって社会主義は疑うことなき所与の秩序である。習氏は父親とプーチン大統領、それに中国建国の父毛沢東を尊敬している。なかでも毛沢東を政治の師と仰ぎ、政治の様々な面で毛沢東を持ち上げている。

平和政策研究会より

掻い摘まんで説明すると、習近平氏は毛沢東思想に傾倒して、鄧小平路線を唾棄している。よって、改革開放路線や先富論などを批判して、外交政策は戦狼外交に先鋭化していっている。

そして、習近平氏の思想の根底にあるのは社会主義なので、鄧小平氏が推進した経済政策である「先富論」によって格差が拡大したことを問題視した。だからこその「共同富裕」路線なのだが……、ここを社会主義的に解釈すると「共同」が重要であって「富裕」の方は程々で問題ないということらしい。

つまり、支那の富を薄く広く伸ばして共有していこうという方向に向かっていて、その舵取りを支那共産党が、というより支那皇帝となった習近平氏主導で行おうというものだ。

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経済リスクは回避できるのか

さて、先日、こんな記事を書いた。

……昨日の記事だった。

ともあれ、ここ1年半くらい、支那の経済指標はヤバイ方向に向かい続けていて、このままでは不味いじゃないの?という雰囲気が出ている。

これまでの記事はそうした「ヤバイよ、ヤバイよ」といった記事だったんだけど、「みんなが貧乏になって良いんだ」という発想はなかった。

MLIV調査の回答者238人の約4分の3は、中国の問題が今年、他の主要国に波及する可能性を「やや懸念している」または「非常に懸念している」と答えた。中国の経済問題と効果的な対応の欠如が世界の投資と消費のサイクルに打撃を与え得ると、世界の投資家が不安を抱いていることを浮き彫りにしている。

Bloomberg「中国経済の苦境、波及すれば世界の株高に水差す恐れ-MLIV調査」より

故に世界的にも支那の経済不況を懸念し、その影響の波及を気にしているのである。

尤も、支那経済の不況は国内の不動産不良債権処理が主であり、かつての日本のように内側に崩れるパターンであるので、外国への影響は少ないと見積もられているが。

そして、どうやら習近平氏は「共同貧困」を目指していて、経済が不調であろうとデフレになろうとあまり関係が無いというか、対外的には5%成長を謳っているけれども、内向きにはデフレ経済で物価が安くなると、相対的に金持ちは短期的には得をすることになる。高齢化社会ではこれが結構うけるのである。

しかしそうなると、このままズブズブと支那経済が後退していって、数字だけが良いという状況が数年は続くのだろうと思われる。不動産開発業界を「救う気が無い」というのも、案外そういう話なのではないか?と。

調べて見たら過去にも似たような視点の記事があった。

「共同貧困」に陥る恐れも、中国恒大が示す「共同富裕」に潜むリスク
中国が数カ月にわたり推し進めている「共同富裕」(共に豊かになる)政策は、所得格差の縮小と富裕層の抑え込みを意味している。中国で今盛んに言いはやされているのは株主資本主義ではなく、顧客や従業員、そして地...

特に、ジャック・マー氏がアリババのトップを辞任したり、滴滴出行(DiDi)への規制強化をしたり、ネットゲーム業界を取り締まったりと、様々な奇行があった時期には、そうした分析が出されていた次期があったと思う。が、その時は本気にはしていなかったんだよね。

だが、国内の統制を強めていくためにも、ある程度の金持ちを駆逐するというのが、習近平氏の向かう方向性だとすると、今の姿勢は納得できるもののように思える。

台湾有事に向かうリスク

だが、支那が経済を重視していないとすると、これまでの経済的な観点から台湾侵攻リスクがあるという話だったのにその前提が崩れてしまうことになる。

台湾有事への懸念という話はこれまでも幾つか書いて来たが、「利に聡い支那人」という切り口で分析してきたために、「メンツのために台湾侵攻する」のであれば、軍事的オプションは可能性が低いだろうと見ていた。

台湾の半導体工場を破壊したり、台湾の半導体技術者を殺害したりすれば、利益に結びつかないからだ。

ところが、経済的な問題を度外視して良いという話になると、積極的に海上封鎖くらいはやるのではないか?という分析が成り立つように思われる。台湾に「習近平様の軍門に降ります」と言わせれば良いのだから。

「そんなアホな」と思うようなシナリオも、これからは考慮していくべきなのかも知れない。

追記

おー、エールが来たぞ!

中国不動産開発の万科をジャンク級に、一段の格下げも-ムーディーズ

2024年3月12日 9:57 JST

ムーディーズ・レーティングスは中国の不動産開発会社、万科企業の格付けを投資適格級からジャンク級に引き下げ、さらなる格下げの可能性を警告した。住宅販売の落ち込みと資金調達の不確実性により、信用メトリクスと流動性が悪化するとみている。

Bloombergより

不動産の悲鳴が聞こえる!

流動性の悪化は避けられない情勢なんだけど、さて、どのような手を打ってくるのかはかなり興味深い。本業が相当ダメージを受けているので、これが救済されるようなシナリオはちょっと考えられない。

コメント

  1. アバター 匿名 より:

    第二次文革まで行くかな?、今の中国だと餓死者が出るだろうから、いつもの王朝末期wkwk。

    • 木霊 木霊 より:

      流石に「そうはならんやろ」と言いたいのですが、実際のところ凄い方向に向かっている気がしますよ。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    七面鳥は、原始共産主義レベルであれば、ある意味理想社会かもと思わないでもないです。
    ただし、それが成立するのは家族か、せいぜい小規模の村レベル。
    ※「みんなで分け合おう。独り占めするヤツは仲間じゃない」:『戦闘妖精雪風』の『インディアンサマー』だったか(記憶だけで書いてます)、トマホーク・ジョンの語りで出てくる一説ですが、これが真理かと。
    ある程度社会が大きくなると、富の偏在は防げないので、それを均一化しようという事自体が『理想』ではあっても『現実』ではない、と思ってます。
    ※原始共産主義であっても、年齢や性別による『食料(富)の偏在(大人や成長期の子供は良く喰う、老人や幼児はそうでもない)』は当然発生する

    なので、支那の「だったらみんな貧困になれば良いじゃん!」は、実は有り得ると思ってます。
    なんとなれば、支配層はその『みんな』に含まれませんから(これが共産主義社会の最大の矛盾点ですよね)。
    そして、この『みんな』には、台湾は元より、西側諸国も恐らく含まれているのでは……

    彼ら(支那の支配層)にとっては、実はもっとも有り難いシナリオなのかも、とも感じます。

    • 木霊 木霊 より:

      こんばんは。

      共産主義は掲げる理想はスバラシイのでしょう。でも、図体が大きくなると薄く広く不幸を広めるだけという格好になりがちです。
      その支那の「理想」とやらに日本は巻き込まれたくないものですね。

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