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【支那】ロケット軍指導部の刷新

中華人民共和国ニュース
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あまり話題になっていない気はするが、これは結構大きな意味があると思う。

中国ロケット軍指導部、異例の刷新-共産党トップの懸念反映か

2023年8月1日 16:24 JST

中国共産党の習近平総書記(国家主席)は、人民解放軍ロケット軍の指導部を刷新した。徹底的な腐敗調査の対象となっていると報じられているロケット軍は核兵器を管理し、仮に台湾侵攻のような事態となれば、重要な役割を担うとみられる。

Bloombergより

その辺りに簡単に触れておこう。

粛正なのか

ロケット軍はミサイル部隊

まず、「ロケット軍って何」という話なんだけれど、人民解放軍にありながら陸軍、海軍、空軍とは別の組織になっている。そして、多数のミサイルを抱える強力な攻撃力を保有する組織でもある。

もちろん、所属がイマイチ明確にはなっていないが、指揮命令系統は支那共産党中央軍事委員会ということになっていたはずだ。

こちらでも紹介したが、政府の指揮命令を受け付けない共産党直轄の組織である。

人民解放軍

それ故に、習近平氏の息が直接掛かる組織ということになる。

で、ロケット軍の最高幹部2人が交代し、海軍と空軍からそれぞれ人材を持ってきたということらしい。

国営メディアによれば、習総書記はロケット軍の最高幹部2人を交代させた。新華社通信は7月31日、海軍出身の王厚斌氏がロケット軍の司令官に就いたと報道。ロケット軍の政治委員には徐西盛氏が就任した。徐氏は空軍に所属していた。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)安全保障研究プログラムディレクター、M・テイラー・フラベル氏によると、人民解放軍ロケット軍で外部の人材がトップに就くのは40年ぶり。外部からのリーダー起用は「党上級幹部が軍部門の運営に深刻な懸念を抱いているときによく起こることだ」と同氏は指摘した。

Bloombergより

なるほど。

外相だった秦剛氏の交代と関係があるのか

さて、CNNの予想を紹介しておこう。

CNNの調べによれば、ロケット軍のトップとして同氏と徐忠波氏の名前が挙がったのは、4月6日に蘇州市で式典に参加したという報告が最後だった。

専門家らによれば、中国が短距離ミサイルで台湾を威嚇し、台湾有事の際の米国の介入に備えて核戦力の増強を図るなかで、ロケット軍の重要性は増している。

CNNより

CNNは、既に名前が挙がっていたし、台湾との関係で手綱をしっかり握っておきたいという意図だと説明している。

しかし、秦剛氏失踪と、そもそもロケット軍って軍隊だけど軍隊扱いでは無いというか(予算は宇宙開発費から宛てられる)、外国からの技術を持ち込むという意味では、結構アメリカとの距離の近い組織らしい。ミサイル関連はアメリカからの技術を持ち込むために、英語が堪能な人材が多いようだ。

つまり、スパイ疑惑に引っかかっての交代だった可能性があるんだよね。対アメリカ絡みの粛正というわけだ。

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追記

ロケット軍に関してはあまり注目してこなかったので持っている情報も少ないのだが、コメントをいただいて調べてみたら、確かに2016年からサウジアラビアに駐留しているとWikiにはある。

更に、どうやらミサイル開発の支援もやっているらしい。

サウジ、中国の支援で弾道ミサイル開発加速か 米諜報 CNN EXCLUSIVE

2019.06.06 Thu posted at 12:25 JST

ワシントン(CNN) サウジアラビアが中国の支援で弾道ミサイル開発を大幅に加速しているとの諜報を、米政府が入手したことが6日までにわかった。事情に詳しい情報筋3人が明かした。中東でのミサイル拡散に歯止めをかける米国の長年の取り組みは窮地に立たされている。

情報筋によると、トランプ政権は当初、この諜報を把握していることを有力議員に明かしていなかった。民主党議員は通常の政府ルートの外でこれを突き止め、政権による報告で故意に除外されていたと結論づけたという。

~~略~~

米紙ワシントン・ポストが1月に最初に報じた衛星画像では、サウジが弾道ミサイル工場を建設した可能性が示唆されている。画像を精査したアナリストは、中国製の技術と一致するとみられると指摘した。

CNNより

割と有名な話だったのだろうか。トランプ氏はサウジアラビアとかなり親密な関係を築いていたはずだが、こういった情報も得ていたことになる。

サウジ、中国支援で自前の弾道ミサイル製造 米諜報と衛星画像で判明

2021.12.24 Fri posted at 10:53 JST

ワシントン(CNN) 米情報機関がサウジアラビアについて、中国の支援で自前の弾道ミサイルの製造を進めていると分析していることが分かった。この動きは中東全域に重大な影響を及ぼし、サウジの地域最大のライバル、イランの核開発の野心を抑え込もうとするバイデン政権の取り組みを複雑化させる可能性がある。

CNNより

アメリカはバイデン政権になってからサウジアラビアとの距離が遠くなってしまうわけだが、そうなると、サウジアラビアとしてもイランとの距離を縮めるメリットが出てくるわけだが。

しかし、イランの核開発に関しても支那・ロシア・北朝鮮が絡んでいたはずだ。

サウジとイランを仲介、「米国の退潮を中国が突いた」は本当か?

2023.4.12

今回「日経ビジネス」からのお題は「イランとサウジの国交正常化が持つ意義を深掘り解説せよ」というものだった。

~~略~~

●ともに中東の大国であるサウジアラビアとイランが10日、7年に及ぶ断交を解消し、外交関係を正常化させることで合意した。
米国による中東関与が低下し、力の空白が生じている。それを中国が埋めた。中東を支配する国際政治の力学が変わる中東の歴史的転換点となる。
●両国は2カ月以内に外交関係を正常化することで一致。双方の大使館を再開すると決めた。声明には主権の尊重と内政への不干渉との文言を盛り込んだ。同声明は、サウジとイランの2国だけでなく、中国を含む3カ国によるものとされる。
●イスラム教スンニ派の大国で親米路線を取るサウジは、シーア派の大国イランと中東での覇権を争ってきた。サウジが2016年に、シーア派指導者を処刑。これに反発したイランのデモ隊が、駐イランのサウジ大使館を襲撃。これが断交に発展。その後、対立が続いている。

日経ビジネスより

それが、今年の4月には電撃的な宥和政策を打ち出して、その背景に支那があったという話が出ていたはずだ。この日経ビジネスの記事は宮家氏が執筆していて、列記した情報は誤りだと断じている。宮家氏の分析はこうだ。

●中東における米国の軍事プレゼンスは続くものの、2021年8月の「アフガニスタン撤退」が中東諸国の指導者たちの戦略的・戦術的判断や意識を変えたことは間違いない。
●各国の指導者は、米国外交の優先順位が中東からインド太平洋に移ったことを本能的に感じ取った。それぞれの国益を最大化すべく、各国外交の戦略と戦術を微妙に軌道修正し始めた。
●そこで、サウジとイランは相互に戦術的「手打ち」を模索。アラブ首長国連邦(UAE)などサウジ以外の湾岸諸国は、イランを抑止するため、米国に加えイスラエルをも戦略的に利用し始めた。
●米国に、中東におけるテロとの闘いを続ける意図はもはやない。けれども、中東におけるイランの勢力拡大を抑止する軍事的努力は、必ず今後も続けるだろう。
●ロシアと中国は、こうした中東情勢の変化に対応しようとしている。だが、中東で一定の軍事プレゼンスを維持するロシアと異なり、軍事プレゼンスのない中国の影響力は限定的である。

日経ビジネスより

うーん、サウジアラビア軍は戦略ミサイル軍という5番目の軍隊があって、ここが支那のDF-3とDF-21を配備しているという情報はどうやら確からしい。が、支那が駐留しているかどうかというところまでははっきり調べられなかった。

が、弾道ミサイルの生産に着手したところまでは米情報機関が突き止めていて、おそらくそれは支那の技術的支援を受けている。

イランとのパワーバランスのためにこうした装備を保有しているのだと考えられるが、なるほど、支那も手広く兵器ビジネスをやっているのね。

そうだとすると、ますますロケット軍の存在は価値が有るということにはなるし、北朝鮮のビジネスモデルを見ていると、なんとなく同じことはやられているのだろうなと予想ができる。

コメント

  1. アバター 匿名 より:

    第二砲兵から2015年に火箭軍に変わっていたのを知らなかった。
    2016年からはサウジアラビアにも駐留しているとは。

    • 木霊 木霊 より:

      ほう、2016年からサウジアラビアに駐留ですか。
      確かにWikiにも書いてありますね。見逃していました。ありがとうございました。

  2. アバター 砂漠の男 より:

    今回の粛清劇の背景には、軍内の権力闘争やアメリカとの癒着(腐敗)があるのだろう。
    ロケット軍に限らず、台湾侵攻に懐疑的な軍上層部は一定数いるらしく、さらに紅皇帝に従わない幹部も一定数いるそうだ。現役軍人のほとんどが“一人っ子”なので、軍の戦争への忌避感は強いとも聞く。(潤沢な予算だけもらって、無事に退役できればバンバンザイだ!)

    他方で、紅皇帝が台湾侵攻を前倒しする可能性があるため、米国は監視態勢を強化したらしい。歴史は繰り返すのか? ヒトラーは参謀本部の制止を振り切って、バルバロッサ作戦を4年も繰り上げて実施したしね。独裁者はワガママなものだ。

    • 木霊 木霊 より:

      怪しいからという理由で粛正されたのか、もしくは決定的な証拠があったのか。
      何れにしても、失脚された方々は、おそらくは二度と表舞台には出てこないでしょう。

      そして、台湾侵略のスケジュールは早まるという観測が出てきていますね。
      本当にやる気でしょうか?物理攻撃を伴わない浸透作戦だけでは、時間が掛かりすぎると言うことなんでしょうか。馬政権で失敗していますから、その辺りのことも影響しているかも知れませんね。

      • アバター 砂漠の男 より:

        支那の台湾侵攻のひとつの判断材料は、来年1月の台湾総統選挙でしょうね。
        地方選の結果を見る限りでは、国民党優勢らしいですが。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    そうなんですよね。

    中国共産党は、国家憲法の上に存在し、国家を指導する立場である。
    人民解放軍は、共産党の直属であって、狭い意味で国軍ではない。
    この2点を、義務教育ですり込んでおくべきだと思いますね。

    あれこそが、「党という名の法人」による独裁なのですから。

    • 木霊 木霊 より:

      国家の上にあって、国家を指導する立場というのが彼らの主張なんですが、これが「外国にまで広げられている」ようでして。
      つまり、中華思想というヤツですね。

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