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環境に偏執的なまでの執念を燃やすドイツ

北欧ニュース
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相変わらずだな、ドイツ。

日照不足なのに太陽光発電を推奨するドイツの不合理、ロシア産ガス抜きと再エネで気候中立を目指す自縄自縛

2024.4.22(月)

ドイツの連立与党である社会民主党(SPD)と同盟90/緑の党(B90/Grüne)、自由民主党(FDP)の3党は、4月15日に気候保護法の改正で合意に達した。

JB Pressより

太陽光発電を凄い勢いで増やしているドイツだが、僕は「頭がおかしいんじゃないか」と疑っている。

再生可能エネルギー発電の「間欠性」

再エネ発電で需要の5割を賄う

何がしたいんだろうな、アノ国。

電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合、初の50%超え

2024年01月15日

ドイツの連邦エネルギー・水道事業連合会(BDEW)とバーデン・ビュルテンベルク州太陽エネルギー・水素研究センター(ZSW)は12月18日、2023年の国内の総発電電力量に占める再生可能エネルギー(再エネ)の割合と電力消費量の推移(暫定値)を発表した。

2023年の電力消費量〔517.3テラワット時(TWh)〕に占める再エネの割合は、前年比で5.0ポイント増の51.6%となった。ドイツでは年間で同割合が50%を超えたのは初めて。

~~略~~

なお、BDEWとZSWは2023年の国内の電源別発電電力量の構成比も併せて発表した。発電電力量(508.1TWh)のうち再エネ由来の電力のおよその割合は53%。化石燃料と原子力由来の電力は47%で、うち褐炭が17%、天然ガスが16%、石炭が9%などだった。

JETROより

JETROの添付資料より

再エネの割合のうち、一番割合が大きいのが陸上風力発電の22%で、次に大きいのが太陽光発電12%、その次にバイオマス発電9%となっている。

洋上風力発電に力を入れる

ドイツは平地が多いため、水力発電はメジャーではない。全体のたった4%に留まる。

一方で、偏西風の恩恵を受けて、比較的陸上風力発電は有望な発電手段だと言える。そして、それ以上に有望視されているのが洋上風力発電だ。洋上風力発電は5%になっているが、ドイツの洋上風力発電は北海に浮かべた設備で電気を取得している。更に洋上風力発電を増やす予定にしているんだけど、想像図がこんな感じになっている。

Tenett5キャプチャ
一般社団環境金融研究機構のサイトより

……マジか、これ。

ドイツ、デンマーク、オランダの3か国の送電会社が共同出資して洋上風力発電を設備を作り、これを陸上に送る予定なんだけれども、この「北海風力発電ハブ(North Sea Wind Power Hub)」はドッガーバンクと呼ばれる浅瀬地帯に作る計画らしい。いや、そういう計画が持ち上がっていたのだが、どうにも旗色が悪くなってきている。

渇風

実は、2021年、ヨーロッパの各国首脳たちに激震が走った。

1つはロシア軍のウクライナ侵略に起因するエネルギー価格の高騰を招く事態になったことである。安価な天然ガスがロシアから手に入れられなくなったばかりか、石油の入手方法も模索しなければならなくなった。

そして、インフレによって建設費が高騰し始めた。

米欧で逆風の洋上風力 インフレで建設費高騰、採算合わず

2023/12/2 13:56

再生可能エネルギーの切り札として米欧で展開されてきた洋上風力事業が逆風にさらされている。インフレや金利上昇でコストが膨らみ、事業の中止や延期が相次ぐ。発電量が大きい洋上風力の計画がつまずけば各国の気候変動対策に影響を及ぼしかねず、米自治体や欧州連合(EU)は支援に向けて動き出した。安価な中国製の風力タービンが世界市場を席巻する中、中国依存の課題も浮上している。

産経新聞より

インフレによる物価上昇の他にも金利上昇によって資金調達が困難になったことが影響して、多額の初期投資が必要な洋上風力発電を推進することが難しくなった。

業界団体「ウインドヨーロッパ」によると、欧州での22年の洋上風力の投資額は約4億ユーロ(約639億円)で前年の約166億ユーロから激減。全体の風力発電投資額(22年)は約170億ユーロで前年の約410億ユーロから6割程度減り、09年以降で最も低い水準に落ち込んだ。

産経新聞より

初期投資に多額の費用が掛かる洋上風力発電は、実は支那も力を入れている。そして、風力タービンは安価な部品供給力と巨大な設備投資が可能な支那がシェアの6割を占めるまでになった。日本の風力発電は、実はその部品の殆どが外国製で、新設しようとした場合は部品の大半を支那から購入することになる。ヨーロッパも似たような状況になっていて、出資まで支那に頼るようになってしまっていた。

実のところ、太陽光発電もシェアは殆ど支那が握っていて、今や再生可能エネルギー発電をするには支那の製品を購入せざるを得ない状況になっている。

そして、ヨーロッパではもう1つ重大な問題が発覚する。

[FT]「地球無風化」、電力確保に難題

2022年11月21日 0:00

異常気象と言えば、ショッキングな出来事を思い浮かべがちだ。腰までつかるほどの洪水、焼けつくような熱波、飢餓を招く渇水――。

異常気象の一種である「渇風」があまり注目されないのは、すさまじさがないからだろう。欧州では2021年夏に風がほとんど吹かず、平均風速がこの数十年で最低になった国もある。

日本経済新聞より

常に偏西風の恩恵を受けてきたヨーロッパ諸国で、風が吹かない年があったのだ。それが2021年である。翌年以降はそこまで深刻な事態に陥ってはいないようだが、この問題は世界各国の電力行政に一石を投じる結果となった。

https://www.smtb.jp/-/media/tb/personal/useful/report-economy/pdf/119_3.pdf

日本でもある程度は問題が認識されたようだが。

ドイツの日照時間は短め

風力発電の問題点を認識して、太陽光発電も伸ばそうと画策しているドイツだが、これもあまり有望とは言い難い事情がある。

ドイツの主要都市の年間日照時間は1700時間前後である。特に冬場は曇りがちで、月間の日照時間は夏の3分の1以下の70時間程度だ。

JB Pressより

理念だけを先行させているドイツだが、現実問題として風力発電を増やすことも難しいし、太陽光発電を増やしたところでどれだけの電力が稼げるかはよくわからない。

一方で、連立3党は今回の気候保護法の改正で、太陽光発電の普及を促すことを決定した。行政手続きの簡素化を進めて、太陽光パネルの設置しやすくすることが骨子で、具体的にはベランダに太陽光パネルを設置しやすくしたり、太陽光によって自家発電した電力を集合住宅で利用しやすくしたりすることを想定している。

JB Pressより

東京都も新築住宅の屋根に太陽光パネルを載せようと画策しているが、似たようなことをドイツも考えているようだ。だが、コレは愚策だ。

快進撃を続けるドイツの太陽光発電の課題、日本でも参考となるその対策とは|SOLAR JOURNAL
ドイツの太陽光発電新設の勢いが止まらない。2023年の政府目標9GWを3か月以上前倒しで達成し、暗い材料が続いたドイツのエネルギー情勢で、ひたすら明るいニュースとなっている。今回のコラムでは、最新デー...

SOLAR JOUNALのような太陽光推進のサイトなどは、「ドイツ、太陽子発電増やしていて凄い」と無邪気に喜んでいるが、そもそも行政の目指すべきところは電力の安定供給であってカーボンフリーなどでは断じてない。おそらくそんなことは十分理解していて、ドイツでは蓄電システムの普及も進んで入るようだ。

だが、個人宅に太陽光発電と蓄電システムをセットで売りつけるやり方は、あまり感心しないやり方であると僕は思う。もちろん、リスクも十分に理解して導入するのであればありだと思うが、ドイツでの事例は補助金の導入と天然ガス不足に起因する騒ぎが後押しした結果である。

電気代が2倍、3倍になるような事態を目の当たりにすれば、「自家発電できないか?」というマインドになり、そこに補助金の後押しがあれば普及にも拍車がかかるだろう。

だがこの判断は支那を喜ばせる結果になっただけだ。なぜなら、太陽光発電も蓄電池も大きなシェアを占めているからだ。そして、同時期に入れた複数のシステムは似たような時期に故障をするわけで。その時に新しいシステムが購入できるかどうかは。

国民生活を犠牲にして目指す環境保全

結局、ドイツが環境を建前に再生可能エネルギー発電を推進した結果、エネルギーの安定供給に不安を抱えることになった。もちろん、ヨーロッパには電力網があるので、各国から電力融通をしてもらえるという話もあるんだけど、そうそう甘くない。

何しろ、天候悪化によって広域に雲が出てしまうケースも当然考えられるので、太陽光発電ばかりヨーロッパに増えるのはリスク管理の点からよろしく無い。一方、風力はというと偏西風の影響を受けるので、こちらも偏西風のルートが大きく変わると、ヨーロッパ全体に影響が。

まあ、フランスが頑張って原子力発電を維持しているので、ある程度の安定的な電力供給は期待できるかもしれないが、それだけではもちろん足りないので、ドイツは再び石炭火力発電などに一時的とはいえ依存しているようだ。

そういえば、支那が提唱したスポンジ都市構想も積極的に取り入れているのはドイツ。どうにも「環境」という方面にかなり力を入れる感じの政治になっているんだけど、電力の安定供給の前提が崩れると、ドイツ経済にも深刻な影響を与えかねない。

コメント

  1. アバター 山童 より:

    ……リアルにどうする気なのでしょう?
    再生可能エネルギーは現在の電力需要に対するテクノロジーの効果では無理。
    結論は出てると想うのですが。
    仏からの原子力による電力供給があるからひとまずは…なのでしょうが。
    太陽光、風力といずれも不安定な上に、
    コストに合わない。さらに別な環境破壊の原因にすらなる。
    これは日本人として想うのですが、彼らは規律を大事に、真面目である国民性は我々の国に似てると想うのですよ。
    その結果として、日本人がそうなように、一度どっかの方向に火がついて発狂すると手が付けられない。
    ドイツはロシア、日本は中国と、発狂して長駆カチコミかけた経験も似てる。
    だからって、どっかのお隣国みたく国民性がいい加減なのも困ったものですが。
    いったいどうする気なのでしょうかね?

    • アバター 山童 より:

      兄がドイツ語教員なのですが、
      「ドイツ人は正気のまま狂う」と言ってました。ドイツの財団の学士留学した時に、旧東独地域で高校の教鞭を取らされたのですが、宿舎にされたホテルがシュタージの元基地で、地下に廃棄された電気拷問機があるわ、窓をあけて外を眺めると放射性廃棄物のドラム缶を埋めてるわ。赤ワイン色の湖があるわ。
      まともな神経なら統一して負担を請け負うとは思わんだろうと。
      あと兄は剣道の有段者だったので、なんども決闘の儀式に駆り出されたそうで。
      切先は丸めで突きは禁止ですが、刃のついた剣で顔を切り合う。目と鼻と耳を防護するゴーグルはつけますが、ガチで真剣。それで、コレが競技ではなく肝試しな儀式なので、動いてはいけない。よけてはいけない。顔を傷つけられた方が勝ちだという。それ何なのだ?と。
      そういう儀式をするのがヤンキーでなくて、ギムナジウムから大学へ進んだ名門エリートなんだそうです。事実、名門大学の学生会出身はスカーフェイスなのがエリートの証とされてたようで。
      五輪フェンシング選手で強すぎて顔に傷つけてもらえない学生に、俺を斬ってくれと何度もせがまれて辟易したそうです。あの国は上へ行くほど頭がおかしいのが多いと溜息してましたね。
      エリート指導主義だが、エリートは一定数に狂ったのがいる国だと申してます。

      • アバター 七面鳥 より:

        横合いから失礼します。

        >エリートは一定数に狂ったのがいる国

        そりゃ、「アーリアン学説」とかを大真面目で検討して、チベットまで調査隊送った人達ですから……

        ミリオタ界隈で有名なこのコピペが全てを現しているような。

        フランスの兵器
        「何がしたかったのかはわかるが、やりかったことというのはその程度なのか?」

        イタリアの兵器
        「どうしてそうなるのかはわかるが、そうするしかないものなのだろうか?」

        イギリスの兵器
        「何がしたかったのかはわかるが、どうしてこうなったのかはわからない」

        ソ連の兵器
        「どうしてこうなったのかはわかるが、何がしたかったのかはわからない」

        ドイツの兵器
        「こうするしかなかったのはわかるが、そこまでしてやる理由がわからない」

        日本の兵器
        「こうするしかなかったのはわかるが、まさか本当にやるとは思わなかった」

        アメリカの兵器
        「必要なのはわかるが、そこまで沢山作る理由がわからない」

        • アバター 山童 より:

          笑いました。
          でも正鵠を射ていると思います。最初のロケット戦闘機。
          たしかに凄いが燃料とか漏れるとパイロットが溶ける!
          まんま小話の通りですね。

        • アバター 山童 より:

          ええ、でもナチスの珍兵器はなかなかバカにしたものでない気がします。
          ムカデ砲とか!
          銃身にいくつもの薬室を設け、次々と点火する事で極超音速で発射する奴ね。
          当時の機械技術ではマイクロ秒単位の薬室の起爆ができなかったけれど、コンピュータ技術があれば……。
          この発想、1970年代に低予算宇宙ロケットとしてNASAに持ち込んだ航空宇宙学者いました。で、断られて彼はサダム・フセインに軍事用として持ち込むんですね。大型の核砲弾を撃ち込む兵器として。
          んで、その学者はボンで射殺体となって発見されました。
          下手人は米国とも英国ともイスラエルとも言われてる。
          これが1980年代前半なので、
          やはりコンピュータ技術は追いつかなかった(3.5インチフロッピーどころか8インチ😁)と想うすが。
          だが今ならスマートウォッチに搭載される部品なら、超正確で、何しろ70〜80%濃縮ウランで起爆可能にすると言う。(だから既にイランは核兵器保有と考えるべき)その精度なら、ムカデ薬室起爆も、さらに尾翼ついた滑空砲弾を
          無線で軌道修正てきるしょ?
          イーロン・マスクのスターリンクをハッキングして利用すれば、装薬式大砲で核を撃ち込む事が出来るようなる!
          他にも海賊対策で商船用の音響忌避兵器などは、元はナチスの音響兵器理論がネタ。
          なので、早すぎたたけかと。
          私が気になるのはディグロッケ! 釣鐘型の「何か」で、
          UFOだと言われてる😁
          ならナチス敗戦しとらんわ😁
          でも、何をしようとしたのか
          用途すら、さっぱり解らんのですよねぇ。責任者が関係者皆殺しして逃走。その後に服毒自殺した(という事になっている。死体は連合国に確認されてない)ので、藪の中なんすよ。

          • アバター 七面鳥 より:

            >装薬式大砲で核を撃ち込む事

            そこで「デイビークロケット」ですよ(違

            百足砲は、砲口圧を一定以上に上げないと言う利点はありますが、射程同じなら今ならHIMARSでよくね?ってなっちゃいますね。
            「何がしたいか」であって、「どうやって」はその時手に入る技術と材料とコストで決まる(解は無数にある)、のだと思います。
            ※本邦でも、誘導兵器の制御に生体部品使ってましたが、「本当にするとは思わなかった」とはいえ一番「安くて正確」だったのも確か。本当の誘導兵器は、熱海の温泉の女湯に着弾しましたし(笑)

      • 木霊 木霊 より:

        いやー、決闘のエピソードはなかなかそそるものがありますね(失礼)。
        興味深い。
        その精神性は、理解の外にはありますが。

    • 木霊 木霊 より:

      日本も他国のことを批難できるほど優秀なエネルギー政策を推進しているわけではないので、他山の石として反省すべきなんですが、そういう論調にはならないんですよね、国内のメディアは。
      政治が情勢に併せて不合理な判断をすることはままありますが、それを国民の側として放置するのは違うと思います。
      エネルギー政策に関してもしっかり考えていきたいですね。

  2. アバター 通行人A より:

    俺は現在のドイツ連邦共和国のエネルギ政策や防衛政策がおかしくなったのは、アンゲラ・メルケル前首相だと思う。彼女は16年もドイツ政治の舵取りをしてもう取りかえしがつかないぐらいお粗末な事をして来た。

    原発を全部止めて、防衛兵器の潜水艦や戦車などの開発は止めて、防衛はEUに丸投げ。

    ドイツ国民が本当に右往左往するのはこれからだと思う。

    このメルケルさんはなぜか顔がアドルフ・ヒットラーに似てる有名な話の事も気になるけど。

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