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AUKUSの第2の柱に日本が参加するために

安全保障
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ラブコールか、脅迫か。

AUKUS defence ministers joint statement: April 2024

Published 8 April 2024

Just over a year ago, Australia, the United Kingdom, and the United States announced the Optimal Pathway to deliver conventionally armed, nuclear-powered submarines (SSNs) to Australia – the first major initiative of AUKUS. Today, we take stock of the progress our nations have made, both to deliver this capability and to deepen our work on other advanced capabilities.

~~対訳~~

AUKUS防衛大臣共同声明

ちょうど1年前、オーストラリア、英国、米国は、AUKUSの最初の主要構想である、オーストラリアに通常兵装の原子力潜水艦(SSN)を提供するためのOptimal Pathwayを発表した。本日は、この能力を提供するため、また他の先進的な能力に関する作業を深めるために、両国が行ってきた進捗状況を総括する。

GOV.UKより

AUKUSに関する声明が発表されたが、この中で日本が名指しされている。

歓迎されている一方で

第2の柱への参加

AUKUS共同声明の中に出てくるピラーI(第1の柱)、ピラーII(第2の柱)というカテゴリであるが、原潜調達分野における協力(第1の柱)、先端技術分野における協力(第2の柱)ということになっている。

日本に期待されているのは第2の柱の方の先端技術分野における協力と言うヤツだ。

In identifying collaboration opportunities, we will take into account factors such as technological innovation, financing, industrial strengths, ability to adequately protect sensitive data and information, and impact on promoting peace and stability in the Indo-Pacific region. Our objective remains to further the delivery of advanced military capabilities to our respective defence forces in support of regional stability and security; we are confident that engaging like-minded partners in the work of Pillar II will only strengthen this pursuit. Recognising Japan’s strengths and its close bilateral defense partnerships with all three countries we are considering cooperation with Japan on AUKUS Pillar II advanced capability projects.

~~対訳~~

協力の機会を特定するにあたっては、技術革新、資金調達、産業上の強み、機密データや情報を適切に保護する能力、インド太平洋地域の平和と安定の推進に与える影響などの要素を考慮する。 我々の目的は、地域の安定と安全保障を支援するため、それぞれの国防軍に先進的な軍事能力を提供することに変わりはない。我々は、志を同じくするパートナーを第二の柱の作業に参加させることが、この追求を強化することになると確信している。 日本の強みと、3カ国との緊密な二国間防衛パートナーシップを認識し、我々は、AUKUSの第2柱となる先進能力プロジェクトにおける日本との協力を検討している。

GOV.UKより

この手の話は既に他のメディアでも取り上げられているので、公式にも日本の参加を検討していると認めた格好である。

対中国牽制同盟「オーカス」に日本も合流か…「3国、加入議論に着手」

2024.04.08 07:39

米国が中国牽制のために「米英豪3カ国安全保障枠組み(AUKUS=オーカス)」への日本加入を推進している。

米英豪の国防相は8日、オーカスの両軸である「ピラー1(第1の柱、Pillar I)」と「ピラー2(第2の柱、Pillar II)」のうち、日本をピラー2に加入させるための議論を始めるとフィナンシャル・タイムズ(FT)が7日、報道した。

中央日報より

この記事では「ウリもカナダと一緒に第2の柱に参加したいニダ」と本音が漏れているが、まあそれはどうなんだろうね。

カナダは防衛費をGDP比2%にせず

韓国はさておきカナダは余り積極的ではないようだよ。

Our North, Strong and Free: A Renewed Vision for Canada’s Defence

~~略~~

The new investments in Our North, Strong and Free will ensure that Canada can deliver on this vision. Defence investments in Budget 2024 are expected to bring Canada’s defence spending-to-GDP ratio to 1.76% by 2029-30, a significant step forward in our efforts to reach the NATO commitment of 2% to which we agreed at the Vilnius Summit in 2023. The initiatives under this defence policy also put Canada on track to exceed NATO’s target of 20% for major equipment expenditures as a proportion of defence funding.

~~対訳~~

Our North, Strong and Freeへの新たな投資は、カナダがこのビジョンを確実に実現できるようにするものである。2024年予算における国防投資により、カナダの国防支出の対GDP比は2029-30年までに1.76%となる見込みであり、2023年のビリニュス首脳会議で合意したNATO公約の2%達成に向けた取り組みにおいて大きな前進となる。この防衛政策の下での取り組みにより、カナダはNATOの目標である国防費に占める主要装備費の割合20%を上回る軌道にも乗ることになる。

カナダ政府サイトより

2030年までにGDP比で1.76%にするというのがカナダの答えであり、国防費に力を注がないという意味でもある。

「Our North, Strong and Free」というカナダ国歌の一節を持ち出して来たところを見ると、「カナダの自由だろう!」と強弁しているようにも読めるね。実際にはタイトルの「Our North, Strong and Free: A Renewed Vision for Canada’s Defence」を受けてのことなのだろうけれど。日本語風に解釈すると「カナダの防衛白書によれば」ということなのだろうが。

「GDP比2%に向けた努力だ」と表現しつつ、直ぐには予算を投じないという姿勢を見せたわけだ。トランプ氏が大統領になったらこの姿勢が貫けるかは不明だが、まあ、そういう国だよ。

カナダの兵器は色々老朽化しているので、早急に梃子入れを図らねばならない状況だとは思うんだけどね。

ここは笑うところ

ちなみに、AUKUS関連のニュースは共同通信も報じていたのだが。

AUKUS、日本と協力へ 極超音速兵器やAI分野

2024/04/09

米国と英国、オーストラリアの各国防相は8日付の共同声明で、3カ国の安全保障枠組みAUKUS(オーカス)の第2の柱である極超音速兵器や対潜水艦戦能力、人工知能(AI)の共同開発で「日本との協力を検討している」と発表した。年内に日本との交渉を開始する。米英豪がAUKUSのパートナー国を明らかにするのは初めて。日本と連携し、中国に対抗する狙いがある。

~~略~~

発表に先立ち、中国外務省の毛寧副報道局長は8日の記者会見で、AUKUSとの連携強化を巡り日本に自制を求めた。

共同通信より

共同通信者は支那の手先なんですかね?支那の妄言を紹介して「自制を求めた」というのは笑うしかない。寧ろ支那が自制しろ。

中国外務省の報道官、日本に自制要求 AUKUS連携巡り「言行を慎むべきだ」

2024/4/8 21:04

中国外務省の毛寧副報道局長は8日の記者会見で、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」との連携強化が取り沙汰される日本に自制を求めた。「歴史の教訓をくみ取り、安全保障分野で言行を慎むべきだ」と述べた。

産経新聞より

支那の妄言は産経新聞も報じていたね。

ただ、日本においてAUKUSに参加するために必要な条件が、思いつくだけでも2つほどある。

SC制度整備は必須

一つはこちら、セキュリティクリアランス制度の整備である。

現状では若干甘い部分もあるのだが、とにかく導入が必要である。

玉木氏は頑張っているが、ハニトラ関連の項目は現時点で含まれていない。確かに、「定義が曖昧」という部分はあるのだけれども、がっちり定義を決めたところで抜け穴ができるだけである。どこかの項目に含むにせよ、性的性向というのは調査が必要な項目だと思う。

もう一つは、武器輸出緩和である。公明党が散々邪魔してくれたお陰で、少々腰砕けになった部分はあるんだけど、最低限の部分は何とか整えられた。

ああ、もう一つあるんだけど、コイツはなかなかハードルが高い。そう、憲法9条の改正である。

自衛隊が「憲法違反だ」と誹られない憲法改正が必須であり、更にこれに加えて軍事法廷の整備という話もあるのだが……、AUKUSの第2の柱に参加するにあたってはこれらは必須というわけではない。寧ろ、諜報組織の拡充とかそういった方面での努力を優先すべきかもしれないね。

何れにしても、そろそろ本気で法整備を考えないと。

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追記

朗報である。

「セキュリティークリアランス」法案 衆議院本会議で可決

2024年4月9日 15時12分

経済安全保障上、重要な情報へのアクセスを国が信頼性を確認した人に限定する「セキュリティークリアランス」制度の創設に向けた法案が衆議院本会議で賛成多数で可決されました。

NHKニュースより

まだまだ不十分ではあるが、取り敢えずは衆議院本会議でセキュリティクリアランス制度創設に向けた法案が可決され、参議院に図られることになる。

岸田首相 米に向け出発 日米首脳会談などに臨む

2024年4月8日 18時26分

岸田総理大臣は、日米首脳会談などに臨むため、アメリカに向けて出発しました。これに先立ち記者団に対し、日米関係が一層盤石なものであることを確認し、世界に発信する機会にしたいという考えを示しました。

NHKニュースより

このタイミングで岸田氏がアメリカで首脳会談ということになっていて、当然ながらAUKUS関連の議論が行われるであろう。

安全保障の分野では、遅々として進んでいるという感じなんだろうね。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    AUKUS P-IIへの日本参加が決まったようなのですが、これは日本政府がSC法案の立法化を事実上認めたことと同義とみてよいでしょう。
    韓国政府は目前の総選挙に忙殺されて眺め模様。むしろ、このタイミングで日米首脳会談がセッティングされたとも言えるのかも。
    米国はブレまくる韓国に対しての圧力を常々忘れないようです。もっとも、韓国に次世代技術があるわけでもないんですけどね。

    • 木霊 木霊 より:

      アメリカが「やっぱやーめた」とか言い出しても対応出来る様に、日本は考えていかないといけないんですよ。
      この話、アメリカ抜きでは考えられない部分はあるので、アメリカをその気にさせ続ける方法も併せて何かやっておくべきでしょうね。

      韓国……、ええ、ああ、まあ、程々に。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    ・カナダは、「遠い国」のお祭り騒ぎには人も金も出したくないし、そもそも出せる余裕が無い。
    ・本邦は、「目の前の火事」なのでむしろ積極的に参加しなけりゃならない。が、アメ公とかが「金だけ出して黙ってろ!」って考えてないかを良く見抜かないといけない。

    別なところでもコメントしましたが、もはや支持率とか気にしなくて良いので(何やっても上がらないというか上がるのを邪魔する連中がいる)、岸田氏にはここで一発、片っ端から重要案件をゴリゴリ通してほしいところ。
    そうすれば、20年後くらいに、歴史に残る名宰相になれるでしょう。
    ※直近の歴史家はきっと酷い事書くに違いない。

    • 木霊 木霊 より:

      こんばんは。

      カナダは国防についてあまり真面目に考えていないのか、あるいはトルドー氏の方針がそうなのか。
      この辺りの話はあまり興味を持って調べたことがなかったので、一度、調べてみたいと思います。

      岸田氏はねぇ……、評価の難しい首相だと思いますよ。
      それなりに成果を出してはいますが、なんというか分かりにくいんですよね。

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