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セキュリティ・クリアランス制度整備へ一歩前進

安全保障
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セキュリティ・クリアランス制度の導入に向けて一歩前進といったところか。

経済安保情報に新資格創設 保護活用法案を閣議決定 漏洩なら拘禁刑5年

2024/2/27 10:13

政府は27日、経済安全保障に関する機密情報の管理を強化するための新法案「重要経済安保情報保護・活用法案」を閣議決定した。

産経新聞より

岸田内閣としても、セキュリティ・クリアランス制度は必要だと判断したということだね。高市氏の努力が実を結んだ格好といえるかも知れない。

曲解するメディアと適正評価

民間への適用がキモ

先ずは前回の記事のリンクを貼っておこう。

簡単に言うと、機密情報に触れる方の適性検査をし、機密を扱う資格を認定する制度である。

適性検査の内容に関しては、東京新聞が纏めていたので紹介しておこう。

セキュリティー・クリアランス(適性評価) 政府が指定した安全保障上重要な情報に接する必要がある公務員や民間事業者らに対して、政府が調査を実施し、信頼性を確認した上で情報を提供する制度。本人の同意を得た上で、国の行政機関が(1)家族や同居人の生年月日や国籍(2)犯罪歴(3)薬物乱用(4)精神疾患(5)飲酒の節度(6)経済状態などを調査する。特定秘密保護法で導入された。22年末時点で評価保有者は13万人。大半は国家公務員で、民間人は防衛産業を中心に3%。米国では評価保有者は400万人で官民比率は7対3程度とされる。

東京新聞より

この程度の事は既にやっているかと思ったら、個人情報保護などの観点からやられていなかった模様。

なお、これを引用した理由は、最後の部分。「米国では評価保有者は400万人で官民比率は7対3程度とされる」の部分で、日本では民間人へ適正評価をする方針がなかった。

国が保有する経済安保情報の取り扱いを有資格者に限定する「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度の創設が柱。漏洩には最長5年の拘禁刑か500万円の罰金を科し、機密保全を徹底する。

産経新聞「経済安保情報に新資格創設」より

今回、これが法制化されることで、漸く日本の民間企業が重要な機密情報に関わる事が可能になる。

知る権利やプライバシーへの侵害?!

で、反対派はこれの何に反対しているのかと言えば、有り体に言うと、スパイ行為が出来なくなることに反対している。

政府が大量の民間人を「適性評価」、秘密を漏らしたら最長5年の拘禁刑 経済安保情報保護法案の概要

2024年2月8日 06時00分

政府は7日、国家機密の取り扱いを有資格者に限る「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度を経済安全保障に関わる情報にも広げる「経済安保情報保護法案」の概要を自民、公明両党に説明した。秘匿性の高い情報の流出を防ぐ「特定秘密保護法」を実質的に拡大する内容で、秘密の範囲が広がるとともに、適性評価の対象となる民間人が大幅に増える見込みだ。国民の知る権利やプライバシーが侵害される懸念は一層高まる。

東京新聞より

だから、民間に適用するんだって。

どうして「国民の知る権利やプライバシーが侵害される懸念は一層高まる」などという話になるのか、意味が分からない。そもそも、国会議員は情報漏洩に対して網がかけられているので、情報漏洩をやらかせば従来の法律で罰せられる。つまり、国家公務員にはこの法律は不要なのだ。

「適性評価の対象となる民間人が大幅に増える見込みだ」とあるんだけど、自分で記事にしている通りに本人の同意を得た上で行う適正評価である。そもそも、秘密に関わりたくない方は同意しなければ良い話。

このように、秘密の範囲を拡大するという形になるのは事実なのだが、寧ろこれが秘密でなかったら何を秘密にするのか?というレベルの情報でもある。

元々、特定秘密保護法の保護範囲が極めて狭い内容だっただけに、それを補強することは喫緊の課題であったのだ。これが「適切でない」というような記事にしている理由がイマイチ良く分からない。

東北大の井原聡名誉教授(科学史)は「特定秘密とは比べものにならないほど指定情報が増える。適性評価を受ける民間人も増える」と指摘。軍事転用可能な技術開発をする研究者や政府の仕事を受注したいベンチャー企業などを念頭に「運用次第では企業秘密を政府に吸い上げられる危険性もあり、企業の国家統制の入り口になりかねない。この制度の狙いは軍拡政策を支える産業づくりにある」と懸念を示した。

東京新聞「政府が大量の民間人を「適性評価」より

東北大学の名誉教授が寝言というか、絵空事を書いているのだが、「うんうん、おじいちゃんご飯はもう食べたでしょう?」と突っ込んであげたい。

この東京新聞の記事、一言で要約すると「なんだか不安」と言うことになる。もうちょっとマシな記事を書こうね?

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重要経済安保情報保護・活用法案

この点、日本経済新聞が読める記事を書いていて、それを引用しておきたい。

経済安保の情報保護、新法案を閣議決定 漏洩には罰則

2024年2月27日 5:00 (2024年2月27日 9:49更新)

政府は27日、経済安全保障上の秘密情報を扱うための資格制度「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」を創設する法案を閣議決定した。半導体など安保に重要な影響を及ぼす機微情報の保護体制を整え、企業が海外で事業展開しやすくする。

法案の名称は「重要経済安保情報保護・活用法案」。政府が保有し他国や外国企業に漏れると日本の安保に被害が出る恐れがある情報を「重要経済安保情報」に指定する。この情報を扱える人を適格性評価の資格を持つ人に限定する。

日本経済新聞より

経済のことに関してはポンコツ記事の多い日本経済新聞だが、この記事は良く纏まっていると思う。

日本はこれまで主要7カ国(G7)の中で唯一、経済安保情報に関する適格性評価の仕組みがなかった。民間企業からは「資格がないため海外企業との商談や説明会に参加できないことがあった」と早急な対応を望む声が出ていた。

日本経済新聞より

おそらくは、現場の声を聞く立場に居るからなんだろうね。

冒頭の産経新聞の記事も「プラバシー」などというポンコツな意見を書いているけれども、この話の本質は民間企業が国際開発できないから何とかしてくれというとこからスタートしている話であり、国益を考えても、企業の利益を考えても必要な法律なのである。

去年、一歩も前に進まなかった同制度だが、何とか前に進める運びになったと考えるべきだろう。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    ふと思いました。

    秘密を公開する等を要求する方々の目的とはつまり、情報的なエントロピーの増大、均質化であって、「万人が平等にバカになる」事じゃないかって。

    エネルギーの均質化はつまるところ最後に行き着くのは「宇宙の熱量死(意味的な出典は「百億の昼と千億の夜」)」ですが、知識の均一化も同様に「存在の無意味化」に向かうのではないかと。

    それこそが「共産革命」と呼ばれるものの本質なのでは……なんて、小説のネタにもなりませんね。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      情報の拡散とは、すなわちエントロピーの増大に繋がりますから、エンとロビーの法則に反することをやろうと思えばそれなりのコストを支払わねばならないと。
      してみると、共産主義は一部の特権階級が情報の統制をしますから、そのコストとして支払われるのは人民の「自由」と言うことかも知れません。

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