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今国会でセキュリティ・クリアランス制度関連法案が提出

安全保障
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いよいよというか、漸くというか、セキュリティ・クリアランス制度の創設に向けて動き出したね。

機密漏洩、罰則2段階 政府のセキュリティー・クリアランス制度 懲役10年か拘禁5年

2024/2/7 20:36

経済安全保障上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る「セキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)」制度の創設に向けた法案が7日、自民党の会合で示された。

産経新聞より

ただ、セキュリティ・クリアランスとか言われても分かりにくいので、「適格性評価」とするかもう少し違う言葉を使うのが良いのでは、とは思う。

確実に必要な制度

セキュリティ・クリアランスって何?

一言で言うと、スパイ対策ですかね。

セキュリティークリアランスって何?  経済安全保障の強化に必要な機密情報の保全

2023年07月03日 (月)

国家の機密情報や、先端技術の流出を防ぐため、重要な情報を扱う政府の職員や民間人の信頼性を確認する「セキュリティークリアランス」と呼ばれる制度の創設に向けた動きが本格化しています。

~~略~~

まずセキュリティークリアランスとはどういう制度なのかみていきます。

この制度は、機密とされる情報に接する資格を与えるものです。より簡単に言うと、この人に重要な情報をつたえても、外に漏らしたりしないというお墨付きを与えるものです。政府の職員だけでなく、兵器の製造などに使われる=いわゆる軍事転用が可能となる技術を扱うなど民間の担当者も対象となります。AI=人工知能や、宇宙、サイバーなど、軍事転用が可能な技術の範囲が広がるなかで、こうした流出すれば安全保障上の脅威となるおそれが高まっています。こうした中で、経済の分野で安全保障上の必要な措置をとる、いわゆる経済安全保障を強化する一環として、情報に接する資格を認定する制度の必要性が高まっているのです。

NHKニュースより

国家機密に関しては、一応、現状でも特定秘密保護法という法律が存在するんだけども、こちらは情報の秘匿に主眼が置かれている。

一方のセキュリティ・クリアランス制度は秘密に接する人の方に網をかける法律を作ろうという話である。

スパイだと思われる人を、そもそも安全保障上秘匿したい情報に近寄らせないのがセキュリティ・クリアランス制度なので、その人の背景情報を洗って、情報に触れる資格のある人だけが情報に触れられるようにする。そういう話なのだ。

機密情報の重要度に応じ、漏洩した場合の罰則を2段階で設けるのが柱。機密性が特に高い情報を漏らした場合は既存の特定秘密保護法を適用して懲役10年以下の罰則を科し、それ以外は新法で最長5年の拘禁刑などを科す。

産経新聞より

それ故に、設定される罰則も結構重い。……拘禁刑5年というと、池袋で母子2人を轢き殺した爺に執行されていたように思う。量刑が適切かどうかは分からないけれども、殺人を犯しても余程悪質でなければ初犯では拘禁5年と言うことにはならないので、そこまで重く見ているという意味である。

特定秘密に抵触した場合には懲役10年以下ということになっているので、更に重い量刑設定である(一般的には、懲役刑>拘禁刑となる)。

外国から求められる

何故こんな法律を導入するか?というと、外国からの信頼を得られないからである。

政府は2月中に法案を閣議決定し、今国会に提出する方針だ。新制度では国家公務員に加え、民間企業の従業員らも対象とし、機密情報にアクセスできるかどうかを政府が調査した上で国家機密を取り扱う資格を与えるかを政府が判断する。

産経新聞より

セキュリティ・クリアランス制度を導入して、この人材は情報を扱う資格があるよというお墨付きがないと、重要な情報を開示して国際開発をやれないという話になる。

年明けにF3戦闘機の開発の話を紹介したのだけれど、こうした開発も民間主体で行う場合には、相手国としては「コイツに情報を明かして大丈夫なのか」と疑念を持つ状況では、開発を進められない。

おそらくは個々に秘密保持の契約をするのだろうけれど、国を跨ぐとその効力も聞きにくい。だからこそ法律による網掛けが必要だというわけである。

つまり、次期戦闘機の開発にも必要だということだね。某党の反対が盛り上がりそうだが。

実際に重要な技術の流出が問題視されるケースもでてきています。先月茨城県つくば市にある日本国内で最大規模の公的研究機関である国立研究開発法人・産業技術総合研究所の中国籍の上級主任研究員が、フッ素化合物に関する先端技術を中国の企業に漏えいしたとして、不正競争防止法違反の疑いで逮捕されたことが明らかになりました。この人物は、中国人民解放軍とかかわりが深いとされる「北京理工大学」で博士論文の指導教授を務めていたことが確認されるなど、軍民融合を掲げる中国とのつながりが疑われています。重要な技術情報へのアクセスを限定する必要性が改めて問われているのです。

NHKニュース「セキュリティークリアランスって何?  経済安全保障の強化に必要な機密情報の保全」より

今だと、スパイが情報に触れて漏洩したことを確定しないと、逮捕・起訴できないんだよね。

そういう意味でも情報に触れる前に、情報に触れる人の資格を認定しましょうという制度は必要だと言えるだろう。まあ、スパイ防止法の一環であると言ってしまって良いのかも知れない。

そして、今後国際開発というシーンが増えていく可能性が高く、国防の面から考えても導入が必要な制度であると言える。

林芳正官房長官は7日の記者会見で「SC(制度)を含むわが国の情報保全の強化は同盟国や同志国との円滑な協力のために重要であるほか、産業界の国際的なビジネス機会の確保・拡充につながる」と述べた。

産経新聞より

この辺りは、官房長官の林氏もしっかりと分かり易く説明している。まあ、これに尽きるんだよね。

生じる損害額によってランク設定

で、セキュリティ・クリアランス制度を導入する場合には、セキュリティレベルの設定が必要になってきて、これを明確化するのが結構大変である。

何が秘密で、何が秘密ではないのか。

それを誰が決めるのか?決められた秘密は、本当に秘密にする必要があるのか?……サヨクが騒ぎそうですな。

成立から10年「特定秘密保護法」 あれから今まで起きたこと、これから注意するべきこと

2023年12月6日 06時00分

安全保障などに関する政府の情報管理を強化し、国民の「知る権利」を侵す恐れも指摘される特定秘密保護法は6日、成立から10年を迎えた。2012年末に発足した第2次安倍政権が戦後の外交・安全保障政策を次々と転換させ、憲法9条を軸とした平和国家の姿を変質させていくきっかけとなった。「戦える国」に向けた動きは、岸田政権下でより内容を伴ったものとなっている。

東京新聞より

そして、アジビラを作る東京新聞だが、「特定秘密保護法が出来ると、飲み屋で逮捕されるー」「主婦が噂話をしたらー」「オスプレイを撮影したらー」とかそんなヨタ記事を書いていた事もあったけれども、それを反省せずにこんな記事を書いていた。

平和国家?お花畑だな。

第2次安倍政権以降、日米の軍事的な一体化と情報管理の強化が進んだ。国民の権利侵害や憲法違反の懸念が拭えないまま、戦争ができる国づくりに向けて、政府の意思決定と政策遂行の密室性が高まっている。

東京新聞より

は?

寝言を紹介しても仕方がないので、機密情報のランク分けについてちょっと説明していこう。

アメリカでは3段階でランク分けがなされていて、損害の深刻さで切り分けられている。これ、損害の額で切り分けているようだ。

機密情報の重要度に応じ、漏洩した場合の罰則を2段階で設けるのが柱。

産経新聞より

日本では2段階に分ける予定らしいのだけれど、分かり易い指標でランクが分けられるかがポイントだろう。

欧米各国のSC制度は、経済分野を含む重要な安保情報全般を規制しているのに対し、日本の特定秘密保護法は外交、防衛、テロ防止、スパイ防止の4分野の機密情報に限定してきた。

新制度のもとでは、経済安保も対象に加え、漏洩すると安全保障に「著しい支障」を与える恐れのある経済分野の情報を機密性の特に高い「特定秘密」と定め、漏洩した場合には、既存の特定秘密保護法を適用する。

産経新聞より

支障ねぇ。分かりにくいのは混乱を招く元じゃないのかな。途中で引用した東京新聞のようにおかしな発想で「何でも公開しろ」というのは、そもそも本制度を理解していないからなんだろう。

「秘密指定の解除は現在、行政機関が一元的に管理しているが、国民が秘密指定の解除と、指定を解除された情報公開の審査を請求できるような仕組みを設けた方がよい。独立公文書管理監や情報監視審査会のチェック機能の強化も大事な要素だ」

東京新聞より

この提言は特定秘密保護法に関する話で、全体的におかしいわけではないんだけど、じゃあ、誰がチェックするんですか?という話がおかしな事になっている。

そのチェックをする人が活動家だったらどうするんですか?という話になるんだよね。そういう意味でも、セキュリティ・クリアランス制度の導入が必要というような話になるんだよな。

コメント

  1. アバター 玄米茶 より:

    ロシアの国営メディアに出演して「ウクライナ支援の理由ない」「ロシアが悪はあり得ない」とか発言している輩は制限かかるのだろうか……
    原口一博っていうんですけどね
    >産経新聞参照
    https://www.sankei.com/article/20240208-TYSTXWDNRZBZDC6PDSIILM6HEY/

  2. アバター 砂漠の男 より:

    SC法案は中身が大事です。自民党内や委員会で骨抜きにされないといいんですが。
    SC制度が創設されれば、いずれにしても個別には高市大臣の得点になるので、
    結果からそのヘンの綱引き具合もわかりそうです。

    • 木霊 木霊 より:

      そうなんですよね、まだ俎上に乗っただけで、公明党あたりはきっちり邪魔してくるだろうと思いますよ。
      日本としては、どうしても必要な法案だけに、何を生贄にして法案を通すのか。
      見守っていきたいですね。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    当方だけかもですが「クリアランス」と言う言葉に「空間」あるいは「隙間」の意味を持ってしまいます。
    本質的には「許可・許容」なんですよね。
    どこでそんな固定観念が植えついたんだか……和製英語の弊害でしょうか。

    つい先日も、中華ハッキング云々の話がありましたし、役所で個人情報を外国籍事務員が云々という話もありました。
    戦前の特高警察の二の舞を避ける余りのザル法制にならないことを祈るばかり。

    ※そうするもしないも、「彼ら」の大好きな「シビリアンコントロール」次第なのですが、不思議とそのあたりの、もっと自ら国民が身を律しようという話は聞きませんね。なんでだろ~(棒)

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      何でもかんでも横文字使えばいいというわけではないと思いますね。
      そして、まだ第一歩を踏み出した程度の話ですから、大変になるのはこれからですよね。

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