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ウクライナがTPP加盟申請

ウクライナニュース
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意外なニュースに触れて面白いと感じたのだけれど、TPPね。

ウクライナがTPP加盟申請、実現すれば英国に続き欧州2か国目

2023/07/07 13:29

ウクライナが、環太平洋経済連携協定(TPP)に加盟申請したことが分かった。TPPを担当する後藤経済再生相は7日の閣議後の記者会見で、「ウクライナがTPPの高いレベルを完全に満たすことができるかどうか、見極める必要がある」と述べた。

讀賣新聞より

ウクライナが、TPPに参加申請をしてきて、「いや、太平洋に面していないよね」と突っ込みを入れたくなったが、面白いと言えば面白い動きだ。

国家の結びつきで紛争を回避せよ

仲間が欲しいウクライナ

ウクライナがEUに加盟したいと申請している話は、侵攻される前からあった話なので、今更説明するのもどうかと思うが。

EU首脳、グリーン・ディール産業計画の方向性を支持、ウクライナEU加盟交渉は明言せず

2023年02月13日

EUは2月9日から10日未明にかけて、ウクライナ支援、産業政策、移民政策を主な議題とする特別欧州理事会(EU首脳会議)をブリュッセルで開催した。ロシアのウクライナ侵攻とそれに伴うウクライナ支援に関しては、同国のボロディミル・ゼレンスキー大統領を迎えて協議が行われ、EUによるウクライナに対する政治、軍事、財政、人道面での全面的な支持が再確認された。ウクライナのEU加盟については、EU側はウクライナが求める加盟交渉の2023年中の開始についての言及を避けた。

JETROより

前々からこの話はあるんだけど、実際にEUに対してウクライナが加盟申請したのは、2022年2月28日の話で、この加盟に対する議論には時間がかかるようだ。

もう1つがNATOへの加盟要請だが、NATOへの加盟はそもそも紛争が発生していないことが条件となるので難しい。

経済連携は安全保障

そこでTPPという話が関係していると僕は睨んでいる。

実現すれば、欧州からの参加は3月に加盟が決まった英国に続いて2か国目となる。15、16日にニュージーランドでTPPの閣僚級会合が開かれる予定で、ウクライナ加盟について議論が始まるか注目される。

讀賣新聞より

かつて、西側諸国がEUという枠組みを作り、NATOという枠組みを作って、これが密接にリンクしていることは説明するまでも無いだろう。

日本の経済連携の推進状況(2022年3月現在)のグラフ

参考までに日本が関係している経済連携の図を紹介しておこう。

さて、西側諸国が積極的に参加している経済協定があれば、当然、東側の方も似たような枠組みができる。それがワルシャワ条約機構(対NATOを想定した安全保障協定)であり、これはソ連解体と共に消滅してしまった。で、次に出てくるのが上海協力機構である。

ソレとは別に、ユーラシア経済共同体なる組織も立ち上げられたが、現在は解体され、ユーラシア経済連合となっている。まあ、パッとしないので特に言及はしない。

上海協力機構「いかなる国とも敵対せず」、西側諸国を間接的に批判

2023年7月4日11:03 午後

中国とロシアが主導する地域協力組織「上海協力機構(SCO)」は4日、SCOはいかなる国家とも敵対するものではなく、全ての国との広範な協力の道を閉ざさないとする共同宣言を採択して首脳会議を締めくくった。

ロイターより

上海協力機構に関しても、さほど上手くいっている様子は無い。何しろ、独裁国家ばっかり集まっているので、船頭が多くて話が進まないのだ。これに経済連携をとろうとして模索した東アジア地域の包括的経済連携(RCEP)があるのだが、これもあまり進展を見せていない。理由は同じなんだけどね。

実際実現するのか?

TPP加盟には参加国の了解が必要

さて、ウクライナがTPPに参加したいと申し入れたことで、それが実現可能か?というと、経済再生担当大臣の後藤氏の指摘しているように、高いレベルの協定に対する障壁を乗り越える必要がある。

実のところイギリスもTPPへの加盟については苦戦している。

TPP交渉、英に再提案要求 関税撤廃率90%止まり―日豪など

2022年09月27日07時17分

英国の環太平洋連携協定(TPP)加入交渉をめぐり、日本やオーストラリアなどの参加国が英国に対し、市場開放に関する提案内容を再考するよう求めていることが26日、分かった。TPPは農産品や工業品の関税撤廃率をほぼ100%に引き上げることを目指しているが、英国は農業分野を中心に市場開放に慎重で、全体で90%程度にとどめているとされる。

時事通信より

EUは意外に農業国が多く、イギリスも自国の農業の保護には積極的である。それ故、完成撤廃率についてはかなり慎重な姿勢を崩していない。これが原因で、なかなか加入が難しいのである。

ウクライナはソ連と一体であった時期が長く、市場開放という点においても様々な共産主義的な考えが残っている。農業分野においても、むしろ農業を積極的にやっている国だからこそ、ハードルが高いのではないか?という懸念はある。

ウクライナのトップ、ゼレンスキー氏はなかなか思い切った外交手腕を発揮する有能さを見せているが、国の制度を整えるのはそう簡単な話ではないのだ。

それでも、日本が手助けをして制度設計に手を貸せば、案外、すんなりと加盟できる可能性はある。年単位で時間はかかるだろうけれど、少なくとも支那が加入するよりは可能性はありそうだね。

コメント

  1. アバター 河太郎 より:

    こんにちは。ロシアとウクライナの穀物輸出量を合算すると、米国に匹敵しますからね。そこへもってきて肥料に必要なリン鉱石はロシア産が最大でしたが、
    明るいニュースとして、ノルウェーだかに世界一のリン鉱石の鉱脈が発見されたそうで。つまりは、いずれはロシア産に頼らずよくなる未来が見える。
    そういう事を考えると、ウクライナ復興の時に役立つと想うです。食い物に関する事は、まぁ恩を売っておいて損は無いのかも知れないかと。

    • 木霊 木霊 より:

      ウクライナが何処まで覚悟を見せるのか?
      ソレで随分と話は変わってきますが、経済的な結びつきを強めると言うことは、非常に大きな意味があると思います。
      軍事的な連携も、やれると良いですよね、そのうちに。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。
    ウクライナの腹の内は読むまでもないですが、日本としては、復興以降を視野に置くと、ナカ~マにしておいて損はないと思えます。
    なんなら、停戦後にEU・NATO入りすることを見越して、自動車工場建てても良いかも。
    あの穀倉地帯は魅力的ですし。
    善意で助けたいのはもちろんですが、外交は善意だけじゃないですから、せいぜいテーブルの下で蹴り合ってほしいものです。

    • 木霊 木霊 より:

      TPPに関しては、条件が明示されていますから、それをクリアして頂くしかありません。
      ですが、やる気があるというのであれば、手助けすれば宜しい。
      もう、ウクライナは国家基盤から立て直す位の勢いでやらねばならない状況になっていますしね。

      外交は、表でも裏でも殴り合う一方で手を握るということですよね。

      • アバター 七面鳥 より:

        外交は「みんなニコニコ円満解決」だと思ってるお花畑がいっぱい居ますから。

        外交なんて、どんだけ自国に有利な無理難題を相手に押しつけるか、飲ませるかであって、テーブルの下で蹴り合ってこそ「なかなかやるな」「おまえもな」になる、と思ってます。
        一方的に飲んでニコニコは、そりゃ単なる属国だと。

        安倍さんは、それが出来るようにしてくれた。
        岸田は……安倍さんの懐刀(の一本)だったはずなんですが……

        とりあえず、今今のNATO会議に注目しましょう。

        • 木霊 木霊 より:

          「安倍の意志を継ぐ」なんて言う輩にロクなのはいませんよ。

          意志を継ぐってことはつまり、自分で考えてはいないって白状するようなものです。

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