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やっちまったロシア、支那向けの小麦を爆撃

ウクライナニュース
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なんというか、ご愁傷様?

ロシア、黒海沿岸の港湾を空爆 6万トンの穀物失われる

2023年7月19日11:45 午後

ウクライナのソルスキー農業政策・食料相は19日、黒海沿岸にある南部オデーサ州のチョルノモルスク港が夜間にロシアの攻撃を受け、穀物輸出施設が大きな被害を受けたほか、貯蔵されていた大量の穀物が失われたと明らかにした。

ロイターより

これは、何という皮肉。

黒海穀物イニシアチブを破棄

食料を焼くロシア軍

ロイターの記事では、ウクライナのチョルノモルスク港が夜間に爆撃を受けたことを紹介している。

ロシアは17日、トルコと国連が仲介した黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)を延長せず、履行を停止すると表明。ウクライナは、ロシアによる港湾施設への空爆は意図的で計画的なものだと非難している。

ロイターより

なんというか、ソ連対日宣戦布告(昭和20年8月8日)を思い出してしまった。

この話の前提として、黒海穀物イニシアチブの話を説明する必要がある。

黒海を通じたウクライナからの穀物輸出等に関する4者(国連、トルコ共和国、ウクライナ及びロシア)合意「黒海穀物イニシアティブ」の終了

令和5年7月18日

  1. ロシアによるウクライナ侵略がグローバルな食料安全保障を悪化させる中、国連、トルコ共和国、ウクライナ及びロシアの4者の合意の下、黒海を通じてウクライナからの穀物輸出を行ってきた黒海穀物イニシアティブに関し、国連及びトルコによる懸命な仲介努力にもかかわらず、7月17日、ロシアが参加を終了し、黒海穀物イニシアティブが終了することとなりました。ロシアによる参加終了の決定は極めて遺憾であり、これを非難します。今回のロシアの決定がもたらす負の影響は、ロシアが最終的な責任を負うことになります。
  2. 黒海穀物イニシアティブは、昨年7月の発足以来、これまで3,200万トンを超える穀物等をいわゆる「グローバル・サウス」と呼ばれる国々を中心とした食料を必要とする国や地域に届け、食料価格の安定や世界の食料安全保障に貢献してきています。

~~以下略~~

外務省のサイトより

2022年7月に結ばれた黒海穀物イニシアティブは、ウクライナからの穀物輸出に関してはロシア軍が邪魔をしないという合意で、「世界の穀倉地帯」と呼ばれるほどだったウクライナの穀物輸出を止めてしまうことで、世界での食糧危機を誘発することを防ぐ狙いがあった。

国連主導で話が進められ、国連、トルコ、ウクライナ、ロシアの4者での合意が結ばれた。

しかし、ロシア側はこれについて不満を抱いていた。

ロシアの外貨獲得にはプラスにならない

その理由は、ロシア産の食料や肥料を買って欲しいからという身勝手なものだ。

ウクライナ産農産物の輸出協定、 ロシア延長せず失効

2023年7月18日

ウクライナ産の穀物を黒海経由で輸出する国際協定は、トルコ時間18日午前0時(日本時間同午前6時)、ロシアが延長しなかったため、失効した。西側諸国は、ウクライナの穀物が届かなければ世界で最も貧しい人々にとって打撃となると批判している。

ロシア政府は同日、国連とトルコ、ウクライナに対して、延長反対を通知。西側諸国が協定上の取り決めを履行していないことを理由として、西側が要求に応じれば協定に復帰する可能性を示した。

ロシアはこれまで、協定にもとづき、黒海に面するウクライナの支配地域にあるオデーサ、チョルノモルスク、ユージネ・ピヴデンニの港からの穀物出荷を認めていた。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はかねて、ロシア産の食料や肥料も輸出品に含めるという協定内容が順守されていないと不満をあらわにしていた。さらに、ウクライナ産の穀物は貧しい国に運ぶという協定の条件も守られていないと主張していた。

BBCより

プーチン氏が主張する「ロシア産の食料や肥料も輸出品に含める」という内容は残念ながら他の媒体で確認したことがないのでなんとも。

ただ、厚顔無恥にも黒海穀物イニシアティブの再開の条件を突きつけている。

ロシア、条件満たされれば黒海穀物合意に復帰=プーチン氏

2023年7月20日3:00 午前

ロシアのプーチン大統領は19日、ロシアが延長に合意しなかった黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)について、西側諸国が自らの目的達成のために歪めていたと非難した。同時に、ロシアが提示している条件の全てが満たされれば、ロシアは「直ちに」復帰すると改めて表明した。

~~略~~

プーチン氏が挙げた要求は、1)ロシア農業銀行の国際銀行間通信協会(SWIFT )決済システムへの再加盟、2)ロシアへの農業機械とスペア部品の輸出再開、3)ロシアの船舶と貨物に対する保険と港湾施設へのアクセス制限の撤廃、4)ロシアのトリヤッチとウクライナのオデーサをつなぐアンモニア輸出パイプラインの復旧、5)ロシアの肥料会社の口座と財務活動の遮断解除。

ロイターより

いやあの、ロシア軍がウクライナから完全に撤退すれば良いのでは?

支那向けの荷が燃えた

そんなわけで、ふざけた事を言っているロシアだが、やっちまった事は結構大きいと思う。

ソルスキー農業相によると、夜間の空爆で失われた穀物の量は6万トン。黒海穀物輸出合意の下、60日前に出荷されるべき穀物だったという。

ロイターより

タダでさえ輸出が遅れていた荷だったが、6万トンも燃えてしまったので取り返しが付かない。

更に、この穀物、支那向けに出荷される小麦だったという情報が。

まあ、ゼレンスキー氏の発言の信憑性については確認のしようがないが、面白いことにこれが事実だとすると、グローバル・サウス向けの穀物だったという前提は崩れてしまう。

プーチン氏の主張の一部の正しさを担保してしまうわけだ。

ただ、だからといってロシアの爆撃が許されるかというと、世界の食糧事情に影響する話だけになかなかややこしい事になるんじゃないかと。

コメント

  1. アバター けん より:

    おはようございます、

    最近のロシアは、戦争継続により戦時経済体制に移りつつあると言われています。
    一方でロシアは食糧の自給自足が可能と言われていますが、他方でさまざまな分野の工業機械・工業製品を大量に輸入していましたから、経済制裁のために、修理ができない・部品が足りないという状況は起こりえます。インドやトルコ経由の迂回輸入にも限度はあるでしょう。

    TASSの記事によると、7/20以降ロシアは黒海航行中のウクライナ仕向けの全船舶を攻撃対象にすると、ウクライナと国際社会に脅しをかけています。悪手としか思えませんが、裏を返せば、ロシア国内はかなり苦しいのかもしれません。
    https://tass.com/world/1649737

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      ロシアも資金繰りに苦しんでいるみたいで、色々と破綻し掛かっている感じですね。
      いつまで耐えられるのでしょうか?我慢比べだと、ウクライナは厳しいんじゃないかなと。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    ロシアによる、ウクライナの穀倉地帯攻撃や倉庫破壊、通商妨害は、長い目で後進国の食糧事情に影響し、野火のように第三国の政情不安に繋がるのでは、と危惧するものです。

    金のある奴は高い金出してもパンを買うし、そうすりゃ貧乏人はパン買えませんからね。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。
      グローバルサウスに輸出するのは建前だった、という点、僕は否定しません。そういう側面は間違いなくあったでしょう。
      ですが、実際に輸出総量が経れば、割を食うのは貧しい国々ですから、ご指摘のような事態を引き起こしかねませんね。

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