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支那不動産開発に響く不協和音とホワイトリスト

中華人民共和国ニュース
この記事は約6分で読めます。

あー、これ、恒大集団逝ったわ。

中国当局、銀行に「ホワイトリスト」不動産事業向け融資の承認迅速化を指導

2024年3月26日午前 8:04

中国の規制当局は、不動産業界支援策の一環として融資に適した「ホワイトリスト」に登録された不動産プロジェクトについて、銀行に対して資金繰りに窮した民間不動産開発会社向け融資の承認手続きを迅速化するよう指導している。事情に詳しい複数の関係者が明かした。

ロイターより

え?このニュースは無関係だ?いえいえ、案外関係あると思うよ。

支那当局が「ホワイトリスト」を出した理由

再生計画の放棄

えーと、改めて恒大集団関連のニュースを。

米破産法申請を撤回 債務再編が困難―中国恒大

2024年03月25日08時24分配信

経営再建中の中国不動産開発大手、中国恒大集団は24日、昨年8月に行った米連邦破産法15条の適用の申請を取り下げると発表した。今年1月に香港で清算命令が出され、債務再編が計画通り進められなくなったのが理由。

時事通信より

この関連ニュースは以前に取り上げた。

ニュース単体で取り上げたつもりだったんだけど、なんか途中でちょろっと書いただけだったね。

どちらかというと、こちらの碧桂園関連の時の方が詳しく書いている。

とりあえず、連邦破産法15条の話を少し言及しておきたい。

中国恒大がNYで連邦破産法15条の適用申請:中国不動産問題は恒大の経営不安が表面化した2年前よりも深刻

2023/08/18

中国の大手不動産デベロッパー恒大集団は17日に、米連邦破産法15条の適用をニューヨーク・マンハッタン地区の連邦破産裁判所に申請した。いわゆる破産申請である。

米連邦破産法15条は、米国籍以外の企業が、米国内の資産を保護する目的で申請するもので、認められれば債権者による資産の強制的な差し押さえを回避できる。

NRIより

支那の大手不動産デベロッパー恒大集団は、去年の8月17日に連邦破産法15条の適用申請を裁判所に申請した。

これが適用されると、債権者による強制的な資産差し押さえを回避できる。つまり、資産を保全することで企業再生を図る原資とすることが出来るわけだ。

それは、不動産市場の調整、中国経済の悪化、シャドーバンキングなど金融問題の深刻化などと連動する動きである。長引く不動産不況、人口減少などから中国の成長力が一段と低下している点を踏まると、2年前に恒大の経営不安が表面化した時よりも、現在の事態はより深刻なのではないか。

NRI「中国恒大がNYで連邦破産法15条の適用申請」より

この記事の最後にちょろっと書かれているが、支那の不動産不況を如実に表す事案であったわけだが、今回は「債務再編が計画通り進められなくなった」として取り下げを行ったわけだ。

「もう無理だよ」ということだね、簡単に言うと。

ホワイトリスト

さて、ソレで冒頭の記事に帰っていくのだが、恒大集団が何故、連邦破産法15条適用の申請を取り下げたかといえば、端的に言えば再建計画が上手く行かないことが分かったからなのだが。

その翌日に「ホワイトリスト」に関する報道が出たということは、つまり、恒大集団はこのリストに載らなかったことを意味する。

地方政府は融資適格があるとみなした居住用不動産プロジェクトを「ホワイトリスト」に推薦できる。関係者の1人は、このリストの対象になっているプロジェクトが必要とする新たな資金は1兆5000億元(2075億1000万ドル)に上ると述べた。

ただこれまでのところ大半の銀行は、政府から繰り返し要請されているにもかかわらず、不動産セクター向けの融資規模を大きく拡大することには消極的。ほとんどは既存の融資の期限延長や利払い負担軽減といった対応でお茶を濁している。

ロイター「中国当局、銀行に「ホワイトリスト」」より

尤も、実質的には融資をできるような銀行が、もはや支那には残っていないのだから、事実上不可能な申請であったことは明らかではある。

恒大集団だってそんなことは承知していて、恐らくは時間稼ぎをする目的で申請したのだろうけれど、ソレが意味をなさなくなったということなんだろう。

それでも恒大集団の倒産を許さない意味が良く分からない。ホワイトリストを出すくらいなら、国内の既に借金でどうにもならない不動産会社は潰すべきなのだ。そうしないと、ダメな債権と良い債権の区別も付かずに、更に市場の混乱を招く。支那当局としては、ソレを確定すると全財産を失う共産党員が量産されてしまうので、暴動を恐れて踏み切れないんだろうけれど。

清算命令

なお、この話のトリガーを引いたとされているのがこちらのニュース。

中国不動産大手の恒大に清算命令 香港の裁判所

2024年1月29日

巨額の負債を抱えている中国の不動産大手、中国恒大集団(エバーグランデ)が29日、香港の裁判所から清算を命じられた。

清算は、企業の資産を差し押さえて売却する手続き。得られた金は未払い債務の返済に充てられる。

しかし、清算の命令が実行されるかは中国政府次第だ。今回の命令は必ずしも恒大の破綻を意味しない。

BBCより

香港当局が支那共産党の支配下にあることは、とっくに知られた話。つまり、この時点で織り込み済みであった可能性は高い。

その上で、清算命令が発表され、同社の株は取引停止に至った。香港という土地柄、直ちに支那国内に影響がある話ではなかったが、国際的な投資家から見ればまあ、「危なくて手が出せない」という話になっちゃったよね。

いや、支那からの資本逃避は今に始まったことではないんだけど、「支那当局が救うかも知れないから」という理由で株を買う人も以前はいた。しかし流石にもう無理だろう。

よって、この時点で最後通牒を突きつけられたと言っても良いんだけど、その後でトドメを刺した感じかな。それでも支那国内で破産することが出来ないらしい。恐ろしい話ではあるが。

居住用不動産プロジェクトの活性化はあるか

じゃあ、支那が「悪い枝は切った」と発表した感じのするこのホワイトリストの提出のお陰で、状況が改善するかと言えば、恐らくはそうはならない。

こうした中で規制当局は改めて、ホワイトリストに登録された居住用不動産プロジェクト向けの融資承認をより急がせたいと考えているという。

関係者の話では、先週に当局が6月末までに全ての融資の承認を完了し、実行するよう通達を出したもようだ。

ロイター「中国当局、銀行に「ホワイトリスト」」より

そもそも今回の話は、不動産への過剰投資も事実上規制され、支那国内経済状況がデフレモードに入って、一気に状況が悪化した話。

どこかで悪い枝を切り取る必要はあったんだけど、その見極めが出来ない程度には悪化していたのが、「不動産への過剰投資規制」の実行でさらにどうしようもならなくなった。

ターニングポイントがあるとすれば、支那で行われた2008年北京オリンピックの時点だろう。

支那当局は、ホワイトリストを出すことで投資を促そうという試みなんだろうけど、おそらくは上手くいかない。外資は逃避してしまっているし、国内の銀行も流石に巨額の不良債権に手を出す余地はない。なぜなら、銀行自身が巨額の不良債権(不動産関連債)を抱えているリスクがあるのだから。

追記

ほら!もっと景気の良いこと言わないと株価が下がっちゃうよ!

もっと買って買って!支那人民のお金で買い支えるんだ!

……弾切れですかね?

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    悪い枝を切る、ですか……
    根っこが腐ってるのに、枝打ったって、ねぇ……

    ……って、みんな思ってると思うのですが、どんなもんでしょう?

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      しーっ!根っこが腐っていることは言っちゃだめデス!
      ソレがバレちゃうと、国家が転覆することに。

  2. アバター 砂漠の男 (花粉症でやる気が出ない) より:

    昨年の秋くらいにはチェックメイトだったんじゃないでしょうか。
    もうどこも支那の経済データを信用していませんよ。すでに”支那に投資しない”モードです。
    今後、米支デカップリングはいっそう進みそうだから、日本も頭を切り替えないとね。
    (経団連や日本商工会議所は判っているかな? 大丈夫かな?)

    仮に次の首相が上川外相だと、米国の指令で対支那制裁(貿易やTiktokの制限など)に踏み
    切るかもしれないから、支那は支那と一蓮托生の河野氏に首相になって欲しいでしょう。
    でも2Fさん引退するから、支那は今後の国会や自民党内での対日工作苦しいでしょうね。

    • アバター 七面鳥 より:

      横合いから失礼します。
      支那に限らず、ダメなものはダメと、即断即決しないとダメですよね。
      下手に延命工作したり、隠蔽したりすると、ダメージが二乗三乗になるのは歴史が証明してますよね。

      それと、川上外相の件は、もしそうであれば(麻生さんがバックに居るとか聞いたような)、フェミの方々もきっと応援してくれますよね!ね!

    • 木霊 木霊 より:

      どこからミソが付き始めたか?は色々な見方があると思います。
      去年の秋頃は確かに「もうダメな空気が漂っていた」という意味では、外資が見切りを付ける状況に陥っていたとは思いますが、僕はもっと前だったような気がしてなりませんよ。
      アメリカもまだ支那に未練を残している感じの部分はありますが、対峙する分野は徹底的にやる構えでしょう。

      次の首相……、上川氏は確かに頼もしいのですが、彼女はトップに立って指示をするタイプに見えないんですよね。
      誰かこう、信頼できるパートナー的な人材が出てくると推せるんですが。
      岸田氏だって、サポートがあればもっと動ける感じはしますけどね。まあ、それでもキッパリと意見を突きつけるタイプでないので、舐められる面があるのは間違いありません。勿体ないなぁと。

  3. アバター 砂漠の男 より:

    コメありがとうございます。

    ダメなものはダメなところでダメと言えないダメ男が岸田首相-通称”チョロ岸田”君-です。
    ダメなものはダメと声を大にして衆院広島一区の有権者の皆さんにお伝えしたいですね。
    アジアスーパーグリッド(ASG)構想などやられたら、ノルドストリームの二の舞ですよ。
    我々にどれだけの経済負担と安保危機が上乗せされるやら。トホホ

    麻生さんは大局を観て、いまの岸田氏や河野氏、茂木氏(支那寄り)に比べれば、
    上川外相(米寄り)のほうが”まだマシだろう”とお考えなのではないでしょうか。
    確かに百合子よりはかなりマシだと思いますが。
    もし初の女性首相誕生なら、フェミ界隈は発狂するかもしれませんね。

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