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韓国のセマウル金庫で取り付け騒ぎ目前

大韓民国ニュース
この記事は約9分で読めます。

以前も騒ぎがあったんだけど、いよいよかな。

韓国のセマウル金庫、横領事件で信用失墜…政府が火消しに

2023/07/07 07:18配信

韓国のセマウル金庫は、昨年江原道江陵にある支店で役員2人が10年間に129億ウォン(約14億円)を横領した事件が発覚し、国民の信頼を失っている。韓国政府は6日、セマウル金庫の健全性を強調し、預金保証や流動性支援などの措置を発表したが、根本的な問題解決には至っていない。

Wowkoreaより

韓国政府は6日付で「安全だ」と広報したらしいんだけど、逆効果かもね。

韓国金融危機の足音

流動性リスク

韓国の情報でいくと、老舗というか信頼の置けるブログとして参考にさせて貰っているのが、シンシアリーのブログである。流暢な日本語を駆使して著作を出版するほどの実力派なのだけれど、実に分かり易く韓国の一面を描き出されている点で非常に参考になる。

で、シンシアリーさんのところで、この問題は4月にも取り上げられていたんだよね。

韓国、大手庶民金融機関に流動性リスクの指摘・・当局に対応を注文する声も
韓国の大手庶民金融機関に、流動性リスクが指摘されています。2023年4月11日の情報です。
流動性リスクが噂されているセマウル金庫、『問題ありません』としながら急に5%台定期預金を販売開始・・専門家「現金が足りないという意味です」
「下半期不動産危機が発生する」という噂が流れている中、プロジェクトファイナンス大手「セマウル金庫」問題が相次いで報じられています。2023年4月12日の情報です。

セマウル金庫という金融機関は、韓国では大手庶民金融(2金融圏)らしい。非銀行金融機関なので、日本だとノンバンクと呼ばれるカテゴリーになるね。

えーと、イメージで言えばプロミスとかアイフルとかアコムとかレイクとかそんなところだろうか。

で、韓国では最近、ノンバンクが全体的にリスクがあると懸念されている。

韓国の「第2金融圏」に広がる消費者の「不安」

2022年12月17日 8:30

韓国で最近、地域農協など第2金融圏(証券会社、総合金融会社、保険会社、カード会社など多様な非銀行金融機関)の高金利の特販トラブルが相次いで発生し、消費者の不安が高まっている。特に10年前に取り付け騒ぎが起きた貯蓄銀行も、不動産プロジェクトファイナンス(PF=特定の事業から生み出される収益を返済原資として担保も対象事業の資産などに限定する貸出形態)と最高金利規制などで収益性が悪化し、関心が集中している。

AFPより

これの原因が流動性リスクなんだよね、要は現金が足らないというヤツだ。

資金繰りが非常事態に… 韓国政府、債券市場に「50兆ウォン+α」の流動性支援

登録:2022-10-24 10:01 修正:2022-10-24 11:19

江原道所在のレゴランドの債務不履行が投資者たちの恐怖を刺激し、市場の資金繰りが悪化したことを受け、韓国政府は緊急に「50兆ウォン(約5兆円)+α」規模の流動性支援策を打ち出した。社債、企業手形(CP)などを代わりに買い入れ、資金が必要な企業に供給するということだ。政府はひとまず既に発表した対策を拡大し、市場の過度な不安を和らげ、必要時には追加対策を議論することにした。

ハンギョレより

韓国政府はちょくちょく梃子入れを図っているようだが、裏返せば常にそういったトラブルがつきまとっているのだとも言える。

流動性リスクは何故起こる

韓国における流動性リスクの要因は、主に不動産バブル崩壊に起因するところが多いように思う。

こちらの記事でも触れたのだけれど、不動産バブル問題と韓国電力問題のダブルパンチで、不動産PF不安が広がっている。

韓国では、2000年代の不動産好況期に乗って貯蓄銀行がPF貸出に積極的に乗り出した。しかし2008年9月の米リーマン・ブラザーズの破綻を引き金とした金融危機により、不動産バブルが崩壊。貯蓄銀行は、集めた預金を不動産投資にからむ融資に向けていたため、それが焦げ付いた。韓国政府が2011年、多数の貯蓄銀行に業務停止命令を出したことで預金者に動揺が広がり、取り付け騒ぎが起きた――という経緯がある。

AFPより

韓国にとってはリーマンショック再びという状態だとAFPには触れられているが、これがなかなか解決しないので、今年の4月にこんな話も。

セマウル金庫、PF・流動性危機説進化にも顧客懸念持続

入力2023. 4. 10. 17:22修正2023. 4. 10. 17:27

不動産プロジェクトファイナンシング(PF)不良リスクと米国シリコンバレー銀行(SVB)破産事態が重なり、セマウル金庫の健全性に対する懸念が提起された中、セマウル金庫は流動性とPFの両方安定的に管理している不良の懸念を一蹴した。ただし、顧客の懸念が完全に解消されず、政府と金融当局の先制対応が必要だという声が出ている。

10日の金融圏によると、最近セマウル金庫PF不良の懸念が相次いで提起された。行政安全部が民主党のオ・ヨンファン議員室に提出した資料によると、セマウル金庫建設・不動産業企業の貸出残高は今年1月に56兆4000億ウォン規模に集計された。2019年末、27兆2000億ウォンで倍以上急増した。延滞融資は7000億ウォンから5兆2000億ウォン規模で7倍以上増加した。延滞率は2.49%から9.23%に急騰した。

Daumより

この「遅延率」というのは、支払い遅れの話である。つまり、支払いに困った人が沢山いるというわけだ。

建設不動産貸付56兆に延滞率9%台のセマウル金庫、5%定期預金特板に乗り出した理由は?

最初の承認 2023.04.12 11:20:13 最終修正 2023.04.12 18:07

大邱地域一部セマウル金庫が5%を超える定期預金特板を進めており、背景に関心が集まっている。今年下半期、不動産市場危機説の根拠となっている「不動産PF危機」と関連があると分析される。

不動産PF(Project Financing)とは、独立した不動産開発プロジェクトから発生する将来のキャッシュフローを返済財源として資金を調達する金融技術をいう。施行会社が「不動産開発」をするのに必要なお金を借りて返済する金融システムを意味する。

ペンアンドマイクより

で、セマウル金庫は金利5%を越える定期預金商品を出したという。その理由が、不動産PFの回収出来なくなったからだという風に分析されている。

横領事件

で、今般騒ぎになった理由が、去年の横領事件の影響と言うことらしい。

横領事件は、2人が顧客の定期預貯金や出資金を無断で引き出したり、融資する手口で行われた。2人は不動産投機などに使った。セマウル金庫は10年間もその事実に気づかなかったという。2人は今年5月にそれぞれ懲役6年と5年の判決を受けた。

Wowkoreaより

去年のニュースならば、去年騒ぎになりそうなものだが、7月にこの騒ぎになった理由は判決が出たからと言うことらしい。役員2人が10年間に129億ウォン(約14億円)を横領ということで、結構な額であるのは事実だ。

しかし、それにしたって騒ぎになるか?という気はするのだが、それだけ敏感になっているのだろうね。

そして、とうとう政府が「セマウル金庫は安全だ」と言わされる嵌めに。

韓国政府は6日、関係省庁合同で会見を開き、「セマウル金庫は安全だ」と述べた。顧客のすべての預金を保証し、必要に応じて政府から借り入れることで流動性を確保するという。また、中途解約した預貯金を再預金する場合、当初の利率や非課税措置を復活させるとした。

セマウル金庫は消滅する兆候まで見られたが、政府がこのようなメッセージを出したことで、この日の午後から顧客の離脱は鈍化するものとみられる。

しかし、セマウル金庫の慢性的な問題を解決し、不信感を回復するには不十分との指摘が出ている。昨年10月、国会行政安全委員会の国政監査で基本所得党のヨン・ヘイン議員は、「2017年から2022年8月までセマウル金庫の職員によって発生した横領・背任・詐欺・斡旋収賄は85件」とし、「金融事故被害額だけで640億9700万ウォンに達した。しかし、この中で35.2%の225億7700万ウォンしか回収されなかった」と指摘した。

Wowkoreaより

どうやら、被害額の回収率が低いので、「現金が無いのでは」という話にもなるわけだ。

韓国政府の口先介入だけでなんとかなるか?といえば、なかなか難しいだろう。何しろ、韓国政府にもお金が無い。

どこからか現金を調達しないとというわけだけれども、ウォン刷ったら良いんじゃないかな(棒)。

あ、ネットを検索していたらこんな記事があった。

韓国でお金を増やすなら絶対ここ!セマウル金庫とは?
韓国にはNH농협(=農協) 、KB국민은행(=KB国民銀行)、 하나은행(=ハナ銀行)などの大手銀行があります。我が家では、給料の入る口座はハナ銀行にありますが、稼いだお金を少しでも増やすために、4年...

なんというか、2019年の記事なんだけど、2021年にも記事が更新されていて、「金融系商品が豊富」と書いている。ここではセマウル金庫を「信用金庫」だと説明しているんだけど、日本では信用金庫はノンバンクに含まれない。

日本と韓国では銀行業に求められる役割が違いそうだが、色々な金融商品を見る限りは、セマウル金庫がどちらかというと高金利での金貸しを主業務とする金融機関に分類されるところのようだね。まあ、分類なんてどうでも良いのだが、流動性リスクのある企業だというのは間違いなさそうである。

ここがお手上げになってしまうと、結構大変なことになりそうだな。かなり有利な金融商品を積極的に売っていたようなので、不動産バブル崩壊とともにここもちょっとアブナイ。

追記

韓国語の記事だったこともあって、この記事を書いたときには見つけられなかったのだが、ちょっとヤバ目な記事があったので紹介しておきたい。

[単独]セマウル金庫、6%を超える延滞率に「不良支店構造調整も検討」

入力 2023.06.30 05:00 更新 2023.06.30 14:50

最近セマウル金庫延滞率が高まり、不良金庫が増えると、行政安全部とセマウル金庫中央会が緊急対策の準備に乗り出した。延滞率が高い一部地域セマウル金庫は構造調整の可能性まで取り上げられた。

中央日報より

遅延率6%という数字も、まあまあヤバイのだが、本文で紹介している遅延率9%という数字よりはインパクトは少なかった。

だけど、この記事で言及されていたヤバイ部分はここではないのだ。

29日、中央日報が入手した今年第1四半期セマウル金庫の全体融資延滞率は5.34%だ。これは、同期間の相互金融全体の延滞率(2.42%)の倍を超える。貯蓄銀行延滞率(5.07%)と比較してもセマウル金庫が高い。

中央日報より

6月29日の段階で全体融資遅延率が5.34%で、4月10日の時点で9%越えだったので、実は遅延率が緩和されたのかと思ったのだが、記事を読み進めるとそういうことではないらしい。

いくつかの個々の地域セマウル金庫の延滞率の状況はより深刻です。中央日報が入手した資料によると、首都圏A金庫の最近の延滞率は32.36%に達した。1000億ウォンを貸し出したとすれば、300億ウォン以上の貸し出しが利子を押さえているという意味だ。別の首都圏B金庫の延滞率は27.56%だった。

中央日報より

地方に行くと、遅延率が32.36%のところがあるというのだ。別のところは27.56%だったそうな。

実際、先月セマウル金庫中央会が作成した「2023年第1四半期セマウル金庫経営地評価結果」によると、今年3月末基準の全体セマウル金庫(1294個)のうち、自社経営実態評価で3等級以下を受けたところは202個(全体で15.6%)に達した。

中央日報より

そもそも、韓国のような国土の狭いところに、支店が1294行もあること自体が驚異的な話である。日本のみずほ銀行が461行なので、その桁違いの数に驚きを隠せない。

もちろん、規模は小さいのだろうが、業務効率的な意味合いを考えれば劣悪だとしても不思議は無い。いやーこれ、梃子入れしてある程度は整理されるんだろうけど、根本的な解決には長く険しい道を通らなければならない感じだぞ。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。
    取り付け騒ぎの話は、「楽韓」さんでも「シンシアリー」さんでも話題になってますね。
    「楽韓」さんによると、例の「鉄筋抜きのシャブコン駐車場」騒ぎも絡んで来るのでは(プロジェクトファイナンスが崩壊するのでは)、という事ですが……

    WKTKが停まらないので、ちゃっちゃとやっちゃって欲しいところです(何を?)

    • 木霊 木霊 より:

      ありましたねー。
      というか、今回、記事にしてしまいました。
      電力会社の関係もあって、どうなることやら。

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