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地下駐車場崩落事故のGS建設に営業停止処分

大韓民国ニュース
この記事は約9分で読めます。

ご無沙汰していて申し訳ない。病院はネット環境がね。まあ、無罪放免となったので、再びブログの更新をさせて頂きたいと思う。

で、久しぶりに扱うニュースは……、これ。

鉄筋不足で地下駐車場崩落事故起こした韓国建設会社に営業停止8カ月…最高レベルの懲戒で打撃不可避

2024.02.01 12:10

昨年4月に仁川の黔丹新都市で発生したマンション地下駐車場崩落事故で物議を醸したGS建設が営業停止8カ月の処分を受けた。

中央日報より

前回の記事と似たような韓国のほのぼのニュースなんだけど、扱おうと思った理由はニュースに登場したのがGS建設だったから。

韓国建設業界への打撃

地下駐車場崩落で一躍有名になった企業

韓国のGS建設といえば、韓国の建設業界5位のメーカーだから有名と言うわけではないと思う。少なくとも日本で有名になった理由はこちら。

このブログでも散々取り上げた、マンションの地下駐車場が崩落した事案に関連する企業だからである。

冒頭引用部分を読んでも、マンション地下駐車場崩落事故で物議を醸したGS建設と説明されていて、中央日報としても、この説明をしたら直ぐに分かるという意図があるのだろう。

韓国国土交通部は1日、事故と関連し施工者であるGS建設、東部建設、テボ建設、サンハ建設、アジア総合建設の建設事業者5社に営業停止8カ月の行政処分を課すと明らかにした。

中央日報より

営業停止8ヶ月か。

韓国の現状を考えると、案外悪くない手なのかも知れない。住宅バブル崩壊でマンションの値崩れが激しい状況にあって、良い物件と悪い物件を切り分けるような目印になると考えられるからだ。

営業停止期間は4月1日から11月30日までの8カ月だ。

中央日報より

えーと、営業停止期間は4月から11月まで、か。

ソウル市からも営業停止処分

あれ?10ヶ月じゃなかった?

韓国当局 GS建設に10カ月の営業停止処分へ=手抜き工事

2023.08.27 14:34

韓国の国土交通部は27日、地下駐車場の崩壊事故があったマンションを施工したゼネコン大手「GS建設」などに対し、計10カ月の営業停止処分を下すことを決めた。

~~略~~

同部は同マンションを施工したGS建設コンソーシアムや協力業者に対し、営業停止8カ月とする方針を決めた。また、安全点検義務を怠ったとして、これとは別に2カ月の営業停止の処分を下すよう、ソウル市に求める方針。

聯合ニュースより

これが去年2023年8月の記事である。この頃から、GS建設への処分は決定していたようなのだが、国土交通部からソウル市への要請でも営業停止処分は科される模様。

国土交通部は昨年ソウル市にもGS建設に対し「不誠実な品質試験施行」と「不誠実な安全点検実行」の2項目に対し各1カ月ずつ、合わせて2カ月の処分を下すよう要請した。これに対しソウル市は前日、「不誠実な品質試験施行」に対し1カ月の営業停止処分を下した。今後「不誠実な安全点検実行」に対する処分結果が出る場合、GS建設は最大で10カ月の営業停止処分を受けることになる。

中央日報より

現時点では、ソウル市からの営業停止処分は1ヶ月分だけがGS建設に対して行われているようだ。

まあ、ヒドイ物件を作り続けてしまったのだから、ある意味仕方がないよね。この一件では、GS建設が作ったマンション102ヶ所のうち20ヶ所の物件に問題があったことが発覚。

尤も、GS建設だけじゃなかったんだけどね、ヒドイ物件を建てていたのは。

韓国建設業界全体に影響が波及するか

今回、営業停止の行政処分を受けたのは、GS建設、東部建設、テボ建設、サンハ建設、アジア総合建設の建設事業者5社なのだが、先日は泰栄建設の話にも触れた。

泰栄建設は施工不良が問題だったわけではないのだが、韓国の建設業界の不安な面が浮き彫りになった件である。

PFの不良債権化で流動性危機に直面しているうえに、原材料価格や人件費の高騰で、工事をすればするほど赤字になる悪循環が起きている。韓国企業格付け会社によると、今年8月末現在、建設会社の不動産PFの偶発債務(未来に確定していない債務)は22兆8000億ウォンで、昨年6月末比29%増となった。実際、韓国建設技術研究院によると、今年10月の建設工事費指数(153.58)は3年前より28.1%急騰した。

東亜日報「泰栄建設がワークアウト申請間近か、建設大手もPFの不良債権化で危機」より

プロジェクトファイナンス(PF)の説明は前回やったが、韓国建設業界全体が手を出していた不動産PFの信頼が失われていて、債権者が資金回収に乗り出すようなことになると、不動産開発業全体に大きな打撃がありそうなのだ。

年明けからはムードが変わりつつある。泰栄建設が示した再建策に対する債権団の反発が高まっているからだ。特に、泰栄建設がワークアウト申請に先立って債権団と結んだ合意も守っていなかったことが確認されたことで、債権団の不満が沸き立った。信用評価機関と証券会社は直ちに相次いで報告書を出し、「建設会社のより分け」に乗り出している。ハナ証券は4日に発表した報告書で「泰栄建設の他にも、プロジェクトファイナンス(PF)の偶発債務リスクと未分譲リスクで流動性が急速に縮小する危険企業が確認できる」とし、「特にロッテ建設は泰栄建設との類似点がある」と明らかにした。韓国信用評価はロッテ建設と共にGS建設、新世界建設、HDC現代産業開発を主なモニタリング企業としてあげている。

ハンギョレ「韓国の泰栄建設危機、他の建設会社へと飛び火?」より

ロッテ建設もヤバイ模様。そういえば、2022年頃にはロッテ建設が現金をかき集めて流動性を確保していたニュースを見かけたんだけれども。

ロッテ建設、また資金借り入れ・・・ロッテホームショッピングから1000億ウォン規模 | 亜洲日報
ロッテ建設が再び借り入れを進め、1ヵ月間で1兆1000億ウォンの資金を調達した。ロッテ建設は10日、運営資金調達目的でロッテホームショッピングと1000億ウォン規模の金銭消費貸借契約を締結したと公示し...

ロッテ建設といえば、韓国で最も高いビルを建設したことでも有名になったが、業績はすこぶる悪い模様。あっちもこっちも韓国建設業界は軋みが出始めているようだね。

執行停止仮処分行政訴訟を提起

尤も、この営業停止処分に関しては、GS建設としても承服できないものらしく、直ぐに法的手続きを開始したようだ。

ただGS建設は国土交通部とソウル市の営業停止処分に対し執行停止仮処分行政訴訟を提起する予定だ。このため訴訟が進められる間は実質的な営業停止はされない見通しだ。

中央日報より

訴訟を起こすことで、営業停止処分の執行を引き延ばす作戦のようである。今、息の根を止められると、GS建設の息の根は止まりかねないので、このような訴訟を起こして延命措置を講じることは理解出来る。

しかし、業界全体のイメージ悪化を引き起こしてしまったGS建設が、この延命措置によって息を吹き返すことに繋がるかどうかは良く分からない。

イメージ低下は避けられそうにないし、今回の営業停止措置は回避ができそうにないので、どこかで営業停止処分を受け入れる必要がある。その時に、不動産開発業が上向きになっていると、寧ろ8ヶ月の営業停止は打撃が大きい様にも思える。

まあ、個人的にGS建設がどうなろうと知ったことではないのだけれど、韓国の不動産業界全体に悪影響が広がると、経済全体がいよいよ厳しい状況になるんじゃないだろうかとは思っている。

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追記

そうそう、先日もこんな驚きのニュースがあった。

【単独】新築6棟に「耐震鉄筋」すべて欠落…処分は減点3点で終了?

入力2024.01.31. 午後 8:33

[アンカー]

アパートを建てる建設会社が耐震設計用の鉄筋を一つも入れずに工事を行った事実が後になって確認されました。

昨年、アパートの鉄筋欠落事件で大きな混乱を経験したにもかかわらず、このような建設会社をきちんと懲戒する手段が適当ではないといいますが、なぜそうなのか、オ・ウォンソク記者が取材しました。

NAVERより

鉄筋100%OFF!

京畿道利川のある新築アパート団地で11棟中6棟にて耐震設計用柱96本とも帯鉄筋が一つも入っていない事実が確認されたのだとか。

耐震設計……とは?

建設会社は補強用鉄板や炭素繊維を活用して問題がないように補完するという立場です。

NAVERより

既に柱ができている状態で、「補強用に鉄板を仕込む」「炭素繊維を活用」するらしいのだけれど、両方とも意味はない模様。建築常識的に考えて、鉄筋はコンクリートの中になければ別の問題を生じる可能性が高い。

帯鉄筋というのは、こんな奴。

縦方向に配筋される主筋に対して、帯筋は水平方向に巻き付ける細い鉄筋のことで、主筋の座屈防止や水平方向への荷重に対する耐力を高める(剪断力に抗する)効果がある。これらは結合されてコンクリートの中に配置されることで、コンクリートの脱落を防いだりという効果も得られる。

現状で、既にコンクリート柱は出来てしまっていて、中には主筋だけしか入っていない場合、外側に鉄板を巻くことはある程度意味はあるんだろうけれど、耐費用効果が低いからこそそんな方法が採用されていないのである。

コンクリート充填鋼管(CFT)というものも存在しているけれど、こちらはコンクリートが角形鋼管の中に充填されているから意味があるのであって、後から鉄板を巻いて作るものではない。

KOKUDOのサイトより CFTの事例

そもそも鋼管の中にコンクリートを充填して作る場合、鋼管の座屈性能を高める機能をコンクリートに求めるのがCFTなのだが、逆ではないんだよね。炭素繊維の方は更に意味不明なんだが……。

株式会社アクトファクトリーのサイトより

確かに、柱に炭素繊維を巻き付けて施工する方法は存在する。連続繊維シート接着工法と呼ばれる手法がその一例なのだが、これを柱に用いれば繊維の方向によって曲げ補強や剪断補強に繋がる。繋がるんだけど、耐震性の向上という意味でこれを使うとなると、一体既設の柱にどのように用いるのやら。鉄板を巻き付けるよりはマシかもしれないが。

何しろ、柱は4面(4方)が解放されているとは限らず、一面を壁に接しているケースも結構ある。上に紹介した2つの工法の場合、4面が解放されていない柱を補強することは出来ないんだよね。

なお、変態ニッポンではこんな施工例もあるので、絶対に無理だとは言わない。だけど、コストの方はものすごいことになりそうなんだよね。普通のマンションに、こうした二次的施工を行うかどうかはかなり怪しいなぁ。

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追記2

そういえばこんな記事もあったな。

1年で19カ所倒れた…不動産寒波、韓国建設会社の不渡り、2020年以後最多

2023年12月31日 10:00

今年1月から12月18日までに不渡りを出した韓国の建設業者が計19社に上ったことが、建設産業知識情報システムの集計でわかった。これは24社だった2020年以来の多さだ。

免許別では総合建設会社8社、専門建設会社11社。地域別では、ソウル、京畿、釜山、全羅南道が各3社、忠清南道2社などだった。

建設会社の廃業も増加しており、今年11月までの総合建設会社の廃業申告は366件で、昨年同期(214件)より71.02%増えた。専門建設会社の廃業は20.99%増の1729件だった。

AFPより

建設業者の不渡りが多かった。タダそれだけのニュースなんだけど、上の記事とあわせて読んで頂くと味わい深いと思う。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。
    ご無事で、と言って良いのかどうかですが、何よりでした。

    記事内容はさもありなん、さすが韓国、そこに痺ry……なのですが。

    最後の変態施工は、さすがは大日本帝国……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      まあ、何とか無事でありました。ありがとうございます。

      韓国の話に関しては、何というか何時もの通りというか。日本の技術もまあ、何時もの通りであります。

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