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アメリカと韓国との立場の違いが表面化

大韓民国ニュース
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うーん、韓国のイツモノアレのような気もするんだけど、このタイミングでコレか。

「事実上の核共有」 韓米間で早くも食い違い=韓国は「立場は違わない」

記事入力 : 2023/04/28 17:05

韓米の首脳が26日の会談で、「核の傘」の提供を軸とする拡大抑止の強化を盛り込んだ「ワシントン宣言」を発表したことを巡り、韓国側が「事実上の核共有」と明らかにしたのに対し、米側は「核共有ではない」と表明し、同宣言を巡る認識の温度差が露呈した。韓国大統領室は「立場の違いではない」と火消しに回った。

朝鮮日報より

共同宣言が出ているので、いきなり話が食い違うのはどうかと思うんだが。

アメリカのリップサービスに異を唱える

ワシントン宣言

とりあえず、BBCソースのワシントン宣言を引用しておこう。

米韓首脳、対北朝鮮で拡大抑止強化で合意 潜水艦派遣や核協議グループ新設など

2023年4月27日

アメリカのジョー・バイデン大統領と韓国の尹錫悦大統領は26日、米ワシントンで会談し、米核武装潜水艦の韓国への定期派遣を含む画期的な合意を結んだ。

米政府は、同国の北朝鮮に対する核兵器使用の計画に、韓国が関与することを認めた。

韓国はその見返りとして、自国の核兵器を開発しないことに合意した。

~~略~~

今回の合意のもと、アメリカは「1980年代初頭以来行われていない、弾道ミサイルを搭載可能な米原子力潜水艦の韓国派遣を含む、戦略資産の定期的な配備を通じて、抑止力をより可視化する」措置を講じることを目指すと、複数当局者は今週、記者団に述べていた。

米韓はまた、核・戦略計画をめぐる問題を議論するための、核協議グループを発足させるという。

BBCより

うーん、別に日本国内で流れたニュースと大差ないな。

こちらの記事で触れているが、「核協議グループNCGの設立」と、「戦略原子力潜水艦などの朝鮮半島展開の頻度を増やす」の2点であるという事は変わらない。

一体何が問題になったのだろうか。

韓国の金泰孝国家安保室第1次長は記者会見で、「韓米は米国の核運用に対する情報共有と共同計画のメカニズムを設けた」とし、「韓国国民は事実上、米国と核を共有していると感じるだろう」と述べた。会見後、米国家安全保障会議(NSC)のケーガン上級部長(東アジア・オセアニア担当)は韓国メディアを対象にした会見で、「核共有とはみていない」との認識を示した。

朝鮮日報より

なるほど、「事実上の核共有」というところに引っかかったのか。僕の先日の記事の分析でも、今までと大差ないという認識だった。ただ、口約束であってもアメリカが関心を持っているという宣言を得られたのが大きいと、そう書いた。

核共有とみなすことが出来るか

そもそも、「核共有」とは何だろうか。

Wikiには「ニュークリア・シェアリングとは、NATOの核抑止政策における概念で、NATOによる核兵器使用のために、自国の核兵器を持たない加盟国が計画的に関与することである。特に、核兵器が使用される場合、その国の軍隊が核兵器の運搬に関与することを定めている。」と記載されている。

だが、そもそもアメリカはNATOの一員である。従って、核兵器の使用も、使用する決断もアメリカが行う。他に、核保有国のイギリス、フランスもNATOに加盟しているのだが、核共有のために兵器提供を行ったのはアメリカのみだとされている。

では、核共有(ニュークリア・シェアリング)に何の意味があるのか?と言えば、アメリカがヨーロッパで核兵器を「使用できる」というメリットだ。いわば事前合意とでも言うべきか。

そのために、アメリカ軍はヨーロッパに核兵器を持ち込み、防衛拠点を作っている。

アメリカは朝鮮半島の非核化を掲げている

一方で、朝鮮半島はというと、「核共有」できる環境が整ってはいない。

韓国の政治家たちは、北朝鮮に対して核兵器をいつ、どのように使用するのかというアメリカの計画について、韓国のさらなる関与を認めるよう、長らく米政府に要求してきた。

北朝鮮の核兵器の大型化・高度化が進むにつれ、韓国の人々はバイデン氏が何をきっかけに、自分たちに代わって核のボタンを押すことになるのか見当もつかない状況に、警戒心を強めてきた。米政府が韓国政府を見捨てるかもしれないとの不安から、韓国は独自の核兵器を開発すべきだとの声も上がっている。

BBCより

良くも悪くも朝鮮半島で核兵器の使用は現実的ではない。

使えば支那と日本を確実に巻き込むことになる。風下に日本がある以上、気軽に核兵器というわけにはいかないだろう。何しろ、日本列島にはまだ米軍基地がある。一応、日米同盟も健在だしね。

何より、アメリカにとって韓国を防衛することの意味は余り重要ではない。防衛拠点というよりは、時間稼ぎに使える程度の感覚なのだと思う。だから、アメリカにとって「あれは核共有の宣言だ」などと言われては大変迷惑なのだろう。

よって、「一歩前進」という形を見せても、核共有に踏み込むには躊躇したというのが現実だし、おそらく韓国はその現実を理解できていない。

核開発は可能

さて、この話があった後に、ユンユンはこんな発言をしたようだ。

ユン大統領「心を決めれば1年以内に核武装可能」発言真意と現実性は?

入力2023. 4. 29. 18:08修正2023. 4. 29. 18:16

米国を国賓訪問した尹錫悦大統領が「大韓民国は核武装をすると心を決めれば早いうちに、さらに1年以内にも核武装ができる技術基盤を持っている」と明らかにした。米国の拡張抑制実行力を強化する「ワシントン宣言」が出てから二日ぶりに「核開発」を連想させるユン大統領発言の真意に関心が集まっている。

Daumより

この記事でも否定しているが、仮に韓国に核兵器を開発できるだけの技術力が本当にあったとしても、NPTを破棄しなければならず、NPTから脱退することで大きなリスクを背負い込むことになるため、脱退してから核兵器を手にするまでの間に「凌げる手段」がなければならない。特に、アメリカとの間に深刻な亀裂が入るだろう。

つまり、あまり現実的な話ではないのだ。

おそらくユンユンもそんなことは承知の上で口にしたし、KMPR(圧倒的対応)で対処するとは言っている。

KMPRねぇ。

「第3の軸であるKMPRとは、韓国型の大量報復概念であり、北朝鮮が核兵器によって脅威を加える場合、北朝鮮の戦争指導本部を含む指揮部を直接狙って反撃報復するシステム」「同時かつ大量の精密打撃が可能なミサイルなどの打撃戦力や、精鋭化された専門の特殊作戦部隊などをこのために運用する」と、韓国国防部のHPには定義されているのだけれど、これが一体何なのかはハッキリわからない。

玄武とか、弾道ミサイルを持っているのは事実なんだけど、色々と制約があるので、有効に機能させられるかは不明。

北朝鮮の核に対応する韓国軍の「3軸」、2軸はすでに崩壊

記事入力 : 2022/10/14 11:52

北朝鮮が12日早朝、長距離巡航ミサイル2発を西海に向けて発射した。

~~略~~

これにより、韓国軍の北朝鮮核ミサイル対応策である3軸体系のうち2軸が事実上崩壊したとの懸念が持ち上がっている。韓国型3軸体系はキルチェーン(Kill Chain)、韓国型ミサイル防衛(KAMD)、大量反撃報復(KMPR)で構成されている。このうち、先制原点打撃のキルチェーンと空中迎撃のミサイル防衛が突破される危機にあるのだ。

朝鮮日報より

韓国って、概念バトルが大好きなんだね。

アメリカの真意は

そもそもこのタイミングで、なぜアメリカはワシントン宣言を出したのか。

それにはバイデン氏の思惑があって、今、韓国にレッドチームに入られると困るという程度の話なのだと思う。明確にレッドチーム入りされると、何らかの対処が必要である。朝鮮半島からの撤退作戦をやらなければならないからね。

だが、それはアフガニスタンやスーダンの比ではないコストと時間がかかる。

勝手な憶測ではあるが、時間稼ぎに過ぎないのではないか、と、そんな気がする。アメリカとしてはむしろ韓国の防衛について「将来的には日本に任せよう」まであるのではないか?少なくとも、台湾より優先順位が低くなっているのは確実だ。

いっぽうのユンユンは成果が欲しかった。だから、大袈裟に言っちゃったんだな。そして、怒られるまでがセットである。欲張りセットだね!

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >KMPRねぇ。

    それが何であれ「韓国型」って付いた瞬間、「はい解散!」ってなるんですが。脳内で。

    • 木霊 木霊 より:

      韓国軍が持っているミサイル関係の話は、本当に怪しい話が多いです。
      とはいえ、それなりの実力を持っている「可能性」はあるので、馬鹿にしたものでもないとは思うんですが……。

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