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韓国の民間発電会社、電力販売単価引き上げを求めて訴訟を起こす

大韓民国ニュース
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ちょっと面白い記事があったので紹介しておこう。

[社説]「産業血管」送電網の建設、もはや遅滞できない

入力2023.07.21 17:32

民間発電会社の江陵エコパワーが公企業韓国電力取引所を相手に電力販売単価の引き上げを要求する仮処分訴訟を出したという。政府が約束した送電網建設遅滞で赤字が雪玉のように積み重なる事情を反映して電力卸売価格を高めなければならないという趣旨だ。江陵エコパワーの他、東海地域他の発電会社も共同で法的対応を準備中だと伝えられる。発電会社が準政府機関を相手に法的闘争まで繰り広げる現実は、電力インフラ危機の深刻性をよく示している。

韓国経済より

韓国の産業構造において、電気料金の安さというのは特徴的である。政府の判断で値段を低く抑えているのだから、安くて当たり前なのだが。

前政権の失敗

韓国電力公社問題

過去に何度か扱ったが、韓国電力公社が電気料金の値上げができずに苦しんでいる状況があって、それが今も続いている。

電気料金を安く設定するのは韓国政府の要請からで、勝手に電気料金をあげられない韓国電力は、電気を売れば売るほど赤字になる。その赤字補てんのために債権をバンバンと売るという構造になっている。

そして、送電線の確保にも深刻な影響が出ているよという話に繋がっていく。何しろ、設備投資に資金を回す体力がないのだから、仕方がない。そして、そのあおりを食らうのが民間発電会社だという構造は、前回説明した通りだ。

つまり、前大統領のムン君の方針を当て込んで、太陽光発電所を作ったは良いんだけど、電力を売ろうにも送電線の容量が足りない。だから赤字を抱えたままだ。借金で生き延びているけれど、金利があがって雪だるま式に借金が増える始末。そこで債権発行をして資金調達を!ということを考えるわけだが、韓国電力が大規模に債権を発行しているので、売れないと、まあ、こんな構図だ。

送電網部材で発電を源泉封鎖され、それにより余裕が難しい経営不良が発生しているというのが民間発電業界の主張だ。実際、江陵エコパワーは東海岸から首都圏に電気を送る送電網を確保できず、稼働率が50%以下に落ちた。新ハヌル原発2号機、三陟ブルーパワー2号機(火力)が稼働する来年初めには稼働率が30%水準まで落ち込むことが予想されている。

韓国経済より

うん、可哀想に。

脱原発推進をした文在寅氏の罪

そもそも、韓国電力がここまで赤字体質になった原因は、前大統領のムン君に責任がある。

電気は属性上貯蔵が難しく、政治的な需給調節が必須だ。それにもかかわらず、政府と政治権は「どうなるだろう」とし、国内唯一の送配電事業者である韓国電力に責任を負う安日の態度で一貫してきた。しかし、脱原発余波で昨年32兆ウォンの天文学的赤字を記録した韓電は数十兆ウォンがかかる送電線投資に消極的でなければならない。文在寅政府の新再生エネルギー過速度も事態を悪化させた。送電線投資なしで太陽光パネルを無理に拡充したため発電を強制中断する出力制限措置が一年数百回ずつ下されている。

韓国経済より

韓国の原子炉は未だに動いている所も多いが、脱原発の方針を掲げていたムン君の意向を受けて、停止・廃炉にした場所も結構ある。

原発1基が5年7カ月ぶり再稼働へ 「安全性を確認」=韓国当局

2022.12.09 13:45

原子炉建屋の欠陥により運転を停止していた韓国のハンビッ原発4号機(全羅南道霊光郡)が、5年7カ月ぶりに発電を再開する。

聯合ニュースより

「脱・脱原発」にかじ切った韓国 「ほぼ日本」の原発を見てきた

2022年8月27日

目の前に広がるのは日本海。海岸沿いには、ドーム型の原子炉建屋が建ち並んでいる。

~~略~~

7月には新たなエネルギー政策を決定。電源構成における原子力の割合を2021年の27.4%から30年には30%以上に引き上げることや、文前政権下で白紙撤回されていた南東部・慶尚北道にある新ハンウル原発3、4号機の建設計画を再開する方針を決めた。さらには、原発10基を30年までに海外に輸出することも盛り込んだ。経済を再生させる成長戦略の目玉になり得ると位置づけたのだ。

毎日新聞より

脱原発を推進して、国内全ての原子炉を止めてしまったドイツとは真逆の方向に舵を切っている現韓国大統領のユンユンだが、「ぎりぎり間に合った」という感じだろうか。完全に廃炉手続きに入ってしまえば、再開はできない。

原発推進の方向で経済の立て直しを図るのがユンユンの目標らしいのだが、アチラコチラに作ってしまった太陽光発電も送電網が脆弱なので、電力を作っても供給に寄与できていない。ブラックアウトしないようにギリギリの綱渡りだね。

送電網の不在で電力生産を中断する現実は、前時代のエネルギー政策の方証だ。電力網は、ある意味では道路網よりも重要な国家コアインフラだ。送電網の不在でブラックアウトが迫ると、「産業血管」が詰まって経済が止まらなければならない。半導体・データなど未来の核心産業もほとんどエネルギー多消費業種だ。島や同様の韓国は、隣国とのエネルギー交流が源泉封鎖される脆弱性を持っている。

韓国経済より

悪いことに、原発を止めている間に太陽光発電が増えてしまった。しかし、送電網の増強はほとんど進んでいない。そうすると、原発を作っても送電網が脆弱であるが故に電力を送れないなんて事態にもなりかねない。

それどころか、冒頭のニュースのように送電網の増強が進んでいないがために、太陽光発電で作った電気すら送れない状況だという。

太陽光発電は別の問題も

この問題は日本でも指摘はされているが。

【独自】文在寅政権時代に山林に設置された太陽光発電施設、55%に地滑りリスク

記事入力 : 2022/10/13 15:05

韓国では文在寅政権期に山を削って設置した山地太陽光発電施設の55%が地滑りの危険にさらされていることが分かった。首相室傘下の政府出資研究機関である韓国環境研究院(KEI)が構造物の安全性問題を指摘し、政府に「傾斜度制限」を勧告したが受け入れられなかった事実も明らかになった。大雨の際に土砂の流出を防いできた樹木を伐採し、地中に人工構造物を打ち込んで設置する山地太陽光発電設備の特性上、地滑りや土砂流出の危険性が指摘されてきたが、地滑りの危険性が具体的な数字で示されたのは今回が初めてだ。

朝鮮日報よ

地すべりの危険性が高いんだそうだ。

うんうん……。55%ぉ?!

半分くらいダメってことですね?それはまたなかなか凄い。そして、急傾斜の山奥に太陽光発電の設備を作っても送電線の会社は送電網を伸ばさねばならない。地すべりなどが起きれば当然、送電線にも影響が出る。

どうあっても送電網の構築の足を引っ張るしか無いのだが、しかし、前政権のムン君はしっかりと「太陽光発電作ってくれたら送電網を整備する」と約束しちゃった。これが訴訟に結びついたというわけだ。

送電線投資なしで太陽光パネルを無理に拡充したため発電を強制中断する出力制限措置が一年数百回ずつ下されている。

韓国経済より

日本の場合は、出力制限されても「文句を言うな」という事になっているけど、韓国の場合はこれだけ高頻度に出力制限がなされてしまい、「話が違うんじゃないの」ということになったようだね。

とはいえ、訴訟が起こされたところで韓国電力の原資は無いのだ。送電網を整備しようが無い。どうするんだ?これ。

追記

ちょっと、韓国さん?

韓国「再生可能発電」事業は詐欺ばかり。実際に事業開始は「25~30%」に過ぎない
韓国は詐欺ばかりです。2023年07月31日、韓国の産業通商資源部が「無分別な発電事業許可および計測器乱立問題解決のための制度改善施行」というプレスリリースを出しました。「無分別な発電事業許可」と書い...

良くお邪魔するMoney1さんのところは、韓国政府からのプレスリリースなども載せてくれているのだが、良い感じで要約してくれるので最初に紹介しておきたい。

で、今回のは産業通商資源部からのプレスリリースである。

無分別な発電事業許可及び計測器乱立問題解決のための制度改善施行

-発電事業許可基準の強化及び許可された事業の履行力向上

-風力発電許可申請のための風力資源計測器基準の改善

産業通商資源部(長官李昌陽、以下産業部)は「発電事業の細部許可基準などに関する告示」改正案を8.1日に施行すると明らかにした。主な骨子は、許可された発電事業の実際の履行力を高め、電力市場秩序を確立する目的で、発電事業の許可要件と風力資源計測器基準を強化するということだ。

これまで急激な新再生可能エネルギー普及拡大政策により、新再生可能エネルギー発電事業の新規許可件数(3MW超基準)も「 11年19件(1.4GW)から」 21年98件(10.3GW)に大幅に増加した。しかし、事業者が事業を正常に推進するのではなく、事業権の中途売却などを通じて利益を追求するのに没頭したり、遅延させる事例が頻繁に発生した。

また、発電許可要件で風況計測を要求し、事業者間の敷地重複があれば計測器設置順で優先順位を付与していることを悪用し、敷地先店・売買目的で計測器を設置する事例が頻繁であった。また、複雑な有効地域規定により事業者間の敷地紛争も多数発生した。

産業部は財務能力を中心に発電事業許可基準を強化する一方、事業期間延長要件を強化し、許可された事業が適期に移行するよう促す方針だ。現在の発電許可以後、一定期限内に発電所を稼働させない場合、当該事業許可を取り消すように規定されている。現在までは儀礼的に期限延長を許可してきたが、今回の措置で一定の手続きを進めないときはさらに延長できなくなる。

また、風況計測器有効期間の新設で売買目的の計測器設置を防止し、有効地域も簡素化され、事業者間の紛争も減るものと期待される。

産業部は、今後も電力市場秩序確立及び電力需要と供給予測可能性向上のために発電事業管理・監督を強化していく計画だ。

韓国政府のサイトから

どうも、真っ当に発電事業をやっていない事業者が多かったようなのだ。日本でも太陽光発電で似たような事が起こったので、当然と言えば当然だろう。

産業通商資源部が「発電事業の申請を行ったもの」のその後を調査したのですが――2001年から直近まで約1,000件のうち、実際に事業を開始したのは、約25~30%だけだったことが分かりました。

Money1より

申請した内の3割程度しか事業開始していなかったらしい。

いやもうどうしようもねぇな。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    ムンムン時代の原発停止や太陽光発電の促進に社会の反発がなかった理由は、”安すぎる電力”が4兆円の負債を抱える韓電によって政治的に慣習化されていること、『先進国になりたい病』の韓国が米欧の尻馬に乗ったこと、あたりにあるだろうね。

    韓国は、この歪みにいつまで耐えられるだろうね? 来年4月に総選挙があるから、その時まで電力改革はおあずけというのが専らの見方のようだけど。
    https://www.sedaily.com/NewsView/29S2SW1ZH4

    • 木霊 木霊 より:

      来年まで放置して、大丈夫なんですかね。
      どう考えてもヤバイ事案だと思うんだけど、韓国なら大丈夫なのかな?

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    なんか、台風6号さん、半島に向かう気になったみたいに見えるんですが、ここんとこ半島の一部は豪雨に見舞われてますし、大丈夫かな?

    https://www.metoc.navy.mil/jtwc/jtwc.html

    ただでさえコンクリ(鉄筋)擬装だの為替だの金利だのでボッコボコなのに、ここで天災まで来た日には……

    • 木霊 木霊 より:

      先日のM3.0程度の地震でコンクリートにひび割れが入ったと、SNSで見かけましたよ。
      台風が直撃したら心配ですね。

      なお、6号さん、日本の方に来ている模様ですが。

      • アバター 七面鳥 より:

        6号さん、進路が大幅に南に逸れ始めちゃいましたね。
        残念無念。
        ※人の不幸は蜜の味。

        今からでも、あっち行ってくんないかな>6号さん、つか今年の今後に期待だ!

        • 木霊 木霊 より:

          いやー、6号さんの進路はイマイチよく分からない。
          定まっていない感じですね。
          今後も注意が必要でしょう。

          ……あっちに行く可能性は、まだ残っていそうですよ。

          • アバター 七面鳥 より:

            ……週明けて、あっち行く軌道で間違いなさそうになって来ましたね……

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