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【韓国陸軍】現役で頑張るM48戦車「パットン」

韓国陸軍
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世界の軍隊を見渡すと、時々とんでもない骨董品が現役で戦っていることがある。

そして、韓国軍も例に漏れず骨董品を扱っている。あれだけ最新兵器を投入しておいて、未だに老朽化した奴を使い続けなければならない理由とは。

M48「パットン」

このフォルムを見ると、最新鋭の戦車とはどこか違うな、と、素人目にも分かると思うが、当然である。だって、アメリカ軍ではベトナム戦争時(1955年~1975年)に主力戦車として活躍してたんだから。

M48戦車「パットン」

生涯現役!

とはいえ、アメリカでも第一線を退いた後も、 予備役部隊や州兵に移管されて、1990年台頃迄は使われており、最終的にはM48A5まで改修されながら長らく活躍してきた名戦車だ。

プラモデルでならアメリカが運用していたM48「パットン」の勇姿が見られる。あとは、博物館でしか見られない逸品である。

とはいえ今なお現役で使う国もあって、韓国でもバリバリの現役なんだなぁ。

残存価値0ウォン」…坂道上がれなかった「空き缶戦車」

入力2018.10.19 08:32

一年40兆ウォンの莫大な国防予算を使う韓国軍に、坂道さえ上がれない戦車数百台が前方に配置されているという事実を信じますか?
いわゆる「部品調達」の限界にぶつかったこの戦車の価値は「0ウォン」、文字通り「空き缶戦車」という意味です。

韓国ニュースサイト「daum」より

しかし、韓国陸軍はメンテナンスもロクにせずにかなり酷使しているらしく、最高時速50km/hの能力であるはずが時速20km/hを超えることができない状況だとか、20度を超える傾斜路を上れないとか、夜間照準は500m以下だとか、そんな噂がちらほら。

設計から時間が経って、部品の調達に問題が出るというのは不思議な話では無いのだけれど、それでも戦車を使い続けるのであれば、自前で部品供給をすれば良い話。それが出来ないのが韓国陸軍である。ブラックボックスになっている部分は多いもんね。ライセンス生産と言いながら、殆ど組み立てしかやらない状況なんだろう。

そんな状態のM48が、韓国軍の最前線に未だ600両も配備されているそうな。

K2戦車の国産化遅れが影響?

それもこれも、K2戦車の国産化が遅れているせいだと、そのように言われている。

韓国軍で運用された1,000輌程度ののM48系戦車(A2型240輌/A3型380輌/A5型470輌)のうち、A3/A5型は今でも現役として2線級師団(予備役師団)の戦車大隊や海兵隊の戦車大隊に配備されているようだ。その数600輌らしい。

K2戦車追加量産……国産パワーパック

入力2021. 06. 26. 08:00

韓国軍がK2戦車4次量産を準備していることが知られ、国産パワーパックを搭載できるかに対する関心が集まっている。黒豹という別名を持つK2戦車は、1次量産(100台)、2次量産(106台)、3次量産(54台)が推進されたが、国産パワーパックの開発に続き失敗し、外国産パワーパックを使用してきた。

~~略~~

陸軍はM48系列戦車を完全に置き換えるためにはK2戦車の追加量産が必要だという立場だ。4次量産を通じてK2戦車を360台に増やさなければならないということだ。陸軍が運用中のM48A3K戦車は現在200台、M48A5K戦車は400台が実戦に運営されている。

M48系列戦車は渡河能力がなく、起動中に射撃にならず、アクティブ防護装置や反応装甲などがない。7つの師団で運用中のM48系列戦車は老朽化が激しく、機動力が時速50kmから20~30kmに落ちる。修理と維持費も2011年基準でM48A5K戦車整備費に合計173億3900万ウォンの予算が編成された。1台当たりの年間平均整備費が3500万ウォンに上るわけだ。特に修理付属4773個のうち906品目が生産中止された。戦車砲身の場合、2019年からこれ以上生産していない。

「Daum」より

一応、K2戦車は紹介したように260両程度は作られることになったので、前線にいる600両のM48戦車の半分くらいは退役させられるのだろう。

記事でもM48系列戦車の老朽化が激しく、性能的にも作戦に支障がでると指摘している。

  • そもそも渡航能力が無く、川を越える作戦を展開するのが難しい
  • 整備不足により、機動力が50km/hから20~30km/hまで低下
  • 走向中に射撃ができない
  • 戦車の装甲が薄い
  • 20度の傾斜の坂を登れない

前線で戦うには不安な要素が多いのだが、数合わせには未だ必要なのだろう。

記事では総額年間173億3900万ウォンの予算が必要で、1輌あたりの年間修理費が3500万ウォン(350万円)相当かかっているとしている。……これはそんなものじゃないかな?どれだけ訓練が出来ているか?にもよるんだけど。

何しろ修理に用いる部品の生産中止が相次いで、真っ当に整備が出来ていない様子が伺える。動くうちはダマしダマし使うのだろうが、今後はどんどん共食い整備で数を減らして行くだろう。時間がないぞー。

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一部はようやく退役

で、2023年になってようやく一部が退役したようだ。

北の戦車に驚いた朴正熙が手掛けた…「K2黒豹」が退役へ

2023.01.24 15:51

半世紀近く現役生活を続けてきた老将が転役を目前に控えている。初の韓国産組立戦車と呼ばれるM48A3KとM48A5Kのことだ。2023年1月現在、M48A3Kは作戦からすべて抜け、退役を控えた状態だ。M48A5Kはまだ運用されているが、「兄」M48A3Kの道をたどる予定だ。

中央日報より

200両あったM48A3Kは退役を終え、400両あるM48A5Kはまだ退役させてもらえないと。

主砲の場合、M48A3Kは90ミリを維持したが、M48A5Kは105ミリに拡大した。火力増強という改良の目的を放棄しない中で、90ミリ砲弾の在庫を考慮しないわけにはいかなかったのだ。軌道を保護するサイドスカートの設置、横風感知装置など射撃統制装置の性能改善などが当時の韓国型M48改良型の特徴だった。このため、これら戦車の名前の最後には「K」が付いた。

中央日報より

なかなか頑張るねぇ。

M48A5Kは依然として現役だ。大半は予備軍が主軸の動員師団に退いているが、依然として約400両が運用されている。K1とK2が対戦車戦を担当すると見れば、歩兵を支援する任務ではまだ使用できるというのが軍内外の評価だ。有事の際、固定砲塔として北朝鮮の機甲戦力を消耗する役割としても役に立つ。1、2年以内にK2が追加で量産されて配備されれば完全な退役が可能とみられる。

中央日報より

ウクライナの惨状、いや、ロシア軍の惨状を見るに、M48A5Kパットンを有効利用することは悪い判断だとは思わない。

ただ、純粋に戦力が足りていない問題は、当面続きそうだ。そもそも、1~2年イナにK2が追加で量産などと書かれているが、実際にはポーランド向けに大量に輸出するので、在庫が足りていない状況なのである。

しばらくは退役させてもらえそうにないと思うよ。

続報も出たので、参考にして欲しい。

コメント

  1. アバター けん より:

    こんにちわ、

    木霊さんが大変なことになっておられるので、渦中のお見舞いを申しげます。

    さて..M48シリーズが長寿であることは喜ばしいことと思います。トルコや東南アジアでもいまだに現役ですし。ただ、いまではRPG-7にさえかなわないでしょうし、戦車同士の撃ち合いなどまったく不可能ですが、自走砲としてはまだ使えそうですね。

    • nekodama nekodama より:

      お見舞いありがとうございます。
      お恥ずかしいことに、つまらないミスでデータを消してしまいました。

      さておき、M48戦車「パットン」ですが、将軍が元気であることは素晴らしいと思います。
      ただ、メンテナンスがロクにできていないために、共食い整備で延命しているとも噂されていまして、ちょっとかわいそうな気もします。

  2. アバター 河太郎 より:

    あはは、この戦車は運転した事がありますよ。テキサスの油田だの巨大牧場だの持ってるオタク大地主がいまして。
    私の親戚に、欧米博物館・美術館の日本刀コレクションの研師している奴がいます。(一生でも研ぎきれない数ある)
    んで、地主が武器コレクションの研ぎ師に困ってるので紹介しました。
    そしたらお礼に「好きなの乗って良いよ」と、戦闘機のムスタングと、車のムスタングと、パットン戦車を見せたので、戦車に乗りました。
    実は鈍重そうに思えるが、全速疾走すると時速60kmくらい出ます。映画「FURY」でタイガー戦車と戦ってますが、どっちも本物だそうで。あそこで機動力を活かしてタイガーを撃破してますが、確かに戦車のイメージにしては俊敏でしたね。 
    20段変速か何かで、6速とかからでも簡単にクラッチが繋がるので、えらい運転が楽でした。ブツケても壊れないし😁
    おりゃおりゃーと廃車を踏み潰して気持ちよかったです。あと地平線まで私有地だったんで、対空機関砲とか撃たせてもらいましたね。爽快でした。

    • アバター 河太郎 より:

      ちなみにパットン戦車の構造で偉いと思うのは、わざとエンジンシャフトとクランクの接続部がヤワに作られてる事で。
      戦場でシャフトが折れたり、エンジンが壊れたら、兵士には修理ができない。
      だから、兵士にも交換できるパーツに
      負荷がかかって壊れる設計にしてあるそうで。ははぁ…これかぁ!って思った。
      欧米って、物は壊れる設定で、じゃ交換しやすい所に負荷をかける。
      物を単純化して出来の悪い人間に近づけるというか、人間の出来の悪いの前提! 
      日本だと操縦でも整備でも「匠の技」とかで、そのマシンの弱点を乗り越えようとする。人の方を機械に近づける。 
      まぁ🇺🇸に負ける理由だよなと。同じ金と資源なら日本が勝つが。リソースが多いなら米国式に勝てる訳がないわと。

      • 木霊 木霊 より:

        弱い部分を作る設計は、設備の設計でも基本的に叩き込まれる事項ですね。
        壊れやすいところを作っておくことで、負荷が発生した時に真っ先にそこがやられる。アクセスしやすい場所を弱くしておくことで、メンテナンスをしやすくするという。電気的に言えばブレーカーやヒューズと同じであります。
        ただ、コレが狙ったとおりに作動してくれれば良いんですが、なかなか。

        今の機械はアッセンブリー交換が基本になっていて、そういうコンセプトを感じにくくなっていますね。

    • 木霊 木霊 より:

      すっかりコメントを頂いていたのを見落としておりました。
      しかし、パットン戦車の運転経験をお持ちだとは!何とも貴重な話ですな。
      残念なことに、お話を聞いても実感が湧かない。
      何しろ、実物は外からだって見た経験がありませんから。
      ワクワクしますな。

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