素直に羨ましい件だね。
国産小型武装ヘリコプター(LAH)、今年1号機の戦力化
入力2024.01.19.午前8時51分 修正2024.01.19. 午前9時
防衛事業庁が現在陸軍で運用中の攻撃ヘリ500MDとAH-1Sを代替する小型武装ヘリ(LAH)量産1号機を今年戦力化する予定だと19日明らかにした。
NAVERより
ネタ的には数日前の話なのだけれど、丁寧に韓国軍兵器について拾っておかないと、このブログのコンセプトに外れてしまう。……ネタがなかったとも言うけれど。
「国産」攻撃ヘリコプター
500MDヘリコプターの更新
さて、韓国陸軍が500MDという老朽兵器をずっと使っている話は以前にも言及している。
何か、新しいヘリコプターの購入を模索している話もあったにはあったんだけど、こっちはどうやら訓練機の話だったみたいだね。
韓国、ベル505型ヘリを陸海軍訓練機として採用
2022.05.18
ベル・テキストロンは5月17日(シンガポール現地時間)、韓国が同国軍の新型訓練ヘリコプターとしてベル505型ヘリを選定したと発表した。
WINGより

こっちはこっちでベル505型の購入が決定され、LAH計画の方は粛々と進んでいたようだ。
2020年に初期生産に
なお、この機体、2020年には低レート初期生産に移行することが報じられていた。
韓国KAIの軽武装ヘリLAHが初期生産に
2020-12-16
韓国国防調達計画局(DAPA)と韓国航空宇宙産業(KAI)は、KAIが開発する韓国国産の新しい軽武装ヘリコプターLAH(Light Armed Helicopter)のプロトタイプがテストに合格し、「暫定戦闘用適合」判定を受け、開発段階から「低レート初期生産」(LRIP)に移行すると発表した。LAHシステム開発事業に着手してから適合判定までに5年6ヶ月擁した。
ミリレポより
韓国陸軍で使っているAH-1S攻撃ヘリコプターの老朽化も問題になっていたし、上述の500MD攻撃ヘリコプターの老朽化は更に大きな問題であった。
だから、フランスのエアバスヘリコプターから技術供与を受けて、ヘリコプターの国内生産に踏み切った韓国だったが、技術移転という意味では余り芳しくなかったらしい。
韓国航空宇宙産業、民・軍用ヘリコプター同時開発へ
2015.06.26 08:56
韓国航空宇宙産業(株)(以下、KAI)が世界で初めて民・軍用ヘリコプター同時開発に着手する。
KAIは25日、「産業通商資源部と小型民需ヘリコプター(以下、LCH=Light Civil Helicopter)核心技術開発事業協約を、防衛事業庁とは小型武装ヘリコプター(以下、LAH=Light Armed Helicopter)体系開発事業契約をそれぞれ締結した」と明らかにした。
LCH/LAH事業は韓国政府とKAIが世界で初めて民需ヘリコプターと軍用ヘリコプターの開発を同時に推進する事業。1兆6000億ウォン(約1780億円)の開発費用は防衛事業庁と産業部がそれぞれ6500億ウォン、3500億ウォン、KAIと国内協力企業が2000億ウォン、海外共同開発企業に選ばれたエアバスヘリコプター(AH)が4000億ウォンを負担する。
中央日報より
韓国防衛事業庁が「開発をします」と発表したのは2014年6月22日で、エアバスのEC155ベースで開発されることが決定したのが2015年3月16日。
紹介している中央日報の記事は、契約締結を報じるニュースである。元型となるEC155はそこそこ枯れた技術で作られている機体なので、開発はそれなりに順調に進んだようなのだが、EC155(現在はH155と改称されている)はフランス本国で製造中止になったため、現在これを生産するのは韓国のみのようだ。

で、これの民間バージョンのLCHの方は2022年に既に納入されていて、LAHの方が遅れて納入されたというのが冒頭のニュースである。
技術移転は成功したか
気になるのは、エアバスヘリコプターから技術移転が成功したか否かだが、スリオンの時は見事に失敗しちゃったんだよね。
韓国型機動ヘリ「スリオン」 核心装置技術を移転できず国産化失敗
2014.12.15 09:10
韓国型機動ヘリコプター「スリオン」の動力伝達装置の国産化失敗による直接的な国富損失は5000億ウォン(約540億円)にのぼる。独自の技術による国産ヘリコプターの開発、12兆ウォンの経済的効果という青写真も水の泡となる状況だ。監査院が強力な調査と違約金を検討するのもこのためだ。
中央日報より
エンジンやギアボックス、動力伝達装置に関する技術に関しては、LAHの生産においても成功したという話を聞かない。
韓国が開発中の攻撃ヘリ、40年前の旧型より性能劣ることが判明=韓国ネットは「傑作ヘリと比べて実力が劣るのは当然」と寛容
2017年10月12日(木) 6時20分
2017年10月9日、韓国軍が導入して40年が経過した攻撃ヘリコプター「コブラ(AH−1S)」の代替用として、韓国政府や韓国航空宇宙産業(KAI)が1兆6000億ウォン(約1600億円)をかけて共同で開発中の韓国型小型武装ヘリコプター「LAH」が、性能面でコブラに劣ることが判明した。韓国・国民日報が伝えた。
レコードチャイナより
傑作機と言われる攻撃ヘリコプターAH-1S「コブラ」の代替を目指して開発されたが、性能としては劣る面もそこそこあるようだ。
ただ、韓国としては国産化できる小型攻撃ヘリコプターが手に入れば良かったので、ライセンス生産契約を結べ、自国で製造できることは良かったのではないか。部品組み立てする形で生産するにしても、そこそこのメリットはある。
動力装置全般が作れるようになればもっと良いんだろうけれど……。
戦力化は2026年から
で、冒頭のニュースは、小型戦闘ヘリコプターLAHの戦力化を今年中にするという……。
空対地誘導弾天剣はLAHと同年の開発を始め、2022年に開発を完了し、今年量産に着手して2026年から電力化される予定だ。
NAVERより
えーと、対置誘導弾は2026年になるようだね。
オム・ドンファン防衛事業庁長は「LAHはスリオンに続き、国内技術で開発された2番目の国産ヘリコプターとして今後陸軍の戦力強化に大きく貢献するだろう」とし「LAHがグローバル競争力を認められ、輸出孝子商品に成長するように積極支援する」と話した。
NAVERより
そして、海外にも売っていくと。
そういえば、日本の自衛隊は小型ヘリコプターOH-1の開発を諦めたんだっけ。そこそこ飛行性能はよかったっぽいんだけど、エンジンの不具合が発覚して一時的に全機飛行停止措置がとられたことがあったし、開発は終了してしまった。何か、攻撃ヘリコプターに改造する話もあったんだけど、既に調達も終了してしまっているし、開発も行われていない。
自衛隊は全面的に偵察や攻撃用のヘリコプターを無人化する構想を持っているようで、新たな開発は行わないのだとか。ソレを考えると羨ましいな、と。
いやまあ、日本の国土のことを考えると無人化の方がメリットは多いんだろうけれども、タンクと戦うことを考えると持っておきたい……。あ、ウクライナ戦争を考えると、攻撃ヘリコプターってもはや「使うシーンのない兵器」ってことかも知れない。無人機をどうやって有効活用するか?という戦いになっているからね。
韓国軍は、まあ、なんか必要なんでしょ(雑)。ニッチな分野ではそれなりの需要が期待できるかも知れない。だって、殆ど競争相手がいないから。

そういや、似たのをインド軍が採用していた気もする。あの辺りが競争相手になるのだろうか?
コメント
中国はライセンス生産のZ-9から攻撃ヘリZ-19を開発しているので,韓国でも同じ様な事を考えていたのかな?
そういえば、支那の攻撃ヘリZ-19ってどの程度の性能なんですかね。
と、調べて見たら2012年に軍への配備が開始されて、絶賛運用中でした。Wikiにも性能は書かれていましたけど、どの程度使えるシロモノかは良く分からないですね。
韓国は、似た感じの機体を作りましたが、どの程度使えるのかは……。是非、その辺りも報道してほしいものです。
Z-19は前席にパイロット後席にガンナーという変態仕様、夜間戦闘に難が有りそう。
こんにちは。
ウクライナ戦争のおかげで、戦闘ヘリ無用論が一時期流行りましたね。
実際、携帯対空火器が発達した現在では、なかなか厳しいものはあると思います。
とはいえ、当時の富士重と防衛庁と大蔵省(その時代だったですよね?)のバカのおかげでアパッチの調達が進まなかった本邦としては、OH-1の更改も含めて羨ましい限りというのも確か。
今後陸自はドローンに全振り、みたいな事も聞きますが、OH-1の後継含め、高機動有人機は必要だと思うんですけどねぇ……
こんばんは。
戦闘ヘリ、あまり活躍できていませんからね。
使い道があるかないかで言えば、限定されたシーンでは使えるかも知れませんが。
高機動有人機はオスプレイみたいな方向に譲るのか、どうなることやら。
>高機動有人機はオスプレイみたいな方向に譲るのか
そこでV-280バローの武装化か、いっそSB-1ディファイアントを改めて攻撃機化するか……
将来型攻撃偵察機(Future Attack Reconnaissance Aircraft, FARA)計画
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%86%E6%9D%A5%E5%9E%8B%E6%94%BB%E6%92%83%E5%81%B5%E5%AF%9F%E6%A9%9F
なんてのもあって、ディファイアントの兄弟機、レイダーXがエントリーしているらしいですね。
コンパウンドヘリ、夢が広がります。