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【支那】失踪していた秦剛氏、解任されて後任に王毅氏

中華人民共和国ニュース
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ダイナミックチャイナ!図らずも最近、支那の記事が多くなっているけれど、お付き合い願いたい。

中国 秦剛外相を解任 事実上の更迭か 後任に王毅政治局委員

2023年7月26日 9時24分

中国の外相を務めた秦剛氏が、就任から半年余りで解任され、後任に前の外相で、外交を統括する王毅政治局委員が任命されました。秦氏の解任の理由は明らかにされていませんが、事実上の更迭とみられます。

NHKニュースより

支那の政治ショーという様相を呈している支那だが、これ、構造を知らないと意味が分かりにくいかも。

外相のクビが飛ばされる

外相は政治局委員よりも下

えーと、まずはこちら。

支那の構造なんだけれども、共産党がトップにあって、その下に国家がある。あ、この図は中川コージ氏が解説に使っていたものを真似たものですな。人民解放軍は中華人民共和国とは別組織というところもポイントなんだけれども、本日はここは関係がない。

こちらは支那の公式の中央組織図である。ピラミッド構造になっているので、総書記をトップとして、その下にいるチャイナセブンと呼ばれる政治局常務委員。その下に、中央政治局と中央書記処というのがぶら下がる事になる。

この図の中央委員会というのが、いわゆる中華人民共和国の政府にあたるのである。そして、王毅氏は24名(図では25名)で構成される中央政治局のメンバーの一人であり、外交のトップ。中央委員会はその下。この図の方が分かり易いかな。

中共中央と書かれた範囲の一番下にいるのが中央委員会なのである。ここに、外相が入る。これの意味するところは、支那との政治的交渉をするにあたって外務大臣程度に話をしたところで殆ど意味がないって事だ。

現状では、政治局委員の王毅氏が外務大臣を兼任して窓口になったので、ちょっと意味は違ってくるが。

外相が失踪

で、これがちょっと前の記事なんだが。

中国の秦外相、6月末から動静不明 インターネットでうわさ飛び交う

2023年7月20日

中国の秦剛外相(57)が長い間、公の場に姿を見せておらず、インターネット上でさまざまな憶測が飛び交っている。こうした状況で、中国の秘密主義に再び注目が集まっている。

秦氏は6月25日を最後に、3週間以上、公の場に姿を現していない。

昨年12月に外相に任命された秦氏は、習近平国家主席の信頼の厚い側近と見なされてきた。

BBCより

凄い話で、3週間以上行方不明になっていて、外交部の報道官、毛寧氏も「秦氏の居場所について提供できる情報はない」と冷たい。

記者会見する中国外務省の毛寧副報道局長=5日、北京(共同)

似た時期に外交部に入った、いわば同期なのに「知らない」とは。

当然、外国からしたらザワザワする訳なんだけれども、結局どうなったのかはハッキリしない。

中央銀行総裁と一緒に交代

更に余りニュースにはなっていないのだが、中央銀行総裁も交代になったらしい。

秦剛外相解任、習近平主席の信任を裏切った男の末路

2023.7.26(水)

まさにズタズタの3期目習近平政権を象徴するような発表が、7月25日夜にあった。北京時間の同日19時1分、中国国営新華社通信が、「淡々と」二つの重要人事に関する記事を発信したのだ。

<中華人民共和国主席令第八号 

 中華人民共和国第14期全国人民代表大会常務委員会第4回会議が2023年7月25日に開かれ、決定した。

一. 秦剛が兼任している外交部長(外相)の職務を解く。王毅を外交部長に任命する。

二. 易網の中国人民銀行行長(中央銀行総裁)の職務を解く。潘功勝を中国人民銀行行長に任命する。

中華人民共和国主席習近平 2023年7月25日>

JB pressより

これ、支那に詳しい近藤大介氏の記事なんだけれども、彼は「まさにズタズタ」と表現している。

外相はどうなったか知らないけれど、中央銀行総裁の方は支那経済が傾いたことの責任をとらされた格好だろうね。いや、どう考えても習近平氏の失策なんだが。可哀想に。

外務大臣の方はどうかというと、これは近藤氏のルートの情報からなんだが、どうやらスパイ疑惑でクビになった模様。

――中国外交部の報道官は、秦剛外相について「病欠」と説明していたが、それは事実か?

「事実ではない。秦剛の健康状態は良好だ」

――それではなぜ突然、解任されたのか?

「秦剛は、香港フェニックステレビ(鳳凰衛視)の女性キャスター(40歳)を愛人にしていた。彼女は昨年秋、秦剛を父親とすると思われる男児を、アメリカで出産した。かつ彼女は、アメリカ側に通じているとの疑惑があった」

――つまり、中国外交の最高機密が、「敵国」アメリカに筒抜けになっているリスクがあったということか?

「その通りだ」

JBpressより

この愛人というのがこちらの方。

img

なかなかに美人ですな。

なにやら、秦剛氏は重婚で罰せられる可能性があるという噂も出ているのだけれど、スパイ疑惑の方が濃厚のような気がする。本人がスパイだったかどうかはともかく、だ。

そして、それは何を意味するかというと、習近平体制が相当揺らいできていることを意味する。

JBpressの近藤氏の記事によれば、3期になってから随分と人を解任したらしい。つまり、政治情勢がかなり調子が悪いと言うことで、それは経済の調子が悪いからって事なんだろう。

後任は王毅氏

で、異例の後任に王毅氏が、というのも人材が枯渇しているからなのか。

中国の全人代=全国人民代表大会の常務委員会は25日、秦剛外相の解任を決めるとともに、後任に前の外相で外交を統括する王毅政治局委員を任命したと発表しました。

秦氏は、去年12月に外相に任命されたばかりで、就任から半年余りで解任され、後任に前の外相が再び就くのは極めて異例です。

NHKニュースより

上で説明した通り、実質上の外交のトップは王毅氏であり、使いっ走りである外務大臣の役職は誰がやってもさほど大した差はない。

中国の秦剛外相の退任が決まったことについて、中国情勢に詳しい神田外語大学の興梠一郎教授は、「中国外交に与える影響は限定的だ」とした上で、「閣僚である外相が突然消えて、いろいろなうわさが飛び交い、長期間何の説明もされないまま最後には解任されたわけで、中国政治の不確実性に対する不安が募る結果となった」と指摘しました。

NHKニュースより

NHKの呼んだコメンテーターの方も、「中国外交に与える影響は限定的だ」と。そりゃまあ、王毅氏は外務大臣経験者で、少し前まで担当していた役職なのだから混乱なく収めることは可能だろう。しかし、どちらかというと1月程時間があったのに他の候補が出てきていないことの方が驚きである。

それ程までに、習近平氏が目をかけていた秦剛氏の裏切りが大きかったという意味かも知れないが。

追記

コメントを頂いたし、追記しておく。

秦剛外相解任、沈黙守る中国 省サイトから削除、「いなかった人」?

2023年7月26日 21時56分

中国の秦剛国務委員兼外相が外相職を解任されたことをめぐり、中国政府は26日も沈黙を守った。外務省の公式サイトは、1カ月前まで「中国外交の顔」だった秦氏の情報や写真を一斉に削除。健康上の理由や通常の退任とは全く異なる対応に終始している。

朝日新聞より

あー、いなかったことになっちゃったか。

【解説】 中国外交の新星が突然の解任 秦剛氏に何があったのか

2023年7月26日

中国政府で最も顔を知られた政治家の一人で、習近平国家主席自らが外相に登用した期待の新星が、解任された。

中国では、秦剛外相の解任は大ニュースだ。しかしいつも通り簡素に、ほとんど詳細なしで報じられた。

~~略~~

秦氏はまさに共産党が必要としていた、現代的で洗練された官吏のようだった。できることなら瓶詰めにして、繰り返し何回もつくり出したいと思わせるような人物だろう。

しかしいま、秦氏の命運は分からない。外務省のウェブサイトからはすでに、秦氏に関する情報が削除されている。

BBCより

やっぱり、党に刃向かった感じのことをやっちゃったという風に考えた方が正しそうである。

コメント

  1. アバター 河太郎 より:

    こんばんわ。実は木霊様の記事を詠むまで外相が行方不明とか知らんかったです。最近、チャイナウオッチすると疲れる話ばかりなんで暫くスルーしてたら、
    え??って感じ。
    人民解放軍が国軍でないのも、あの国の主権てのが党のものであるのも理解しているつもりですが……外相が3週間も行方不明って、それ凄すぎですよね。知人の帰化した元中国の人も呆れてた(笑)
    ネパールくらいの小国なら、王族が山で遭難して行方不明ですとか、アフリカの小国なら、整備不良の政府専用セスナ機が落ちて外相は生死不明です……とかありそうなんですけれど。12億だか14億だか人がいる大国で、閣僚が行方不明ですって、絶句しちゃいますね。戦争中でもないのに。やっぱり、こういう記事を見てしまうと、あの国は幾ら上層部にコネつけて商売やっても、そのコネがいつ粛清されて無くなる……どころかこっちまで豚箱に保入り込まれかねん。
    つくづくチャイナリスクって本当なんだなぁと感じた次第です。仕方ない方いがいは行かない方が良い国なのでせうね。

    • 木霊 木霊 より:

      まあなんというか、表舞台に出てきていなかっただけなんでしょうけれど、「外国に対する顔」という位置づけの外務大臣が、出てこない時点で異常ですよね。
      そして、表に出てきて何かを訴える機会もない国ですから、どうなっているのやら。

  2. アバター 河太郎 より:

    そうそう、記事を読んで興奮して、帰化した知人にメールしたら、
    「日本みたく安心して暮らしたり、商売できる国なら、私が帰化する訳がないだろ!」とすぐさま返信きました。
    曰く「中国語では、数日〜数週間の滞在でも住と表現する。日本人は住むと書いたら少なくとも1〜2年は住むよな?
    それくらい中国人はどこで生活するかに拘らない民族なんだが、いま海外へ永住権を求める中国人が後を絶たないだろ? いつ財産没収されたり、収容所にブチ込まれたり、人生にメドが見えんのよ、あの国は。上手くいっても雲のよえに流れ去る。そういう国なのさ」ですって。

    • 木霊 木霊 より:

      なるほどー。
      何というか、国に対する意識の違いが凄いですね。
      うーん、参考になりました。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    テレビのニュースで、「歴代のリストからも削除された」のを見ました。

    なんというか、共産圏だなぁ、って思いました。

    そのうち、写真からも……

    • 木霊 木霊 より:

      いなかった扱いは衝撃的ですね。
      期待されていただけに、裏切った代償が大きかった、という感じがして。
      まあ、詳しいことは分からないんですけどね。

  4. アバター 砂漠の男 より:

    秦剛は、紅皇帝の”大の”お気に入りで、鶴の一声で外交部長に抜擢され、政治局員にもスキップ昇格した異例中の異例だったそうだが、いまもって彼がなぜ失脚したのか判然としないね。
    洗練された現代人だったらしいから、紅皇帝批判でもやらかしたか?
    王毅も共産党専従となって、楽ができる矢先だったから、再任でご苦労なことだ。

    • 木霊 木霊 より:

      おそらくは情報出てこないんじゃ無いですかね。
      待遇から考えて、秦剛氏は余程なことをやらかした可能性があります。
      習近平氏のメンツを汚すような事でしょう。だとしたら、表舞台から姿を消すだけでなく、果たして存命かどうか。

      王毅氏は秦剛氏と立場が違うので、「してやったり」という気分かも知れませんね。何処まで正しいかは知りませんが、王毅氏は反米派で秦剛氏は親米派らしいですから(今の支那の立ち回りを見ていると、その話にはちょっと齟齬がある気がするんですけどね)。

      • アバター 砂漠の男 (外は砂漠並みに熱い) より:

        秦剛の話から外れるけど、ロシア、支那、北朝鮮と密接なイランによる核兵器開発が大詰め段階にあるという未確定情報が流れている。

        今年上半期には、IAEA等々からイランのウラニウム濃縮に関するデータや注意喚起が出ていた。しかし、隠れた真の問題はイスラエルによるイラン空爆だろう。イスラエルは準備しているようだよ。
        https://thehill.com/opinion/national-security/4018271-is-iran-unlocking-the-gates-to-armageddon/

        最近、複数の米閣僚級が相次いで支那を訪問したけど、米国は支那にイランの核兵器開発を止めさせるための協力を要請したのではないかね? もしかすると、秦剛の一件はコレに絡んでいるかもね。

        • 木霊 木霊 より:

          イランの話、日本のメディアは触れていない感じですね。
          なるほど、中東情勢は最近ノーマークでしたが、当然動いているわけで。イランの核開発の噂は時折耳にしますが、大詰めのところまで動いているんですね。
          しかし、アメリカと支那との連携が対イラン情勢ですか。面倒くさい構図になりそうですねぇ。

          • アバター 砂漠の男(暑くてヤル気が起きない) より:

            よく聞くところでは、米軍は全力で二正面作戦を取れないらしいね。
            米国はウクライナにカネも兵器も弾薬も突っ込んでしまっているし、
            国内では長期インフレに苦しんでいるだけに、いまイスラエルに
            対イラン戦争を起こされたら、そちらにも米軍を派遣せざるを得ず、
            そうこうしているうちに、支那に台湾へ侵攻されてしまったら、
            ほぼ何も出来ず台湾を獲られて万事休す―というシナリオも有るかも。
            バイデン、実はイランや支那に追い込まれてるんじゃない?

          • 木霊 木霊 より:

            イラン周りの話を調べて見たらこれが結構面白かったです。
            4月頃までは秦剛氏が積極的に動いていて、サウジとイランの外交再開に貢献したみたいな記事がありましたね。
            https://www.asahi.com/articles/ASR4654Z9R46UHBI01Q.html

            王毅氏もその延長線上で会談をしているようです。
            https://jp.news.cn/20230725/667e125430924e91a8a33b616cf9d261/c.html

            が、イランは外交戦略を中南米にまで広げましたが、余り思わしくない現状のようです。ロシアとも上手いこと行っていない感じなんですよね。
            文章に纏めるだけの資料が、今の段階では集まっていませんが、バイデンジュニアの件も含めて考えると、面白い動きになっている可能性はありますね。

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