支那関連が多いので、軽い記事を1つ。
中国、複合機の技術移転要求を撤回 外資企業に配慮か
2023年7月26日 18:00 (2023年7月26日 18:35更新)
中国政府は外資企業に求めていた複合機などオフィス機器の技術移転方針について、一部を撤回する方向で検討に入った。業界ごとに製品の技術などを定める「国家標準」で、中国での中核部品の設計や開発を求める文言が草案から削除された。日米などの外国企業は中国からの撤退につながるとして反対していた。
日本経済新聞より
この、オフィス機器の技術移転方針が未だに撤回されていなかったことに驚きを隠せない。この状態で支那に出資したいという複合機メーカーはいないだろう。え?いるの?リコー?キヤノン?エプソンも?大手じゃないか。
キャピタルフライト(資本投資)は防げるのか
よく分からない反スパイ法の説明会
先日、記事にしようとして調べたのだけれど、さっぱり内容が分からなかったのが反スパイ法の説明会の話だ。
中国商務省 改正の「反スパイ法」など各国企業対象に説明会
2023年7月22日 8時31分
中国で今月改正された「反スパイ法」などをめぐり、中国に進出する外資系企業の間で警戒感が強まるなか、日本などの企業団体を対象にした説明会が、北京で開かれました。
NHKニュースより
NHKも「説明会があった」という話だけは報じられていたのだけれど、その中身に触れた報道が見当たらない。
改正された「反スパイ法」では、スパイ行為の定義が拡大され外資系企業の間で取締り強化への警戒感が強まっています。
また半導体の材料などに使われる2つの希少金属の関連品目が、来月から輸出管理の対象となることに対しても、懸念が深まっています。
このため、中国政府としては説明会を開くことで懸念を払拭し、今後も海外から投資や技術を呼び込みたいねらいがあるとみられます。
NHKニュースより
「企業は心配している」「懸念を払拭するために」うん、それで?「日本企業が不安に感じているのは理解するが、そこには誤解がある」
……うん、だから?
結局、どのメディアを見ても具体的に一体何が説明されたのかが、さっぱり分からなかった。なので、一旦は記事にすることを諦めたんだけれど、情報が出てこないところを見ると、大した内容はなかったのではないか。
支那への投資を期待
当然ながら、支那は外資が支那国内に投資してくれることに強い期待を抱いている。
記者会見で佐藤氏は反スパイ法を課題として挙げた王氏の対応について「中国政府の日本の投資に対する強い期待を感じた」と評価した。
会談で王氏は、中国の環太平洋連携協定(TPP)加盟を巡り「ハイレベルな国際ルールを順守するようにしつつ、加盟を推進したい」と改めて意欲を示したという。
18日の会合には日本側から80社の計130人が出席。中国側は商務省や国家発展改革委員会などの当局者ら40人が参加した。
日本経済新聞より
逆に言えば、それだけ国内経済を回復される事に危機感を抱いているという意味かも知れないのだが。
中国経済は景気回復の鈍化傾向が鮮明になり、外資の投資を必要としている。中国当局はそのため、反スパイ法に対する外資企業の懸念払拭に躍起になっているとみられる。説明会には日本から中国日本商会が参加した。
産経新聞より
産経新聞は、そのことについて具体的に言及してはいるが、現時点では「可能性がある」程度の認識で良いだろう。
冒頭の記事に関係する話で、Money1さんのところで参考になる記事があって、その記事の中で韓国と支那との技術レベルの比較をしている。
計算したのは「RCA」(Revealed Comparative Advantageの略:顕示比較優位」という指数です。RCAは「国際貿易のデータを基に、国の産業の比較優位の程度を測るため」に使われます。
Money1さまより
で、注目したのは事務用機器及び児童データ処理装置の分野。
2020年現在 電気機械装置・機器:中国(1.51)> 韓国(1.49)
Money1さまより
特殊産業用機械:韓国(1.89)> 中国(0.35)
プラスチック:韓国(2.09) > 中国(0.90)
通信・記録装置:中国(1.65)> 韓国(1.20)
事務用機器および自動データ処理装置:中国(2.08)> 韓国(0.99)
結局、支那の方が大幅に技術力が高くなってしまった分野なのだが、ここからも支那が複合機の分野でも力を注いでいることが示唆されると思う。
支那製造2025からの撤退
この話はそもそも支那の10カ年計画に話が盛り込まれていたところからスタートしているんだな。
中国の複合機「国産化」規格、高速鉄道で技術流出の前例…懸念深める日系企業
2022/07/19 05:00
中国政府が検討している製造工程の全面国産化を促す新しい規格は、主な対象となる複合機各社を含めた日系企業に難しい対応を迫っている。「技術移転」を拒めば政府や各省、企業からの入札から排除され、巨大市場での事業縮小につながりかねない。
~~略~~
複合機に関する新規格は、組み立てに加えて設計・開発といった製造工程の「源流」部分まで、中国国内で行うように求めている。企業側から見れば長年蓄積した高度なノウハウや技術に当たり、海外に流出すれば経済安全保障上の懸念も出る。今後、具体的な制定プロセスに入るとみられ、日本商会は、外国企業の意見を踏まえるようにくぎを刺すほか、新規格が強制的に適用されないようにも求める。
~~略~~
中国は15年に産業育成策「中国製造2025」を打ち出した。外国企業に技術移転を促すとともにハイテク製品を中心に一段の国産化を進める内容で、複合機に関する新規格もその一環とみられる。「複合機を突破口に自動車や半導体、電池など幅広い分野に広がりかねない」(在中国企業関係者)との懸念もある。
讀賣新聞より
これは去年の記事だが、支那製造2025が出されたのは2015年のこと。今更騒ぐのもどうかと思うのだが、「マジカヨ、コイツ」という内容だったから仕方のない面はある。
で、この支那製造2025も、習近平氏の威信を賭けて練り上げられたものであるので、そう簡単には撤退できない話のはずなんだけど、今回は何故か支那が折れて「て、撤退はしないよね?」とこう来ているわけだ。
尤も、大方針はともかくとして細かい方針はその時々で変化があったので、習近平氏が「俺の顔に泥を塗る気か!」と切れる事はないだろうと思うけれど。
冒頭のニュースは、実に支那らしくない対応だね。「そんなの関係ない」「俺は独自路線で行くんだ」というジャイアニズムが支那っぽいと思うんだけどね。
コメント
木霊さま、いつもおもしろく拝見しています。
支那は、ここまで技術を模倣すると言うよりは強奪して旨くやって来ました。
キンペイさんの893外交も、やり過ぎてようよう先が見えてきたのはうれしい限りです。
新幹線の場合は、欧州のメーカが支那の技術移転の要求に屈しました。抵抗していた日本もバスに乗り遅れまいと技術移転をして未だに苦い思いをしてます。
約半世紀以前ですが、溶鉱炉用の酸素発生プラントを支那に輸出しました。
その時の条件が、全ての設計図の提出(構造図・材料・制御図面等)と現地での設備試運転・運転指導でした。
数年後に、「設備の調子が悪いから、対策に来い。」との要請。
何が、悪いのか準備が必要なので詳細を問い合わせた処、何とビックリ「提出した設計図に従って製作した(模倣)設備が思うように動かない。」とのこと、ビックリ仰天(笑)してました。
当時は、日中友好とのことで、経営陣(多分政府からの要請?もあったかと)の判断で、当事者としては不満やるかたなかったのですが、(模倣)設備の診断を現地で結構な時間を掛けて行いました。トップクラスの技術者を取られて大変だったのを思い出します。
その他にも支那に輸出した設備には、本当に色々ありましたので、半世紀も大きな需要をバックに技術の模倣と強奪で過ごしてこられたことにも驚きがあります。
新幹線の話は、本当に残念な話ですね。
性善説で考える癖があるのは日本人の悪いところで、商売の相手はしっかり見極める必要がありますよね。
しかし、溶鉱炉用の酸素発生プラントですか。
設計図を出したらコピー品が作られて、その性能が出ないから来いという発想が凄いですね。似たような体験がありまして、このブログにはどこかで書いたかも知れませんが、韓国向けの設備を出したら部品が壊れたから直せと言われ、わざわざ調査に行ったら、どう考えても納入した部品じゃない。部品の形は似ているけれど、細かい部分の造形がおかしい。聞けば、コピー商品を子会社に作らせて付け替えたらしい。その付け替えた部品が悪さをしていたという話なんだけど、コピーするならしっかりしろと。そして、自分のケツは自分で拭けと。まあ、時効でしょうから書いておきますが、その部品は流量を調整する弁の働きをする部品で、その容積が制御に関わる重要なファクターだったんですが、ソレを知らずに適当に似た部品を作った為に、おかしな挙動になってしまったという顛末でした。単にコピーするにしても、技術の積み上げがないと色々と理解出来ないことも多いんですよね。