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習近平氏、ブリンケン国務長官を「格下」扱い

北米ニュース
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ブリンケン氏は一体何を考えているのか。

習近平氏、ブリンケン国務長官を「格下」扱い 席位置で中国とアメリカの関係性示す?

2023年6月20日 19時55分

9日に行われた習近平しゅうきんぺい国家主席とブリンケン米国務長官の会談で、習氏がブリンケン氏を「格下」扱いする演出が話題になった。米国との立場を内外に示す狙いがあったとみられる。

東京新聞より

支那にしてみれば「してやったり」という状況なんだろうけれど。

アメリカの事情と訪問の狙い

仕切り直し

今回の米国務長官の支那訪問は、ちょっと前(2月頃)に予定されていたのだけれど、気球飛行騒ぎで中止になった。今回は仕切り直しということだったのだと思う。

参考までにリンクを貼っておこう。

で、その問題を抱えての、支那訪問だったのだが。

【詳細】米ブリンケン国務長官会見 中国 習主席と会談

2023年6月19日 21時59分

中国を訪れているアメリカのブリンケン国務長官は19日、北京で外交を統括する王毅政治局委員と会談したのに続き、習近平国家主席と会談を行いました。

日本時間午後8時前から行われた、ブリンケン国務長官の記者会見の内容を詳しくお伝えします。

NHKニュースより

で、このタイミングで支那を訪れたブリンケン氏だが、支那に上手いこと使われちゃったという印象だね。

ブリンケン氏の狙いは恐らくここの部分。

ブリンケン国務長官は「今回の訪問で、私は繰り返し提起してきた。絶対に欠かすことのできないもので、軍と軍が意思疎通をすることが重要だ。その必要性は、最近の空と海で起きた事案で、より明確になったと思う。しかし現時点で中国は、この議論を前に進めることには同意していない」と述べました。

そのうえで、「これは、私たちがこれからも取り組んでいく必要がある。直ちに進展があったわけではないが、私たちにとって継続的な優先事項だ」と述べました。

NHKニュースより

戦略なきアメリカ外交の結果がコレというのは、どうなのかなぁ。アメリカは大丈夫か?

アメリカは支那とのしっかりしたチャンネルを確保したい

狙いは不必要な衝突の回避

アメリカにとって、ロシア軍のウクライナ侵攻が続いているのは困った状況であり、更に台湾有事まで起こると対応出来ないなんてことになる。

米国の弾薬余剰、近く枯渇か ウクライナ支援長期化で

2022-10-12 13:19World eye

米国は、ロシア軍の侵攻と戦うウクライナにとって不可欠な弾薬を供与しているが、生産ペースが消費に追いついていないことから、近く一部の弾薬を提供できなくなる見通しだ。

時事通信より

米が韓国から砲弾10万発購入へ…ウクライナ支援の減少分、在庫穴埋め

2022/12/13 08:52

米政府は、ロシアの侵略を受けるウクライナへの軍事支援継続に向け、韓国から大量の弾薬を購入する方向で調整に入った。ウクライナへの弾薬提供を続けてきた米軍の在庫が減少したため、穴埋めする。米韓両政府の関係者が明らかにした。

讀賣新聞より

実際に、弾薬余剰が心許なくなって、韓国から弾薬を購入することで在庫の穴埋めをしている始末である。そして、それでも足りなくなってどうなったかというとこちら。

米軍が日本から火薬の調達検討、ウクライナ向け砲弾用=関係者

2023年6月2日11:14 午前

ウクライナへの軍事支援を続ける米国が、砲弾の増産に必要な火薬を日本企業から調達しようとしていることが分かった。西側諸国がウクライナに戦車などを送る中、殺傷能力のある武器の輸出を禁止する日本は防弾チョッキなどの供与にとどめてきた。政府が輸出を認めれば、間接的ながら弾薬の支援に関わることになる。

ロイターより

韓国は未だ戦時中(停戦中)なので、砲弾の製造能力は高い状態を維持している。50万発程度は韓国から融通できているのだが、今後のことを考えるともう少し確保しておきたい。

つまり、アメリカはウクライナでがんがん弾薬が消費されてしまう状況に対して、ウクライナに対して文句を言うわけにもいかず、支那に口利きしてもらってロシア軍に止めてくれという働きかけを期待しているのだ。

台湾独立を支持しない

で、その為にアメリカはこんなリップサービスをした。

米「台湾独立支持せず」 国務省文書また更新

2022/6/4 09:49

米国務省は3日までに、ホームページで公開している米台関係に関する情報をまとめた文書「ファクトシート」を再び更新し、先月削除した「台湾の独立を支持しない」との文言を復活させた。中国外務省が削除に反発していた。

文書の再更新は5月28日付。ブリンケン国務長官は同26日の中国政策に関する演説で、台湾政策に変更はなく「一つの中国」政策を維持するとし「台湾の独立を支持しない」と述べており、国務省報道担当者は長官の発言を文書にも反映させたと説明した。中国の反発が更新に影響したかどうかについては明らかにしなかった。

産経新聞より

「台湾の独立を支持しない」(キリッ

まあ、これ、前からなんだけどね。「ワン・チャイナ・ポリシー政策を理解する」のと、「台湾独立を支持しない」というのは、一貫したアメリカの姿勢。あくまでワンチャイナポリシー政策を理解しているのであって、その原則を容認しているわけではない。分かりにくい建前だな。

「台湾独立支持するな」=米に警告―中国

2023-03-29 12:43

中国メディアによると、国務院台湾事務弁公室の報道官は29日の記者会見で、台湾の蔡英文総統が中米歴訪に当たって米国を経由することについて「米国に頼って独立を図る挑発的な行為だ」と主張した。米国に対して「台湾独立を支持するな」と警告し、対抗措置を示唆した。

時事通信より

それとは別に台湾との関係を高めていて、これについても支那は文句を付けてきている。

台湾としても「独立したい」と考えているわけではないようだが、黙ったままだと支那に飲み込まれる可能性が高い。台湾としてはこの舵取りはなかなか大変なようで。

一方のアメリカは、台湾を自陣営に引きずり込みつつ、支那との距離感を図りたい。そんな思惑があっての支那訪問だったと言うことで、ここに付け込まれてしまった訳だね。

会談によって得られたのは

さて、アメリカが支那に対して下手に出てまで得たかった物は、一体何だったのか?

ブリンケン米国務長官、中国首脳との会談で「進展」強調

2023.06.20 Tue posted at 13:33 JST

北京(CNN) 米国のブリンケン国務長官は19日、米国と中国が関係を再び軌道に乗せる方向で「進展」を見せたとの認識を表明した。2大超大国として、両国関係の「安定化」が必要との認識で合意したという。

CNNより

報道からは余り伝わってこないが、どうやら今回のブリンケン氏のミッションは、交渉チャンネルの確保という程度の話だったようだ。

アメリカの製造業は、未だ支那に対して強い依存関係にある。対支那包囲網を形成しつつ、今の体制から移行することを、或いは「最後の一絞り」を狙っているのか。

案外、時間稼ぎ狙いなのかもしれない。

一方の支那は一体何を得たのか?といえば、おそらくはアメリカを格下扱いしたというメンツだろう。おそらくは提灯記事を書かせて国内に触れ回り溜飲を下げるというような流れになると思う。現時点では、それ以外に特に支那が得たものはなさそうである。

コレに関しては、続報が出たらまた追記したいと思う。

追記

えーと、日本経済新聞にヒントになるような記事があったな。

中国軍、執拗な「米国外し」 危機管理さえ埋めがたい溝

2023年6月21日 10:00

ブリンケン米国務長官は6月18〜19日、就任後初めて中国を訪れた。習近平中国国家主席との顔合わせも実現し、最高首脳と直接、意見を交わせたのは一定の成果だ。

ただ、これが米中の転機になるとは考えづらい。緊張を和らげるのに欠かせないハイレベルの軍事対話を、中国がかたくなに拒んでいるからだ。

日本経済新聞より

支那はよほどアメリカの対応、チップ4(チップ3)やAUKUSなどを作った事に腹を据えかねているらしい。

で、アメリカとの対話を避けている現状があって、そこのチャンネル確保が必須だとアメリカは考えているようだ。

中国、キューバに新たな軍事訓練施設を計画=WSJ

2023年6月20日1:59 午後

中国とキューバが共同でキューバに新たな軍事訓練施設を設置する交渉を進めていると、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が現職と元職の米当局者の話として20日に伝えた。

中国軍の駐留などにつながる可能性があるとしている。

ロイターより

アメリカが懸念している新キューバ危機に繋がるような支那の動きもあって、外交交渉なしに緊張が高まることを防ぎたいという狙いはあるのだろう。

「地球規模の米中権益二分」示唆、習近平氏が米国に曲球

2023年6月21日 0:00

「広大な地球には、中国と米国の各自おのおのの発展、そして共同繁栄を受け入れるだけの完全な包容力がある」。中国国家主席の習近平が、訪中した米国務長官のブリンケンに語ったカギとなる言葉である。

日本経済新聞より

習近平氏のぶれない主張に、アメリカが苦慮しているという構図になっていると見ることも出来る。

追記2

そうそう、支那が得た物は、という視点で関係のありそうな記事を1つ。

習近平氏とビル・ゲイツ氏、北京で会談

2023/6/16 17:14

中国の習近平国家主席は16日、米マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏と北京で会談し、米中の「友好が続くことを望んでいる」と述べた。中国国営メディアが伝えた。ブリンケン米国務長官が18~19日の日程で訪中するのを前に友好関係を維持してきたゲイツ氏と会談し、米中関係への見解を表明した形だ。

~~略~~

中国で1月に「ゼロコロナ」政策が終了してから世界の企業家が相次いで訪中しているが、李強首相らが対応するのがほとんどで、習氏が面会するのは珍しい。

産経新聞より

中国訪問したイーロン・マスク、政府高官らと相次ぎ会談 16皿のコース料理など厚遇受ける

2023年6月1日(木)11時34分

中国訪問中の米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は31日、王文濤商務相と会談した。関係筋によると、同夜にはテスラの上海工場に足を運び、スタッフと会合する予定。

マスク氏は30日、プライベートジェットで北京に到着。秦剛外相や工業情報化相ら政府高官と相次いで会談した。さらに関係筋やソーシャルメディア上で共有された写真によると、テスラの主要サプライヤーである中国バッテリー大手・寧徳時代新能源科技(CATL)の曽毓群董事長と夕食を共にし、高級レストランで16皿のコース料理が振る舞われるなど、マスク氏への「厚遇」が顕著とだった。

Newsweekより

ブリンケン氏が支那を訪れる前に、アメリカの企業トップが相次いで支那を訪問していて、好待遇を受けたというニュースだ。支那経済の弱さを考えると、習近平氏が「藁にでも縋りたい」という心境が伺える。

おそらくは、何とか経済回復の梃子を得たいという支那共産党の思惑が関係した話なのだが、「政治と経済は別にしたい」というかつて日本が支那とやっていたスタイルを彷彿とさせるような臭いはするね。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >習近平氏とビル・ゲイツ氏、北京で会談
    「駿馬も老いれば駄馬にも劣る」とは言いますが。
    桜玉吉氏の「ゲイツちゃん」みたいなことにならない事を祈ります、つか、酷いですよねアレ。好きだけど。

    >砲弾の枯渇
    台湾有事は、ウクライナと違って陸戦主体ではなく空海主体になると思われるので(最後は陸戦での拠点の取り合いになりますが)、野砲の砲弾の心配よりミサイルの心配かと。
    ※その為のミサイルは、ウクライナでは運用出来ないので提供していないはず。
    その意味で、大火力の集中運用がしたくても出来ないウクライナと、(空母を接近させることさえ出来れば)大火力集中運用が誰よりも上手い&一番経験があるアメリカの違いが出る、というか、それを出さないと負ける、とも思ってます。

    • 木霊 木霊 より:

      ゲイツちゃん、知らなかったので調べてみましたが、シュールですね。

      台湾侵攻については、ミサイル主体というケースになるかどうか。
      武力侵攻ならば上陸戦が必須ですから、ミサイルの撃ち合いよりも砲弾を使うと予想しています。
      一旦、上陸阻止ができれば両岸からミサイルを撃ち合う展開も想定されますが、アメリカ側はその展開だと様子見をするのでは?という気はします。正直、台湾侵攻事態が発生したときに、本当にアメリカは動くんですかね?

      • アバター 七面鳥 より:

        有事には、
        ・金門島は、秒で落ちる。ここには野砲の雨が降る、金門砲戦の例もあるし。無理して守る意味は……あまり無いように見える。
        ・台湾本島へは、揚陸作戦が必須で、その露払いとして地対地ミサイルを皮切りにミサイルの撃ち合い、艦艇の小競り合いが起きる。あるいは、地対地ミサイルの飽和攻撃と爆撃機による波状攻撃か。
        ・揚陸を阻止するには地対艦あるいは空対艦、艦対艦ミサイルが必要。
        ・流れ弾が日米に来れば戦線開くのは必須だが、そうでないとアメリカが日和る可能性はある。
        ・なので、対岸に動きが見えた時、米艦が台湾海峡に入るか、引くかで先行きが見通せるのでは?
        ざっと、パッと思いつくところでこんな感じですが……政治は難しい、どう動くか、市井のオッサンには読み切れません……

        • 木霊 木霊 より:

          金門島の防衛は苛烈なものになるでしょうね。
          ただ、前回も3日保たないと言われていたのに撃退できた事を考えても、防衛の仕方で時間稼ぎはできるでしょうし、そもそも支那人民解放軍にとっても、ここを落とす意味は戦略的にあるのかどうか。
          本島の方は揚陸作戦で相当の物量戦になるのでしょうが、支那が本気で飽和攻撃をしてくれば耐えられないでしょう。
          ただ……、一人っ子政策で人民解放軍は随分と劣化しています。揚陸作戦はそもそも実行出来ない気がしますよ。

          そんなわけで、政治的に介入して無血開城が理想でしょうね。馬政権の時が、絶好のチャンスだったのですが。

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