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【韓国海軍】韓国のフリゲート事情

韓国海軍
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現代のフリゲートと言えば、対潜・防空能力を有し、揚陸部隊、補給部隊、商船団等の護衛を任務とする使い勝手の良い艦である。

周辺海域は喫水が浅く海流の流れの速い場所が多い韓国のような半島国家にとって、足の速いミサイル艇や多用途に使えるフリゲート艦の戦力に占めるウェイトは大きい。

……大きいハズなんだ。

でも、どうもあまり力を入れていない分野のように思えるんだよね。

そうそう、用語についてなんだけど、フリゲート(護衛艦)は「フリゲート艦」という風な表記がなされることもあるのだけれど、フリゲートで艦の意味を含んでいるとのことなので、このブログではフリゲート艦ではなくフリゲートで統一させて頂くことにする。

アメリカ軍から払い下げられたフリゲートが始まり

タコマ級哨戒フリゲートを払い下げ

北朝鮮と戦争をしている韓国海軍にとって近海の防衛は特に重視しなければならない分野である。

朝鮮戦争(1950年~1953年)が勃発し、何とか休戦にまでは漕ぎ着けたものの、近海防衛は至上命題であったハズで。

そんな訳で、アメリカからタコマ級哨戒フリゲートを払い下げて貰う事になった。これが、豆満級フリゲートと呼ばれる船で1953年に就役し、現在は全艦退役済みである。5隻しかなかったんだけどね。

蔚山級フリゲート

初の国産化

豆満級フリゲートの次級として用意されたのが蔚山級フリゲートである。

1,500t級のフリゲートであるので、豆満級フリゲートとほぼ同じ大きさなのだが、国内技術によって作りたかったという事情があったため、国産化に拘ったようだ。

若干「時代遅れ」という評価もあったが、9隻就役させて朝鮮半島周辺の海を防衛する任についた。

韓国発の国産フリゲートということで、誇らしさの象徴といった印象もあるのだろう。韓国のフリゲートはこれ以降、バッチ2、バッチ3という形での発展が計画される。

仁川級フリゲート

大型化を目論む

さて、誇らしさの象徴である蔚山級フリゲートのバッチ2として計画されたのが仁川級フリゲートで、この辺りから現役の船という事になる。え? 蔚山級フリゲートも後期型はまだ就役中だ?いやまあ、そうなんだけど。

北朝鮮との休戦状態が長引く中で小さな戦闘は何度か行われていたため、フリゲート艦の拡充は急務であると考えられていた。で、2010年代までには世代交代を!ということで、小型のコルベットであった浦項級コルベットと、蔚山級フリゲートの次級として仁川級フリゲートが作られた。

仁川級フリゲートは2,300t級のサイズで前級よりも大型化されている。

火力重視でトップヘビー

そして、随分火力に力を入れたようで、「アジア最強の小型艦」などと揶揄されている。

韓国の仁川級フリゲートが「アジア最高火力の小型護衛艦」と呼ばれる理由=中国メディア

2019年5月28日 05:12

4月23日、中国人民解放軍の海軍創設70周年を記念して国際観艦式が行われ、韓国は仁川級フリゲートの「京畿」を派遣した。中国メディアの今日頭条はこのほど、仁川級フリゲートは「アジアでもっとも高火力の小型護衛艦」であると伝えて、そのように呼ばれる理由について考察する記事を掲載した。

「excite」より

なかなか皮肉な記事で、小型で高火力といえば聞こえは良いのだけれど、逆にいえば火力過多でトップヘビーな構造となり、操船性はどうにも心配というような出来上がりになってしまった。

ニセモノ尽くし

他にも、本来ドイツ製であるべき操舵機のオイルポンプが、韓国製にすり替えられていたとか、本来フランス製であるべき電子機器冷却ファンなどが、台湾製にすり替えられていたとか、韓国STXグループから金を受け取って同社のディーゼルエンジンを採用する様便宜を図った汚職を起こしちゃったとか、色々な騒ぎがあった。が、その辺りは些細なことである。

次期護衛艦「江原」も欠陥=韓国

2015.03.28 12:12

昨年8月に進水式を終え、海軍に引き渡す手続きを踏んでいる次期護衛艦(FFX・2300トン)4番艦「江原(カンウォン)」の運航が中断された。海軍に引き渡すための試験運航中に欠陥が発見されたからだ。

防衛事業庁の関係者は27日、「艦艇を海軍に引き渡すための試験運航中にいかりが落ち、艦艇の下の部分に設置されていた音響探知機(HMS)が破損した。製作会社のSTXに補完を要求した」と述べた。防衛事業庁によると、「江原」は艦艇の底に設置された音響探知機のカバーが破損したという。

「中央日報」より

更にこんなショボイ話も、意外に最近引き起こしている。「センサーのカバーが壊れちゃった」という話なのだけれど、問題点はむしろ錨が落下したことだろうね。

こうした問題はあったのだけれども、仁川級フリゲートは6番艦までは作られた。

大邱級フリゲート

VSL搭載モデル

ところが「仁川級フリゲート」では小さいという声が根強く、「バッチ2」として計画された船は2,800t級の大きさであり、VSLが搭載されるモデルとなった。K-ASROCをぶっ放したかったらしい。

大型化したし、もはや別の船だ!ということらしく、作られてからこの船は「大邱級フリゲート」と呼ばれるに至る。

失敗が発覚

ところが、これ、失敗しちゃうんだよね、作る事に。

3400億投入し、また故障した海軍最新鋭護衛艦

記事入力2019.12.18 午後9:27 、最終修正2019.12.18 午後9:38

[アンカー] 韓国軍が3400億ウォンをかけて最初のハイブリッド推進システムを導入した大邱艦がまた止まったことが確認された。去る1月、推進システムで故障や停止が「乗組員の操作が未熟」であることが問題なとしたが、先月にも推進システムに異常が生じた。軍艦自体の欠陥が疑われます。

「NAVER」より

実は仁川級フリゲートから大邱級フリゲートに切り替えるにあたって、推進システムを変更しちゃったのだが、これが拙かった様なのだよね。

大邱級フリゲートは「ハイブリッドフリゲート艦」などと恥ずかしい呼ばれ方をしているが、低速では電気モータで駆動し、高速ではガスタービンエンジンで駆動する CODLOG方式とよばれる駆動方式を採用している。これが、韓国にとってハードルが高かったようで。残念な事に大邱級フリゲートは既に1隻就役・2隻進水しているのだけれど何れも見直しを余儀なくされている。

Wikipediaによれば推進方式にCODLAG方式(正しくはCODLOG方式:高速航行時、ガスタービンのみで駆動する)を選択した大邱級フリゲート艦なのだが、エンジンそのものは外国から調達している。では何が問題だったかというと、自国で開発したギアボックスが問題だったらしいとのこと。

色々なニュースが出ているが、修理状況はどうにも芳しくない模様。

次期型フリゲート艦

で、このタイミングで3,500t級フリゲートを作るぜ!という発表があった。

3500t級の新型護衛艦2024年、海軍に引き渡し…4千億ウォン規模の契約

2020-03-16 09:33

3,500t級の新型護衛艦が国内技術で建造され、2024年にも海軍に引き渡される。

防衛事業庁と現代重工業は16日、4千億ウォン規模の蔚山級フリゲート艦(BatchⅢ)を制御するシステム開発契約を締結したと発表した。2024年のシステム開発が完了すると、海軍に引き渡される。

「朝鮮日報」より

えーっと?最新のフリゲート艦といえば大邱級フリゲートだったはず。仁川級フリゲートの後続艦なんだけど、アレって色々問題があった気がするんだ。その問題を解決しないうちに更に次を考えちゃう?

“ミニイージス”韓国海軍最新鋭3600トン級護衛艦「忠南」進水

2023年4月17日 10:00

「ミニイージス」と呼ばれる韓国海軍のフリゲート艦、蔚山(ウルサン)級バッチIII号1号艦である「忠南(チュンナム)」艦(FFG-828)がこのほど進水した。

APFより

……そっかぁ、進水しちゃったかぁ。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    軍艦建造後に何かしらの不具合が生じるのは仕方がないね。それはどこの国でもあること。
    ただ、韓国では不具合の修復・修繕が終わらないうちに次を新造するし、アップグレードするし、モデルチェンジもする。しかも、また(別の)不具合が発生して、ケンチャナヨ?
    これは、失敗を誤魔化すための『フリーゲート・ロンダリング』なのでは。
    海軍はといえば、製造元が悪いと言うだけなんでしょうし。それはそうなのだけどね。

    おもしろい国だね。

    • 木霊 木霊 より:

      別の記事でも触れましたが、214型潜水艦と同じなんですよね。
      仁川級フリゲートはそこそこ良い感じに運用出来ていますが、大邱級フリゲートで失敗。その問題を解決しないうちに同じ動力を積んだ新しい艦に手を付けちゃった。
      209型潜水艦は小さいけど使える潜水艦でしたが、214型潜水艦は燃料電池で失敗。3,000tもどういうわけか念慮電池を搭載していて、更にリチウムイオン電池まで搭載しちゃった。

      というわけで、不安要素満載なんですよね。「着実」という言葉は韓国軍には似合いません。

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