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ポーランド軍で大人気のFA-50GF

韓国空軍
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なかなか興味深い記事があったので、記録のために記事にしておきたい。

価格は半分、維持費は3割…ポーランドがほれこんだ韓国の戦闘機「FA50GF」

記事入力 : 2023/06/13 17:06

最近、ポーランドの国防関係者らが韓国を訪れ、韓国航空宇宙産業(KAI)のポーランド輸出型軽攻撃機「FA50GF」1号機の出庫式に出席した。この席にいたポーランドの空軍司令官が自国メディアとのインタビューで、FA50GFの今後の運用計画などを明かした。

朝鮮日報より

FA-50GFというのは、ポーランド向けの機体ということらしいね。

使い方次第

FA-50PLとは別の機体

このブログでは大人気のT-50高等練習機系の軽攻撃機FA-50なのだが、諸外国でも人気が高まっているようだ。

このブログではこちらの記事で少しまとまった形で触れている。

FA-50は無印とブロック10とブロック20があって、ロッキードマーティン社の設計したT-50をベースに軽攻撃機仕様に変更したFA-50にスナイパーポッドを統合して、レーザー誘導兵器を運用可能としたモデルがブロック10。

近代化改修したモデルがブロック20である。

で、FA-50GFはブロック10ベースで改良したもので、NATO互換のIFFを備え、Link16に対応している。

ブワシュチャク氏: FA-50 の最初のコピーはすでにポーランドに届けられています

2023/07/06 13:37

「これは軍にとって特別な瞬間だ。FA-50導入プログラムの実施は、ポーランド空軍がF-16、F-35、FA-50航空機のみを使用することになるという事実に貢献すると、ロールアウト式典でマリウス・ブワシュチャク国防大臣は述べた。ポーランド初のFA-50GFファイティングイーグル航空機の公式プレゼンテーションです。2023年にポーランドに緊急納入される12機のうちの最初の機体となります。

Defence24より

GF(ギャップフィラー:穴埋め)の意味で型式が振られているのだが、12機がGFの型式が付されたものになるようだ。

兵装については、F-16Cに比べて「搭載兵器の種類や重量などの能力が控えめ」と評価されつつ、そこそこ揃っている。

  • 内蔵式 20 mm ゼネラル ダイナミクス A-50 航空機砲
  • AIM-9サイドワインダー
  • Hydra 70 無誘導ミサイル ポッド
  • GPS/INS レーザー誘導を使用した Paveway II(Mk 82、Mk 83 重力爆弾 :JDAM モジュールを装備したものを含む)
  • AN/AAQ-33 スナイパー ポッドと統合
  • Link16に対応

印象としては劣化版のF-16Cといった感じなんだけど。

維持費が安くて嬉しい

ただ、好印象である理由は、初期コストや維持費の安さが挙げられるようだ。

ポーランドの国営メディアPAP(Polska Agencja Prasowa)が12日に伝えたところによると、同国空軍のイレネウス・ノバク(Ireneusz Nowak)司令官は最近、同メディアとのインタビューで、KAIのFA50について「訓練機能も備えた戦闘機(samolot bojowy z funkcją szkolną)」と説明した。通常の戦闘機は1回の稼働に多くの費用がかかり、費用の安い練習機を別途保有するケースが多いが、FA50は維持費が安くて練習機としても使える。

FA50は韓国製高等練習機T50を改良したもので、価格は他の4.5世代戦闘機の半分の水準に相当する6200万ドル(現在のレートで約87億円。以下同じ)だ。1時間当たりの維持費も、他の4.5世代戦闘機の30%程度に相当する3500ドル(約49万円)だという。FA50はパイロット2人が搭乗できる複座型機として作られ、訓練生と教官が搭乗できる。

ノバク司令官は「FA50は、およそ1時間の飛行で1.5トンほどの燃料を消費した。もしF16機であれば3.5トン必要だっただろう」とし「この数字だけを見ても、ポーランド空軍が訓練費を節約できるという事実は明らか」と語った。

朝鮮日報より

そりゃまあ、戦闘機に比べて初期コストが安い理由は、主にエンジンの性能が原因であり、維持費に関しても燃費が良い理由はエンジンの性能が原因だろう。

例えば、FA-50とF-16Cのエンジンを比べるとこんな感じに。

  • FA-50:F404-GE-102 推力53.0kN
  • F-16C:F110-GE-129 推力125.0kN

アフターバーナー炊いた時にはもっと出力は出るが、F404-GE-102だと最大81.0kN程度までしか出ない。F110-GE-129の方は最大131.2kNくらいまで出せる。

もともと、FA-50に使われているエンジンは、F/A-18に2基搭載しているエンジンと同系列なので、非力なのは仕方がない。

そして、訓練機なので妥当なチョイスでもある。余談だが、アメリカ軍が採用する次期訓練機のT-7A「レッドホーク」も同系列のエンジン(F404-GE-103)1基を搭載する予定である。

出力の低いエンジンなんだから、燃費を比べるのもばかばかしい話である。

間に合わせとしては最適

ただ、ポーランド空軍としては、戦闘機も訓練機も不足している状態だっただけに、今回のチョイスが悪かったとまでは言わない。いや、むしろ良かったのだとは思う。

またノバク司令官は「ポーランド空軍は14機のMiG29戦闘機をウクライナに提供し、現在は1個大隊しか残っていない。飛行機がなければパイロットも失うことになる」とし「ポーランド第1戦術飛行団にいる数十人のパイロットをできる限り早く訓練する必要がある。もしFA50を購入していなかったら、飛行団全体を清算しなければならない状況が生じていただろう」と語った。

朝鮮日報より

特に、韓国政府は、本来であればブロック2(ブロック20)として韓国空軍に納入する予定だったFA-50をブロック10仕様に変更してまでポーランド軍に引き渡す待遇をしているのだ。

「とにかく早く!」という要求にはぴったりだったはず。

当初の予定では2023年後半というスケジュールだっただけに、韓国側が相当急いで用意したことが伺える。

FA50は、実戦に投入される場合、敵機と直接渡り合うよりも、対地攻撃や巡航ミサイル(独自の動力を持って飛んでくるミサイル)撃墜などといった任務を遂行するものとみられる。ノバク司令官は「ウクライナ戦争を通して、最も大きな空中脅威は地上およそ100メートルという極めて低空を飛行する巡航ミサイルだということが分かった」とし「FA50には、巡航ミサイルの探知と撃墜に適したレーダーが搭載されている」と語った。

朝鮮日報より

……FA-50のレーダー性能を過大に評価しすぎなのでは?という疑いもあるが、将来的にFA-50GFはFA-50PL仕様に換装するところまで契約に入っているようなので、問題ないのだろう。

レイセオン製PhantomStrike AESAレーダー搭載予定

この後に登場する予定になっているFA-50PLの何が凄いか、というと、レイセオン製のPhantom Strikeを搭載予定である点だ。

KAIは、今年の年末までに初期引き渡し分の12機を全てポーランドに送る計画だ。残る36機は性能改良バージョンのFA50PL(Poland型で、2025年上半期から2028年までにかけて納品する予定。

朝鮮日報より

レイセオン社が開発したPhantom Strikeは、小型航空機向けのAESAレーダーで性能的にはAPG-83というF-35Aに搭載のレーダーと同等なのだが、重量的なメリットが大きい。

Phantom Strikeの重量は45㎏らしいのだが、APG-83は80㎏近くになるようだ。これに加えてPhantom Strikeは空冷式に変更されたために、冷却装置を省くことができるというから、アドバンテージはかなり大きくなる。

特に、エンジンが非力なFA-50には恩恵が大きいだろう。

つまり、F-16Cが一般車だとすると、FA-50は軽トラ程度の性能なのだが、農業用には使い勝手が優れている、というようなイメージなのだ。

コメント

  1. アバター 音楽大好き より:

    木霊様、皆さま、今晩は

    80%の性能で半額・・・とってもお買い得
    60%の性能で半額・・・まぁまぁかな
    40%の性能で半額・・・やめておけば

    でも、80%の性能だとして、それで「使える」かは別問題でしょう。
    たとえばレーシングカー。80%では話にならない。トラックの積載量ならば台数を増やせばいいのだからOK。戦闘機の場合は??
    紙の上でのスペックではなく実際の性能はどうなんでしょうか。モノが戦闘機なんで、実戦してみないと判らない(ならば、退役まで「判らない」のが望ましいんですけど)、模擬戦闘とかで評価されたのかしら。

    それから、無視できないのが信頼性、整備性、部品の供給など。「韓国製」なので心配。なにしろ韓国は自国の武器の整備もいいかげんみたいだから。このあたり、さっぱり分かりません。

    武器には「敵に見せる」という側面があるので、数を揃える事ができるという利点がありますね。「高い買い物」にならなければ良いのですが。

    • 木霊 木霊 より:

      ポーランドの狙いは、記事に書いた通りというか、FA-50GF(穴埋め)という意味合いが強いのでしょう。
      そうすると、空軍の「穴」を塞ぐには最適という判断はおかしくはないのでしょう。
      使えるかどうかはまた別なんでしょうけれど、そのあたりは製造ラインを国内に持ち込む予定のようですし、ありものを利用して組み立てていますから、F-16が使われる限りは補修部品はそれなりに手に入りやすいのではないでしょうか。

  2. アバター BOOK より:

    木霊さま 皆様 こんばんは

    何よりの問題はポーランドの意図より、米国の代表的軍事企業、ロッキードマーティンやレイセオン、etc が近頃、韓国軍事企業とノリノリ!タイアップしているところで、日本としては脅威じゃないでしょうか?

     韓国の親米・尹・政権は長くてあと3年10ヵ月、次は支那べったり・配下と言っても過言じゃない左派・李在明政権でしょう。

     支那としては米軍・自衛隊の抑えに北朝鮮だけでなく韓国軍事力をも投入できる約4年後が台湾侵攻の絶好のタイミング。

     私は支那の台湾軍事侵攻は起きて欲しくないし起きない確率の方が高いと思っています。
     しかし支那の立場で台湾侵攻を成功させたければ、台湾への攻撃に先立ち日・米援軍が来れないように抑える必要があり、これに最も効果的な方法は韓国ミサイルと航空機による日本の基地への飽和攻撃と思います。

     話を戻して、FA-50は韓国製と名乗るからには「敵味方識別装置」は韓国軍にあり米輸出期のようにブラックボックスとして米軍が握っているとは考え難く、
     しかしアビオニクスは米製・最新鋭、、が日本を襲ってくるなど最悪の事態で

     いつものケンナチョ?で不良品増産して失敗して欲しいものです。

    • 木霊 木霊 より:

      ロッキード・マーティン社がT-50系列の軽戦闘機に力を入れているのは事実でして、練習機としてアメリカ空軍に売り込みをかけて失敗しました。ですが、現在アメリカ海軍に売り込みを書けている最中で、こちらはかなり優勢のようですね。
      空軍はT-7Aを選びましたが、これがなかなか遅延しているようで、ソレも海軍の判断に影響している可能性が高い。T-7Aのタキシングテストは始まったばかりで、どうなることやら。

      FA-50もブロック20ともなると性能が向上しますから、厄介ですね。それでも航続距離が短いので、今のところ心配する必要はありませんが。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    これ、K2戦車の輸出と基本、同じ根っこじゃないかと思います。
    曰く、
    「そこそこの性能で、そこそこの値段で、即座に買えるのがこれしかない」

    戦車も戦闘機も、自国開発出来る国は限られてますし、たまたまですが、西側は一斉に更改の時期に来ています(日本は少し前にずれてる、韓国は大幅に後ろにずれた≒今、モノがある)。
    レオパルドもエイブラムスも設計は古い(更新はされている)、お値段はする、練習機も同様、新型はまだ試験中で買うどころか国外販売するかも疑問。
    となると、手に入るタマは結構限られている。
    そしてここが大事ですが、FA-50の基本設計はアメリカ(F-16の縮小版)。K2は韓国製(K1はエイブラムスの縮小版)ですが、ドンガラ以外は欧州製品の寄せ集め。基本設計の信頼性と、独自改造のしやすさが飛び抜けて高いのでは……と愚考する次第。
    ※ポーランド向けK2は、本当にドンガラ(それ自体転輪増やした専用設計だとか)以外は欧州部品でまかなう(砲もFSCもエンジンもミッションも)らしいですし。そのための工場建てて、技術移転もするそうですし、生産はポーランド国内でするそうですし。

    FA-50自体は割と素性の良い機体らしいので、それがK2と同様条件で買えるなら、お買い得と言って良いでしょう。

    その場合、韓国のメリットというかベネフィットって何?って話になりますが……

    ※安心と信頼の日本製!は、値段の問題と、特に戦車は日本国土の特殊事情で他国での運用には向かないので輸出は考えない方が良いでしょう。グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)だって、どうやら英国が「ドーバー海峡守れればいい」小型機から、本邦の「海上長距離進出可能」な大型機に舵を切り替えたとしか思えないですから……

    • 木霊 木霊 より:

      ご指摘の通りでしょう、タイミングよく売れる機体を韓国が持っていた、というのがすべてかと。
      FA-50はファントムストライク搭載タイプになれば、ずいぶんと運用の幅が広がりそうですから、チョイスとしては悪くないと思いますよ。

      ただ、日本にとっては海外に売れる兵器を持っていないことは、安全保障上マイナスでして、F-3が無事開発完了して、海外にも輸出できる機体になればなー、などとは思っています。先は長そうですけどね。

  4. アバター けん より:

    諸々↑の皆さまのご高察のとおりだと思います。

    ポーランド空軍の戦闘機・攻撃機の編成は、F-16C、MiG-29、Su-22の3機種ですが、ポーランドは、MiG-29全機をウクライナに譲渡する方針なので、次世代は、F-35A、F-16C(+)、FA-50PLの3機種となり、FA-50PLはSu-22の代替でしょう。ポーランド空軍は、FA-50PLに現役攻撃機Su-25との比較で、同等レベル以上の性能を期待していると思われます。

    • 木霊 木霊 より:

      攻撃機Su-25が現役、という時点でポーランドもかなりやばいんですよね。
      西側の戦闘機を持つという意味でも、FA-50という選択肢は悪くなかったと思います。

      韓国製造というのはリスクになりそうですが。