【韓国空軍】ミサイル防衛構想

空軍

韓国空軍の装備品に分類されるパトリオットミサイルだが、これについても紆余曲折があったんだよね。

とはいえその問題を何とかクリアできているようなので、案外日本のミサイル防衛構想よりは前に進んでいるかもしれない。少なくとも、敵基地打撃能力の取得に躊躇しないところは正しい姿勢だと思うんだ。

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韓国的ミサイル防空防衛構想

PAC-3が欲しい!

実は、Wikipediaの韓国版などを確認すると、2012年にはPAC-3/conf.2にアップグレードされている話になっているのだけれど、これがどうにも怪しい。2012年10月の中央日報には「PAC-2の命中精度が悪い。PAC-3に更新するつもりだ」とか書かれていたので、少なくとも2012年時点では更新されていない可能性が高く、その後も導入されたという話を見かけない。ついでに、英語版の記事を見ると2016年にPAC-2からPAC-3/conf.3に更新されたことになっているのだが、これもちょっと怪しいな。

なお、調べて見ると2020年になってようやくPAC3を導入完了したというニュースを見つけた。

「ミサイル防衛システムの核心」パトリオットPAC3配備完了=韓国

2020/12/12 10:44配信

韓国の防衛事業庁は12日、パトリオットPAC3直撃型誘導弾と性能改良した地上運用装備を空軍に最終的に引き渡したと明らかにした。

パトリオット・ミサイルは、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃を低高度で最終段階迎撃する韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)の核心兵器システムだ。現在、韓国軍はPAC2とPAC3を運用している。

今回導入が完了したPAC3は、直撃型で敵の弾頭を直接迎撃する。既存のPAC2は弾道弾を破片で迎撃するため、落下物による地上の2次被害が憂慮されたのと比較すると、PAC3は2次被害を最小化できる。

また、パトリオット地上装備の性能も改良され、レーダー探知距離が約2倍に増加し、情報処理能力および通信装備の性能が大幅に向上した。 これにより、従来よりも多くの標的を同時に探知追跡し、交戦できる能力を備えた。

防衛事業庁は2015年3月からパトリオット性能の改良を進めてきた。 最初の計画より約10か月繰り上げた先月、性能改良を完了し、空軍に装備を引き渡した。

「WowKorea」より

つまり、PAC-3/conf.3に更新が完了したのは2020年末ということになりそうだ。どの程度の物量がconfig.3に更新されたかは分からないが、多分PAC-2と併用しているのだろうね。

キルチェーン構想

で、韓国のミサイル防衛構想と言うヤツは、こんな感じの体系によって北朝鮮からの攻撃に対応しようという事のようだ。

  1. キルチェーン:戦争が差し迫った場合に北朝鮮のミサイル・ロケット砲を先制攻撃
  2. KAMD:北朝鮮からミサイルが発射された場合に対応する、アメリカの兵器を主軸としたミサイル迎撃システム
  3. 大量反撃報復:北朝鮮のミサイル攻撃に対する報復として敵指揮部を打撃する作戦

戦争中の相手、北朝鮮はそれなりのミサイルを持っていることを考えれば、備えておくに越したことはないんだろうけど、この1~3はまだまだ構築できていない状況だ。大丈夫か?

で、韓国の保有する虎の子PAC-2は2番目のKAMDの一翼を担う位置づけになる。……はずなのだが、これの迎撃成功率が悲しいことになっていると言うニュースがこちら。

韓国軍のPAC-2迎撃率40%以下…北の攻撃防ぐのは難しく(1) | Joongang Ilbo | 中央日報
韓国軍の地対空パトリオットミサイル(PAC-2)の弾道弾迎撃成功率は40%以下であることが分かった。北朝鮮が発射した弾道ミサイルを効果的に迎撃するには命中率が70%以上でなければならないが、これをはるかに下..
韓国軍のPAC-2迎撃率40%以下…北の攻撃防ぐのは難しく(2) | Joongang Ilbo | 中央日報
新型ミサイル導入の必要性が提起される中、PAC-2導入過程に対する批判が出ている。巨額を投入して導入中の武器の配置が終わる前に、また新しい武器を購入しなければならない状況だからだ。予備役軍の..

何故、ミサイル攻撃の防御にPAC-2を使おうと思ったのか?その辺りからちょっと考え直す必要があるな。1兆ウォンも使ったのに、迎撃率が4割以下では、ね。

だから記事ではこんな事が書かれている。「金長官が言及した「改良」とは、PAC-3の新規導入または自主開発を意味する」

ふーん、結局、PAC-3に更新する道を選んだのだけれど、色々トラブルはあったよね。

迎撃ミサイルシステムの導入時点から問題が

そもそも、このPAC-2は入手時からミソが付いていた。

韓国行きパトリオットミサイル69発 フィンランドの港で押収

Write: 2011-12-23 13:17:33/Update: 2011-12-23 13:32:48

韓国政府がドイツから購入した中古のパトリオット・ミサイルが、通関手続きをきちんと踏まなかったため、中間寄港地のフィンランドで現地当局により違法な兵器輸出とみなされ、押収されました。
押収されたミサイルは、韓国政府がドイツから購入したもので、アメリカ製のパトリオットミサイル69基 です。

「KBS Radio」より

韓国が迎撃ミサイル導入するにあたって、アメリカからPAC-3を購入しようと見積もりをとったら、とんでもない値段(韓国にとってはの話だが)を吹っ掛けられてしまう(しかしそれは適正価格)。

そこで、韓国はドイツから「中古のPAC-2」を買うことに決定。その当時、ドイツではPAC-3への更新が進められていて、中古が余っていたと言うことなのだろうか??ちょっと詳しい状況は調べられなかったのだが。

で、この積み荷がフィンランドに寄港した際に、不正輸出を疑われる事件に発展。その後、無事に配備は完了したようだが、根回しくらいはしておけよ……。

韓国軍は昨年四カ月間防空網に穴

入力2013.10.15 03:37 修正2013.10.15 03:37

北朝鮮から発射されたミサイルを迎撃する空軍パトリオット(PAC-2)部隊の砲台が故障したレーダー部品を見つけられず、昨年4ヶ月間稼動していないことが分かった。製造中止の部品リストを個別に管理していない機器の運用及び整備に穴があいたという指摘だ。

「Daum」より

[単独]ドイツで購入した「中古パトリオット」の部品がない」

記事入力2014.10.13 20:34 最終修正2014.10.13 午後9:33

第横に見える発射台にパトリオットミサイルが載っています。

湾岸戦争の時、イラクの弾道ミサイルを迎撃しながら、いわゆる「ミサイルとるミサイル」で名声を飛ばしたところいませんか?

さて、私たち空軍が導入して運用しているが、ミサイルがともすれば故障が出る、一部の部品は、完全に生産が中止されても入手できないそうです。

「NAVER」より

ところが、PAC-2の修理部品の調達が思う様にできなくて、購入から2年が経過してもまともに運用ができていなかった模様。大丈夫なのか?この国は。

一部はPAC-3に刷新されたから問題は解決したのかな。

韓国版ミサイル防衛構想を立ち上げる!

購入したPAC-2がこんな状態なのだが、韓国政府はミサイル防衛計画を新規に発動する。 その計画に出てきたのが「キルチェーン」である。今は名前が変わっちゃっているんだけどね。まあ、先制攻撃するって話だけなんだけどさ。

こんな感じの迎撃構想を考えていて、以下のような3つの関係で成り立っている。

  1. 北朝鮮が核・ミサイルを発射しようとすれば先制的に打撃するキルチェーン(Kill Chain)
  2. 北朝鮮のミサイルを空中で迎撃する韓国型ミサイル防衛(KAMD)
  3. 北朝鮮が核・ミサイルで攻撃すれば韓国が報復する大量反撃報復(KMPR)

この話は、クネクネの時代(朴槿恵政権)までの構想で、今は又ちょっと違うようだ。が、ともあれ迎撃構想に加えて大量反撃報復をセットにして戦略的に考えている点は変化していない。

北ミサイルへの先制打撃「キルチェーン」、韓国軍は現在使わず

2019.01.10 15:13

韓国国防部が北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応する戦力を意味する「3軸体系」という用語を「核・WMD対応体系」に変更することにした。WMDは大量破壊兵器を意味する。

「中央日報」より

ここに組み込まれているのが、ポンコツの名を欲しいままにしている中古PAC-2であり、自前で打ち上げられない人工衛星であり、購入する予定の無かったTHAADだった。実は、一時期、韓国はTHAADを購入するかを検討していたのである。

アメリカと支那から踏み絵を迫られ

まあ、どんな兵器でも政治と切っても切り離せない関係にはあるんだけど、THAADの購入を迷っている間に、在韓米軍基地にTHAADが配備される話が持ち上がった。

THAAD韓国配備すでに決定か=焦点は配備時期

記事入力 : 2014/10/02 10:08

 北朝鮮の核攻撃やミサイル攻撃などに備えるため、在韓米軍に終末段階高高度防衛ミサイル(THAAD)用の迎撃ミサイルランチャー(発射台)を配備する問題について、韓国と米国の政府は互いに異なった説明を行っている。THAADは迎撃する高度が非常に高いため、中国やロシアはTHAADの韓半島(朝鮮半島)配備を「米国による中露けん制のためのカード」と認識し、非常に神経質な反応を示している。

「朝鮮日報」より:リンク切れ

ところが、このTHAAD配備は、ロシアにとっても支那にとっても非常に都合が悪かった。その理由は、迎撃ミサイルとはいえ、広範囲の探知能力を持つレーダーとセットであり、このレーダーを用いるとロシアや支那での軍事的な動き(軍事的な動き以外も分かってしまう部分がある)が探られてしまう。

そんなものを配備してくれるな、という圧力があっちこっちからかかる羽目に。支那からは経済的な制裁まで喰らってしまう。そんな理由もあって、現在、韓国の在韓米軍基地に配備されているTHAADは開店休業状態のようだ。

THAAD基地前でもみ合い

2020.11.27 14:06

韓国国防部が米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」が配備されている南部・星州の基地への装備搬入を予告したことに対し、住民らが搬入を阻止しようと基地前で座り込みを行っている。

「聯合ニュース」より

先日も、もみ合いがあったようだ。

さあ!KAMDの明日はどっちだ!そして、韓国の明日はどっちだ!!

名前を変えよう

ちなみに、北朝鮮との融和を図るという流れの中で、「キルチェーン」構想は如何にもマズイことらしい。

韓国軍 「3軸体系」などの用語を改訂

Write: 2019-01-11 10:21:12

韓国軍が、北韓の核や大量破壊兵器の脅威に対応して構築を進めている「3軸体系」などの用語を改めたことがわかりました。
3軸体系は、北韓が核ミサイルを発射しようとする際、先制的に打撃する「キルチェーン(Kill Chain)」と、北韓のミサイルを空中で迎撃する「韓国型ミサイル防衛体系」、北韓が核やミサイルで攻撃すれば韓国が報復する「大量反撃報復」からなり、英語の頭文字を取って「3K」とも呼ばれていました。
韓国軍当局によりますと、「3軸体系」の用語は、対象範囲と能力を広げて「核・大量破壊兵器対応体系」に、「韓国型ミサイル防衛体系(KAMD)」は「韓国型ミサイル防衛」に、「キルチェーン」は「戦略標的打撃」に、「大量反撃報復(KMPR)」は「圧倒的対応」にそれぞれ改めたということです。

「KBS WORLD」より

しかし「3軸体系」っすか。意味が分からないね。

名前が変われば、印象も変わると。確かに「キル」はちょっとどうかと思うけれども、言葉を取り繕っても相手を攻撃する手段を含むことには変わりが無い。まあ、こうした言葉遊びを日本が批難する筋合いではないし、寧ろ積極的にやっている節があるので批判もおかしいとは思う。

ただそれよりもこの記事が面白かったのはこんな内容になっていたことだ。

  • 北朝鮮が核・ミサイルを発射しようとすれば先制的に打撃するキルチェーン(Kill Chain)→ 偵察衛星4~5基を外国から借りて北朝鮮を監視する
  • 北朝鮮のミサイルを空中で迎撃する韓国型ミサイル防衛(KAMD)→ パトリオット(PAC)3を新規確保し、中距離地対空ミサイル(M-SAM)などの性能改良を早期に進める
  • 北朝鮮が核・ミサイルで攻撃すれば韓国が報復する大量反撃報復(KMPR)→ 特殊部隊が敵陣に侵入するためのUH-60とUH-47Dヘリの性能改良、特殊作戦用の無人偵察機の確保

現時点で、実現できているのはPAC3導入くらいじゃないかな?

とはいえ、韓国空軍はM-SAMやL-SAMなどの地対空ミサイルを完成させつつあるというから、この問題に真摯に取り組んでいる感じはする。あ、偵察衛星を借りる案は早々に打ち砕かれて、アメリカからデータを頂く状態が続いているらしいけれどね。

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