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74式戦車が退役して16式機動戦闘車へ?!

安全保障
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そっか、74式戦車も退役か。陸上自衛隊の防衛戦略に関しての理解は深くないので、この方針が妥当かは良く分からない。が、74式戦車の登場時とは防衛方針を変えざるを得ない時代であるので、新たな方針に対応できる兵器が必要なのは事実なのである。

さらば74式戦車 冷戦期の主力が退役 陸自、16式機動戦闘車にシフト 部隊大幅削減も…変わらぬ日本周辺の脅威

2024.4/26 11:00

陸上自衛隊では近年、大改編が行われ、打撃力の要である戦車部隊の見直しにも一区切りがついた。目指したのは陸海空自衛隊の統合運用を進め、即応力、機動力を高めること。こうした流れの中で、戦車部隊を縮小していくことになった。

ZakZakより

74式戦車の退役は、ちょっと残念だけれども。

事情に合わせて防衛方針は変わる

戦車は対戦車ミサイルにやられる時代

おそらく十年前くらいの常識だと、「戦車に対応できるのは戦車しかいない」という話だった。ただ、近年はトップアタック式のロケットランチャーとか、徘徊型ドローンによる攻撃だとか、戦車戦略を変更せざるを得ない時代に突入してきた感はある。

ウクライナの守護天使「聖ジャベリン」のリアル 対戦車ミサイルでの戦いかたとは?

2022.03.11

対戦車ミサイル「ジャベリン」が、ウクライナの守護天使として信仰を集めています。もちろん半ば冗談のネットミームですが、一方で戦場ではかなり頼りになるのも事実。どのような兵器で、どのように運用されるものなのでしょうか。

乗り物ニュースより

ロシア軍のウクライナ侵攻があってから、現代戦における常識というものが色々と覆された感がある。

その中で持て囃された武器の1つがこの対戦車ミサイル「ジャベリン」である。とはいえ、これがアレば戦車はすべて無力化できるっていうのであれば、ウクライナ軍はこんなにロシア軍に苦しめられていないわけで。

ドローンにも苦しめられる

なお、対戦車ミサイルよりももっと厄介なのがドローンらしい。

「ドローン対策バッチリ」のロシア戦車、ドローンに破壊される 衝撃の映像公開 ウクライナ国防省

2024.04.09

ウクライナ国防省は2024年4月3日、ロシア軍の新鋭戦車T-90Mをドローンによる爆撃で破壊する映像を公開しました。

公開された映像では、車体前部にあるハッチが開いた状態になっているT-90Mにドローンが接近し、手榴弾を投下。手榴弾はハッチから車内に入り込み、内部で炸裂しています。

乗りものニュースより

ジャベリンよりも厄介というわけではなくて、ドローンにも苦しめられるというような感じの話のようだ。

これなんか面白い絵だよね。ドローン対策で色々なものが取り付けられているのだけれど、対戦車よりもドローンを意識した感じの装備になっている。

ドローン対策を色々やっても、こんな感じになるらしい。

対費用効果という意味で、ドローン1機で戦車1両破壊できるなら、こんなにお得な話もない。もちろんそんなに簡単な話ではないと思うのだが、有用性があるのは間違いがない。

というわけで、戦車を用意しておけば上陸部隊への牽制がバッチリ、というわけにはいかなくなりつつあるのだ。

16式機動戦闘車の採用

当然、日本の戦略がこうしたウクライナの状況を加味した話になったのだなんてことはなくて、もっとそれ以前の状況を踏まえた配備ではあったのだが。

日本が世界に誇る名機、16式機動戦闘車はこうして生まれた

2023.9.4(月)

平成28(2016)年末に配備開始された陸上自衛隊の最新鋭、「16式機動戦闘車」(以下MCV)は、世界に類を見ない正確な砲撃精度、機動性能を持っている。

ロシアによるウクライナ侵略戦争では、改めて戦車の有用性が認識された一方、こうした機動戦闘車も極めて有用であることが証明されている。

JB pressより

日本が保有している90式戦車の次に登場したのが10式戦車。世界に先駆けて開発された第四世代戦車だと言われているが、あまりカテゴリー分けに意味はない。第三世代より第四世代の方が強いってわけじゃないからね。

結構かっこよくて好きなんだけど、かなり高価な戦車になってしまったところはネックである。

日本が誇る「10式(ひとまるしき)戦車」の陰に隠れてあまり注目を集めていないように見える16式機動戦闘車だが、いざ台湾有事、尖閣諸島有事となれば、大いに活躍が期待されている。

JB press「日本が世界に誇る名機、16式機動戦闘車はこうして生まれた」より

で、その次に登場したのが16式機動戦闘車である。

ちなみに、16式機動戦闘車は戦車かそうでないかという議論があるのだが、個人的には戦車ではないという説を採用している。重量制限もあって満足な装甲が装備できないということで、戦車に対抗できるのはやっぱり戦車なのである。

え?上で言っていることと違う?

まあ、重量のある車両が高速で走ってくるのだから、ハンドキャリーできる兵器やドローンで戦車に完全に対応できるか?といえばそんなことにはならない。このあたりは多分戦略にも関わってくる話で、常に様々な対応策が出されていくのだけれど、現時点ではまだ戦車戦略は有効であるようだ。

もし、戦車が現代の戦場で不要なものになっているのだとしたら、ウクライナ戦線から戦車はなくなっているからね。

機動性が有効

そういった感じで74式戦車の話に戻っていくのだが、74式戦車はロシアのT-62戦車に対抗する位置づけで作られている。総数873両も作られたというのだから驚きだね。

それまで陸自で配備してきたのは、米軍供与戦車や戦後初の国産戦車である61式戦車だった。61式戦車は90ミリライフル砲を主砲としていたが、世界の戦車事情は、105ミリ砲が主流となっており、日本の仮想敵であるロシアに至っては115ミリ砲を装備したT―62の配備を開始していた。日本は大きく後れを取る形となり、これを挽回するため105ミリライフル砲を主砲とする74式戦車が作られた。そして北海道から九州に至るすべての戦車部隊へと配備されていった。総数873両も生産され、日本の主力戦車となった。

ZakZakより

ただ、縦に長い日本列島を74式戦車で防衛するというのは、運用する隊員の数から考えても現実的とは言い難い。74式戦車は乗員4名なので、運用台数×4の兵員が必要になってくる。そして、相応の訓練が必要なんだけれども、日本国内で戦車の訓練ができる場所というのは限られてしまう。

そうしたことから、北海道と九州にのみ戦車部隊を配置し、74式戦車の引退に合わせて、本州から戦車部隊ごと廃止するという大胆な削減計画が実行に移されたのだ。

ZakZakより

そこで、要所、つまり南北に戦車部隊を配置して残し、その間は機動性に勝る16式機動戦闘車で補うという防衛方針の転換が図られたのである。

74式戦車の退役は、そういった自衛隊側の事情によるところが大きいようだ。

部隊改編で機動力強化 陸上自衛隊岩手駐屯地に「第9偵察戦闘大隊」 74式戦車に代わり16式機動戦闘車を配備

2024年3月21日(木) 19:20

岩手県滝沢市の陸上自衛隊岩手駐屯地に配備される部隊が改編され、21日、新しい隊の旗=隊旗が授与されました。高い機動力をもった部隊として有事に備えます。

21日は岩手駐屯地で隊員266人が見守る中、白﨑日出海第9偵察戦闘大隊長にオレンジ色に大隊を示す2本の白線が入った新しい隊旗が授与されました。

~~略~~

これまでの74式戦車は公道は運搬車に載せて運ぶ必要があったのに比べ、16式機動戦闘車は火力はこれまでと同等でありながら時速100キロで公道を走行でき、広域での事態にも速やかに対応できます。

TBS NEWS DIGより

ただ、16式機動戦闘車には戦車と正面切って戦うだけの戦闘力はない。この辺りはアメリカ陸軍に配備された戦闘車両「M10ブッカー」と似たような話なのだろう。

「戦車」ではない? アメリカ陸軍の最新戦闘車両『M10ブッカー』の能力と目的とは【自衛隊新戦力図鑑】
4月18日、メリーランド州アバディーン試験場で命名式典が行なわれ、アメリカ陸軍は新型の戦闘車両を「M10 Booker(ブッカー)」と名付けた。装軌式の車体に大型の砲を搭載した姿は、一見すると戦車のよ...

これらの戦闘車両が何処まで有用であるかは疑問符が付けられる向きもあるが、他の兵器との兼ね合いもあるので一概に駄目という話ではないだろうと思う。まあ、僕自身は軍事のことも素人レベルの知識しかないので、アレが駄目、コレが良いなどという事はできないんだけど、ただ、そういう時期なんだなと認識したニュースだった。

コメント

  1. アバター 匿名 より:

    トップアタック可能な携帯対戦車ミサイルはアメリカのFMG-148 ジャベリン、イスラエルのスパイク、日本の01式軽対戦車誘導弾の三種。
    顔や目にピントが合うカメラの民生用技術の応用、恐るべし日本のカメラメーカー。

    • 木霊 木霊 より:

      ほうほう、アメリカのFMG-148 ジャベリン、イスラエルのスパイクまでは知っていましたが、日本の01式軽対戦車誘導弾は知りませんでした。勉強不足でした。
      なお、支那もHJ-12というアイテムを持っているみたいですが、コレが本当にトップアタック可能かどうかはイマイチ不明ですな。

      そして、カメラのピント合わせの技術はそんな場所に……。

  2. アバター 山童 より:

    AIで全自動の無人戦車を安価量産できんのですか。すでにイラク戦争の開始時に、キャタピラ式重機関銃の遠隔操作ロボットが発表されてました。
    ゲーム感覚でイラク兵を殺すと、ものすごい禍根を遺すからと国防総省は投入を許可しなかったのですが。
    こういうロボット歩兵みたく無人なら、
    居住空間いらないし、小型化できる。
    ロケット弾を積んだ小型自走式ロボット歩兵と、もう少し大型の奴を組んで投入すれば戦車隊の代わりになりません?
    そもそも戦車砲の砲撃戦はもう10kmや20kmは離れて行うとか。ならミサイルロボットで良きかと。

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