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フィリピン、支那の一帯一路構想からの離脱を鮮明に

アジア
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岸田氏GJ案件だね。

イタリアに続きフィリピンも、中国「一帯一路構想」を離脱する意向

2023年11月7日(火)17時50分

フィリピン政府は、国内の主要な3件の鉄道建設プロジェクトについて、中国からの資金援助を白紙に戻す意向を公式に示した。領有権問題などで両国の関係がぎくしゃくしていることが背景にあるが、フィリピン政府はアメリカや日本が主導する機関など、中国以外からの支援が確保できると自信を持っている。

Newsweekより

「金の切れ目が縁の切れ目」とはよく言ったもので、支那経済に大きく依存しているフィリピンではあるが、防衛面は日本やアメリカにお願いする方針に切り替えたようだ。

準同盟にまで拡大することが出来るのか

「弱い輪」のフィリピン

さて、先日のこの記事と関連するのが冒頭のニュースだ。

支那からのちょっかいにほとほと嫌気がさしていたフィリピンにとって、お金を出してくれるかも良く分からない支那に頼るよりは、確実にお人好しの日本に抱きついた方が得策であると判断したという意味だ。

フィリピン運輸省は同じリリースの中で、建設資金の調達先については自信を持っているとする、バウティスタの発言を伝えている。候補として、アメリカが主導する世界銀行、日本の国際協力機構(JICA)、および日米が最大の出資国であるアジア開発銀行(ADB)の名を挙げた。

さらに同運輸相は11月6日、記者会見の席上で、日本、インドおよび韓国から、すでにこれらの3つの鉄道路線に対する融資の申し出があったことを明らかにした。

Newsweekより

日本は集られることは確定したわけで、そこを「気に入らない」といって切り捨てることも出来るのだが、事は日本シーレーン防衛に大きく関わる話。

特にフィリピンは日本のシーレーンの脇に存在する国なので、日本としても押さえたおきたい。

石油や天然ガスを運ぶ海路(シーレーン)

というか、支那の海洋進出のラインを横切るように、日本のシーレーンが走っているのだから、対応をせざるを得ない。

公共事業インフラに対する支援

特に、地下鉄などの大規模な公共施設は日本が主要な融資国となっている。

日本は、フィリピン公共交通機関に対する主要な融資国の1つだ。2029年に開業予定の、同国初となるマニラ首都地下鉄計画にもすでに65億ドル以上の資金を提供している。また、マニラの高速鉄道網およびライトレール網の延伸事業にも融資を行なっている。

日本の岸田文雄首相は11月3日、2日間にわたるフィリピンを訪問。その主な目的は、両国間の防衛連携強化にあった。フィリピンは、日本が「同志国」向けに新たに立ち上げた、政府安全保障能力強化支援(OSA)プログラムから恩恵を受ける最初の国となった。岸田は、フィリピン海軍向けに6億円相当の沿岸監視レーダーシステムを供与するとの書簡に署名し、さらにその後、フィリピン沿岸警備隊向けに巡視船5隻の追加供与も決定した。

Newsweekより

安全保障を金で買うような感じの話ではあるが、実利を考えればそれも仕方があるまい。足下を見られるような事が無いように、外交で美味いこと立ち回るべきだろう。

何より、自分達が潤うという話に繋がるので、フィリピンの繁栄は寧ろ日本としても望むところだろう。

Giveの多い準同盟

で、フィリピンを日本の準同盟国とすることで更に関係強化を目論んでいる。

日比首脳会談 準同盟級の関係構築急げ

2023/11/5 05:00

日本とフィリピンが「準同盟」級の関係に向けて歩を進めたことを歓迎したい。

岸田文雄首相がフィリピンを訪問しマルコス大統領と会談した。両首脳は自衛隊と比軍の相互往来をスムーズにする「円滑化協定(RAA)」の交渉入りや、比軍への沿岸監視レーダーの無償供与で合意した。

~~略~~

両国はそれぞれ米国と同盟を結んでいる。日米比3カ国が協力して対中抑止力を高めていくことは重要だ。10月には米比海軍の合同演習に海上自衛隊も参加した。6月には海上保安庁など日米比の海上保安機関が初めて合同訓練を実施した。両首脳は会談で、米国も含めた3カ国の協力推進を確認した。

自由な海を守る上で重要なフィリピンとの協力を迅速に進めていきたい。

産経新聞より

オーストラリアやインドなどの大国と違って、フィリピンは経済規模こそ大きくなってきているものの、発展途上の国である。

日本としては持ち出しの方が多いことは確実で、「アレも足らない」「コレも足らない」となるだろう。それでも、支那に首輪を付けられるよりはマシである。

思えば、ボンボン・マルコス政権発足前のドゥテルテ政権の時には、支那の提唱する一帯一路に乗り込んで、開発のための資金を引き出そうとしていた。支那としてもフィリピンを抑えることはメリットは多かったのだろう。だが、余り上手くは行かなかったようだ。

フィリピン鉄道計画3件、中国の資金援助白紙に

2022年7月15日 18:12

フィリピン運輸省は15日、同国政府による鉄道建設計画3件について、中国による資金援助が白紙になったと明らかにした。建設費は計2760億ペソ(約6800億円)の見通し。

日本経済新聞より

うん、アレだ。インドネシアの高速鉄道より良いモノを提供しようじゃないか。何も早さや快適さだけが財産ではない。何より、インドネシア自身が維持し、改良できることこそが望まれる。それが出来るのは日本の強みだ。

空港工事も白紙

なお、このフィリピン鉄道計画に支那が資金援助する話が、何故唐突に白紙になったのかは、何処の報道機関も積極的に触れていないようだ。が、似たような話が。

フィリピンで中国企業受注の空港工事「突如白紙化」

2021.1.30(土)

フィリピンがルソン島マニラ首都圏南西郊のカビテ州で進めていたサングレー空港の拡張整備工事計画について、1月27日、地元カビテ州政府は、中国企業とフィリピン企業に決まっていた受注を白紙化することを明らかにした。

~~略~~

サングレー空港は元空軍基地で、近傍には海軍基地も存在するだけに、拡張工事に中国企業が関わることについて安全保障上の問題も指摘されていた。それだけに、今回の突然の白紙化が「CCCCという中国の事業主体」、あるいは「中国」の参画そのものの排除を意味するものなのか、それとも単純に手続き書類上の理由なのかを巡って謎が深まっている。

JB Pressより

この時は空港工事を支那に請け負って貰う予定だったが、唐突に計画が白紙になった。この後どうなったかというと、再び入札が行われたようだ。

サングレー空港拡張、企業連合の提案承認

2022年1月13日

フィリピンのマニラ首都圏近郊のカビテ州政府が、サングレー空港の拡張事業で企業連合SPIAデベロップメント・コンソーシアムの事業計画案を承認し、優先事業者に認定したことが分かった。コンソーシアムに参加する有力実業家ルシオ・タン氏率いるマクロアジアがマニラスタンダードの報道を認める形で12日に発表した。

総工費は109億米ドル(1兆2,570億円)を見込む。インクワイラーによると、事業計画案には、年間旅客処理能力を2,500万人に引き上げるための第1期整備計画や、滑走路を追加建設し、処理能力を年間7,500万人まで拡大する計画などが盛り込まれた。

コンソーシアムには、国内からマクロアジアのほか財閥ユチェンコ・グループ、実業家ルイス・ビラタ氏系の高速道路建設・運営会社カビテックス・ホールディングス、海外から韓国サムスン・グループの建設子会社サムスンC&T、独ミュンヘン空港を運営するミュンヘン・エアポート・インターナショナルなどが参加している。

NNA ASIAより

そして、フィリピン企業が受注し、コンソーシアムを作って外資からも資金を募るような感じになった。

そうすると、高速鉄道に関してもおそらくは国内企業に受注させたいという腹があるのだろうと予想できる。そうであるならば、日本が「より良い提案」というのを示してみせるのは、理にかなった話になる。

何にせよ、フィリピンの一帯一路離脱はかなり大きな意味がある。支那にとっても「顔に泥を塗られた!」くらいの勢いだろう。その立役者の一人となったのが岸田氏であったというのは、喜ばしい事ではある。例え、故人の敷いたレールの上を走っているだけだとしても、走る意志がなければ列車は進まない。こういった取り組みは、続けていって欲しいものである。

追記

朝鮮日報がコレに関する記事を出していた。

中国包囲網の形成を図る日本…フィリピンとは派兵含む準軍事同盟を推進

記事入力 : 2023/11/06 15:35

日本はフィリピンやマレーシアなど東南アジア諸国と外交面・軍事面での協力強化を通じ、中国の太平洋進出を阻止する「中国包囲網」を形成している。米国がウクライナ戦争やイスラエル・ハマス戦争で中国への対応に力を注げない状況が続く中、日本は「東南アジアの空白」を埋める役割を自ら果たそうとしているようだ。

~~略~~

日本は外交的な修辞にとどまらず、直接の軍事支援も打診している。同じ価値観を共有する「同志国」に殺傷兵器ではなく防衛装備を無償で支援するものだ。日本は今年フィリピンに総額6億円相当の沿岸監視レーダー5基を提供した。今年の無償支援対象国はフィリピンとマレーシアで、来年はベトナムとインドネシアに拡大する計画だ。

朝鮮日報より

日本のメディアの記事を多数引用しているが、韓国側から見ても支那包囲網を形成しているように見えるということだな。

こういう場合、支那が戦狼外交を展開してくるのが常なんだが、どうも元気が無い。今のところ、沈黙しているようだ。

中国、海洋問題で対立避けるべきと訴え 米国は名指しせず

2023年11月8日午後 2:45 GMT+9

中国の王毅外相は、海洋紛争は話し合いにより解決されるべきと述べ、対立は避けるべきだと強調したが、米国を名指しすることは控えた。

フィリピンや日米は、中国が南シナ海で攻撃的な行動を取っていると批判している。中国は南シナ海の大部分について権利を主張しており、フィリピンなどは強く反発している。

王外相は7日、海南で開催された海洋ガバナンスに関するシンポジウムで「歴史的な海洋紛争は、直接の当事者間の友好的な協議を通じて解決されるべきで、海洋問題での対立やゼロサムゲームは阻止されるべきだ」と述べた。

ロイターより

「対立は避けるべき」か。自分で原因を作り出しておいて、「対立するな」というのもどうかと思うが、今、事を荒立てたくはないのだろう。

しかし、支那の言う「友好的な協議」というのは、往々にして彼らにとっての時間稼ぎにしか過ぎない。

コメント

  1. アバター 河太郎 より:

    私しゃ岸田氏の評価は低いんですが、
    記事の件と、統一教会への法的措置と、
    ガザの米国案を棄権して口を濁して中立ぽく振る舞ったのは上出来と思います。
    んで、記事の件。バシー海峡はかつての太平洋戦争でも米軍に激しくやられた所で、シーレーン上のチョークポイントなんですね。ここ取られるとタンカーも穀物輸送船も遠回りを強いられるし、あらゆる意味で喉首を締め上げられる!
    なので木霊様の仰るように、タカられようと、こちら側に転がさないとマズい。
    後は原子力動力の潜水艦の記事で仰るていたように、空母化した護衛艦を中心にした艦隊を作りシーレーンを護る事ですね。万博で木造建築の為にさらに300億出してくれとか寝ぼけた事を言ってる偉いさんがいるけど、んな金あったら防衛予算に回せ! 寝ぼけた事を言ってるんじゃねぇ!

    • アバター 河太郎 より:

      あ、次コメから河太郎は山童に変化いたします。では。

    • 木霊 木霊 より:

      岸田政権の国内政策評価はかなり低い。それも、印象操作された感じの話が多いのは考えモノですが、まあしょうがないですよね。印象悪いですから。
      しかしやったことで見れば、国内政策もそこまで悪いわけじゃないんですよ。

      さておき、シーレーン防衛に力を入れることは、コレからも必要なことですから頑張って欲しいですね。

  2. アバター 七面鳥 より:

    岸田氏は、外交は結構上手いこと相手を転がすんですよね。
    この件は、かなりポイント高いと思うのですが……

    https://twitter.com/ca970008f4/status/1720653835038085307

    こんな動画、国内で見ませんよね。地上波で見た人居ますかね?

    • 木霊 木霊 より:

      求められていることを提供するのが外交の手腕の1つなんですが、概ね外していないところは評価したいところです。
      林氏を外務大臣においていた時代、散々攻撃されましたが、その部分も結果からするとそこまで致命的な外交はやってきませんでした。

      それでも、国民に対するメッセージを、もっと安心できるモノにしてくれれば、評価は高まるのに、とは思いますが。

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