あー、えっと、コレはちょっと分かりにくいかも。韓国空軍が運用するF-16系戦闘機は、主に2種類ある。片方の近代化改修をするよと言う話だね。
韓国空軍F-16C戦闘機、寿命を延ばす…2040年以降まで任務遂行
2023年11月7日 11:30
実戦配備から30年が過ぎた韓国空軍のF-16C戦闘機が改修によって2040年以降まで現役を続行できることになった。
AFPより
2025年から改修を初めて、2040年以降まで現役で使えるようにしたい！のだそうで。KF-21戦闘機を作らなきゃダメだし、忙しいな。
必要とされている近代化
F-16C完成品を輸入
ご存じKF-16戦闘機というのは、韓国空軍が運用する主力戦闘機であって、合計で170機ほど運用（7機ほど墜落しているが）している。
このF-16戦闘機を運用するようになった背景には、韓国空軍はF-16を運用する前に揃えていたF-4戦闘機とF-5戦闘機では物足りなくなって、一部完成品を輸入し、一部は国内でのノックダウン生産（一部はライセンス生産をしたようだ）をするに至った。
軍当局は1986～92年の戦力増強事業で導入したF-16Cの稼働年限が2030年ごろ到来するのを前に、戦闘機戦力の空白期間が生じないよう、昨年10月に改修で寿命を延ばす事業を進めることを決めた。
AFPより
そして、最初に輸入したのが30機のF-16C/D戦闘機（Block32：F-16Cを20機、F-16Dを10機）なのである。その後、ノックダウン生産した140機の「KF-16」と呼ばれる戦闘機は、アメリカ側のナンバリングでいえば、Block52（36機ノックダウン生産、72機＋20機ライセンス生産）にあたるわけだ。
韓国国内では、前者をF-16PB、後者をKF-16としているようだ。
KF-16の近代化改修はどうなったのか
なお、KF-16に関しては2012年頃に近代化改修の話が出ていて、色々トラブルがあった。コチラの記事にその当たりの経緯は説明している。
うんうん。リストだけ引用しておこうかな。
(KF-16の近代化プロセス)
- 2012年頃にKF-16の近代化改修によりAESAレーダーを搭載する案が持ち上がる。
- 2012年7月に、ロッキード・マーティン社とBAEシステムズ社２社が入札に応じた。
- 入札の結果、BAEシステムズ社が10億500万ドルで落札
- 2014年11月、BAEシステムズ社が、事業遅延に関する追加費用として2億8200万ドル請求。また、アメリカ政府は事業リスク管理費として4億7千ドルを請求。
- 実は韓国側はFMS（対外有償軍事援助）を通じて入札をしたが、何故か直接BAEシステムズ社に発注してしまった。そして、10億500万ドルで改修が完了すると思い込んでいたのだが、現実手にはFMSを通じて適切に管理されるために、政府側で管理費が、BAEシステムズ社としても見積もり通りではない部分の追加費用が発生したので、コレを請求したのである。
- アメリカ側の認識ではあくまでもFMSを通じての入札だったのだから、当然ながら管理費の支払いや、適切な追加費用の支払いを求める必要があるわけだが、韓国側の認識は直接依頼したのだから、入札価格でメンテナンス完了しろということだったらしい。
- しかし、韓国のKF-16が予想以上に酷い状態だったらしく、追加費用（7億5千万ドル）が発生。
- おそらく、部分的に故障したまま運用しており、それを「ついでに修理しろ」というようなふざけた話があったのだと推測されるが、事実は不明。
- 韓国側はBAEシステムズ社との契約を破棄。ロッキード・マーティン社に改修を依頼する運びとなった。
- 2020年2月、韓国政府はBAEシステムズを訴えるが棄却
- 2025年までに全アップグレードが終了する予定
順調にKF-16の近代化改修が出来ているのかは不明だが、数機は韓国空軍に納入されているっぽい。
韓国とオーストラリアの関係発展をどう見るか： アメリカ同盟国間軍事ネットワークへ組み込まれる韓国軍
2023/05/09
「ようやく実現した」「やっと韓国空軍が参加してくれた」。昨年11月上旬に筆者がオーストラリア出張した際に面談した元豪空軍関係者の口から出てきた言葉の数々だ。筆者が韓国とオーストラリアの関係について尋ねた話の流れで、同氏は万感の思いがこもった表情で豪空軍主催の多国間空軍合同演習「ピッチ・ブラック（Pitch Black）」に韓国空軍機が参加したことを喜んだ。
～～略～～
また、参加した戦闘機は近代化改修が施されたKF-16Uであることも注目だ。2019年から始まった同機の近代化改修事業により、ネットワーク戦に必要不可欠なデータリンクシステムであるLink-16が新たに装備された。当然ながら米空軍が想定するネットワーク戦の一翼を担う同盟国の空軍力の一部となることは確かだろう。
笹川平和財団より
良かった良かった。順調に進んでいるとなお良いね。KF-16Uが何機韓国空軍に納入されているか分かれば、またどこかで触れたいと思う。
F-16Cの近代化
で、本日のニュースは、置き去りになっていたF-16Cの近代化についてだ。既に部品取り機になっていた可能性も考えていたが、そうではなかった模様。
KOREA – F-16 IDENTIFICATION FRIEND OR FOE (IFF) & LINK 16 UPGRADES
WASHINGTON, March 30, 2020 – The State Department has made a determination approving a possible Foreign Military Sale to the Republic of Korea to upgrade its F-16 Block 32 aircraft with Mode 5 Identification Friend or Foe (IFF) and Link 16 Tactical Datalink (TDL) and related equipment for an estimated cost of $194 million. The Defense Security Cooperation Agency delivered the required certification notifying Congress of this possible sale today.
～～対訳～～
韓国 – F-16 の敵味方識別（IFF）とリンク 16 のアップグレードについて
2020年3月30日、ワシントン – 国務省は、韓国がF-16ブロック32の航空機にIFF（Identification Friend or Foe：敵味方識別）モード5とTDL（Tactical Datalink：戦術的データリンク）リンク16を搭載し、関連機器を1億9400万ドルでアップグレードするための対外軍事売却の可能性を承認する決定を下した。防衛安全保障協力庁は本日、この売却の可能性を議会に通知するために必要な証明書を提出した。
DSCAサイトより
恐らく冒頭のニュースに関わっているであろう話がこちらで、K-16Cの改修について「全くやっていなかった」と言うことではないんだろうけれども、今回は寿命を延ばす改修をやるようだ。
今年3～9月には先行研究で事業の妥当性などを調べ、国内で発注する方針を固めた。これはF-16Cが韓国軍に導入されて時間がたつため、国内で関連技術をカバーでき、部品確保も可能だからだという。
AFPより
が、どうやら韓国国内技術でやる模様。
つい先日も墜落しているので、頑張って更新しないと、改修する対象がなくなっちゃうぜ。
前回の失敗も踏まえて、よっぽど、アメリカに依頼するのが嫌になったんだろうと思われるんだけど、こんなことが出来るんだろうか？BAEシステムズ社ですら、韓国機のKF-16の近代化改修を投げてしまった（かなりお金がかかると言ったら、韓国軍側から切られた）んだが。
韓国国内企業の技術力的にも不安だが、F16C戦闘機の中を弄ることがアメリカ政府に許可されるのかも良く分からない。まあ、コレから検討するんだろうけれども、下調べしてから俎上に載せるべきだったんじゃないの。
コメント
こんにちわ。
日本もイーグル未だ使ってますが。汎用性が高いので。しかし、それは日本のメンテ技術の高さありてできる事！
新品ですらまともにメンテできず、ブラックボックスを勝手に開けて元に戻せないとか、そういう国にお色直しなんか出来るんてすかね？
こんにちは。
イーグルはしばらく現役ですよね。
ただ、J-MSIP機の近代化はなんとかなりそうですが、Pre-MSIP機はお役御免ということになりそうです。
一方の韓国側ですが、KF-16のライセンス生産をしていたそうですから、恐らく頑張ればメンテナンスやれるんじゃないですかね。
きっとKF-21の技術を詰め込んだ素晴らしい機体に（棒
F-15のエアフレームはチタン合金だけど、F-4・F-5・F-16・T-50系・KF-21のエアフレームはジュラルミンなのでちゃんと整備しないと腐食します。
どれだけアップデート出来るかな？
ライセンス生産していると豪語していますから、ある程度はできるのでは？とは思っています。
ジュラルミンは実際、扱いが結構面倒なんですよね。