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時間稼ぎをして土地バブル崩壊の犯人を捜す支那

中華人民共和国ニュース
この記事は約10分で読めます。

昨日、見かけて気になったニュースがこちら。

中国恒大、清算審理が12月4日に延期 再編計画巡り最後の猶予

2023年10月30日午後 4:55

香港高等法院(高裁)は30日、中国不動産大手の中国恒大集団を巡る清算申し立て審理を12月4日に延期した。同社は再編計画を打ち出せなければ清算に直面することになる。

ロイターより

恒大集団の清算申し立て審理を延期、ね。

犯人捜しが始まった

精算まかりならぬ

恒大集団が再編計画に苦しんでいる状況で、精算申し立て審理が延期されてしまった。

同社の代理人は30日、再編案の修正方針を裁判所に伝えた。関係筋によると、3月の再編計画案は債権者から十分な支持を得られなかった。

一方、主要債権者グループの代理人は、回収率は3%未満の清算シナリオよりも再編計画の方が高くなる可能性があるため、審理延期を支持すると述べた。

ロイターより

債権者にとっては少しでも多くの資産を回収したいという願いがあるので、今回のこの記事は「当たり前」のようにも感じられるのだけれど、恐らくこれは表面上の話だと思う。

何が「表面上」かというと、おそらくは香港高等法院には党本部から「延期しろ」という指示が出ているのだと、推測されるからだ。

だ・れ・にしようかな

実はこんな不穏なニュースがある。

習氏、中国不動産不況の「犯人捜し」を拡大

2023 年 10 月 26 日 15:33 JST

中国の不動産不況が景気回復を頓挫させる恐れがある中、習近平国家主席は責任を負わせる相手を探している。

時事通信より

時事通信が引用するのはウォールストリートジャーナルで、WSJは有料記事なので内容が読めない(時事通信も1行目しか読めない)のだが、タイトルだけでも不穏である。

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犯人はオマエだ!

おそらくは似た内容が書かれていると思われるのが現代ビジネスのこの記事だ。

習近平の暴走が止まらない…公務員幹部たちも「罪のなすりつけ合い」で機能不全!「経済オンチ」と「粛清」で始まった中国「大崩壊」のカウントダウン

10/19(木) 6:33配信

景気回復の“起爆剤”として期待されていた中国の大型連休「国慶節」が不発に終わり、失望の声があがっている。

Yahooニュースより

記事で最初に指摘しているのは、犯人の一人に仕立て上げられた許家印氏。

中国恒大集団の創業者逮捕か 「法律違反で強制措置」

2023年9月28日 22:08

経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団の創業者である許家印・董事局主席が中国当局に逮捕されたもようだ。同社が28日、許氏が拘束や逮捕を意味する「強制措置」を執られたと発表した。恒大は香港取引所での株式売買を同日から停止すると発表していた。経営の混乱に拍車がかかっている。

日本経済新聞より

逮捕されて犯行を認めさせれば、見事に一人、生け贄のできあがりである。おそらくは、冒頭のニュースの延期理由はこちらだろう。許家印氏を生け贄に捧げて「犯人」に仕立て上げられれば、人民の溜飲をある程度下げられる可能性があると認識しているのではないか。

許氏の立件は「企業が共産党の権力と手を組んで財を成す」という長年続いた利権の構図が崩れる端緒になる可能性が高い。今後バブルを引き起こした犯人探しがさかんになるだろうが、その責任は不動産開発企業にとどまらない。土地使用権をせっせと売却した地方政府や資金を大量に融通した銀行も共犯者だ。

Yahooニュースより

ただ、おそらくは生け贄は許家印氏一人では済まないだろう。記事にあるように銀行や地方政府からも、何人もの犯人が槍玉に挙がるだろうと予想される。

連鎖倒産は避けられない

問題は、業界トップの恒大集団だけではなく、3位の碧桂園も最早ギブアップという状況にあることで、他にもキビシイ局面に経たされている不動産開発企業は幾つもある。

20年余りにわたり、不動産は中国経済の比類なき成功を支えた成長エンジンだった。負債をてこに拡大の波に乗ったこのセクターは2019年には国内総生産(GDP)の4分の1に相当する52兆ドル(約7780兆円)規模に達した。世界中の投資家が殺到し、ドル建て債に1800億ドル以上を注ぎ込んだ。

だが、借金漬けの業界を抑制する政府の取り組みは劇的な結果を生んだ。不動産セクターは約1割縮小。中国株は新型コロナウイルス禍後の経済本格再開に伴う値上がりを全て帳消しにした。

Bloombergより

このBloombergの記事は、碧桂園の苦境に纏わる物語を紹介しているのだが、国内に13万人の雇用を創出した巨大企業が、今や負債で首が回らなくなっている。当然、雇用していた人々に対する賃金の未払い問題も発生している。

不動産開発企業を支えていたのは中流以上の人民の殆どで、富裕層に限らず中流階級の人々も無理をしてアパートを買うという不動産投資に興じていたために、不動産開発業が灰燼に帰すことになるとダメージは計り知れない。

全国不動産開発投資の成長率に関するグラフだが、直近で-9.1%という数字になっている。去年末は-10%という状況だったので、一時的に改善したモノの徐々に悪化の傾向にある事を示している。

問題は、総じてマイナス成長ということだね。つまり、不動産開発投資は冷め切っていて縮小を続けていることを意味する。

時間が経てば経つほどダメージは蓄積していく可能性が高い。経済の3割を支えていた不動産開発業の不振は、当然ながら支那経済に影響するハズなんだが。

先日も似たような記事を書いたが、数字として出てくるとなかなか恐ろしい。尤も、支那政府は「景気対策に好感」を持つに至る程度には回復してきているという分析をしているが。

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過去の事例はいくつもある

記事では、犯人捜しに躍起になると、人民が疑心暗鬼になり、サボタージュが横行するとしている。

中国共産党の手本であったソ連共産党は、テクノクラートの集団サボタージュのせいで崩壊したとの指摘がある。

当時のゴルバチョフ大統領の政策(ペレストロイカなど)が彼らのやる気を削ぎ、その結果、システム全体が機能しなくなってしまったというわけだ。

Yahooニュースより

その結果、国家が機能不全に陥ったのがソ連崩壊の切っ掛けになったと分析している。

この記事でも指摘しているが、支那では既にサボタージュが全国各地に広がっている。

過去最高の失業率だけど、就職しなくてもまったく困らない…中国で「寝そべり族」が増え続ける理由

2023.10.7

中国は、「ふしぎな国」である。

いまほど、中国が読みにくい時代はなく、かつ、今後ますます「ふしぎな国」になっていくであろう中国。

~~略~~

同月の若年層(16歳〜24歳)の失業率は、コロナ禍やウクライナ危機などの影響もあって、過去最高の19.9%に達した。要は必死に就職活動をしても、ロクな就職先は見つからないのである。

それでは、若者の側からすると、就職しないと生活に困るのか?まったく困らないのである。居心地のよい自宅や車があり、おまけに親の財産もある。激烈な競争社会へ突っ込んでいくよりも、「躺平」していた方が楽だし、幸せなのである。

現代ビジネスより

働いていない若者が社会に影響を及ぼす可能性は低いが、国内消費にとってはマイナスだ。が、問題は高級官僚や支那共産党員がやる気を失っていることである。

実は、土地バブルを支えていたのは支那共産党員達が中心で、それ故に余り騒ぎにはなっていない。が、彼らの収入の大半が吹き飛んだことが分かった時に、「何が起こるのか」を考えると、習近平氏も流石に怖くて「決断」ができないという構図になっている。

習近平氏が見て見ぬふりをしている以上は、支那共産党員達もそうするしかない。

いつになったら精算するのか

習近平氏としては犯人が十分に用意できたら、次は精算処理というようなことを考えているのかも知れないが、おそらくは上手くは行かない。

何故ならば、全体像が誰にも分からないからだ。

中国、隠れ債務返済へ地方政府に1400億ドルの債券発行認める=報道

2023年8月11日3:52 午後

中国は、地方政府のインフラ投資会社である融資平台(LGFV)の債務などバランスシートに掲載されない債務を返済するために地方政府が債券発行を通じて約1兆元(1400億ドル)を調達することを認めると、米ブルームバーグ・ニュースが複数の関係筋の話として11日に報じた。

ロイターより

8月には融資平台関連のニュースが出回っていたが、「バランスシートに記載されない債務」というのが存在する。残念ながら融資平台だけが問題ではなく。銀行にも一時期存在が問題視されていた理財商品という爆弾処理が残っている。

中国の理財商品の種類と投資家のリスク許容度について

2023/09/04

中国の理財商品のデフォルトが報じられている。ここでは、中国の理財商品について今一度整理しておく。

中国の理財商品(資産管理商品)は、2018年以降、機能別規制の下にある。銀証保の縦割り行政の中で、シャドーバンキングにおいて、いわゆる規制アービトラージが横行したことから、「金融機関の資産管理業務の規範化に関する指導意見」(2018年4月、人民銀行、銀保監会、証監会、外為管理局。以下、指導意見)は商品を組成・販売する金融機関の業態にかかわらず同じ機能の商品・サービスには同じ規制をかけることにした。

機能分類の一つは募集方式で、公募商品か私募商品かである。なお、私募は適格投資家向けで募集人数が200人まで、また宣伝不可である。

NRIより

2018年頃に騒がれた以降、ある程度は爆弾処理が終わったという認識でいる人も多いと思うが、実はそうでもない。

ところで、最近、恒大の理財商品のデフォルトのニュースがあった。この理財商品は、資金調達者が地方の金融取引所に登録して直接、非公開発行する「定融商品」という私募商品と見られる(ここまでで説明してきた分類には入り難い商品である)。通常の取引所(銀行間市場など)と比べると透明度は低い。恒大傘下の恒大財富を通して投資家に販売されており、今回の支払不能の公告も恒大財富が発表している。(調達資金は、恒大集団の事業に投入されていた。なお、同商品は2年前に支払不能になり、その後は返済をリスケするなどして今日に至っている)。

NRIより

不動産開発業と密接に絡んだ理財商品が幾つもあって、その額は把握し切れていないのである。記事では「返済をリスケする」としているが、要は冒頭の記事と同じで先延ばししているだけである。

ただ、先延ばしにすればするほど、経済の停滞は続く。指導部のやる気(財布)にも繋がっているだけにいつかは期限が来るんだけど、それが何時になるやら。雇用統計の悪化というのもその状況を示している(企業活動が停滞するので企業が雇用者を減らし、大量の失業者が生まれる)と言われているので、食えているうちは何とかなるのかもしれないけれど。

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追記

習近平「産め!」

中国の人口減少、習主席が懸念-女性団体に出産「文化」促進求める

2023年10月31日 17:20 JST

中国の人口減少に対する懸念を習近平国家主席が表明した。政府系の女性団体に対し出産「文化」を促進することで出生率を高める手助けをするよう呼びかける演説を30日に行った。

Bloombergより

遅いんじゃないかなぁ、かなり。

日本も支那のことをとやかく言えるほど状況が良いわけではないんだけど、支那の生産年齢人口はかなり目減りしている。

中国の出生率、昨年は過去最低の1.09=新聞

2023年8月16日9:27 午前

中国の毎日経済新聞は15日、中国人口・発展研究センターの推計を引用して同国の出生率が昨年に過去最低の1.09に下がったと報じた。人口が1億人の超える国の中では中国が最も低くなったという。

中国の出生率は既に、韓国、台湾、香港、シンガポールと並んで世界で最低圏内に入るとされていた。

ロイターより

既に方針を撤回した一人っ子政策の影響は今も大きく影響しているし、そもそも人口のデータが余り参考にならないことも問題ではあるんだが、出生率は順調に低下している。一人っ子政策を止めた段階で人口減少にブレーキがかかれば良かったんだけど、そうはならなかったんだよね。

不動産開発業の不振で遅延戦術をとっている場合なのか?というのは、こういう事実からも言えるんだよね。時間かけている場合じゃないと思うんだ。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    実際に、支那の国家債務がどれだけあるのかはもう掴めない。
    ナントカわかっていたつもりの以前から爆速で増えているだろうからね。
    いずれ旧ソ連のように、崩壊後にはじめて明らかになるのだろう、と思う。
    人口管理もうまくいかないね。減らせ(生むな)といわれたり、増やせといわれたり、母数がデカいから社会反動が大きいなぁ。
    また、武漢ウィルス騒動で、どれだけの支那人が落命したかもわからない。いまの総人口はたぶん14億人もいないでしょう。公式発表より1~2億人は少ないのでは、とみている。
    21世紀に、もはや支那の皇帝制度は機能しないんだろうね。

    • 木霊 木霊 より:

      支那の問題点は、データを重視する現代において支那共産党でさえも国内状況を把握できていない。管理し切れていないことですかね。
      全貌が把握できないと有効な対策になり得ません。

      武漢ウイルス感染症が広まって、アレが終息したかどうかも不明なんですが、問題は原因の特定が出来ていないことなんですよね。
      同じことではあるんですが、対策を打つにも原因の究明がやられていない(原因を特定した上で秘匿している可能性もありますが)ので、そこのリスクヘッジも海外としてはとらねばならない。海外投資が減るのは避けられないでしょう。

      人口に関しては、そもそも人口統計に載っていない人もかなりの数がいると言われています。死者数も不明ですが出生数も把握が出来ていない。まあ、そういう国だとしか。

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