いろいろと意見の出てきた昨日の記事。追記でまとめようとしたのだけれど、ちょっと上手くいかなかったので、別の角度からの記事を1つ。
アメリカ「つなぎ予算」、ウクライナ支援除外し一転可決…政府機関の一部閉鎖を土壇場で回避
2023/10/01 20:41
米議会の上下両院は9月30日午後(日本時間10月1日午前)、2024会計年度が始まる10月1日から11月17日までの政府資金を確保する暫定予算(つなぎ予算)案を可決した。バイデン大統領の署名で成立し、懸念されていた政府機関の一部閉鎖は土壇場で回避された。
読売新聞より
正直な話、ウクライナの継戦能力はアメリカの支援に支えられている。ここがポッキリ折れてしまうと、「西側諸国が支援を続けられるの?」ということになってしまう。
注:意図が伝わっていないと感じたために、文章を全体的に推敲し直しました。文章の順序など変わっております。頂いたコメントとの整合がとれない部分もあるかと思いますが、その点はご容赦ください。
アメリカの内情はややこしい
迷って見せるアメリカ
アメリカの悪癖というか、毎年のようにこの時期になると政府資金を巡って大騒ぎしてみせる。意図して起こしているわけではないのだろうが、この条件闘争は毎年のように周辺国に懸念を植え付ける要因にもなっている。
下院の採決結果は賛成335、反対91、上院は賛成88、反対9だった。いずれも超党派の支持を得た。
読売新聞より
今回はなんとか通過したようなのだけれど、つなぎ予算が付かずにアメリカの政府資金が尽きると、アフリカの政府機能が麻痺するなんて事態になる。過去にも政府の一部機能が閉鎖してしまったことがあった。
そのために毎年のように与党側がつなぎ予算案を提出して可決することで、「自転車運転」をするのがアメリカ議会の通例である。
で、今回揉めた理由がこれ。
つなぎ予算を巡っては、下院で多数派の共和党が9月29日に独自案をまとめたが、ウクライナ支援の減額や大幅な歳出削減を主張する保守強硬派21人が造反し、否決されていた。翌30日に改めてマッカーシー氏ら共和党指導部がウクライナ支援を除外した案をまとめ、超党派の合意に至った。民主党は当初、60億ドルの支援予算を盛り込むよう求めていた。
読売新聞より
意外なことに、共和党の方がこの手の戦争に費やす予算に関して反対を示すことが多い。ライフル協会にはホイホイと予算を付けたりするのに、不思議な話ではある。
共和党の考え方は一貫していて、自国の強化の為には予算をつぎ込むけれど、他国のことになると途端に渋る傾向にある。ウクライナはアメリカにとっても他人事といえないと思うんだけど、「外国の話」という認識があるんだろうね。
尤も、内情はもうちょっとややこしくて、共和党内部の「フリーダム・コーカス」という議員連盟の起こした騒ぎが根底にあるんだけど、これはさておこう。
割と好戦的な民主党
タカ派の共和党に対してハト派の民主党という印象があるが、多くのアメリカが始めた戦争は民主党が決断していて、別に戦争が嫌いというわけではない。
まあ、その事とウクライナ支援とは別の話で、前の記事でも触れたが自由主義陣営の立場的に支援をしないという選択肢は採りづらい。
バイデン氏は声明で「何百万人もの勤勉な米国民に無用な痛みを強いることになる不必要な危機が回避された」と歓迎する一方、保守強硬派が交渉を妨げたと非難した。ウクライナ支援に必要な追加資金を確保することも議会に求めた。
読売新聞より
バイデン氏も、現時点でウクライナ支援を止めるつもりはないようだ。
ハト派の民主党は、撤退戦が下手くそなので、こういうときの見極めは遅れる傾向にある。それでやらかした象徴的な事件がアフガニスタン撤退作戦(2021年)なんだけどね。
下院議長の解任動議が可決される
ただ、このつなぎ予算の話は、このまま済むような話ではなさそうだ。
米下院、マッカーシー議長の解任動議を可決 米国史上初
2023年10月4日 5:51 (2023年10月4日 10:52更新)
米連邦議会下院は3日、野党・共和党トップのマッカーシー議長の解任動議を与野党の賛成多数で可決した。下院議長の解任動議が可決するのは米国で初めて。与党・民主党の議員に加え、政府閉鎖を回避したつなぎ予算を巡る対応を問題視した共和の保守強硬派らが賛成に回った。
共和のマット・ゲーツ下院議員は2日、マッカーシー氏の議長解任動議を提出した。
日本経済新聞より
共和党保守強硬派のマット・ゲーツ氏(先出のフリーダム・コーカス所属の議員)の提出した解任動議が可決されてしまい、そうすると下院の立法作業が停止してしまう。つまり、議会が新たな予算案を可決でもしない限り、政府機関封鎖に繋がってしまう。
下院は、速やかに後任議長の選出をしなければならない状況になってしまった。
アメリカの内戦リスク
内戦リスクのあるアメリカ
で、ここからはちょっとトンでも話になりがちではあるが、アメリカで「内戦」という話になってしまうリスクもあるという。
「内戦に向かう国」の条件を満たす「アメリカの現状」
公開:2023-05-16 更新:2023-05-16
地政学・戦略学者の奥山真司が5月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。内戦に向かいつつあるアメリカの現状について解説した。
news.1242.comより
ラジオ放送の書き起こしなので全部引用してしまうと長くなるが、「国民の間に人種や文化で分断がある」という内戦の第2条件と、「成熟した民主主義から外れだしている」という第1条件にも当てはまるというアメリカの現状を指摘して、内戦発生の条件を満たしているのだという分析をした、内戦研究をしているバーバラ・ウォルター氏の著書を紹介している。
確かにアメリカでは極端な運動が多く、大統領選挙にまつわる国会議事堂襲撃事件(2021年1月6日)や、BLM運動に纏わる暴動(2020年5月以降)など、成熟した民主主義とは言えないような騒動も起きている。
こういった状況を鑑みると、バイデン氏としては外国に目を配ってばかりいるわけにも行かない。既に、2024年のアメリカ大統領選挙戦は始まっていて、またしても老人二人の殴り合い選挙になりそうな状況になっている。
Civil War:内戦について
注:この一節は追記から移植しています。
ここで、内戦の定義について少し。
国家の領域内で対立する勢力によって引き起こされる政府と非政府による組織の武力紛争を指す、とWikiには書かれているんだけど、基本的には「政府と非政府組織による闘争」であり、「武力を用いる形態に発展した事象」が内戦扱いになり、暴動の範囲内ならば内乱という扱いらしい。
きたるべきアメリカにおける「内戦(シビル・ウォー)」
2022.1.18
ペロシ下院議長の招きで、今年のバイデン大統領による一般教書演説は3月1日に決まった。3月に実施されるのは記録上、初めてのことである。ビルド・バック・ベター(BBB)法案をめぐる雲行きが怪しく、オミクロン株によるコロナウイルス感染急拡大の真っ只中で、「連邦の状態(state of the union)」を議会に対して報告するタイミングとして、例年通りの1月後半は、むしろバイデン政権の行き詰まり具合を際立たせてしまうという判断からだろう。バイデン政権が発足してちょうど一年。いまバイデン政権はきわめて厳しい局面に立たされている。
~~略~~
しかし、あれから一年、トランプ前大統領が消えていく気配は一向にない。いまだかつて現職大統領が大統領選挙で敗退した後、ここまで存在感を示した例はなかっただろう。
笹川平和財団のサイトより
こちらの記事も、バーバラ・ウォルター氏の著によるもので、アメリカ+内戦で検索すると、この人の書いた話をベースにした記事がいくつかヒットする。
彼女の言葉を借りるならば、心配される内戦はアメリカ南北戦争(1861年4月12日~1865年5月9日)のような、アメリカ全土を巻き込んだ大きな戦争を指しているのではない。ただ、バイデン政権の求心力が高まらず、アメリカが二分されたままなので、カリスマ元大統領のトランプ氏一派が、実力行使に出ると危険だという話に帰結する。
政府が軍隊を用いて国民を制圧するような事態は、案外アメリカ内部にはリスクとして積み上がっているのだ。
政府と非政府組織との闘争の構図
注:この一節は追記から移植しています。
確かに、大統領選挙にトランプ氏が出馬して選挙に負けた場合、その支持者が暴徒化して政府に立ち向かうような事態を迎えるとかなり危険だし、前回の大統領選挙の結果、その一歩手前まで行ってしまったのが国会議事堂襲撃事件(2021年1月6日)である。
一方、BLM運動に関わる暴動は、トランプ政権下で発生し、暴徒たちは各地の警察署を襲撃して火を放つような事態を迎えた。あれも暴動鎮圧に州兵出動というような事態を招いた。
米各地で抗議激化、黒人男性殺害と「もはや関係なくなっている」と州知事
2020年5月31日
黒人男性が白人警官に殺害された事件を受けて、ホワイトハウス前でも抗議する人たちがシークレットサービスともみ合うなど、抗議と騒乱が全米各地で相次いでいる。そうした中で事件の起きたミネソタ州の州知事は30日、州内の騒乱がもはや男性殺害と「何も関係ないものになっている」と述べ、州兵全員を動員するという異例の措置をとると発表した。
BBCより
幸いにも州兵と暴徒が衝突する様なアホらしい事態にはならなかったが、旗振り役のカリスマが居て徹底抗戦するような事態になれば内戦突入なんて展開もありえた。
どうにも民主主義の安定性に欠ける感じに展開になっているのが、今のアメリカの現状なのである。
アメリカを悩ませる移民問題
増える亡命支那人がスパイ行為を?!
更に、このブログでは既に触れていたと思うが、アメリカの移民問題も少々困ったことになりつつある。移民問題と言うよりは、スパイ問題かもしれないが。
アメリカへ“亡命”目指す中国人が急増? いったいなぜ?
2023年7月12日
「さらに多くの中国人がアメリカを目指すと思う」
こう話すのはアメリカへの“亡命”を目指し、ことし2月にメキシコ国境を越えた中国人の男性です。
ことしに入って5月までにメキシコとの国境付近で摘発された中国人は1万人超。 去年の同じ時期の17倍に上っています。
NHKより
アメリカに「亡命」してくる支那人が増えていて、彼らの一部がスパイ活動に手を貸している疑いがあるという話。
内部で壊れつつあるというのは、こうした活動家が増えてきていることと無関係ではない。
そして、この「移民問題」についても、与党民主党と野党共和党の間で争いがあり、今回の下院議長の解任動機を提出した「フリーダム・コーカス」の主張にも繋がる話になっている。
最初は移民問題を甘く見ていたバイデン氏
注:この一節は追加しました。
そもそも、「不法移民の入国を阻止しろ!」「壁を建設する!」と、荒唐無稽だと思えるような主張をして、それを完成する目前まで漕ぎ着けていたのが前アメリカ大統領のトランプ氏である。
このトランプ大統領時代は、上述した支那人移民問題はさほど大きな問題ではなかったのだが、メキシコから流入する不法移民に頭を悩ませていたのは事実で、これを「労働力確保」の目的で放置し続けた為に、アメリカの治安を悪化させるような状況に繋がっていた。
概ね共和党の他の議員もトランプ氏の認識を共有していた。
ところが、これに反対の姿勢を見せていたのがバイデン氏率いる民主党である。
「自由の国アメリカは移民の受け容れにも寛容たれ!」というのが彼らの主張のようなのだが、これがかなり的外れだったことは、バイデン政権が始まって直ぐに露呈する。
米政府、トランプ政権の移民政策を復活へ バイデン氏に非難
2021年12月3日
米政府は2日、ドナルド・トランプ前大統領が導入し、ジョー・バイデン大統領が就任後に撤回した移民政策「メキシコ待機」プログラムを再開すると明らかにした。この政策は、亡命を希望する移民を、申請手続きを行う間メキシコ側に待機させるもので、治安の悪い環境に移民が置かれることが問題となっていた。再開をめぐり、バイデン氏を非難する声が上がっている。
BBCより
やむなくバイデン氏も自らの誤りを認めて、方針を一部修正したのだが……。
バイデン政権の不法移民対策に「待った」 米地裁
2023/7/26 09:09
バイデン米政権が5月に不法移民対策として導入した亡命申請手続きの厳格化措置について、西部カリフォルニア州の連邦地裁は25日、非正規ルートで国境を越えた人であっても亡命の申請は認められるとして、同措置が米国内法に違反しているとの判決を下した。減少していた不法移民の流入が再び増加に転じる可能性もあり、2024年大統領選で再選を目指すバイデン大統領にとっては打撃となる。
産経新聞より
やっぱり方針が甘くて今年になって更にこの問題は炎上していく。
トランプ氏の目玉政策であった国境の壁は、バイデン氏も完成させることにしたのと、メキシコ大気プログラムの再開を決めたので、ある程度国境問題に対応していますよ的なアピールをしたのだけれど、やっぱり甘かった。
不法に国境を越えて亡命申請した人は、その申請を認めるという方針を採っていたお陰で、上述した支那人亡命を増やしてしまったんだよね。これを阻止するために5月になってから亡命手続きの厳格化を決めたんだけど、今度はこれが違法だと提訴する市民団体の活動によって、手続き厳格化が無効化される方向に向かっちゃった。
スパイ行為が可視化する
注:この一節は後から追加しています。
で、こうした支那人亡命問題は、こんな話と繋がっている可能性がある。
中国人観光客が米軍基地に不法侵入多発、「スパイ活動」の疑い
2023.09.05
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は9月4日、米軍基地やその他の施設に、観光客と名乗る中国人グループが侵入した事例が米当局によって100件も記録されていると報じた。
WSJによると、米国防総省や連邦捜査局(FBI)などの機関は「ゲートクラッシャー」と呼ばれるこのような不法侵入を制限するための調査を実施しているという。
ゲートクラッシュの例としては、中国人らがニューメキシコのミサイル発射場に侵入したり、中国人のスキューバダイバーがフロリダのロケット発射場の近くで泳いでいた例が挙げられている。
その中には、中国人らがGoogleマップの案内に従って米軍基地内のマクドナルドを目指した事件があったが、より深刻な例としては、アラスカの陸軍基地で、基地内のホテルを予約していると主張して警備員を押し切ろうとした中国人のグループの例が報告されている。
forbesjapan.comより
記事のタイトルは「支那人観光客が米軍基地に不法侵入多発」とあるんだけど、記事中にもあるように、正確には「観光客と名乗る支那人グループ」である。
中国の国家安全保障省は8月、CIAと接触していた軍需産業の中国人社員(52)をスパイ行為で摘発したと発表した。この社員は留学先のイタリアで知り合ったCIA職員と親しくなり、軍事機密を提供していたという。この社員の逮捕の1週間前に、米当局は、米軍の機密情報を中国に送信した容疑でアメリカ海軍の水兵2人を逮捕していた。
forbesjapan.comより
身元のしっかりした人物もスパイ行為をしているようだが、身元の怪しい人物のほうは捕捉できていないんじゃないか、という風に感じる。
スパイ行為だけでなく、暴動を煽るなどの工作を行っている疑いがあるという話は、BLM運動の時にも囁かれていたのだが、どうにもこうした一連の話を考えていくと、移民問題というのは思っている以上に深刻な問題であるように思える。
ウクライナ支援危機
アメリカが折れると支援は続けられるのか
問題は、こうしたアメリカ内部の問題が容易に外国に伝播するということと、西側諸国も別の問題を抱えていて、ややもすればウクライナ支援処ではなくなってしまうと言う点である。
イギリス ウォレス国防相が辞任 ウクライナへの軍事支援を主導
2023年9月1日 8時39分
イギリスで4年余りにわたって国防相を務めたウォレス国防相が31日、辞任しました。ウクライナへの軍事支援などを主導しましたが、辞任の理由について「家族との時間を犠牲にした」としています。
53歳のウォレス氏は陸軍の出身で、2005年に国会議員に初当選したあと、2019年、当時のジョンソン首相から国防相に任命され、3人の首相のもとで4年余りにわたって国防相を務めてきました。
NHKニュースより
このウォレス氏、7月にはこんな発言をして有名になった。
イギリス国防相「Amazonではない」 武器求めるウクライナに苦言
2023/7/14 09:44(最終更新 7/14 11:55)
英国のウォレス国防相は12日、ロシアの侵攻を受けるウクライナから次々と武器供与を求められる状況に苦言を呈し、「英国は(米インターネット通販大手)アマゾン(・コム)ではない」とウクライナ側に不満を伝えたことを明らかにした。ロイター通信などが伝えた。北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が開かれたリトアニアで語った。
毎日新聞より
今のところ、国防大臣が交代したイギリスがウクライナ支援から撤退するという動きは出ていない。だが、厭戦感が出てきていることは疑いようは無いだろう。
ドイツやフランスなども積極的な支援姿勢を見せてはいるが、政権基盤的な問題で果たして継続ができるのか?という不安は出てきている。イタリアはちょっと危ない感じになってきた。
ポーランドの爆弾発言
そしてそれよりも目立ったのがポーランドである。
「ウクライナに武器供与しない」ポーランドの爆弾発言でドイツが大慌て
2023.9.28(木)
・「ウクライナに対して今後武器供与しない」というポーランドのモラヴィエツキ首相による発言が世界に波紋を起こしている。
・大慌てなのが、ポーランドによるドイツ製最新鋭戦車レオパルト2の供与を認めてきたドイツだ。
・ドイツにとってポーランドによる武器供与は、ロシア、そしてロシアとつながる中国による影響力拡大からドイツを守る「生命線」だからだ。
JB Pressより
政治的なパフォーマンスのような印象は強いが、それでもこうした発言はタブーではなくなりつつある。ここでアメリカが「やーめた」というと、それこそ支援継続はかなり怪しくなる感じだ。
ポーランドという国は、東側の一員であったこともあって割と共産主義との親和性が高い土壌にある。そして、それは独裁に繋がりやすいという事を意味する。
独裁国家ポーランドを一転して称賛する欧米の道徳的矛盾
2022/03/31 19:00
今後の経済を見通すうえで不可欠な視座を提供する連載「ホットイシュー」。今回の筆者、マシエジ・キシロウスキ氏(Maciej Kisilowski)は、ポーランド出身の学者で、中央ヨーロッパ大学法学・公共経営学准教授。トルコやベネズエラで過去に行ったのと同様、西側の指導者がポーランドの独裁政権を強力に支援し始めている状況に警鐘を鳴らす。
会社四季報より
このブログに訪れてくれている人ならば、「お笑い韓国軍」の記事には触れたことがあると思う。その中で人気があるのがK2戦車やK9自走砲なのだが、ポーランドはこれを「大人買い」したことは既に説明した通り。
ポーランドは今や軍事力を急激に強化している国なのである。民主主義を標榜するが、その実は独裁色の強い国のポーランドは、祖国防衛のためにウクライナ支援を決め、国内の軍事力強化に説得力を持たせた。欧州はこの決断を支持した。
だが、ここへ来て「ウクライナ支援?そんな事より自国強化だ」とやったので、大騒ぎになったのである。しかし蓋を開けてみるまでもなく、ウクライナ支援国は何れも同床異夢で暫定的に共同歩調を取っているに過ぎない。
いつまでも同じ方向を見ているとは限らないという事実を、国際社会に突きつけたのである。
タイムリミット
そんなわけで、ウクライナには好むと好まざるとタイムリミットを突きつけられている。国内的な問題で、徴兵の維持が難しくなりつつあるだとか、厭戦感が広がりつつあるだとか、そういう話もあるんだろうとは思う。だが、アメリカの国内問題の方が国内的な問題よりもコントロールできないという意味で、戦々恐々としていると思う。
つまり、ウクライナにとってのタイムリミットは、アメリカ大統領選の開票日である可能性が出てきている。まあ、その前につなぎ予算が通らなかった場合とか、内戦勃発みたいな状況が起きてしまうとそれも大きな影響になると思うので、まずは年内にも恐ろしい状況になりかねない。
トランプ大統領が復活すると、「ウクライナへの支援をばっさり打ち切る!」などということを言い出しかねない。
コラム:トランプ氏「返り咲き」なら外交予測不能に、同盟国警戒
2023年6月17日8:26 午前
トランプ前米大統領は今年3月に自身のウェブサイトへの投稿で、来年の大統領選に勝利すればウクライナでの戦争を終わらせ、ロシアとの対立に終止符を打つとともに「私の政権で始めた北大西洋条約機構(NATO)の目的の根本的な見直し作業を完成させる」と約束した。
~~略~~
トランプ氏は3月に「ウクライナで毎日代理戦争が続き、われわれは世界戦争の危険を冒している。われわれの目的は『直ちに』互いが敵意を完全に捨て去るようにすることだとはっきりさせなければならない。われわれに必要なのは即時の『平和』だ」とも訴えた。
ロイターより
おそらくは、トランプ氏はウクライナに譲歩を迫って、その見返りにロシアに侵攻を止めろと迫るだろう。そうでなければアメリカ軍介入だと、脅すくらいはするはずだ。
とまあ、そんなわけで、前回の記事のように理想論を語る上で、バックボーンたる現実を見つめる必要がある。そうすると、ウクライナとしては、現状においてなかなか厳しい判断を求められていると言えよう。
……実のところ、前回のこちらの記事でコメントいただいたことを、だいたい整理した感じだけの記事になったのだけれど、それが狙いなのでご容赦を願いたい。
コメント
内戦リスク)
夢話でなく、現実に出てきてますよ。
カリフォルニア州って、レフトの州ってイメージですよね? でも、本当に左なのはサンフランシスコからLAへのラインかつ、海岸線から100km圏内の話。都市部でない北半分は真赤な保守派です。で、ここでミリシアを中心とした保守派がシェラスタ郡の左派首長をリコール選挙したんですが成功します。それが今、
カリフォルニア州からの分離独立運動に発展してる。「ジェファーソン州」という
新しい州の設立を目指すもので、USAからの分離独立ではありません。
オレゴン州などもポーランド周辺地域が都市で人口が多いが故に左派が主だが……
オレゴン州の田舎つまり、州の半分の東側、アイダホ州側は福音派の影響力がある保守です。ここはオレゴンから出て、同じ宗教勢力の強いアイダホ州への参入を求めている。どこまで成功するのか解らないが、ポリコレやり過ぎた結果。
そこに来て、フェンタニルあるしょ。これは国境を超えてくる中国人不法入国とも関係してると想う。フェンタニルの原料供給ってあそこですもの。そもそもメキシコからのアレってウエットバック言われる(リオ・グランデ河を泳いで渡るから)メキシカンでしたが今じゃ中国。
麻薬と繋がるのは都市部のストリートギャングですが、基本的に彼らは自分のシマを出ないのてすが、万引き目溢し法のお陰で、それを捌く為の横断的な繋がりを作り出してる。
ネットが今はありますからね。リスク少ないコンタクトが出来る。
大手小売業者の撤退、零細の小売業者の廃業。その為に食品が入手できなくなってきていて、シカゴなど一部の地域では
郵便配達が停止してる(危険の為)。
ようは物流ストップによる飢えてあって、
基本的な原因はアフリカの飢餓と同じ。
この状況、今はミリシアとギャングが地域的な棲み分けしてるからぶつからないけれど、状況が長引けば解らない。
困った事にギャングもミリシアのプアホワイトも同じ貧困層で、しかし人種対立の争点みたいな連中でしょう?
都市部も田舎も麻薬が特に酷い。そこが接点になると想うですが。これらが衝突し始めると、米国中の都市や郊外が、かつてのアイルランドのベスファルトみたくなるんでは??
ウクライナがどうとか言ってる場合ではないと思いますけれどね。
米国の都市で戒厳令が頻発して、実質的な内戦状態になった時、米国の空白が日本の安全にもたらす危機は、ウクライナどうこう言うレベルとは思えない。
ウクライナに妥協させて即時停戦すべきと思いますけれどね。
アメリカ内戦の危惧で、トンでも話にされる原因って、皆が南北戦争のような国が真っ二つに割れる内戦を想定しているからですね。
しかし、国の統治が及ばない無政府化という形の内紛もある訳ですよ。
例の950$以下の…万引き法案に、麻薬とギャングとミリシア。各地でモールが襲われ、自警団が衝突し…ってなると警察じゃ鎮圧できない。地方都市の警察は、ポリコレと予算縮小で、実働できる範囲が狭まってます。下手に強盗や売人を捉えると、そいつが移民系であった時に「オーバーな対応で差別だ」と、警官が裁かれかねない。今でもそうだもの。
いざ鎌倉な時に、各地の州知事は戒厳令と州兵出動せざる得ない。
いくら米国が広いっても、十数の州で同時多発にコレが起きたら、連邦政府としては海外なんかに構ってる余力はないでせう。日本の報道は米国の力について買い被り過ぎなんですよ。私や私から上の、昭和世代は米国を崇めてますから。
でも平成が人生の大半だった世代の方なら、米国の衰退は冷静に見れると思ってるのですが。
こないだのフランスの騒ぎと混同して欲しくないのは、米国には総人口の3倍の銃器がある現実です。
拳銃やショットガンはスーパーで成年なら簡単に買える。
ガンショップなら、セミオートなら
M4アサルトライフルが買えるし、
ガンスミスに頼めば、簡単にフルオートにもバーストにも改造できる。
フランスの暴動とは火力が違う。
色々示唆に富んだコメントを頂きまして、どうお応えするかは迷ったのですが。
取り敢えずは、記事の構成をもう少し丁寧になるように見直しました。
コメントの続きはまた後ほど。
木霊様、中立な視点ながら、論旨を組んで頂き、
むしろ代弁して頂いた感が有ります。
トランプ再選や米国内戦は仮定の話ではある。
しかし、そこがウ.ロの戦力うんぬんより大きなカードである以上、大統領選が時限なんですよね。そこ明確にして頂いて、持論の甘さを教えて頂きました。
で、そのタイムリットについて。バイデンや民主党候補が当選して、ウクライナへの支援を続けるかも知れない。しかし逆かも知れない。
だとすると、トランプ敗戦時に内乱さらに内戦となったら、ウクライナは終わりですね。
つー、ことは「全てが無に帰する」訳です。
そのリスクを犯すくらいなら、妥協させて、ウクライナも支援国もロシアも「三方一両損」で収めるのが現実的てある旨が、木霊様の冷静な記事なら読み取れる!!
流石は文章を生業とするプロなだけある!
んで、ここに来て、あくまでウクライナの完勝に拘るのは、「そりゃハイリスク.ハイリターンの賭けですよ」って話です。
どちらを選ぶかは個々の思想や思考によります。
ただ、「危険な賭け」を喜ぶのはゼレンスキーだけなんでないの??
それが私の言い分です。
皆様や世間に受け入れて貰えるかは別として、
木霊様の訂正記事を読む事で、私のモヤモヤをきちんと言語化できました。バカな読者ですが、
いつも誠実にお答え頂き感謝に耐えません。
木霊様万歳!
とても満足な記事でした。私の意見は木霊様のお考えとは相容れない。
にも関わらず、冷静に分析して、中立なまま満足ゆく説明をして下さった。ここから先は、それぞれの信念や思想や思考による判断なので、どちらが良いのか解りません。ただ、私は「最善は存在せず、次善があるのみである」という考え方なので、ウクライナにはクリミアを諦めろ!です。
おはようございます、
ウクライナ支援は国際支援なので、ひとたび内部で反対気運が出始めると、支援国間で脚の引っ張り合いが生じてしまうのが頭痛の種です。
自分は実際の軍事に無知なので、いまのウクライナの戦況と見通しがどういうものか分かりません。昨日拝聴した軍事専門家(元自衛隊陸将)の解説に拠れば、ウクライナ軍が戦略目標を達成するまで、まだ3~5年くらいはかかるだろうとのことです。
https://www.youtube.com/watch?v=0D-g6uTWuAk
そうだとすれば、”支援疲れ”などと言ってる場合ではないですね。まだまだ先は長そう。しかし、武器も予算も、今後さらにどのくらい必要かさえわからなければ、ウクライナ支援国の中には二の足を踏むところも出てくる。いまはこんな状態でしょうか。
こんにちは。
国際支援というのはなかなか継続が難しいものですから、仕方がない面はあると思います。それでもウクライナが未だに支持されているのは、自らが血を流して戦っているからなんでしょう。
余裕があるから支援が出来るので、余裕がなくなるとどうしても外国支援というのは国内の理解が得られない。長く続けられるものではないと思いますよ。
こんにちは。
>ハト派の民主党は、撤退戦が下手くそなので
その割には、ものすごく大事な決断をあっさりと、それこそ自分の都合だけで決めたりしますよね。
正直な話、オバマの「世界の警察辞めた」発言(とそれ以降の政策)、これがその後の世界の混乱の引き金であり、収拾付けられない事態の根本だと思ってます。
じゃあ共和党かというと、例えばトランプ氏は徹頭徹尾アメリカ第一主義なので、
>ウクライナに譲歩を迫って、その見返りにロシアに侵攻を止めろと迫る
この可能性が非常に高く、結果として「力による国境の変更」を認めたに等しくなってしまう。
※その意味で、トランプ氏の手綱を引ける安倍元総理の存在は大きかった、のですが……
アメリカ人は、本当に世界が見えてないヤツが多い印象です。
別件ですが、「横須賀で、出航する軍艦をお辞儀して見送る作業員」の写真に「日本の良い影響を受けた」としてアップした記事があったのですが、これのコメントに「アメリカは誰にも頭を下げない!」とかいきり立ってるのが散見されて、そういう話じゃねーだろ、って噴飯ものでした。
内戦リスクというか、カリフォルニアとか「石北会系」の地域で意に反して貧困層が増大、モラルが低下、その他諸々問題が噴出しており、都市崩壊待ったなしみたいでもありますし。
※950ドル未満の万引きは軽犯罪とか、それを止めようとした従業員が告訴されるとか、何一つ理解出来ない。
日本も現状はたいがいですが、欧米はもっと(悪い意味で)先を行っている。
自由主義国は国民に強権発動出来ないから、その意味では本当に弱いですよね、左派の蔓延にも、左派を操る工作にも。
アメリカは、自己都合で色々な政策を決めるジャイアン国家ですから、共和党、民主党に限らずヤバイですね。
トランプ氏が大統領になれば、どのような展開があるのか?というのはちょっと読めません。平気でミサイルをぶち込む決定をして見せたかと思えば、特に地上戦投入は慎重になったりします。短期決戦ですりつぶせると判断すればやると思いますが、ウクライナも戦いにくい土地柄ですからねぇ。
内戦リスクに関しては、なかなか難しい評価なんですよ。
ご指摘のような内乱は起こる確率は高いと見積もっていますが、内戦はそこまで高くないという個人的な感想ではあります。それでも、リスクがあるのは現実なんですよね。
日本はつくづく平和な国だなとは思いますが、川崎市の状況なんか見ていると心配がないわけでは。