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潜水艇タイタンの事故は「ロシアンルーレット」だった

北米ニュース
この記事は約10分で読めます。

リクエストを貰ったんで、潜水艇タイタンについて軽く触れていきたいと思う。

潜水艇タイタン悲劇の責任は誰が取る──オーシャンゲートを相手に訴訟を起こすのは困難、遺族は誰を責めればいい?

2023年6月27日(火)13時10分

<「たとえ死んでも責任は問わない」そんな免責同意書に乗員乗客全員の署名を求めたオーシャンゲート社を遺族が訴えて勝てるのか>

今回のように極めてハイリスクな探検ツアーで事故が発生した場合、最終的に責任を負うのは誰なのか。また、遺族は運営会社に対して訴訟を起こすことができるのか――。

Newsweekより

一連のニュースを読んで、感想を1つ。「あ、これ、ウイングスーツ案件だ」ということ。

潜水艇タイタンが円筒構造を採用したことが信じられない

その円筒部分が炭素繊維強化プラスチック製だったことが更に信じられない

疲労破壊を検査する方法が無かったことをスルーした事実が信じられない

危険は承知だった?本当に?

世界一危険なスポーツ?

少し脱線するが、ウイングスーツの動画を1つ紹介しておこう。

何とも危険なスポーツではあるが、一部で絶大な人気があるようだ。いや、スポーツと言うよりは自殺だよね。似たようなアトラクションとしてはバンジージャンプがあるが、あっちの方が数倍安全である。

なお、着地にはパラシュートを使うようだが、時速200km以上の速度が出るのだから、一瞬の判断ミスで命を落とす。

豆知識的な話を披露しておくと、大気圏内での自由落下は空気抵抗とのバランスで速度の上限が決まってくる。例えばスカイダイビングのベリーフライ(俯せの姿勢)だと概ね200km/hが上限。頭を下にした姿勢だと空気抵抗がなくなるので300km/h程度まで上がるが、それ以上の加速は難しい。

潜水艇「タイタン」

さて、タイタニック……ではなくてタイタンの話に戻っていこう。ギリシャ神話でタイタン、或いはティターンと言えば巨人族の神である。狭義には、ウラノスとガイアの間に生まれた12柱の神々の兄弟を指すので、海の神のオノケアス辺りが潜水艦の名前としては良かったような気もするが……。

どうやら開発時に付けられたのがサイクロプスだったので、巨人繋がりでタイタンと命名されたようだね。

ともあれ潜水艇である。

潜水艇のハズなのだが、何故かこんな形をしている。機械工学を囓っている方であれば、違和感を覚える形だ。

深海に眠るタイタニック号

何故ならば、見物に行くハズの先は深海に眠っているハズのタイタニック号だからである。

皆さんご存じタイタニック号は1912年4月14日に沈没した豪華客船で、水深3,810mの場所に今も静かに眠っている。

海底に発見されたのは1985年9月1日のこと。アメリカ海軍が極秘ミッション中に見つけたとされているが、それ以降も熱心な研究者やファンが海底を訪れることになる。

腐食による崩壊が進んでいるので、数十年後には崩壊するのではないかという観測もある。

それ故に、訪れたいと思う人が後を絶たないわけだ。

深海4000mに潜るためには

それなりに年配の日本人であれば、深海3,600m潜ると言われて思い出す船体があると思う。「しんかい2000」だ。

日本が開発した有名な潜水艇「しんかい2000」だが、既に役割を終えて、現在はJAMSTECにより建造された「しんかい6500」や「かいこう7000」などが任務を引き継いでいる。

内部構造の分かりやすい写真があったのでこちらも紹介しておこう。整備中の「しんかい6500」の写真である。

基本構造は「しんかい2000」に似て、球体の耐圧殻(内径2m、床面1.2mで厚みは73.5mm)と呼ばれる部分が人の乗り込むスペースである。パイロット2名+研究者1名が基本らしい。

驚きのタイタンの構造

ところが、潜水艇「タイタン」の内部構造が公開されているのだが、これが驚きの形状であった。

円筒形状かよ!

なかなかのコンセプトだな!

チューブ構造の円筒部内径は1.4mで肉厚は17.8cmなんだとか。前後の球体はチタン製であるのに対し、円筒部分はなんと!炭素繊維強化プラスチック製であった

水圧は水深が1m増す毎に、0.01MPa増える。だから、水深3,800mであれば38MPaの力を全方位から受けるわけだ。1平方mあたり3,800tの力がかかる。

そうすると、円筒形状でも大雑把に言うと球体の倍の厚みにすれば圧力に耐えうる計算になる。実際に計算したわけではないんだけど、机上計算可能なので、安全率をみて素人でも設計ができる。

よって、設計上は円筒形状でも良いということになるんだが。残念なことに、水中では全方位から同じような圧力がかかるため、真球状態であれば均一な圧力の影響が期待できるものの、円筒形状だと傾きによって圧力のかかり方が変わってくるという問題が生じてしまう。

この辺りが、「過去に何度も潜水を成功させた」という事と関係してくるんだよね。実際に、2021年に6回、2022年に7回ツアーが行われている。

圧力容器の疲労

さて、潜水艇タイタンの設計製造を行ったオーシャンゲート社によれば、ワシントン大学の応用物理学研究所で3分の1モデルによる試験で29.2Mpa(水深約3,000mに相当)に耐えることが実証されたと説明している。

これもおかしな話である。何故、3,800m以上潜水するのに、水深約3,000mの試験だったのか?という点が不思議で仕方がない。

だが、少なくともある程度の確証があって設計、製造された事実はある。

「タイタンは4000メートルまで潜れると言っているが、金属疲労が相当進んでいたのだろう。溶接面や船殻自体に腐食がないかを調査して、もし腐食等が認められた場合には肉盛りをして、再び安全潜航深度までの応力に耐えられるように船体を強化しないといけない。金属疲労が大きいと、早く船殻が傷み、今回のように何でもない深度においても圧壊してしまう」(矢野氏)  

潜水ツアーを運営する「オーシャンゲート」は、タイタンが5年前の性能テストで、初めて4000メートルの深海に潜ることに成功したとしている。しかし実際は2740メートルで爆縮(圧壊)したとみられる。

Yahooニュースより

これはYahooニュースの引用で、元海上自衛隊・潜水艦隊司令官の矢野氏がコメントを出しているのだが、ちょっと的外れの事を指摘されている印象に見える。

おそらくは、ニュース記事を構成する方が理解していなかったからこんな事になっているのだが、そもそも海上自衛隊で運用する潜水艦、円筒形状をしているので今回の潜水艇「タイタン」に似たコンセプトではあるのだが、構造上の問題で何処の海軍の潜水艦でも水深1,000m以上は潜れない。一般的には水深400m程度を限界としている。

検査が出来ない

そして、海上自衛隊の潜水艦の艦体は鋼製である。このために内部欠陥の調査も比較的容易なので、「金属疲労が相当進んでいた」「腐食等が認められた場合には肉盛りをして」などと言及されているんだな。

しかし、潜水艇「タイタン」は、円筒部分が炭素繊維強化プラスチック製になっている。どちらかというと、航空機のプロに話を聞くべきだったね。この点は矢野氏を責められない。何故なら、潜水艇に炭素繊維強化プラスチックを使うという発想が無理だからだ。

一方の、航空機でボディの欠陥検査はやっているのだけれど、複合材料の非破壊検査はかなり困難である。加えて、潜水艇「タイタン」の外殻は深海に到達できるようにする為に、178mmの厚みになっている。これだけの厚みがあると非破壊検査が極めて難しくなり、調査できないとされていた。

Lochridge initially verbally expressed concerns about the safety and quality of the Titan submersible to OceanGate executive management, but those concerns were ignored. Lochridge “identified numerous issues that posed serious safety concerns, and offered corrective action and recommendations for each.” Lochridge was particularly concerned about “non-destructive testing performed on the hull of the Titan” but he was “repeatedly told that no scan of the hull or Bond Line could be done to check for delaminations, porosity and voids of sufficient adhesion of the glue being used due to the thickness of the hull.” He was also told there was no such equipment that could conduct a test like that.

~~対訳~~

ロクリッジは当初、タイタン潜水艇の安全性と品質に関する懸念をオーシャンゲートの経営陣に口頭で伝えたが、その懸念は無視された。ロクリッジは “重大な安全上の懸念をもたらす数多くの問題を指摘し、それぞれに是正措置と勧告を提示した”。ロクリッジは特に “タイタンの船体に行われた非破壊検査 “を懸念していたが、彼は “船体の厚さのために、船体やボンドラインをスキャンして剥離や空隙、使用されている接着剤の十分な接着の空隙をチェックすることはできないと繰り返し言われた”。彼はまた、そのようなテストを行えるような装置はないと言われた。

アーカイブより

恐らく、メンテナンスは目視検査程度のチェックがなされているに過ぎなかったのではないかと思われる。

圧壊は必然

と言うわけで、幾つもの問題が重なって起こっていた事を考えれば、潜水艇「タイタン」が圧壊して帰還できなくなることは必然だと思う。

アメリカ 沿岸警備隊(22日の会見) 「破片は、外部からの圧力によって壊滅的に破壊されていました」

水深3800メートルの海底に沈むタイタニック号を目指し、潜り始めた潜水艇。1時間45分後、海上にいる船との連絡が途絶えます。

専門家によると、この時点で水深約3000メートルまで潜航。潜水艇は、そのあたりで水圧に耐え切れず、破壊されたのではないかとみられています。

TBS NEWSより

水深約3,000m辺りで圧壊してしまったと予想されているが、潜水途中に「耐えられなくなった」部分があったのだろう。

ああ、日本のメディアは「爆縮」などと報じているが、これは完全に誤訳だ。恐らくはインプロージョン(implosion)という言葉が使われていて、「圧壊」は単にCrushという言葉を宛てる事が多いために、「爆縮」という言葉を使ったと思うのだが、残念ながら爆縮は爆発の圧力が内側に向かう意味で使われる為、圧壊が正しい翻訳となる。それくらいはチェックしようよ……。

話が逸れたのだけれど、運用面で見ればオーシャンゲート社の過失は確実であり、免責同意書があったにせよ、瑕疵は認定される可能性は高い。

人身傷害が専門の弁護士ミゲル・カストディオは英デイリー・メール紙で、遺族がオーシャンゲートを訴えられるのは事故の原因が同社の乗組員の過失にあると立証できた場合に限ると述べた。

またロサンゼルスのシェリフ・エル・ダベ弁護士はウェブメディアのインサイダーに対し、「遺族がオーシャンゲートを訴えても勝てる見込みはゼロに近い」と、コメントした。「5人は極めて危険な活動に故意に参加し、重大な危険を故意に引き受けた」

報道によれば同意書には、タイタンは「実験的」な潜水艇であり「いかなる規制機関にも承認や認定を受けておらず、肉体的負傷や心的外傷、死をもたらす可能性がある」と明記されている。

Newsweekより

だから、構造的な欠陥があり、かつメンテナンスが不十分であったことが立証できれば、訴訟でも勝てる見込みはあると思う。

上述したように、構造的な欠陥(メンテナンス性の考慮されない構造)はあるし、非破壊検査も行われていないか不十分であった可能性が高い。

欠陥に関しては、こちらの記事も分かりやすいと思う。

設計時点で破断が約束されていた潜航艇タイタン 生半可な知識が生んだ悲劇を繰り返すな | JBpress (ジェイビープレス)
筆者の事前予想を大きく裏切って、前回稿「タイタンの乗客乗員をバラバラにした深海水圧はどれほど脅威か?」は多くの方にお読みいただけたようです。 そこで続編として、前回稿に記さなかった(1/6)

とまあ、最後に「これを読めば、このブログの記事はいらないんじゃね」と思えるような文章をリンクに貼って、本稿を終わりにしたいと思う。

僕のような機械工学畑の学問を囓った人間でも、この程度の説明は可能なので、当然ながら専門知識のある方に見て貰えれば、危険性が高かった(寧ろ、「これで潜るの?信じられない」との判断を貰える)ことは分かるだろうし、既に周囲の方からも、「アレはアブナイ」と、言われていたと報道されているので、参加者は知っていたのだと思う。

知っていて、なお同意書に署名して潜水艇に乗り込んだのは「潜水実績があったから」に他ならないと思うんだけど、本稿ではその実績こそがロシアンルーレットに繋がったのだという事を蛇足ながら指摘しておきたい。

コメント

  1. アバター 河太郎 より:

    こんにちわ。木霊様、まいどのリクエストにありがとうございます。
    非常に解りやすい。てのは、それとなく思っていたけれど……
    やはり「船体」「船殻」のフォルムに問題あったか!!
    いや……写真を観ても、日本製の潜水艇は全てコクピット部が「球体」ですね。
    つまりどういう角度になろうと、同一の水圧が掛かる事になる。筒型または魚雷型なら、深海原潜が可能なはずだけれど、そのような原潜は存在しない。これは同一船体でも、その姿勢角度によって
    掛かる水圧が変わるからだと理解できました。やはりねぇ……。アレじゃ………
    コックピットの内部写真を観て木霊様も絶句されてましたし。
    しかし「実績あります」とかやられると、決して情弱でない人もコロッと騙されてしまうんだろうなぁ。
    結局のところ、コレって高度な詐欺にあったようなものなんでせうね。合掌。

    • 木霊 木霊 より:

      ちょーっとBOOKさんと方針が違うのですが、僕の意見はある程度知識があれば「疑わしい」という結論が容易に出た案件だと思います。
      しんかい2000ならともかくしんかい6500も居住性を確保するために形状変更をせず、同様の形状を選択したことからも、耐圧殻の採用は妥当であろうし、jamstecの見解も概ねそのような理由で球体を採用しています。
      https://www.jamstec.go.jp/j/about/equipment/ships/shinkai6500.html

      BOOKさんが主張されるように技術の進歩はありますから、やってできないことはないのでしょうし、実際に3600mの深海まで至っています。
      構造として「いける」のは事実だと思いますよ。ただ、繰り返し使うにはリスクが大きかったというのが僕の評価です。

      詐欺とまで言えるかどうかは、チップは自分の命でしたが、開発者も同乗していましたから。

  2. アバター BOOK より:

    木霊様 皆様 おはようございます

    言いたきゃないですが、最後ご引用のjBressの記事ヒドイですね。

    まあ勝ち誇ってボロクソ言ってて醜い。しかも技術的内容がアヤシイ。
     八百屋が大工に転職して建てた家が壊れた。ありゃシロート丸出しだとシロート魚屋が批判してるような記事。
    筆者さんは東大教授かも知れませんが、恐らく材料力学や構造力学、機械加工をマジメに勉強したこともなく実務経験もないのでしょう。

    例1

     津波の高さを破壊力を水深・水圧で計算してるとか、目が点になりそうな新鮮な驚きを覚えました。
     イヤそこはmghじゃなく並みの水量と押し寄せる速度、mv^2 でしょうに

    例2
     あとやたらと「円筒」と「均一性」をケナシテますが、球形殻の加工は円筒の加工に比べ遥かに難しい。すなわち同等の技術で加工すれば円筒のほうが均一性ははるかに上です。 なので円筒で均一性が問題になるのは端部です。

    >>仮に上下の面が円盤であるなら、その角、尖端には大変な応力がかかってしまう

     はあ、円盤の端部言ってる? 円筒の座屈言ってる? 意味不明

     内圧と外圧ででは外圧の方がキツイので、純粋な比較にはなりませんが超高圧で端部が平面の円筒の例

    https://www.chemistry.or.jp/know/isan021_article.pdf

    の写真7 内圧300気圧(約30MPa)×温度500℃ 90年前に作られたハーバーボッシュ法の量産反応容器10年以上安全に稼働したはず。
     ついでに資料の表1見てもらえば、これも圧力低めで同等の形状で1000気圧(100MPa)ぐらいまで、90年ほど前の技術で可能です。

     私? カンタンな真空容器や圧力容器の耐圧計算・設計製作はしたことあります。ですが私も潜水艦などシロートです。

     そして専門外の技術、CFRP耐圧等、日進月歩の世界では知らない間に恐ろしく進歩していることも、逆に100年前と変わらないこともアリ、やはり専門家にはかないません。

     繰り返しになりますが技術知見だけで、この潜水艦がアブナイことを見抜くのは至難の業です。

    • アバター 河太郎 より:

      BOOK様ども。貴兄はガチな理系なのですね。なるほど…。
      ところで、この場を借りて、儒教に御縁が深いとの事で、儒を貶められると複雑な気持ちになると言うお言葉について。
      コメ3回制限に掛かるので、あそこで投稿できず、ここに書くことを木霊様、お許し下さい。手短にしますので。

      儒教を悪く言う人は、孔子、孟子を根本的に理解してません。
      孔子は「乱世の思想家」です!
      春秋戦国時代の思想家ですから、どうやって戦乱を治めるか? そこに礼節(上下関係)を軸とする思想となる。礼節と儀礼を軸とするとは、
      「人間(社会)関係の数値化」です!!
      数値化して人間関係を可視化する事で解りやすくする! そして儀礼を徹底する事で、頭の悪い奴にも「体で覚え」させる。これです。ここを私が評価するのは、私が元自衛官だったからです。
      つい先の駐屯地での射殺事件あります。「自衛隊オタクの彼が何故に?」
      とマスゴミは騒ぐが勘違いも甚だしい。
      ミリオタだから事件を起こしたんです。
      (ミリオタが悪いという話とは違う)
      軍事訓練を正業として受けた者にしか理解できないかも知れませんが……
      軍隊教育の最初は、兵士の頭を白紙にする事なのです。だって命あれば、地雷と砲弾が炸裂する死地にも前進せねばならないのが兵士ですから。とことん娑婆の常識をぶち壊して、絶対服従の卒へ変える。ここが戦後民主主義が軍事教育を嫌う理由なのですが。
      実は理不尽を押し付けられるとしても、
      そういう状態になった時は、命令に服従して集団の歯車に徹する方が安全なんです。ここ誤解されますがね。
      鉄火場や修羅場で、一人の兵士が頼りにできるものは、
      「反復で体で覚えた訓練だけ」です!
      鉄火場で考えている余裕なんかない!
      これは災害出動で学んだ事です。
      それ故に、プライベート(民間人)を引きずってはダメで、頭から爪先まで日本政府のガバメント・イシュー(官給品)となる必要がある。軍事知識、専門知識とかは「その後の問題」です!
      下手に知識あると、上官の教えを素直に聞けなくなるんです。射殺事件は「ボクの方が正しい知識なのに…」といった不満が爆発したもので、それは軍隊というものがミリオタ故に理解できてなかった!
      で、話を戻すと、基本、実は程度の差はあれ、人が仕事や社会生活を送る術を学ぶには、こうした「カタにハマる」仮定が必要です。無視しても構わないのは大天才だけ。多少の優劣があっても、大多数は天才じゃないんですよ。
      このカタにハメる大切さを、何でも有りの戦国時代の思想家だからこそ、孔子は軸とした。孔子や儒教を悪く言えたのは、文革への左翼の誤解と、日本が安定成長の平和だったからです。混迷する時代に読めば、論語はまた違う評価になるはずです。以上。結局、長くなりました。m(__)m。あと孟子については書けなかった。孟子の儒教の改変がなければ、
      陽明学は産まれず、幕末・維新回天もなかったのですが。

      • アバター BOOK より:

        河太郎様 こんばんは!

         今頃ここで回答するのが適切かどうかわかりませんが儒教について。

         
         思春期に影響を受けたと言うだけで、亡き父父が四書五経を読破してたらしいこと、私自身は子供向けの論語物語や下村湖人、司馬遼太郎 小説から間接的に学んだだけで、知識不足は明らかで恥じ入るばかりです、
         が、思春期に学んだだけに自信のアイデンティティーの根底とも言えますのでお許しを

        (尚、根底に至ったかどうかは別として現在は私は、儒教→バラモン・ヒンディー→ダーウィニズム なので悪しからず)

         儒教が腐った解釈をされた根本原因は、孔子・孟子が天才過ぎで自明の理として説かなかったことがあり、愚かな天才文献学者・朱子が自明の理を理解しないまま優れた体系化を行たことに起因すると私は解釈しています。

         朱子学全面採用の金王朝の一部をモンゴル帝国が追い詰めらた際、真の需を理解していた金側武将に対し「あんな腐った主君を守るのか?」と問われ、それでも主君を守るのは武将の役目だ、と散った、、、武将の意気に感じてモンゴルは彼らを見逃した。 武将を裏切者として粛清した貴族の子孫が朝鮮・韓王朝。(中国18史略の陳舜臣による日本語訳)

         とまあ、朱子の解釈は副作用マシマシだったので、本来武将であった王陽明は脳筋の配下将軍にも判るように 孔・孟が自明とした省略事項を、殆どトップに挙げた。

         ただし孔孟が天才だったと言うだけではなく、孔孟の時代が乱世であったから。と言うのは驚かされました。

         なるほど、日本に伝わった朱子学の受け手は「いざ鎌倉」の常在戦場を旨とする武士階級であったため、朝鮮ほど腐らなかったと言うのは納得できます。

        「知行合一」
         武人・実務家であった王陽明ですので脳筋の配下武将にも判るように、孔・孟がアタリマエの前提事項とて省略したことを、
        をちゃんと説いた。儒教本来の教えと思います。

        「訓練による知行合一」

         知行合一を誰でも実行し、身に着けたどうかまで、とわかる方法かと実感します。(実は儒教を離れても(笑)

         データロスト前のどこかで言及したと思いますが、私は致死性のガスを扱う半導体クリーンルームの避難訓練を立案し実際に参加しました。繰り返し訓練の結果全員が「考える前に身体が動く」ようになり、当初想定の1/2以下の時間:45秒以内に逃げ遅れ人員の救助まで含む全員退避・死傷者0を達成し、その後「それがアタリマエとなりました」

         すなわち王陽明「知行合一」の定義によれば

          「半導体特殊材料ガスの危険性」を「知る」とは

         「ガス漏れの際に逃げて生き残り、逃げ遅れを救助可能な実践力を持つこと」

        と、言うことを実践を通じて学ばせて頂いた幸運に恵まれた者であると感謝しています。

        尚、その後の私の儒教→バラモン・ヒンディー→ダーウィニズムは、平和ボケ一般人たる私の選んだ道で、河太郎さんからすれば生ぬるいものかも知れません。
         
         ところで脱線さて

         「バラモン・ヒンディー」には、訓練以外の「知行合一」の卑小化すれば「ノウハウ」があるようです。

         例としては「お釈迦様」らの「悟り」ですが、悟りでなにを知ったかの解説は世に沢山あり、ググればまあ沢山出てきましすし、文脈的な理解は「ふーん」で大抵の人間に知識として可能です。 しかし「ふーん」したところで「悟り」に至ることは出来ません。

         すなわち「お釈迦様」らの「悟り」は単なる知識でなく 最低限「知行合一」レベルで「実践を伴う理解」でなければできません。

         個人的には、長年の修行?実践?の結果として酔っ払いが放火しようとしているのを、気が付いたらタックルして止めてた(考える前に身体が動いていた。ヒーローの特質? by ヒロアカ漫画、(笑)。

        脱線が過ぎましたが、上の例のように「知行合一」は、孔孟が儒教の「前提」としただけあって儒教の専業じゃありませんし、
         世界の軍隊を見ても儒教は必須じゃありません。
         
         ミリオタの彼は「訓練」で「知行合一」を学ぶ必要がある、兵卒配備された/した のが配備された/した 側の悲劇でした。

        ミリオタ≒あたまでっかち? ならば彼は「防大受験失敗」して自衛隊員の道を断念すべきでした。

    • 木霊 木霊 より:

      後出しじゃんけんと言われれば、まさにその通りではあるんですが。
      しかし、頂いたコメントには異論もあります。

      以下、長々と。
      まず、最後にリンクした記事は「分かり易さ」で引き合いに出した記事なので、内容の正確性に突っ込みを入れちゃうと、「ああ、イメージとしては分かりやすいね」と言う側面があるのは事実であります。

      軽く補足しておきます。

      > ダイヤモンドも叩けば割れる
      ダイヤモンドは確かに硬いんだけど、それは硬さと衝撃耐性が比例しないだけで、圧力の話とは全く関係が無い。じゃあ、人工ダイヤモンドで船体を作りますか?という議論にはならんでしょうに……。

      > 炭素繊維は硬い

      炭素繊維は硬さを目的として使われる素材ではありません。耐摩耗性、耐熱性、熱伸縮性、耐酸性、電気伝導性、比強度の高さ、そして、難加工性で有名なので、それ故プラスチックに混ぜて使われる複合材料として優秀という話になりまして。
      CFRPのメリットとして耐疲労性・耐腐食性が向上する、それ故の航空材料利用ということになり、メリットが出ます。

      ただ、ダイヤモンド → 炭素繊維 → 脆い部分があるという連想させる話の流れとしては、あちこち意味不明な事を言っている部分に目を瞑ればイメージさせるには悪くない話法かなと思います。

      ・円筒と均一性について

      とまあ、そういう部分もあるわけですが、円筒と均一性に関しては、僕は伊東乾氏(作曲・指揮・情報詩学研究室/生物統計・生命倫理研究室/情報基礎論研究室と、専攻は機械工学畑ではないようなんですが)同意見であります。ご指摘のように円筒の加工が球形殻の加工に比べて遙かに容易で、円周方向に均一性を出す意味であれば、円筒の方が均一性を出しやすいのは事実です。しかし、円筒の長さ方向の均一性というのは製造現場の見知からすると均一性について怪しい。それだったら、球形殻の方が形状的な強度を出せるだけ未だマシです。

      したがって、著者の指摘のような、

      >さらにその精度は0.01ミリまで正確でないと、深海水圧のちょっとしたズレが破断を引き起こしてしまう。

      という部分で言うと、「はあ、何言ってるの?」ということになるものの、球体を選ぶ蓋然性はあると思います。

      なお、精度に関しては、しんかい6500でも、球形殻の真球度はそこまで高くはなく、1.004です。内径2mの真球度が、1.004というのは十分驚異的(外径で±2mm以下)ですが、0.01mmの精度というのは、ちょっと意味が分かりません。球形殻の厚みの偏差もあるでしょうから、均一性が重要と言うより、真球度の方が重要だと書くべきだったかもしれません。
      参考までに。

      https://www.jamstec.go.jp/j/about/equipment/ships/shinkai6500.html

      > 端的には、炭素繊維素材には異方性、つまり方向によって強度の違いがあります。

      そして、炭素繊維を潜水艇に用いるのに向かない理由は、炭素繊維の特性そのものにあります。異方性の問題はなかなか解決が難しいのですよね。何しろ、CFRPとして使う場合にもこの部分は様々な分野で課題になります。真球に近い球体をCFRPで作ろうと思ったら、「バカも休み休み言え」と言われるでしょう。円筒形状を採用したことは、そういう意味では正しいのです。CFRPで円筒は作れても球体はちょっと。削る事も、材料強度の偏りを少なくすることも難しいですから。

      > 仮に上下の面が円盤であるなら、その角、尖端には大変な応力がかかってしまう

      この部分は、圧力容器の設計の観点から見るのであれば、おかしな指摘だと思います。内圧のかかる円筒容器において、一番力がかかるのは上下ではなくて円筒胴ですからね。ただ、圧力容器設計において鏡板の選定プロセスでは、高圧の容器になるほど全半球形鏡板の選定が推奨されますから、平板より球体を鏡板部分に用いる理屈は、間違っていません。

      https://hibari01.com/entry23.html

      一方で、潜水艦の場合は外圧がかかる構造です。同じ理屈を用いて考えて良いのか?と言う点には留意が必要だと思います。特に、深海に潜る場合には姿勢が変わるわけですから圧力のかかり方も変化します。したがって円筒形状というのはやはり繰り返し使うのにリスクが伴うと思います。

      この辺り専門的な知見が必要だという意見には同意しますが、しんかい2000やしんかい6500という実例があるのに、他の構造を採用している時点で素人でも怪しいと思えるのではないでしょうか。

      タイタンは、いかなる規制機関や第三者機関からの認証を受けていなかったことを誓約書にも明記していて、「実験的な船だ」と説明していたようです。

      以上の理由を鑑みるに、事前に「大丈夫か」と立ち止まる人がある程度工学的な知識を持つ人間に問い合わせれば、ネガティブな意見を引き出せた可能性は高く、実際にソレでツアーには参加しなかった方もいたようですから、個人的には判断が出来ただろうという意見です。

      とはいえ、後知恵であることに反論できるほどではないので、この辺りで止めておきたいと思います。

      • アバター 河太郎 より:

        こんばんは。いや、お二人とも門外漢にも解りやすく説明くださり、とても参考になりました。
        素人考えなのですが、お二人とも正しいのだろうと推察いたします。
        つまり3600㍍まで潜水実績がある以上、構造的には可能なのだろう。
        但し、これが商業用の潜水艇である点で、メンテナンスなどで疑問は残ると。軍事やNASAのような国家組織であれば、複数艇を用意できるでしょうし、メンテに時間もかけられる。バックアップの組織力もある、
        しかし私企業で、同等の事が考えられるかと言うと怪しいと思います。
        コスト問題もありますが、要は観光事業である以上、一定頻度で繰り返しの潜水をせねばならず、そこに少数精鋭であっても規模の小さな企業がついてゆけるか?という点で、
        木霊様もまた正しいのだろうと。
        お二人ともとても勉強になりました。改めて御礼を申し上げます。

        • アバター BOOK より:

          木霊様 こんばんは!

           まずはお詫びとお礼から。

           かなり感情的な批判の仕方を お詫びいたします。
           私の批判に対し正面から
           「技術で」回答頂き、お礼申し上げます。ありがとうございました。

           当コメントは、もう誰にも読まれない可能性もありますが、こちらに決着はつけておくのは自身の責務と思いつけさせて頂きます
           (傍から見れば自己満足とも思いますが。。。読んで頂けますと幸いです)

           BOOKの根本的な思い。

           木霊様に引用頂いた「伊東 乾 氏」のスタンスは、同じ?プロ理系としてしてはならないことをしている。というのが私の意見です。

          >最後にリンクした記事は「分かり易さ」で引き合いに出した記事

          たとしてもです。

          木霊さんも、伊東 乾 氏の記述の科学的不正確さをわざわざ挙げてくれていますよね?

           私が伊藤氏の姿勢を糾弾するのは
             「『科学』と言うものの、現代的・一般的な意味と意義」に直結し、

          科学でメシを食ってるプロ(私は科学というより技術でメシを食ってるリーマンですが)の責務に直結すると考えるからです。

          なぜか

           さて「科学」と「宗教」の違いは何でしょう?

           プロとして至極マジメに答えるなら、これは「時間」と「重さ」の比較のような、要するに無意味な比較です。
           しかし「専門外」「大多数」の人間≒社会にとってはどうでしょうか?

          例として「Aという事象」が「正しい」と言うことの宗教・科学のそれぞれの説明について

          1.宗教:神が正しいと言う(聖書等?に書いてある)発言Bがあるから正しい。
          2.科学:C氏が正しいと言う 証拠D(誰にでも検証可能)を提示をしているから正しい。

          ところが実際の所 科学が言う「証拠D」が「誰にでも検証可能」と言うのは詭弁です。
          実際には証拠Dの正否検証には最低以下2つの条件が必要です。

           ①証拠Dの論理の正否を判定できる科学的素養
           ②証拠Dのデータの正否を判定できる広い意味での資力

          現実には世の大半の人々にには証拠Dの検証能力は無く、

              科学を信じる ≒ C氏を信じる  

          ことに他なりません。こうなってくると「Aという事象」が「正しい」と信じる理由は

            1.宗教「神を信じる」 2.科学「C氏を信じる」

          いやあ~「神」と「C氏」どっちが信じられるのでしょうか? 権威から言えば恐らく普通は「神」でしょうね(苦笑)

          私は自分の進路を少年時代には素朴な好みで理系としました。

          しかし成人・就職し科学をメシのタネとするエンジニアの端くれとして「Aという事象」が「正しい」とする根拠「証拠D」の検証能力の向上に、大げさに言えば自分の人生を掛けました。

           この成果として言えることの例

          【、、、と言うか、、、これこそ本題です 】

          「食がアブナイ?」等の著者 安倍某 (自称 元 食品添加物の神、らしいのでググってみて下さい)の言説
           多くの環境団体や食品安全団体に啓蒙を与え、独特の利権を築いたようですが、

           一応有機化学学士の私としては 前提無しで読んだ、彼のひとつひとつの言説に大きな違和感を感じ、、、安倍某で調べてみると、エンジニア視点で見るならかの方は詐欺師し等しい。

           以上に邪推するに、彼は「中共の工作員ではないか?」との疑いが。。 理由は近年のSDS。  「新規物質」に関してまるで彼のような「クレーマー視点」で書かれていて。スーパで売られている砂糖(≒ショ糖)の高純度品でも「防毒マスク」を要求、、、、

          日本の現状
           人体影響が万人単位で明確になった材料しか、通常企業は扱いを躊躇うようなSDS。
           日本の産業の技術的優位の最後の砦とも言える「特殊材料類」≒例  EUVレジスト、チップコンデンサ・全個体リチウム、etc、

          「既に成功している老舗」は「資本力」を生かして逃げ道探して優位保ってますが「ベンチャー」は、ほぼ国内参入不可。
          参入したいなら「中国に工場作って」参入する必要がある。

          おおもとに戻って

          伊東 乾 氏  

           公開プロフィー
            作曲家=指揮者 東京大学教授(作曲・指揮・情報詩学研究室/生物統計・生命倫理研究室/情報基礎論研究室)東京大学ゲノムAI生命倫理研究コア統括。ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督。グローバルAI倫理コンソーシアム理事。

           プロから見ると、深海潜水艇を語る専門性があるか?と言えば疑問だが、

           一般には十分「科学を代弁する資格がある」

          また、プロから見ても。自分の専門性の劣る部分を調査、あるいは、助言によって知識修正をする人脈がある。はず!
           なのに、あの酷い解説!

           
          残念ながら 「食?がアブナイ? とか 自称 食品添加物の」上記 安倍某氏と同類と判断せざるを得ない。

          ご自身の、東大教授 というネームバリューを考えるなら、シロート考察を披露する場合はBOOKとかNOTEとか匿名を使うのが本質であろう。

          • 木霊 木霊 より:

            丁寧な返答ありがとうございました。
            なるほど、「一応有機化学学士の私としては 前提無しで読んだ、彼のひとつひとつの言説に大きな違和感を感じ、、、安倍某で調べてみると、エンジニア視点で見るならかの方は詐欺師し等しい。」と、厳しいご指摘。時間を置いて改めて考えて見るに、分かり易さを主眼においたとしても、そこかしこにおかしな技術的理解を散りばめるというのは、やはりやってはダメな事だと反省しました。
            伊東氏は「まず1の1から常識の源流を探訪しましょう。」などと断っておきながら、誤った解説から答えに辿り着くというのは、ダメですね。
            引用として適切ではなかったと、反省した次第。

          • アバター BOOK より:

            こちらこそ、今頃の言い訳をお読み頂き、しかも丁寧なお返事ありがとうございます。

             アーサー・C・クラーク卿のすばらしい名言(願望?)をひとつ

              「この世の悪徳の99%は単なる誤解や怠慢である」

             素晴らしい!
             しかし この「単なる誤解や怠慢」を無くすことの難しさよ!

            実は私(我々?想像するに木霊さんも?(笑)理系のエンジニアは、これを最も容易に こなせる立場にあります。

             ・正しいか否か:作ったモノが動くかどうかで、容易に証明されてる。
             ・むずかしさ : 費用、日数・年月でほぼ定量的に
             ・限界:どこまで正しいか:自分の限界以上のものは作れない。

            世に、正しいこと、間違ったこと、判断の限界、まで殆ど定量的に示すことの材料はほぼ揃っている。何と実に恵まれた職業であることか!

            だと言うのに、何と怠慢の排除が難しいのか!泣!

            なので、少なくとも 正しいこと。 これは比喩。 多分カンでは、、、を意見として分けるのが理系人間の矜持であり

            また東大教授さんには、それぐらいお願いしたいと思いました。

            ありがとうございます。

             – 蛇足 ーー

            現代を動かす原動力である「現代科学」の悲劇ではありますね。

              例えばEMANさん解説の物理学
                https://eman-physics.net/
              (私はせいぜい10%ぐらいしかモノに出来ていませんが)
             これを「カナ文字の読み書き、算数の九九」程度の基礎教養として要求するのが現代科学で

            恐らく「日常の現代科学」をちゃんと理解できる人は人口の0.1%以下、大半の人間にとっては魔法と変わりない。

            (実は既に数100~千年以上の人の悩みであり、哲人政治とか、、、一番近代に これを解決しようとした、ある、ちょび髭為政者の取った 悍ましい・失敗した解決策。。。。。 が、更に、解決を遠ざけた、
             結局人間はAIに抜かれる運命か?)

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