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企業民兵を増強する支那当局の焦燥

中華人民共和国ニュース
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いつか来た道を歩み始めたのかな。

戦争準備か、社会不安への備えか? 中国企業が民兵増強

2024.02.23 Fri posted at 17:16 JST

香港(CNN) 中国企業が、1970年代以降ほとんど見られなかった行動を取っている。志願制による自前の軍隊の創設だ。民間の乳業大手を含む中国の大企業少なくとも16社が、過去1年間でそうした軍隊を立ち上げた。CNNが国営メディアの報道を分析して明らかにした。

CNNより

企業に民兵を作らせて何をさせようとするのやら。

統制を強める共産党

長い歴史を持つ支那民兵

おそらくは支那当局としては、アメリカの州兵のようなイメージで企業に民兵を作らせているのだろうが、どうもそうはならないようだ。

中国の民兵は、1949年の中華人民共和国成立以前から存在する。実のところその起源は20年代で、共産党をいくつもの戦いで支援していた。党が中国本土を掌握した49年以降、部隊は最終的に政府や学校、企業に組み込まれた。

民兵は毛沢東時代の49~76年に拡大。最盛期の50年代後半には2億2000万人の構成員がいた。当時は台湾を巡り米国との間で軍事的緊張が高まっていたと、政府の文書は伝える。

CNN「戦争準備か、社会不安への備えか?」より

そもそも人民解放軍の先駆けとなった八路軍は、民兵の寄せ集めのような存在であって、国家成立以前から民兵は存在する、支那では由緒正しい存在とも言える。

それが理由なのかは知らないが、人民解放軍は独立採算制というか、自ら食料生産などをする能力を確保していて、更に商売にまで食い込んでいる。

そのことが支那の軍事費が正確でないことにも関わってくるのだが、そこはさておこう。

建設業者も乳製品メーカーも

とにかく、企業に対して民兵を持て!という支那共産党からの指導があったようだ。

ところが昨年12月、世界5位の乳製品メーカー、伊利集団が中国の大手民間企業としては近年で初めて、人民武装部を設置した。

~~略~~

9月には、政府所有の不動産開発・建設業者である上海城投集団が人民武装部を立ち上げた。管轄を担当するのは人民解放軍の上海守備隊。上海の共産党機関紙、解放日報が明らかにした。

同守備隊の司令官は、民兵組織が人民解放軍を支援する存在になるだろうと指摘。具体的には復員兵への雇用の提供や、新兵の補充といった領域で役割を果たすことになるとした。

CNN「戦争準備か、社会不安への備えか?」より

どういうわけか、乳製品メーカーやら不動産開発業者、建設業者が軍隊を持たされたということらしい。

これが何をするかというと、おそらくはデモの抑制などだろうとされている。デモの発生から暴動に発展するのを防ぐために、出動要請が出されると思われる。

不満の高まりを受け、抗議デモも拡大しているようだ。労働者によるデモやストライキの2023年の件数は、22年の830件から1794件へと、2倍以上に跳ね上がった。労働者の抗議行動を監視する香港の非営利団体、中国労工通報(CLB)のデータで明らかになった。

CNN「戦争準備か、社会不安への備えか?」より

実際に、デモやストライキの発生件数は大きく増えているとされている。先週もそんな記事を書いたね。

そういう意味では、前の記事への追記要素であったとも言えるんだけれども、この話は別の切り口からも見る必要があるのだと思う。

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海上民兵の「活躍」

先日も何かのタイミングで言及した「海上民兵」という存在も、支那の動きを複雑にしている。

漁民を「国益守る人間の盾」にする中国の危うさ

2021/04/16 10:00

フィリピンに近い南シナ海に、3月から多数の中国漁船が停泊し、波紋が広がっている。この海洋における国際社会への中国の挑戦に対して、中国防衛駐在官(駐在武官)も務めた、自衛隊きっての中国ウォッチャーが、人道主義や文民保護の視点から切り込む。

東洋経済より

こちらは2021年の記事なので、情報としては少々古い。だが、この時から事態は悪化していても、根本は同じで参考になる。

中国では、その装備や能力の大小、優劣、強弱の差こそあれ、民兵部隊は、人民解放軍(PLA)や人民武装警察部隊(PAP)と等しく習近平・中国共産党総書記を主席とする中央軍事委員会(CMC)の統一した指揮を受ける中華人民共和国の3大軍事力の1つとされている。これは中国の国内法によって明確に定められており、国際法において武力紛争時に正規の戦闘員として必要とされる制服や徽章などもしっかり準備されている。

PLAやPAPと民兵との違いは、民兵部隊の構成員が、ふだんはさまざまな職業や学業に従事している一般市民および彼らが所属する企業や団体であり、CMCの動員命令によってその都度活動するという点にある。

東洋経済より

まず、「民兵」という言葉から連想される内容とは少々違うのだという点に関して説明されている。

支那における民兵は、非正規であるとは言え、支那共産党からの指揮に従う軍事組織なのである。

今回の連環の計に連なる漁船も、動員されない限りは単なる漁船と漁民であるが、CMCが動員を命じた時点で瞬時にその立場を変えて民兵として活動することになる。したがって中国政府が公式に否定する以上は、彼らは民兵ではないただの漁船として扱わざるをえない。

東洋経済より

普段は一般人として生活しているが、一度命令を受ければ即時に支那共産党の兵隊になるのが、支那の民兵なのである。その資金を企業が支出すると、それだけの話なのだ。

したがって、海上でも工作活動をしているのは人民解放軍の手先であり、その取り締まりをしているとしている海警局もまた人民解放軍の手先である。

つまり、陸上の部隊も企業民兵として影響力を拡大しているというのが、この話の意図するところである。そうすると、引用記事の「戦争準備か」という事の意味は、対外戦争というよりは内戦への備えという側面が強いように思われる。

追記

そういえば、記事にしようと思っていて、結局諦めたソースの中にこんなのがあったな。

チベット族100人超拘束 中国四川省のダム建設、住民が抗議活動 米報道

2024/2/23 18:43

米政府系放送局、ラジオ自由アジア(RFA)は23日、中国四川省カンゼ・チベット族自治州徳格県で、水力発電のダム建設に伴う住民移転に反対する抗議活動があり、100人超のチベット族住民が地元当局に拘束されたと報じた。

産経新聞より

RFAソースというのも不安をかきたてる話なんだけど、続報が出てこないのも不安だったので、記事にするのは諦めたんだが。

でもこれ、事実とするとかなり情報が統制されていることになる。もともと、チベットで何が起こっているかということについて情報を得るのはかなり困難だから。それでも100人単位で拘束されても、問題ない国というのは……。あ、ウイグル人達の話も全く出てこなくなってしまったね。

コメント

  1. アバター 匿名 より:

    いつもの中華王朝末期の前段階、習近平は自国の歴史を学んでいるの?
    それとも、共産党史観のみだから老獪さがないのか?

    • 木霊 木霊 より:

      自国の歴史を学ぶにしても、都合の良い部分だけ摘まんでいるんでしょうね。
      毛沢東を崇めている時点でなかなか厄介な指導者だと思います。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    中華民国時代どころか、群雄割拠の時代に戻りそうですね。
    企業民兵の乱立≒正規軍と呼べるのかどうかわからない武装集団の乱立≒軍閥の乱立≒内戦、と。

    何やっても良いですよ、こっちにビタ一文不利益出させるのは許しませんが。

    ※ダメな奴らは「三人寄っても烏合の衆」、私の好きな言葉です。
    ※実際、人民解放軍自体、国軍ではなく党の軍隊ですから、その意味では「巨大な民兵」なのかも。ナチスの武装親衛隊が一番近いかもですが、どっちかというと一般親衛隊が武器持ってるイメージなんですよね……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      「歴史から何も学んでいない」と、ため息が出そうですが、じゃあ実際どうするの?というとこれが難しい。
      どう転んでもハードランディングしか道はないわけで、一番ダメージを少ない方法を模索している最中という感じでしょうか。

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