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【韓国】亭子橋歩道崩壊の恐怖、杜撰な設計が明らかに

橋シリーズ
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これは……。

城南盆唐亭子橋の歩行路崩壊… 1人死亡・1人重傷

入力2023.04.05 午前10時42分 修正 2023.04.05 午後1時30分

京畿道城南市盆唐区亭子橋の歩行路が崩壊して通り過ぎていた行である一人が亡くなり、一人が重傷を負った。

京畿盆唐警察署によると、5日午前9時45分ごろ、炭川を横切る橋脚である亭子橋の手すり歩行路が突然崩れる事故が起きた。

NAVERより

なかなか怖い話だな。

「何故」よりも「どんな構造だったのか」という疑問

意味の分からない構造

先ずは、犠牲にあわれた方にはお悔やみを申し上げたい。残念なことに犠牲者が出てしまった事件だからね。

で、この事件は日本語版の中央日報も報道している。

韓国、橋の一部崩壊で通行者1人死亡・1人重傷

2023.04.05 11:45

5日午前9時45分ごろ、京畿道城南市盆唐区亭子洞で河川に架かる橋の歩道の一部が崩れ落ちる事故が発生し、通行していた市民1人が死亡、1人が重傷を負った。

中央日報より

どんな事故だったのだろうか?

なかなかスゴイ絵なんだけど、お分かり頂けただろうか?

不自然に感じた理由は、橋の歩道だと書かれているのにも関わらず、写真に写った範囲内で橋の構造材料が見当たらないことだ。

橋には様々な構造があるが

もちろん、橋梁に採用される構造というのは、色々なタイプがある。だから、一概には言えないと思うのだが、それにしたって構造材料が見えないというのは不自然だ。

どういうことかというと、例えばこんな橋の断面があったとしよう。

今回、写真を見て分かることは「車道」部分は無事で、「歩道」部分が崩れてしまったという状況である。そこから推測されることは、どうやら「歩道」は「主桁」で支えられないオーバーハングした形状を採用していたようだということである。

しかし、「床版」と呼ばれる構造部には、必ず「主部材」と呼ばれる鋼材が使われるのだ。

グレーチング床版と呼ばれるタイプが分かりやすいかな。

歩道は力のかかりにくい部分になるが、それでも鋼材が全く見えないというのは考えにくいのである。

可能性としては、後から歩道部分だけ継ぎ足したという可能性も考えたのだが、そうであれば鉄筋が折れ曲がって見えるのはおかしい。何より、「車道」側の破断面に鋼材が見えないのがおかしい。

「車道」側の断面にも、落ちてしまった「歩道」側にも、見える範囲で鉄骨があるようには見えない。意味が分からない。

カンチレバー形式の歩道?!

で、この意味の分からない状況が、後の報道で「どういうことだったか」が明らかにされた。

「崩壊亭子橋」など橋梁4つの安全診断… 歩道部鋳鉄筋性能重点点検

2023-04-06 16:47

京畿道城南市が5日、歩道橋崩壊で2人の死傷者が発生した亭子橋と交通を全面統制中の不正橋、歩道通行を禁止した薮内橋、近隣金谷橋など4つの橋梁に対する精密安全診断を6日開始した。

News1より

この記事に添付されている写真がこれ。

崩落した橋とは別の橋なのだが、こんな状況になっていて、事故後に通行止めになった。

うねってるよ。完全に歩道部分がクリープ現象を起こして傾いているし、道路も欄干もグニャグニャしている。事件発生を待つまでもなく、「ここは危ないのでは」と通行止めになるケースだ。

これが通行禁止になった橋らしい。いや、ここまで歪んでいたらさっさと取り壊そうよ。

通行が統制された仏亭橋、薮内橋と金谷橋は、歩道の崩壊事故が起きた亭子橋と同様に、「カンチレバー」(cantilever、1足)形式で建てられた橋だ。

News1より

カンチレバー形式だと?!

どういうことかというと、車道と歩道で構造が別になっていて、歩道は片持ち構造だったということらしい。

これが崩落した後に歩道部分を削った写真である。

この写真から分かるように、歩道だけではなく車道の端も崩れ落ちているのだが、その崩れ落ちた部分を削ったのが上の写真。つまり「車道部分」は橋脚と呼ばれる川から立ち上げられた「足」で支えられる構造になっていて、「歩道部分」は「車道部分」の端部から片持ち構造でくっつけられていたというのだ。

これを韓国の報道では「カンチレバー形式」としているのだが、橋の構造としてこれはちょっと拙いと思う。日本でいう橋梁に使うカンチレバー形式とは違うし。

責任者出てこい!

設計会社は既に倒産して逃亡済み

そして、こういう珍妙な構造の橋を作ったのはどこの会社なのか?というと、サムウ技術団という当時トップの技術集団だったらしい。

盆唐の橋崩落事故、近隣の橋も沈下し通行止めに…同じ会社が設計していた

記事入力 : 2023/04/08 11:32

歩道部分が崩れ落ちて2人の死傷者が出た京畿道城南市盆唐区の亭子橋の崩落事故に関連し、通行止めとなった近隣の仏亭橋と薮内橋も、全て同じ業者らが受注・施工・設計していたことが分かった。

朝鮮日報より

崩落した橋と、通行止めになった橋、何れも同じ設計思想で作られたのだから、同じ問題を抱えていても不思議はない。実際に崩れ落ちていないだけでひびが入り、歩道が波打っている状況である。崩落するのは時間の問題だろう。

城南市および韓国警察などが7日に明らかにしたところによると、亭子橋・仏亭橋・薮内橋はいずれも盆唐新都市造成事業を受け持った韓国土地開発公社(現在の韓国土地住宅公社)が受注していた。施工は広州高速が担当した。設計はサムウ技術団が担当したが、この会社は1995年に資金難などで倒産した。

朝鮮日報より

そして、韓国お決まりのパターン。問題を起こした会社が既に倒産しているパターンだ。過去に、外国で橋を架けたり建物を建てたりした会社も、既に潰れてしまって責任を取る人がいなくなるというケースが散見されただけに、「ああ、またか」としか思えない。

歩道が崩壊した亭子橋と、傾きのせいで交通規制中の仏亭橋・薮内橋は、いずれも車道の下だけを橋脚が支えていて、歩道には支持台がない形で設計された。城南市は、炭川に沿って架けられた20の橋の中に、サムウ技術団が同じ構造で設計した橋が他にもあるかどうか調べている。

朝鮮日報より

見立て通り、橋脚は歩道まで伸びていなかったし、歩道に支持台が無いどころか、片持ちで鉄骨すら入っていない。人が歩いて渡る部分なので、車道部分ほど荷重はかからないにせよ、鉄筋だけで支えている構造というのは恐ろしい。

しかし、責任者はどこにもいないので、発注した側の行政が責任を取るしかないと思う。

「良好」の判断

しかし、いつもの韓国だった。

韓国でも、定期的に橋梁の安全性について調査する制度があるらしいのだが、崩れたこの橋は「良好」の判断がなされていたそうな。

ポータルサイトのロードビューで見た京畿道城南亭子橋の姿です。

歩いていた歩行路が2016年を起点に、下に少しずつ垂れ始めます。

3年後の2019年には手すりも沈み、2021年には車道に薄暗い亀裂が生じました。

去る5日歩行路が降りる直前CCTV画面に捕捉された亀裂に似た位置です。

このように裸眼で写真を見ても道路のたるみと亀裂現象が現れ、亭子橋は昨年定期安全点検で「良好」評価を受けました。

施設物安全法上、橋梁安全点検は、定期安全点検と精密安全点検そして精密安全診断まで、大きく3段階に分けられます。

NAVERより

以前から「危ない」って分かっていたらしい。分かっていたにも関わらず、安全点検では「良好」という判断だったと言うから、一体何の点検なのかと。

色々メチャクチャですな。

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