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岸田政権の能登半島地震への対応を批判するメディア

安全保障
この記事は約18分で読めます。

東京新聞の腐った社説にビックリするのはいつものことではあるが、ここまで凄いのも久しぶりである。イソコプロデュースか?

「小出し」批判の自衛隊派遣だけじゃない…ちぐはぐな災害対応続ける岸田政権に見えない「危機感」

2024年1月13日 12時00分

能登半島地震発生から15日で2週間。岸田文雄首相が「総力を挙げる」とした政府の対応が問われている。家屋倒壊による生き埋め多発で「時間との闘い」となる中、自衛隊や消防は適切に派遣されたのか。司令塔である首相官邸の危機対応は十分だったのか。交通網寸断で陸の孤島となった半島での救助作戦も検証が求められている。

東京新聞より

えーと、森本智之氏と曽田晋太郎氏が連名で記事を書いているようだ。両名ともバリバリの左派ジャーナリストだった模様。まあ、さもありなん。

現実の見えないジャーナリスト達

左派の主張と現実と

興味がある方は、森本智之氏と曽田晋太郎氏がどんな記事を書いているのか探して貰えれば、まあ、色々出てくる。面倒なのでそれに関するコメントは差し控えさせて頂いて、この記事に関する突っ込みを入れていく。

久しぶりに、東京新聞の記事に突っ込みを入れるパターンだね。

で、今回引用した記事は、過去にブログで紹介した記事で随分と取り上げた内容が含まれていた。

こちらの記事である。

ザックリ書くと、「今回の震災対応、岸田政権も自衛隊も良くやっている」という内容である。もちろん、「もっと何か出来たのでは」という気持ちは多少あるのだが、正直これ以上を求めるのは酷だと思う。

もちろん、終わってから対応を検証することは大切なのだが、最初から批判するモード全開でこんな記事を書く新聞社は終わっている。あ、そういえば東京新聞は新聞社ではなくアジビラ印刷業だったような気がする。

後手後手と逐次投入

で、この記事で最初に取り上げたトピックスはこちら。

時事通信によると、秋田県の佐竹敬久知事は9日、「対応が少し後手後手だ」と批判。2日目に1000人、3日目に2000人、5日目に5000人と派遣規模を段階的に増やしていることについて「最初から1万人規模の投入が必要だった」「東日本大震災を経験したものとして非常にはがゆい」と訴えた。

東京新聞より

バッカジャネーの?!

コレに関しては、前の記事で突っ込んだのでもはや何も言うことはあるまい。

ただ、立憲民主党の泉健太氏が悪のりしておかしな発言をしたことは言及していなかったので、触れておきたい。

熊本地震(2016年)では3日目に1万4000人余を投入しており、この違いも批判に拍車をかけた。立憲民主党の泉健太代表は、ガダルカナル島の戦いで部隊を小出しにして敗退を続けた旧日本軍になぞらえ、「逐次投入になっており、遅い」と指摘した。

東京新聞より

この認識が間違っていることは既に指摘した。

どの記事が良いかな、ああ、朝日新聞が取り上げていた記事があったのでこちらを紹介しておきたい。

自衛隊、陸海空で「統合任務部隊」1万人を編成 海と空からも支援へ

2024年1月2日 12時33分

防衛省は2日午前、陸海空の自衛隊を束ねて運用する「統合任務部隊」を1万人規模で編成した。すでに隊員約1千人が石川県輪島市と珠洲市を中心に人命救助などにあたっており、被害状況に応じて現地の態勢を拡充する。

朝日新聞より

この記事は1月2日12時に出ているが、前の記事でも言及医師多様に、1月2日10時40分には防衛省が1万人規模の統合任務部隊を編成している。

この統合任務部隊というのは、陸・海・空のうち2以上の軍種を単一の司令部の指揮下に置いて統合運用する部隊のことで、即応できるように1万人規模の人員の確保は2日の段階で終わっている。

東京新聞さぁ、サヨク仲間の朝日新聞すら読まないわけ?それで、良く「取材した」なんて言えるねぇ。そもそもこの話題は、既に議論が尽くされて見当違いな指摘だという話で結論が出ている。

確かに現地に投入できる人数が少なかった実態はある。2日午前の段階で現地入りした人数は千人規模。だが、熊本地震の際には現地に既に駐屯している部隊があったからこそ、再編成して3日目に1万人規模の人員が現地にいたのであって、能登半島地震ではアクセスが困難で、かつ現地にテントなど宿泊できるスペース確保が容易でないところから始まっている。

同じ論調で語ることこそ、片腹痛い。

「後手後手」ではないし、「逐次投入」は状況に合わせた結果である。バカも休み休み言えよ。

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習志野演習場での合同訓練

さて、次にこの部分だが、コレも自分で書いておいて疑念が思い浮かばないのだろうか?

7日には、陸上自衛隊第1空挺団が千葉・習志野演習場で米英など計8カ国でヘリなどを使う「降下訓練始め」を行い、SNSなどで「こんな時に行わなくても」などと批判を受けた。

東京新聞より

そもそも、今回の能登半島地震において、第1空挺団が支援活動に回れる余地はない。

イソコ呼ばわりされる望月氏だが、こんな質問を官房長官にぶつけて顰蹙を買っている。

なお、笑えたのが引用した奥山氏の発言について、奥山氏が批判のポストをしている点だ。

尤も、この奥山氏の指摘もかなりおかしい。第1空挺団のヘリボーン作戦は特殊作戦において有効ではあるがリスクもかなり高い作戦である。特に冬の日本海側地域は海風が強く、能登半島地域は補給物資の空輸作戦に適さない場所が多い。

そういう意味でも、初期の第1空挺団投入は凡そ現実的ではない。

そして、何か勘違いをしているが自衛隊の第一任務は国防であって、災害派遣は国防任務より優先されるわけではないのだ。

8カ国での合同降下訓練を計画しておいて、「ごめんなさい、地震がおきたから中止ね」というのはちょっとあり得ない。

【情報提供】令和6年習志野演習場における降下訓練始め行事について | 日の出町ホームページ

調整に多大な時間を費やしている上、各国との関係があるので簡単に日程を移動できないし中止だって難しい。何より、第1空挺団の能登半島派遣は優先事項ではないのだ。中止するのが適当な状況であるとはとても認定出来ない。

https://www.jcp-yachiyo.jp/images/news/jcp_chibaseibu_news2022040001.pdf

日本共産党は降下訓練自体に批判をしているので、その関係で口出ししてみたという程度の話だろうと思う。

これは前の記事のコメントで出た議論だが、自衛隊に災害派遣を任している現状は、国防にとって本当に望ましいことかは考え直す必要がある。外国が攻めてきて自衛隊が出動しなければならない状況で災害が発生したら?災害派遣中に外国に攻められた自衛隊はどうするの?という話は、メディアの皆さんどう考えていらっしゃるのだろうか。

「もちろん、国防を優先すべき」と答えられるのか。「災害派遣を軽視するな」「災害派遣中に任務を放り出すな」と批判しないだろうね。

靖国神社参拝を批判する異常性

そして、こちら。

陸自を巡っては、小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)ら数十人が9日、靖国神社に集団参拝していたことも判明。宗教の礼拝所を部隊で参拝することを禁じた事務次官通達に違反している可能性があるとして、防衛省は調査を始めた。災害対応とは直接関係ないかもしれないが、「総力」を挙げている最中のはずだけにきまりが悪い。

東京新聞より

本気でバカじゃないのか?と疑ってしまう。

(社説)陸自靖国参拝 旧軍との「断絶」どこへ

2024年1月13日 5時00分

憲法が定める「政教分離」の原則に抵触するというだけではない。侵略戦争と植民地支配という戦前の「負の歴史」への反省を踏まえ、平和憲法の下で新たに組織された、自衛隊の原点が風化しているのではないかと疑わせる振る舞いではないか。

朝日新聞より

コレに関しては朝日新聞の腐れ具合も相当なものである。何というか、もうダメダメである。そもそも、自衛隊の幹部が靖国神社参拝して何の問題があるのか良く分からない。

どこをどう切り取ったら、「政教分離の原則に抵触」するのか不明だ。それを言うなら「信教の自由」はどこへ行ってしまうというのか。

確かに、この点で自衛隊が批判される面があるのは事実だ。

陸自幹部らの靖国参拝巡り「時代遅れの通達こそ見直すべき」自民・山田宏氏

2024/1/12 17:2

陸上自衛隊幹部や隊員ら数十人が9日に東京・九段北の靖国神社を参拝したことを巡り、防衛省が調査に乗り出すなど波紋が広がっている。宗教施設の部隊参拝や隊員への参拝の強制を禁じた事務次官通達に違反する可能性があるためだ。

産経新聞より

この参拝には公用車が使われたという話があって、その点のみは改めた方が良いと思う。だが、それ以外の点についておかしな点はない。むしろ、自民党の山田宏氏が言うように、「50年前の時代遅れの通達を見直さず、放っておいたことが問題」であって、自由意志参拝を禁じるような動きがあってはならない。それこそ、政教分離の原則と信教の自由両方に抵触するような話である。

仮に部隊規模で安全祈願など行ったところで、何の都合があろうか。

防衛大臣の木原氏も「参拝については差し支えない」としているが、信教の自由を「強制したか」とか「通達違反があったか」は調べたいとしている。

【記者会見】防衛大臣
定例記者会見(火曜日と金曜日を基準)を掲載します。そのほか、臨時記者会見等についても随時掲載します。

マスコミはこの辺りもねじ曲げて報道しているんだけどね。

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批判のための批判

次に、防衛ジャーナリスト(笑)の半田滋氏のコメントだが、まあ、的外れである。

一方、防衛ジャーナリストの半田滋氏は「情報収集が先決なのは事実だが、今回は発生直後からヘリが現地に飛んでいた。なぜこんなに人員の増強がモタモタしているのか。後手に回っている」と指摘。岸田首相が現在も被災地に入っていない対応も疑問視。「東日本大震災の時は安全保障政策が弱点と言われていた民主党政権で、それもあってか2日目に5万人、3日目には10万人体制とした。熊本地震も安倍晋三首相のトップダウンが見えた。今回は岸田首相をはじめとする政治家の危機感が感じられない」

東京新聞より

前半については、「後手に回っている」と言いたいだけの指摘だが、この点は既に指摘の通りなので止めておく。

後半の民主党政権時代の愚策についても、前の記事で言及しているので追求する必要はあるまい。「政治家の危機感が感じられない」ということを言いたいだけだろう。

半田氏が実際はどのように言及したかは知らないので、東京新聞の指摘が当たらないという可能性はあるんだけど、まあ半田氏の指摘は結構的外れなことが多い印象なので、今回も違和感を感じない。

岸田首相、初の被災地入り=避難所視察「心強く持って」―能登地震

2024-01-14 12:56

岸田文雄首相は14日午前、最大震度7を観測した能登半島地震の被害状況を視察するため、石川県に入った。元日の発災後、首相の現地入りは初めて。避難所となっている輪島市立輪島中学校を訪問し、被災者と意見交換。「大変な状況が続いているようですが、全力で引き続き頑張るので心を強く持ってください」などと呼び掛けた。

時事通信より

現地入りが遅れたことも批判される岸田氏だが、震災翌日にヘリで現場を混乱に陥れたアホ首相と比較すれば、随分とマシな対応である。

「支援をいただいて本当に助かっているが、5日の晩に届いたおにぎりの消費期限が5日だった。これを次の日に被災者に届けるのはいかがなものかと思い非常に悩んだ。ぜひ、消費期限の少し長いものとか、できるだけ早い段階での物資の輸送をお願いしたい」

東京新聞より

これもかなり的外れの話で、政府や自衛隊を批判する流れの記事で、おにぎりの消費期限の話をするとは。そもそも、消費期限切れていないよね。余裕がないので消費期限切れになっちゃう、という愚痴である。

輸送網が寸断されていて、現地に物資を届けるのが困難な状況が続いている中で、どうしてこんな話を出すのか。それより、支援物資と称して民間人から届けられる「ゴミ」の方が余程問題が大きい。

首相官邸への批判

プッシュ型支援の話で批判しているが、これも非常におかしな主張である。

被災地のニーズを把握し、「プッシュ型」で積極的に支援するとしている首相官邸。だが、政府関係者や被災地を取材する経済ジャーナリスト小倉健一氏は「岸田首相が政府内や地元との調整なく、現場を無視してトップダウンで対応を決めているため、混乱を来している。官邸の司令塔としての役割が機能していない」と指摘する。

東京新聞より

プッシュ型支援というのは、現地の要望を聞かずに支援物資を送り届けるやり方で、通信も寸断されている状況において、プッシュ型支援を採用した岸田氏の判断が間違っているとはとても思えない。

だが、政治ジャーナリストの泉宏氏は「半島という特殊な地域での危機管理の認識が甘く、やるべきことが遅きに失している。官邸の危機管理体制が穴だらけであることを国民に印象付けてしまった」と指摘。「政府は危機管理体制を検証し、可及的速やかに『半島有事』の対応策を示すべきだ」と語る。

東京新聞より

そもそも能登半島地震の根本的な問題は、群発地震が発生していたことに対して危機感を持てなかった行政の問題に起因するところが大きい。

しかし、能登半島のことに対応するのは石川県で、石川県としては人口の少ないところに税金を投入してインフラ整備をするという発想はなかなか出てきにくい。短期的な投資に対するリターンが少ないからである。

こうした大きな問題は国家が対応すべきという話になるが、そうすると石川県の行政権を無視して進めることになりかねない。

半島や山岳部で救助隊がすぐ到着できない地域は他にもある。「本来は発生直後から大量の人員を派遣しないといけないが、直後には深刻な被害状況がつかめず、初動が遅れたことは問題だ。避難所での資材の備蓄なども想定が十分ではなく、阪神大震災や東日本大震災などの教訓が学ばれていなかった」として、こう戒める。

「国も地方自治体も油断があったのかもしれないが、陸の孤島で大災害が起きた際の対応が今後問われる」

東京新聞より

言うのは簡単だが、実施することはそれほど簡単ではないのだ。

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国家として何が出来るのか

自衛隊の災害派遣能力には上限がある

東京新聞を批判するだけならば、突っ込み処が満載なので簡単なのだが、批判しっぱなしでは意味がない記事になってしまう。

そこで、1つ目の論点として、上で言及した通りに、自衛隊の有事対応と災害派遣のバランスをどうするのか?という話をしたい。

東日本大震災時も自衛隊は「有事」を意識していた

2021年3月9日

編集部(以下、── )東日本大震災ではどのような形で出動させたか。

折木 発災直後、北澤俊美防衛大臣(当時)から「自衛隊は最大何人出せるのか」と問われ、防衛警備上の観点から「12万~13万人」と答えた(当時の自衛隊総数は約24万人)。

~~略~~

── 災害発生時にも、国防上重要な地域の部隊は外せないということか。

折木 大災害があっても、自衛隊の任務は国防。常に頭に防衛警備があり、いざとなれば 優先しないといけない。

Wedge ONLINEより

この記事は少し前のものだが、東日本大震災当時、統合幕僚長だった折木良一氏へのインタビュー記事であり、かなり参考になった。

この折木氏の返答に関しても少々疑問はある。が、とにかく防衛警備上の観点から最大12万~13万人が動かせる上限だということで、当時の民主党政権は10万人体制で災害対応にあたった。しかし、交代要員を織り込むのであればその半数までで留めるべきであったと、僕は思っている。もちろん、それは数字上の話であり、実際の運用はプロが考えるべきなのだが。

ともあれ、有事対応を考えれば動員できる上限があるのだという観点は、ちょっと考えれば簡単に分かる話ではある。それを敢えて尋ねた北澤氏は「良く分かっていた」というべきだろう。良く分かっていなかったのはそれに全力投入して長期運用することはかなり「無理がある」話だったということだ。

今回は、1万人を集めたということなので、上限云々という話とは無関係だが、同時多発的に災害が発生すると、容易に上限に到達してしまう可能性があることは認識しておくべきだ。

防災スペシャリスト養成

なお、国としても全く無策というわけではない。

地方に「防災スペシャリスト」を養成して配置しようという動きがあるのだ。この防災スペシャリストというのは、災害時に対応出来る人材を確保するという文脈で語られている。

防災スペシャリスト養成研修 (国と地方の防災を担う人材の育成) : 防災情報のページ - 内閣府
中央防災会議に設置した「防災対策推進検討会議」の最終報告(平成24年7月)において、

これが果たして機能しているかどうかは、ハッキリしない。

災害発生時対応に向けた備えの強化として、下記のとおり提言。

○ 職員の派遣・研修を含む地方公共団体との連携体制の充実

○ 国・地方の人材育成・連携強化に資する防災訓練等による国・地方を通じた防 災体制の充実

○ 政府の防災部門と地方との人事交流の機会の拡充等による国・地方を通じた 危機管理の経験職員の増加

ただし、災害時の円滑な意見交換や市町村に防災担当を確保しておくという思想は悪くない。問題は、人員が少なすぎることだな。一般職員が各市町村で約20名って、それで足りるの?直ぐに上限に達するような気がする。

そして、この文脈を見ると、どう考えても災害現場に送り込む人員ではなくて、行政サポートをするバックアップ部隊のような感じだ。OJTの内容を見ると、会議に向けた各省 庁との調整、現地や都からの情報収集、政府調査団 や総理視察の準備等を行い、国、都、町がどのよう に連携して災害対応を行っていくのか、というような内容であったことが分かる。

もちろんそれも必要ではあるが、現場に入って御用聞きが出来るような人材は視野に入っていないのは至極残念である。

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広域で活動できる部隊の編成が望ましい

さて、災害派遣の話だが、自衛隊の強みは災害時における自己完結性と即応性である。ただ、今回の能登半島地震の事案において問題となったのは、駐屯地は金沢にあり、分屯地が輪島にあったということだ。金沢駐屯地は第14普通科連隊が駐屯する程度でそこそこ大きいのだが、都市の規模から考えるとまだ小さい。

輪島分屯基地においては第23警戒隊が駐屯してJ/FPS-3Dレーダーでの監視を行っている重要な拠点ではあるが、部隊規模は小さい。

災害救助にあたって、避難してきた方々を受け入れるような話はあったが、受け入れ可能なのはせいぜい千人程度の規模である。

石川 航空自衛隊輪島分屯基地に住民約1000人が避難

2024年1月1日 19時48分

防衛省によりますと、震度6強の揺れを観測した石川県輪島市にある航空自衛隊輪島分屯基地に、住民およそ1000人が避難しているということです。

NHKニュースより

こうした条件が重なって、自衛隊の現地での活動が制限されてしまったのが今回の事案である。

後知恵ではあるが、海上活動拠点となる輸送艦はもっとあっても良かったのではないか。

海自輸送艦「おおすみ」、能登半島沖の海上拠点に…陸自ヘリで物資をピストン輸送

2024/01/10 23:36

自衛隊は10日現在、被災地に6300人を派遣して支援を続けている。道路が寸断され、陸上からの輸送が困難となる中で、艦艇9隻のほか、ヘリなど約40機を投入し、海と空からの輸送にも力を入れる。

讀賣新聞より

おおすみ型輸送艦は3隻のみ。LCACは6隻態勢なので、輸送艦1隻につきLCAC2隻という状況になっている。ましゅう型補給艦やゆうが型護衛艦なども似たような機能は持つが、LCACの運用は出来ないので、同じ機能があるとは言い難い。

被災者宿泊のチャーター船、自衛隊が派遣 能登半島地震

2024年1月13日 14:45

自衛隊は13日、能登半島地震の被災者支援を巡り、民間事業者と契約しているチャーター船「はくおう」を七尾港(石川県七尾市)に派遣した。周辺の避難所にいる被災者が移って宿泊する。14日から運用する。

日本経済新聞より

自衛隊がチャーターする民間船として名の知られた「はくおう」や「ナッチャンWorld」は災害発生時に借り受けられることが多いが、今回も登場。

自衛隊は2016年の熊本地震でも同様に民間船を展開し被災者らが使った。今回もニーズがあると判断した。

日本経済新聞より

海に面していて、陸上のアクセスが限られる場所や離島での災害発生を考えると、こうした海上の拠点というのは意外に使えると思う。

そして、災害時に現地入りできる人材というのは、行政の延長線上にある人材だけでなく、現場対応出来る部隊や、実際に現場で救助や瓦礫撤去が出来る人材が圧倒的に不足していて、これを民間やボランティアに頼るというのは無理がある。

数万人規模の動員可能な人材の確保は必要なのではないか。

もちろん、国だって考えていて、予備自衛官補という制度が存在する。多少は体験される方もいるようだが、常識として広く浸透しているとは言い難い。

「予備自衛官補」の訓練、ど素人が受けた驚く感想
10日間の訓練中は、10畳ほどの居室の中で、下は20代前半、上は50代半ばの仲間とずっと共同生活。自分のスペースといえば2段ベッドの下の段、およそ1畳のみ。コロナ対策のため薄い透明のビニールシートが吊...

今回の能登半島地震でも100人ほど動員されたようだが、もっと人を集めても良いのではないか。

能登地震で招集の「予備自衛官」って? ほぼ一般人だが有事は自衛官 どれだけガチなのか?

1/12(金) 9:42配信

2024年1月1日に発生した能登半島地震。防衛省・自衛隊はすぐさま待機している部隊を被災地に向かわせ、初期の偵察活動を行い、県知事などからの要請を受けたうえで、救援部隊を送っています。

乗り物ニュースより

色々調べて見ると、制度として機能しているとは言い難いものらしく、自衛隊側が予備自衛官補を運用出来る態勢になっていないので動員できていないということのようだね。

ただ、こうしたシステムを考えていて、広域で活動できる強みがあるからこそ、自衛隊が災害派遣されて重宝されているのだ。でもね、上で言及したように、自衛隊の動員には上限があるし、「災害派遣に便利」という程度の認識で派遣要請をして貰っては困る。

今回のような壊滅的な事案に自衛隊がその自己完結性が強みを発揮するのは事実だけれど、自衛隊でなければならないという訳ではないのだ。だったら、広域災害に対応出来る部隊を、県を跨いで活動できる部隊を、アメリカで言う州兵のような存在を作っても対応が可能である。

自衛隊の保有している機能で非代替性がある装備に関して、重複して持てとは言わないが、前線で肉体労働する人材だったら素人に毛が生えた程度のものでも差し支えないハズだ。公的にそうした人材を登録し、動員できるようにしたらどうなのだろうか。ボランティアを活用しても良いが、広域で活動できる自己完結型の装備は欲しいところ。

自然災害の多い日本列島である。かつては消防団がそのような使われ方をした時代もあったけれども、今は見る影もない。その辺りは整備する価値があるのではないだろうか。

メディアは、そういう対応が可能な組織構築こそ、議論すべきなんじゃないかなぁ。皆さんは、どうお考えだろうか。

追記

面白い記事を見つけたので紹介しておこう。

ホバークラフトどんどん送ればいいじゃん←そうじゃない! 能登への物資輸送の難しさ 陸海空全てで | 乗りものニュース
地形が険しい能登半島では、大地震により道路が寸断され、支援の手が滞っています。陸路が使えないなら海路からと、海上自衛隊がホバークラフトを展開していますが、こちらもガンガン送り込めばよいというものでもな...

僕が大好き、乗り物ニュースからの記事である。

要約すると、LCAC増やせば災害発生しても大丈夫とかそういう簡単な話じゃないよ、ということだね。参考になりました。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    本件、腹が立つので基本見ないことにしていますが。

    結局、連中がしたいのは「被災者の救援」ではなく「災害をダシに政権批判」なのですよね。
    死体蹴りどころか、死体積み上げた上で「会議は踊る」を地で行く連中。

    そこに、半可通のエセ論客が絡んで来るから、軍事クラスタとかは騙されないけど、一般人は活字や電波に乗った情報はとりあえず正しいと思いがちなので、怖ろしいことなのですよね。
    日本だけじゃないけど、この、「活字や電波になった情報は権威のあるものである」という間違った思い込みによる権威主義をどうにかしないといけないかと。
    2チャンネルやTwitterは、そういう意味で専門クラスタの集合知にはもってこいなのですが、半面、デマやフェイク、バカの温床でもあって、痛し痒しです。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      的外れなメディアの発言を相手にしたものの、本当に考えたいのは自衛隊を「気軽に使う」という形よりも、地方自治体が自前の防災体制の強化を図るような流れになって欲しいというところが本稿の趣旨であります。有事の時に対応出来ない自衛隊、等ということが万が一にも起きないようにして欲しいと思っております。

      • アバター 七面鳥 より:

        ごもっともであります。

        >地方自治体が自前の防災体制の強化を図る

        阪神東北は言うに及ばず、新潟九州、そして今回の北陸と、比較的短いスパンで(昭和期の記憶に比べて)国土が被災している昨今、各地自治体も相応の態勢をとるべく目覚めてはいる……と思いたいですが。

        もっとも甚大な災害である「戦争」を含めて考えた時、首長による差が顕在化してしまうでしょうね。
        最前線たる沖縄があの体たらくですから……

  2. アバター 匿名 より:

    日本の大型メディアの仕事は、見識なく政権を批判して、揚げ足取りすることです。
    自分の頭で考え判断しないで、鵜呑みにしては、いけません。

    • 木霊 木霊 より:

      NHKがその筆頭になりつつあるのは困ったモノです。
      あそこは、情報を取り扱う部分だけ国営化して、後は民間に格下げしてしまった方が良いかも知れません。

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