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アメリカと支那の首脳会談

北米ニュース
この記事は約12分で読めます。

アメリカと支那との首脳会談が行われたのだけれど、どんな意味があるのか?という話を少し言及して行きたい。

米中首脳会談終わる 関係安定化はかれるか焦点

2023年11月16日 9時54分

アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席による1年ぶりの首脳会談が、アメリカ西海岸で日本時間の16日午前4時すぎから行われ、さきほど終わりました。

NHKニュースより

一部報道では、アメリカと支那が手を結ぶ準備をしているというものもあったんだけど、おそらくはそういう目的ではなかったと思う。

取り敢えず会談をやっておく

ホットラインの再開

まず、掲げられている目的としては、不通となっていた「ホットラインの再開」である。

米中の間で台湾や南シナ海をめぐる情勢、それに経済安全保障分野などをめぐって対立が深まる中、会談を通じて、去年夏から遮断されている軍のホットラインの再開など、両国が意思の疎通を円滑にはかれる環境を築けるかが焦点です。

NHKニュースより

アメリカと支那との対立は、軍事的にも随分と高まっている。特に、支那の人民解放軍の暴発が疑われる事案が結構あって、アメリカはこのことをかなり懸念している。

それが「ホットラインの再開」の動機のようだ。

そして、「わたしは今回の会談を重視している。指導者どうしが互いに誤解をしないことは最も重要だと考えているからだ」としたうえで、「私たちは競争が衝突へと転じないよう責任ある形で競争を管理していかなければならない」と述べました。

NHKニュースより

アメリカがそこを重視している事が見て取れるのだが、支那は経済的な見返りを勝ち取りたいというのが本音のようだ。逆に言えば、アメリカの要求を理解した上で、わざわざ人民解放軍の暴発を演出しているような部分はありそうだ。

経済対策

支那経済がかなりヤバいことに関しては、既に何度か言及している。

ザックリ纏めて言うと、不動産開発業を支那経済のドーピングに使っていたために、その仕組みが破綻しかかっていることが支那経済の悪化を招いているという内容である。

この他にも、武漢ウイルス感染症を世界にばらまいてしまったことと関連して、外国からも恨まれ国内の経済の舵取りにも失敗した。具体的には、ロックダウン政策に固執するあまり、経済を冷やし、更に通貨流通量を絞ってしまった。コレは海外に富が流出しないようにする狙いだったようだが、結果的には流動性不全を招きつつある。

で、この経済政策のお陰で更に外国から不興を買う。自国通貨安政策は、基本的には嫌われるんだよね。

そんなわけで、アメリカとの対立は何とか解消したいのが支那の本音だ。

中国の習近平国家主席は、会談の冒頭「世界は新型コロナウイルスの感染拡大からは抜け出したが、大きな影響はまだ残っている。世界経済は回復し始めたが力強さに欠け、産業のサプライチェーンは妨げられ、保護主義が台頭するなど、これらの問題が非常に際立っている。世界で最も重要な二国間関係として、中米関係は人類の進歩のために責任を果たさなければならない」と述べました。

そして、「この50年余り、中米関係は順風満帆ではなく紆余曲折(うよきょくせつ)の中で前に向かって発展してきた」としたうえで、「この地球は中米両国を受け入れることができる。それぞれの成功は互いのチャンスだ。私は中米関係の将来は明るいとかたく信じている」と述べました。

~~略~~

さらに、「大国による競争はこの時代の潮流ではなく、両国と世界が直面する問題を解決することもできない」としたうえで、「両国の歴史、文化、社会制度、発展の道が異なることは客観的な現実だ。しかし、双方が相互尊重、平和共存、ウィンウィンの協力を堅持するかぎり、完全に相違を乗り越えて、正しくつきあう道を見つけることができる」と述べました。

NHKニュースより

何かこう、ちょっと格好いいことを言っている様に見えるんだけど、要は「自分たちは好き勝手やるよ」「今までのスタンスを変えるつもりは無いから」という事を言っているに過ぎない。

経済的な観点からすれば、デカップリングは止めてくれという懇願に近い話で、アメリカとしても支那との貿易はそれなりのメリットがあるので、再開したいというのは本音ではある。とはいえ、現状はアメリカ経済はそれなりに順調なので、直ぐに変革する必要はない。寧ろ、大統領選を来年に控えているので、下手な決定をするのは悪手である。

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フェンタニルの材料を売るのは止めろ!

なお、NHKニュースには何故か記載が無かったが、アメリカとしては国内問題としてフェンタニルの流通に困っていて、その原料を支那が供給していることに腹をたてている。

両首脳は、人工知能(AI)に関する対話開始や米中間の旅客便の大幅増に取り組むことで合意。米国で、中国が原料を輸出する医療用麻薬フェンタニル乱用が社会問題となっていることを踏まえ、薬物対策で作業部会を設けることでも一致した。

産経新聞より

なお、このフェンタニル原料の問題は、以前も会談の話題に上がっていて、支那はその問題を反故にしている。

「中国は米農産物など購入」 首脳会談後の米中政府声明

2018年12月2日 12:09

~~略~~

非常に重要なことに、習国家主席は優れた人道的な措置として、(乱用が問題になっている医療用麻薬オピオイドの一種の)フェンタニルを規制薬物として指定することに同意した。これはフェンタニルを米国に販売する者は中国の最高刑の対象になることを意味する。

貿易に関しては、トランプ大統領は、2019年1月1日に、2000億ドル(約23兆円)相当の製品に対する関税を10%に維持し、今回は25%に引き上げないことに同意した。中国はまだ(量に関しては)合意していないが、両国間の貿易不均衡を緩和するために、相当量の農業、エネルギー、工業製品およびその他の製品を米国から購入することに同意する予定だ。中国は直ちに米国の農家から農産物の購入を開始することに合意した。

日本経済新聞より

結局の所、支那と約束をしたところで余り意味はないのである。

じゃあ、何のために今回の会談をしたのかといえば、1つは会談をしたというアリバイ作りがアメリカにとっても支那にとっても必要なことであったということであり、もう1つはアメリカ側の要望として前述したホットラインの再開ということがあったのだと予想される。

細かいことはホワイトハウスのペーパーが出ないと分からないのだが、まあ、正直言って余り実のない会談であったことは事実である。

アメリカも支那も時間稼ぎ狙いというのが、今回の会談の実態なんじゃないかな。

追記

おっと、ホワイトハウスからペーパーが出たね。

Readout of President Joe Biden’s Meeting with President Xi Jinping of the People’s Republic of China

NOVEMBER 15, 2023

President Joseph R. Biden, Jr. today held a Summit with President Xi Jinping of the People’s Republic of China (PRC), in Woodside, California. The two leaders held a candid and constructive discussion on a range of bilateral and global issues including areas of potential cooperation and exchanged views on areas of difference.

~~対訳~~

ジョー・バイデン大統領と習近平国家主席の会談を読み解く

2023年11月15日

ジョセフ・R・バイデン大統領は本日、カリフォルニア州ウッドサイドにて、中華人民共和国の習近平国家主席と首脳会談を行った。 両首脳は、潜在的な協力分野を含む二国間および世界的な諸問題について率直かつ建設的な議論を行い、相違する分野については意見交換を行った。

ホワイトハウスのサイトより

気になる方は全文をリンク先に飛んで読んで欲しい。

ここでは訳文だけ載せておくことにする。あ、その前に、結構長いので要点を載せておこう。

  • アメリカは常に自国の利益、価値観、同盟国やパートナーのために立ち上がる
  • アメリカと支那は、対立や衝突、新たな冷戦に陥ることを防ぐ必要がある
  • フェンタニルのような合成麻薬の製造・取引と闘うために協力しろ
  • ハイレベルの軍事ホットラインを再開する
  • AIリスクにも対処してね
  • 東アジアの安定のために米国はコミットするぜ
  • ウクライナ事案やイスラエル事案、アメリカはガツンとやるからな
  • 支那は人権にも配慮しろ、そこはアメリカとして譲れない(新疆ウイグル自治区、チベット、香港を含む)
  • 支那は民間人の不当拘束を止めろ
  • 気候変動対策は支那もしっかりヤレ
  • 今後も貿易を続けるためにルール守れよな

バイデン大統領は、米国と中国は競争関係にあることを強調し、米国は自国における米国の強さの源泉に投資し続け、世界中の同盟国やパートナーと連携していくと述べた。 また、米国は常に自国の利益、価値観、同盟国やパートナーのために立ち上がることを強調した。 両首脳は、米中両国が責任を持って競争を管理し、対立や衝突、新たな冷戦に陥ることを防ぐことを世界が期待していると繰り返し述べた。

両首脳は、多くの重要な問題で進展を見せた。両首脳は、フェンタニルのような合成麻薬を含む世界的な違法薬物の製造・取引と闘うための二国間協力の再開と、継続的な意思疎通と麻薬対策に関する法執行の調整のための作業部会の設立を歓迎した。バイデン大統領は、この新たな一歩が、進化する違法合成麻薬の脅威に対抗し、麻薬カルテルへの前駆体化学物質や錠剤圧搾機の横流しを減らすための米国の政府全体の取り組みを前進させると強調した。

両首脳は、米中国防政策調整協議や米中軍事海洋協議協定の会合と同様に、ハイレベルの軍対軍連絡の再開を歓迎した。 双方はまた、戦域司令官間の電話会談も再開している。

両首脳は、米中政府間協議を通じて、高度AIシステムのリスクに対処し、AIの安全性を向上させる必要性を確認した。

両首脳は、地域的・世界的な重要課題について意見交換した。 バイデン大統領は、つながり、繁栄し、安全で、強靭な自由で開かれたインド太平洋に対する米国の支持を強調した。 大統領は、インド太平洋の同盟国を防衛するという米国の鉄壁のコミットメントを再確認した。 大統領は、航行と上空飛行の自由、国際法の順守、南シナ海と東シナ海の平和と安定の維持、朝鮮半島の完全な非核化に対する米国の永続的なコミットメントを強調した。

バイデン大統領は、米国が同盟国やパートナーとともに、ロシアの侵略に対するウクライナの防衛を引き続き支援し、ウクライナがこの戦争から、将来の侵略を抑止し自衛できる民主的で独立した主権を持つ豊かな国家として立ち上がることを確実にすることを再確認した。 イスラエルとハマスの紛争について、大統領は、テロから自国を守るイスラエルの権利に対する米国の支持を改めて表明し、すべての国が影響力を行使して紛争の激化と拡大を防ぐことの重要性を強調した。

バイデン大統領は、人権の普遍性と、国際的な人権に関する約束を尊重するすべての国の責任を強調した。また、新疆ウイグル自治区、チベット、香港を含む中国による人権侵害について懸念を表明した。 台湾については、バイデン大統領は、われわれの一つの中国政策は変わっておらず、数十年、政権を超えて一貫していると強調した。 また、米国はいずれの側からの一方的な現状変更にも反対であり、両岸の相違は平和的手段によって解決されることを期待し、世界は台湾海峡の平和と安定に関心を持っていると繰り返し述べた。 また、中国による台湾海峡およびその周辺での軍事活動の自制を求めた。 バイデン大統領はまた、中国の不公正な貿易政策、非市場経済慣行、米国企業に対する懲罰的措置など、米国の労働者や家族に損害を与える行為について、引き続き懸念を表明した。 大統領は、貿易や投資を過度に制限することなく、米国の先端技術が自国の国家安全保障を損なうために利用されるのを防ぐため、米国は必要な措置を取り続けると強調した。

大統領はまた、中国で不当に拘束されたり、出国禁止措置を受けている米国民のケースを解決することが引き続き優先事項であることを再度強調した。

両首脳は、米国民と中華人民共和国国民との絆の重要性を改めて強調し、米中航空輸送協定の完全な履行を回復するための行動と並行して、来年早々にも旅客定期便の大幅な増便に取り組み、両国間の交流を支援することを約束した。両首脳はまた、教育、学生、青少年、文化、スポーツ、ビジネス交流の拡大を奨励した。

両首脳は、この重要な10年間に気候危機への取り組みを加速させるために協力することの重要性を強調した。 両首脳は、2020年代の排出量削減のための各国行動、COP28の成功に向けた共通のアプローチ、具体的な気候変動行動を加速させるための2020年代の気候変動行動強化に関する作業部会の運営など、最近の両国の気候担当特使間の前向きな議論を歓迎した。バイデン大統領は、米国は中国と協力し、途上国や新興国における健康安全保障や債務、気候変動資金といった国境を越えた課題に取り組む用意があると述べた。

両首脳は、米中関係に関する原則の策定について協議した2022年11月のバリでの会談を踏まえ、米中関係のベストプラクティスを模索するためのそれぞれのチームの努力を認めた。 両首脳は、米中関係の競争的側面を責任を持って管理すること、紛争を防止すること、オープンなコミュニケーションラインを維持すること、共通の関心分野で協力すること、国連憲章を守ること、すべての国が互いに敬意をもって接し、平和的に共存する道を見つけることの重要性を強調した。両首脳は、この点に関する議論の継続を歓迎した。

両首脳は、サンフランシスコでの協議をフォローアップするため、双方向の訪問や、商業、経済、金融、アジア太平洋、軍備管理・不拡散、海洋、輸出管理執行、政策立案、農業、障害者問題などの主要分野における実務者協議など、ハイレベルの外交・交流を継続することで合意した。

ホワイトハウスのサイトより

イヤー長いな。

そして、バイデン氏は割と高圧的な主張をしているね。なお、ここには出てこないけど、記者の質問に対して「習近平は独裁者だ」と答えてしまっている。今回が初めてなら単なる失言ということなんだろうけど、既に3回目か4回目くらいなんだよね。どう考えても、失言だとは思ってないよな?

追記2

報道ベースでも出てきたので紹介しておく。

米大統領「習氏は独裁者」、首脳会談直後に発言 中国側は反発

2023年11月16日午後 5:30

バイデン米大統領は15日、中国の習近平国家主席との会談後の記者会見で、習氏が事実上の「独裁者」という見方は変わっていないと述べた。

バイデン氏はこの日、サンフランシスコ郊外で習氏と約4時間にわたり会談した。その後に単独で行った記者会見で、習氏が独裁者だという見方を現在も抱いているか問われ、「われわれとはまったく異なる政治形態に基づく共産主義国を率いる人物という意味で彼は独裁者だ」と述べた。

ロイターより

事実陳列罪だな。

中国外務省の毛寧報道官は定例会見で、バイデン氏を名指しすることは避けた上で、発言に「強く反対する」と述べた。

「この発言はひどく間違っており、無責任な政治的操作だ」とし、米中関係を扇動しダメージを与えようとたくらむ人々が常に存在するが、失敗に終わると指摘。具体的にどのような人々を指しているかは答えなかった。

ロイターより

支那は言われて嫌なことをズバッと言われてキレているのだが、発言のボキャブラリーが少ないのが残念である。「ひどく間違っており」って、間違っていないよね。

政治的操作だという話も、だからなんなんだというレベルの話。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >アメリカがそこを重視している事が見て取れるのだが、支那は経済的な見返りを勝ち取りたいというのが本音

    「電話に出てやるから金よこせ」
    「チャットダイヤルかコールガールかお前は」
    「さもないと、うちの下っ端が何するかわからないぞ」
    「よろしい、ならば戦争だ」
    こうですねわかりません。

    西側式の秩序、アメリカ式の統治の全てを是とはしませんが、中華思想のほぼ全てが非である事は火を見るより明らか。
    でも、殴りつけないとわからないけど、殴っても逆恨みするだけなんですよね……

    • 木霊 木霊 より:

      記事にもちょっと書いたんですが、本当の狙いは多分アメリカ側も支那側も時間稼ぎと偶発的な戦闘発生の防止でしょう。
      どちらの国も今ドンパチ始まって貰っては困るので、とにかく穏便に、穏便にということだと理解しています。

      • アバター 七面鳥 より:

        >どちらの国も今ドンパチ始まって貰っては困る

        これですね。
        実は、中華の方が今始まると困るのだと思います。
        準備がまるで出来ていない。
        ※多分、未来永劫準備は出来ないような気もします、時間がたつと、増強した戦力自体が「保守点検整備」で金食い虫になるので。

        ※土曜に帯状疱疹ワクチンに重ねてインフルも打ったら結構副反応が効きました。月曜返信してないのはこれが理由です。

        • 木霊 木霊 より:

          そうなんですよ。
          だから、支那にはバンバン空母を作って、原子力潜水艦を作って、戦闘機を作って欲しいんですよね。
          核兵器は遠慮頂きたいですが。

        • 木霊 木霊 より:

          あらお大事に。
          ワクチン接種も結構な体力を使いますからね。

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