面倒なことになっているね。
ウクライナ、DMG森精機の子会社を戦争支援企業に指定 同社は否定
2023年9月28日 21時09分
ウクライナ政府は28日までに、工作機械メーカーのDMG森精機のドイツにある子会社を「戦争支援企業」のリストに加えたと発表した。DMG森精機は昨年、ロシアからの撤退を公表していたが、ウクライナ政府はロシアの軍需関連企業への製品供給がその後も続いたと指摘。同社は事実関係を否定している。
朝日新聞より
森精機のドイツにある子会社がリストに載っちゃったという話なんだけど、なかなか酷い話だ。
DMG森精機は「戦争支援企業」か
森精機ってどんな会社?
正確にはDMG森精機株式会社で、工作機械を作っているメーカーである。知っている人はよく知っているメーカーなのだけれど、一般人は社名を殆ど見る機会はないかな。
世界最大の工作機械メーカーとも言われているんだけど、2022年の世界シェアは2位ってことになっている。
順位 | 企業名(国名) | シェア |
---|---|---|
1位 | トルンプ(ドイツ) | 5.41% |
2位 | DMG森精機(日本) | 4.01% |
3位 | 通用技術集団(中国) | 3.81% |
この世界でも支那の勢力は拡大しているけれども、この順位は生産額ベースの話。
長らく、この分野では日本とドイツが首位争いをしてきたけれども、数年後には支那が抜くだろうと噂されている。
日本は加工精度の面では一日の長があるんだけど、制御機械の方は近代化において後塵を拝する感じなので、仕方がないかな。
というわけで、日本における工作機械メーカーの中ではトップレベルの実力を持っているのが森精機ということですな。ただ、企業としての比較的新しい会社で、創業は昭和23年。近年、太陽工機や日立精機など事業吸収を積極的に行ったことで成長した企業である。
世界でもトップレベルの実力と評価されているんだけれども、価格や使い勝手の面では新興国からは若干評価が低いのよね。
無断で出荷されたか
で、冒頭のニュースは、ドイツの子会社の話なんだけど。森精機は平成25年までは株式会社森精機製作所という名前だったが、ドイツ企業のギルデマイスターグループ(DMG)と経営統合をした関係で、名前がDMG森精機株式会社になっている。
で、問題になった子会社なんだが……。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、同社はロシア事業から撤退したと昨年6月に公表。ロシア西部ウリヤノフスクの組み立て工場を閉鎖し、モスクワにある販売・サービス拠点の約70人も解雇したとしていた。
朝日新聞より
ちょっと詳しい事が分からないので、森精機のサイトも確認してみたのだが、やっぱり詳しい情報は出ていなかった。
ロシアに関するステートメント
2023 年 9 月 29 日
DMG MORI は、2022 年 3 月に当社ホームページにリリースの通りロシアでの生産・販売・サービス を停止しております。また、今日に至るまで、DMG MORI はこの宣言を遵守しています。 現在、DMG MORI がこの宣言を反故にしたかのような印象が持たれているようですが、そのような批判 は完全な誤りであり、全てを否定します。
森精機のサイトより
社としては公式に「売っていない」と主張しているね。
DMG森精機が声明 ロシア撤退後、製品が無断で出荷された可能性
2023年9月29日 20時31分
工作機械大手のDMG森精機は29日、ロシアの軍需関連企業への製品供給を続けたとして、ドイツの子会社がウクライナ政府から「戦争支援企業」に追加されたことについて、ロシアの拠点にあった製品が撤退後、無断で出荷された可能性が高い、との見解を明らかにした。会社としての関与を改めて否定し、「なぜこのようなことが起こり得たのか、慎重に調査する」としている。
朝日新聞より
コンプライアンス的には、子会社がやらかしたことは本社としても把握しているべきであり、この主張はアリだと思う。だが、ロシアの拠点から撤退する時に、在庫の機械をどうしたのか?という点も含めてハッキリしたことを説明していないようだ。これは企業として説明すべき点だと思う。
一方ウクライナ政府は、「森精機の子会社が、ロシアの現地法人を通じて軍用航空機向けガスタービンエンジンをつくる企業に部品を供給していた」と主張しているんだけど、証拠を出しているわけではない。
ウクライナ政府が言うから何でも信用するというのは、ちょっと違うだろう。
部品の供給を止める必要はある
一応、公式に森精機はロシア工場の停止をしたというニュースも紹介しておこう。
DMG森精機、ロシア工場停止
2022年3月4日 18:30
工作機械大手のDMG森精機はロシアによるウクライナ侵攻を巡り、ロシアのウリヤノフスクに持つ組み立て工場の生産を止めたと4日までに発表した。現地の物流が混乱しているといい、日本や欧州からロシア向けの輸出も止めた。ロシアでの2021年度の売上高は80億円(連結全体の2%)で、収益への影響は軽微としている。
DMG森精機がロシア国内で販売する製品は、6割強を現地生産で、残り4割弱を欧州や日本からの輸入で調達している。
日本経済新聞より
連結全体の2%の売上高を稼いでいた事を考えると、経営にも多少はダメージのある判断だったと思う。
それなのに文句を言われて森精機としては業腹なのだろう。
ロシアの工場が戦争やそれに伴う稼働停止などで損害を受けた場合、ドイツ政府による保険で最大140億円弱の損失補償が受けられるといい、保険金請求も検討するとしている。22年度に減損損失を計上する可能性があるという。
日本経済新聞より
おそらくはその損失分補填をドイツ政府にして貰っているとは思うが。
実態はどうなのだろうか
なお、記事に記載されているように「6割強を現地生産をしていた」ということで、ロシアの現地企業には生産能力があった。これを「完全に停止させていくという作業が必要だった」「損害を補填するために支援をクレ」というのが、ウクライナ政府側の主張の本質なのかもしれない。
しかし、森精機がロシアから撤退するにあたって、まさか工作機械を全て運び出すと言うことは出来ないだろうし、壊していくということが出来たとも思えない(おそらくはロシアにある子会社の私有財産扱いだから、勝手に処分できない。勝手に処分したらロシアの法律で処罰される)。
だから、現地に残された工作機械を使って部品を作っていたとしても、おかしくはない。そうだったとしても、これを森精機に止めろと言われましても困るよね。
長期的には工作機械のメンテナンスに使う部品が枯渇していくので、ロシア国内での生産に影響が出るんだろうけど、現時点ではロシア国内でのことだからどうしようもない。
そんなことは百も承知でウクライナ政府が主張しているのだろうから、そうするとこの話には「ウラ」があると考えた方が良さそうである。つまり、各国が支援疲れしてきたので、別の方法で支援を得ようとする動きである。お人好しの日本が狙われているという意味でもあるだろう。
アメリカの予算も枯渇しそうだから、ちょっと焦っているのかも知れないね。
コメント
言わないこっちゃ無い。腐敗国家のウクライナの「絶対正義」なんか高々と報道して、甘やかすから、こういう事になる。
この辺りはメディアの責任もありますけど、ウクライナの生存戦略としては正しいのですから仕方ありません。
日本政府としては、ドイツ政府に協力して貰って、そのような部品製造によって得られた利益があったかを調査し、不当な判断を覆して貰うように働きかけるべきでしょう。ロシアにある子会社から部品が供給されていることを立証する責任はウクライナ政府にありますしね。
ウクライナはいままで米欧諸国からの大規模援助に助けられて戦争して来たけど、その援助も先き行き不透明になってきたようだね。人的資源も消耗して、政府と軍は徴兵を強化しているそうだし。良し悪しはさておき、いろいろ策を講じているのだろう。
DMG・MORIは、ロシアで操業していた実績から、ドイツあたりの当て馬にされたのではないかな。
アメリカがいつものアレですから。
相変わらず予算編成で混乱が続いていて、つなぎ予算を可決できたので一息付けたようですが、この騒ぎは未だ続きそうですね。
で、割を食う可能性が出てきたのがウクライナという構図なんですよねぇ。
それが分かっているからの対策ということなんですが、森精機にとっては良い迷惑ですな。日本が舐められている事の証拠でもあります。
こんにちは。
戦争ですから、どこもなりふりなんぞ構っていられない。
イチャモンでも何でも、とにかく今、お金の一円でも、弾の1発でも手に入るならそうする。
それだけの事でしょう。
仮にもドイツと日本が名を連ねる企業が、ロシア撤退で後手に回るとは思えない(裏があれば別ですが)ので、刻印等も含めて工作機械をそのまま使い回している「工場を引き取ったロシア企業」が普通に流している、と思えます。
あるいは、それ自体がロシアによる離間工作なのかも知れませんし。
「腐敗国家のウクライナ」(直前には、アントノフやら国策企業すら潰れる寸前だった、いや、一度潰れたっけ?)で、ゼレンスキーは戦争と並行した国内浄化に頭抱えてますし、「正義」なんてそんなもんどこにもない、あるのは「大国(しかも常任理事国)の力による国境と他国政権の変更」を認めてしまうか否か、というまさに瀬戸際の状況だけですから。
※その意味では、「報道の自由」その他がある自由主義国陣営の方が、内政的には圧倒的に分が悪い。
こんにちは。
そうなんですよねぇ、結局、戦争のための政治なんで形振り構っていられない部分はあるのでしょう。
戦前のウクライナは随分と政治腐敗が進んでいて、そのお陰であのゼレンスキー氏が表舞台に登場することになりました。ですが、平時の政治的な手腕はガッカリレベルだったようで、戦争直前の支持率は最悪だったようですよ。ですが、流石「役者」を本業にしていたゼレンスキー氏ですから、味方を鼓舞し、外国からの資金調達をする手腕はなかなかのもの。優秀なブレインが他にいるのかも知れませんが、見事に踊って見せています。幸か不幸か独裁状態だからこそ、保っている部分はあるのでしょうね。
日本政府としては、そういった手合いを相手にしているのだという認識がまず必要なのでしょう。
ウクライナのイチャモンで話がまとまりかけの議論になんですがm(..)m
この報道の元って
・ウクライナ政府の「戦争の国際的なスポンサーリスト」
https://sanctions.nazk.gov.ua/en/boycott/
ですよね?
元々いいかげんなタレコミでもリストアップするだけして、された側が申し開きしろ
制裁などなくリストアップのデメリットは不名誉なだけ
、、という投げやりスタンスだし、
また今回のDMG MORIのタレコミ元はロシアの胡散臭いメディアだし(笑)
https://www.agents.media/rossijskij-vpk-prodolzhil-poluchat-nemetskie-stanki-posle-nachala-vojny/
もしイチャモンなら保険払いたくないドイツ・イギリス(ロイズの息かかったBBC)あたり?
個人的には騒ぐほどではないような。。。
書き忘れ ちなみに理由:リストのFAQ
https://sanctions.nazk.gov.ua/en/faq/
1:そもそもしっかりした定義はない...
2:制裁・ペナルティーは、評判だけ
。。。
4:誰でも削除申し立てOK
…
リストに支那の次に米国企業多い。なんか欧州企業はいくつか欧州委員会のクレームでペンディングになってるし(笑)