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プーチン氏、ダム破壊を「ウクライナの野蛮な行為」と認定してしまう

ウクライナニュース
この記事は約5分で読めます。

あー、まあ、プーチン氏なら仕方がない。許容すべきだという話では無く、もはや話の通じない独裁者なので、何を言っても無駄という意味だ。

ダム破壊は「野蛮な」戦争犯罪、プーチン氏がウクライナを非難

2023年6月8日12:23 午前

ロシアのプーチン大統領は7日、トルコのエルドアン大統領と電話会談を行い、ウクライナ南部ヘルソン州で6日に起きた大型ダムの決壊を巡り協議した。

~~略~~

ロシア大統領府によると、プーチン大統領はエルドアン氏との電話会談で、ウクライナが西側諸国の提案に基づきダムを破壊したとし、ロシアとの対立を激化させる「野蛮な」戦争犯罪を犯したと非難。

ロイターより

エルドアン氏の政治手腕はある程度評価しているが、こんな相手と付き合わないといけないのは大変だねぇ。

ロシア軍の蛮行の可能性が高い

ダムの位置関係

さて、このニュースは先日取り上げたこのニュースの続報である。

この記事では、地理的情報を入れなかったので、その辺りを一応フォローしておこう。

朝日新聞より

前回の記事では、「ザポリージャ原発が危ない」という切り口で書いていたが、幸いにもそこは大丈夫だったようだ。

図を見て分かるように、ザポリージャ原発はウクライナ軍が支配する地域になっているのだが、ザポリージャ原発の敷地内にはロシア軍が要塞化して立てこもっている状況である。

一方で、カホフカダムはロシア支配地域に隣接している。

img

ヘルソンは未だロシアの支配地域にあるから、このダムの破壊はロシア軍の工作である可能性は高い。未だしっかりした証拠は出てはいないんだけどね。

ダム破壊により甚大な被害

だが、被害は甚大だった。

ウクライナのダム決壊 被害広がる 今後犠牲者が増える懸念も

2023年6月9日 5時29分

ウクライナ南部でダムが決壊し大規模な洪水が発生したことによる被害が広がっています。ロシアが支配する地域ではあわせて14人が死亡したと伝えられ、今後、犠牲者が増えることも懸念されています。

ウクライナ南部、ヘルソン州にあるカホウカ水力発電所のダムが6日、決壊して大規模な洪水が発生し、OCHA=国連人道問題調整事務所は、ウクライナ政府の情報としておよそ80の町や村で浸水の被害が報告され、影響を受ける住民はおよそ4万人にのぼる可能性があるとしています。

NHKニュースより

4万人ものウクライナ人達が避難する騒ぎになって、住む場所を追われてしまっている。

こんな状況だから、住めるはずも無い。

当然、死者14人というのも、「分かっている範囲で」というレベルで、通信まで途絶して電力が通じていない地域からの情報収集は、水が引いてからということになるのだろう。

ウクライナのダム決壊でロシア軍が優位に=親ロ派当局者
- ロシアが任命したウクライナ南部ヘルソン州の責任者、ウラジーミル・サルド氏は7日、南部ヘルソン州で6日に起きた大型ダムの決壊はロシア軍に戦術的優位をもたらしたと語った。

そして、この作戦はロシア軍に有利だというお話らしい。裏はとれていないんだけどね。そうすると、プーチン氏のこの発言をどう捉えるか、だ。

「ウクライナ当局が西側諸国の提案に基づき、敵対行為の激化をもくろみ、戦争犯罪を犯し、テロ手段を公然と用い、ロシアの領内で妨害行為を組織している」とし、「その明確な例が、大規模な環境的、人道的大惨事を引き起こしたカホフカ水力発電所のダムを破壊する野蛮な行動だ」と述べた。

ロイターより

だって、どう考えてもウクライナ軍が不利になるような作戦を、ウクライナ軍がやったのだとしたら、単なるバカ。失策ということに他ならない。それを、「カホフカ水力発電所のダムを破壊する野蛮な行動」と説明しちゃうのは、整合性がとれない。

被害地域での砲撃

さて、更に人道的な見地から見てもおかしなニュースがこちら。あ、コメントでも頂いているけれども、日本語の関連記事が出たのでこちらをまず紹介しておきたい。

洪水で避難中の市民に砲撃、9人負傷 ウクライナ南部

2023.06.09 Fri posted at 06:25 JST

ダムの決壊で洪水が拡大しているウクライナ南部ヘルソン州の州都ヘルソン市では8日、市民の避難が続く中、ロシア軍の砲撃で少なくとも9人が負傷した。ウクライナ当局者が明らかにした。

ウクライナが任命したヘルソン州軍政当局トップ、オレクサンドル・プロクジン氏によると、負傷者には国家非常事態庁の職員2人、警官、医師、ドイツからのボランティアらが含まれる。男性1人が重傷を負い、集中治療を受けているという。

CNNより

何というか、野蛮なことこの上ないな。

Kherson region floods: ‘The buildings collapsed like houses of cards’
Local voices from the Kherson region, flooded after the collapse of Kakhovka HPP dam

紹介頂いているこちらの記事の方が生々しいのだけれど、こうした状況を踏まえるとダム破壊がロシア軍の作戦の一環だったのでは無いか?と勘ぐられても仕方がない。

ロシアの支配下にあるヘルソン市ではノバカホウカのダムが6日に決壊した。大量の水がドニプロ川に流れ込み、下流では洪水が発生。救助隊員らは洪水地域の住民を避難させようと活動を続けている。

ロシアとウクライナは避難中の砲撃について互いに非難している。

CNNより

とはいえ、その部分もロシアは「ウクライナが砲撃をしている」という立場なんだけれど、状況証拠的にはどう考えてもロシア軍側の蛮行だろう。

現在、ウクライナでの戦争は情報戦も同時進行で行われているので、ロシア側の言い分も信用できないんだけど、ウクライナ側の言い分も注意して見ないと、事実を見誤る可能性がある。

僕も、この話は慎重に追いかけていきたいと思う。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    誰がやったか、は、いずれ明るみに出ることもあるかも知れませんが(出ない確率が高い)、色々あって痛んでいたダムの躯体が、ロシアの勢力下でまともな管理されず、増水の水圧に負けて崩壊したのだとしても、それはそのような状況を生んだロシアの責任であると断言するものであります。

    ウクライナの土地も被害甚大ですが、クリミアの用水がほぼ取水出来なくなってて、あの半島の給水どうするんでしょうね?<自縄自縛

    • 木霊 木霊 より:

      クリミアに対する甚大なダメージを考えていなかった、というのは間抜けな話です。
      ロシア軍犯行説をとると、その辺りの説明が出来ないのですが……。結構、ロシア軍の連携というか、統率が上手いこといっていない感じなので、ロシア軍犯行説を否定できる材料としては弱いですね。クリミア大橋で搬送出来るとでも考えているのかも知れません。

  2. アバター けん より:

    こんにちわ、

    もう話題にならなくなったカホフカ・ダム破壊ですが、ソ連時代に建設された頑強なそのダムは、ほとんど外部からの破壊は不可能で、カホフカ・ダムの構造を知る専門家たちの一致した見解は、ダム内部を縦貫する”通路”からの内部爆破の可能性がもっとも高いとのこと。
    これを報じたNYTは、「ロシアがやった」と名指ししていますが….。
    https://www.reuters.com/world/europe/evidence-suggests-russia-blew-kakhovka-dam-ukraine-new-york-times-2023-06-18/

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