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プーチン氏、アメリカに喧嘩を売る。「アラスカはロシアのモノだ!」と

ロシアニュース
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いやはや、怖い物なしだな。

プーチン大統領、米国との緊張を煽り、1867年のアラスカ売却を「違法」と宣言

2024 年 1 月 21 日午前 3:06

アラスカがアメリカの一部となった経緯を簡単に説明しよう: 1867年、ロシアがアラスカを720万ドルで売却した。現在、アラスカは米国の一部でありながら、米国を構成する50州のひとつであり、150年以上にわたって米国の重要な一部となっている。それにもかかわらず、ロシアはこれに満足していない。

essa-newsより

この論法を使えば何でもありだ。日本も、北方領土だけでなく樺太まで「日本の領土だ」と宣言したらどうだろうか。法的根拠もあるぞ。

オマエのモノはオレのモノ

アラスカは売却された

記事にもあるのだが、アメリカの一部としてのアラスカの歴史は1867年から始まっている。

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ロシア海軍の聖ピョートル号に乗ったデンマークの航海士がアラスカを発見したと信じられているが、発見された土地は植民地経営にはあまり適していないことが分かって、ロシアは積極的に自国の領土とする動きはしなかったものの、アザラシ猟などによってそれなりに利益を得ていた。

アザラシの毛皮はアメリカに売却するような商売のやり方をやっていたが、どうも輸送コストの問題で経営は上手く行かなかったようだ。

しかし、ロシアの領土拡大はスペインやイギリスも危険視したようで、次々と横槍を入れてきて、最終的にロシアはイギリスに盗られるよりはアメリカに売ってやれという決断をして、1867年4月9日、アメリカ国務長官だったウィリアム・H・スワードが720万ドルでアラスカを売却。

それ以降、アメリカの属領地となり、20世紀に入ってからアメリカの州の1つとなった。

720万ドルの価値

なお、当時、ロシアがアメリカにアラスカを売却した際には、720万ドルという金額であり、現在の価値に換算すると凡そ1億ドル(148億円)という価格になるので土地の売却価格としては破格だといえよう。

“Before Americans seize our properties abroad, they should remember, we also have something to reclaim.” – stated Vyacheslav Volodin, the chairman of the State Duma, during a plenary sitting in the summer of 2022. At the time, Russians reacted nervously to the US-imposed sanctions on Moscow.

~~対訳~~

「アメリカ人が海外で我々の財産を差し押さえる前に、我々にも取り戻すべきものがあることを思い出すべきだ。- 2022年夏の本会議で、ヴャチェスラフ・ヴォロディン下院議長はそう述べた。当時、ロシア人はアメリカが発動したモスクワ制裁に神経質に反応していた。

essa-newsより

で、今更、「あれ、俺のだったよね」という話を持ち出してきたわけだ。

ただ、720万ドルとはいえ合法的に売却されたのだから、「俺の」と言われましても、というしかない。

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空軍基地と軍事訓練

さて、そのアラスカにはアメリカ軍の重要な空軍基地がある。アラスカ軍として、エルメンドルフ空軍基地には太平洋空軍隷下の第11空軍司令部が所在し、何時でも部隊展開ができるように訓練も欠かしていない。

ニュースリリース|防衛省 [JASDF] 航空自衛隊
航空自衛隊〔JASDF〕オフィシャルサイト:ニュース・航空機の紹介・イベント情報・採用情報

アメリカには日本軍との戦いにおいて、アリューシャン方面の戦いと呼ばれる太平洋戦争下における初の領土喪失を経験した苦い経験がある。

その反省に基づき、精強なアラスカ軍を編成したのだが、ここから全世界に展開できるような構えになっているので、ロシアとしても厄介な基地と言えるだろう。

The Russians once sold Alaska to the Americans, today they want it back.

それ故に、ロシアにとってのアラスカは、「手放さなければ良かった」という後悔のある土地なのである。

Vladimir Putin signed a decree declaring the sale of Alaska to the USA as illegal. This action signals the start of a demand for the territory’s return and potentially entering into conflict with the superpower. However, this is just political posturing today, and no rational person would suggest that Russia could assault the United States. Nonetheless, as the saying goes, a continuous drip can erode a stone.

~~対訳~~

ウラジーミル・プーチンは、米国へのアラスカ売却を違法とする法令に署名した。この行動は、領土返還要求の開始を告げるものであり、超大国との紛争に突入する可能性がある。しかし、これは今日の政治的な姿勢に過ぎず、ロシアがアメリカを攻撃する可能性を示唆する理性的な人物はいない。とはいえ、諺にもあるように、継続的な水滴は石を侵食する。

essa-newsより

で、プーチン氏は、アメリカへのアラスカ売却が違法だったという法令に署名するという暴挙に出た。

記事では、実効性の薄い政治的メッセージなのだという解釈がなされているが、プーチン氏が何をするのかは予測しにくいところ。面の皮の厚さは相当なもので、これを皮切りに何か要求する根拠とするかもしれない。

まあ、単なるお笑いニュースで済まないような気はする。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >いやはや、怖い物なしだな。

    もし彼が吊されたら、首から「私は歴史修正主義者です」って札を下げてあげましょう。

    金で買ったにせよ力で奪ったにせよ、今現在公的に認められている国境を、過去を言いだして変更使用なんざ、やり出したら冗談抜きでキリがなくなりますからね。
    ※その意味で、逆に、北方領土の交渉による返還は絶望的であると思ってます。不意打ちは確かだし卑怯なやり方ですが、「力で奪われ、国連で正当化されてしまった」事実はなかなか動かしがたい。

    プーチンは、「大ルースキーミール思想」を実現し、あるべきロシア帝国の姿を現実のものとするまで止まらない感じですね。
    国民、苦労するんだけどなあ。それでいいのかなあ。

    • 木霊 木霊 より:

      こんばんは。
      歴史修正主義者……。
      そういえば、NHKがクロ現で佐藤優氏のコメントを紹介するという、とんでもないことをやっていたけれども、あそこまでロシア擁護をこのタイミングでやるって、本当に公共放送なんだろうか?と思ってしまいました。
      突っ込み入れる気にもなれませんでしたが。

  2. アバター 砂漠の男 より:

    プーチン氏の遺言でしょう
    偉大なロシア=広大な領土らしいですから

    • 木霊 木霊 より:

      偉大なロシア……。
      プーチン氏は確かに偉大なトップでしたけれども、それがロシアにプラスになるとは限りませんよね。

  3. アバター 山童 より:

    ふうむ…仮に「ロシアのもの主張」が通ったとして、720万ドルは支払われているわけですね。
    だとすると160年間分の利子と原資を米国に返納しないとならんかと。
    もともとドルはゴールドへの兌換紙幣だった訳で、すると720万ドルではなく、
    当時の金価値による相当額。その額面に対する160年分だかの利子となるかと。
    それ天文学的な額面になりません?
    今のロシアに払える額なのかなプーチンさん(笑)

    • 木霊 木霊 より:

      ロシアがアメリカに「やっぱり返して」は通用しないと思いますよ、例えお金を支払っても。
      仮にお金で解決するというのであれば、アメリカがアラスカ開発に投じたお金を支払うとかがそういう話になるんでしょうけれども、地政学的に見てアメリカが手放すはずもない土地ということですから、あり得ない想定でしょう。

  4. アバター 山童 より:

    訂正)
    →当時の金相場を現在の金価値にスライドしての金額が元本になる。
    そこに長期継続した福利の利子がつく。

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