今に始まった話でも無いので、軽くいこう。
【独自】「K2戦車の韓国製パワーパック、ドイツの許諾なしには売れない」
記事入力 : 2020/10/21 09:41
韓国の防衛事業庁はK2戦車のパワーパック(エンジンと変速機を結合した動力装置)に用いられる変速機の国産化を推進しているが、国産化そのものはできても主なパーツはドイツから輸入しなければならず、これにより輸出もまたドイツの許諾を受けなければならないという指摘が20日に提起された。防衛事業庁はこれまで「K2戦車のパワーパックが国産化されたら輸出が本格化するだろう」と主張してきた。
「朝鮮日報」より
韓国の最強戦車K2「黒豹」がパワーパックの国産化で苦戦しているのは周知の事実だ。
国産化出来ないパワーパック
開発開始は1995年
もともとはアメリカから購入して運用していたM48パットン約900輌の更新が急務であるとして、1995年から開発開始されたシロモノである。
北朝鮮が保有するとされるT-72戦車の装甲を抜ける事が前提として、120mm砲塔を搭載したいというところからスタートしているので、運用していたK1戦車よりも大型で重い戦車になる事は当初からの予定通りではあったのだが、そもそもK1戦車の設計もアメリカの手を借りていることもあって、国産化には難航した。
で、2011年に量産初号機を投入という予定が建てられ、国産化率は試作車で77%、量産型では90%以上を目指して開発をしたのだが……、パワーパックの国産化に難航して、第1次製造分はドイツ製パワーパックを搭載して100輌納入するというところで手を打つことに。
結局、2014年6月に量産車両の引き渡しが行われたのだけれど、国産パワーパックの完成は叶わず、第2次生産分80輌は国産エンジンにドイツ製トランスミッションを組み合わせて納入される事になる。
そして今に至るまで、パワーパックの国産化は実現してはいない。
当然、タイトルで紹介したように、ドイツの許諾無しに輸出できないという結果になるわけだ。
パワーパックだけではない国産化の問題
ところで、今回この記事を取り上げる気になったのは別の理由による。
それはここの部分の記載だ。
韓国の保守系最大野党「国民の力」に所属する韓起鎬(ハン・ギホ)議員が防衛事業庁から受け取った資料によると、現在国産化を推進しているK2戦車用パワーパックの変速機の国産化率は67%にすぎないことが判明した。さらに大きな問題は、変速装置や操向装置、ブレーキ、制御装置など中心的なパーツはドイツから輸入して組み立てているという点だ。
「朝鮮日報”【独自】「K2戦車の韓国製パワーパック、ドイツの許諾なしには売れない」”」より
実は国産化の問題は、パワーパックにばかり目が行きがちだが、他にも大きな問題があるというのである。
国産化されたパワーパックは何度か公開されているが、これが碌でもない、性能を発揮出来ないシロモノであったことは既に別の記事で言及している。
しかし「国産化」したというその変速機も、実は国産化率は67%であるというのだ。
あれ?どこが国産化なんですかね?
更に問題なのは、操向装置、ブレーキ、制御装置などの革新的な部品の殆どがドイツからの輸入品に頼っていると報じられた事だ。
つまり、既に国産化したとされているパワーパック以外の部分も、実は部品単位でドイツから買っていることが明らかになったのである。
注:韓国のパワーパックはどうか分からなかったが、一般的にはパワーパックというと、エンジン+変速機で変速機には走向装置やブレーキが含まれているものも多いのだとか。つまり、韓国が開発出来ていないのはパワーパックだというので間違いなさそうである。ご迷惑をおかけしました。
……まあ、いつもの事なんだが、結局、韓国は組み立てだけをやっているんだね。
韓議員は「K2戦車に韓国製変速機を搭載しても輸出時にはドイツの承認を得なければならないという事実を知りながら、防衛事業庁が『国産化しさえすれば輸出の道が開かれる』かのように語るのは韓国国民をだます行為」だとして「特定業者に恩恵を与えるものとの疑いがある」と語った。
「朝鮮日報”【独自】「K2戦車の韓国製パワーパック、ドイツの許諾なしには売れない」”」より
もはや、無理に国産化を目指す意味が何処にあるのかよく分からない。
各国に輸出しようとしているK2戦車
ノルウェーに!
ところで、輸出が危ういという話はあったのだが、今年に入ってからもあっちこっちでK2戦車を売ろうとしていたように記憶をしている。
[単独]現代ロテム、ノルウェー戦車事業の受注切り札取り出し… 「現地生産・技術移転」提示
登録2020.06.23 11:02:44
現代ロテムがノルウェーの戦車事業獲得のために切り札を取り出した。技術移転を通じた現地組立を提示しながら受注戦優位を占めたい意図である。
「theguru.co」より
この時には、パワートレインとキャノンパイプが装着されたシャーシを韓国で生産し、ノルウェーに発送。そして、システムの統合と最終組み立てはノルウェーでやるというような提案をしていた。
ノルウェーは保有しているレオパルド2A4が老朽化しているので、130億クローネかけて更新するという話が持ち上がっているらしい。って、レオ2ってドイツの戦車だよな……。
なお、ノルウェーで韓国が受注するためには、競合先であるドイツのレオパルド2A7Vに競り勝つ必要があるらしいのだが……、ドイツ、黙っちゃいないだろうに。
ポーランドでもK2戦車輸出を画策
ちなみに、2019年にはポーランドにもコナかけたというニュースが。
現代ロテム、ポーランドに「K2共同生産」公式提案… 主力戦車事業の受注「切り札」
登録2020.09.11 11:16:08
現代ロテムが10兆ウォン規模のポーランド次世代戦車事業受注のために地元の防衛産業企業に共同生産を提案した。ポーランド会社とのパートナーシップを結んで受注戦を有利に導くという戦略だ。
「theguru.co」より
コチラはT-72戦車の老朽化に伴う更新ということらしく、K2戦車をベースにしたK2PLを開発するぜ!ということらしい。
まあ、ポーランドのお国事情というヤツがあって、現地生産を強力に推進してくるそうなので、K2戦車の販売にあたって柔軟な対応ができれば受注出来る可能性はあるそうなんだけど、どうなんでしょ。
やっぱりパワーパックを国産化したい韓国
こうした事情を考えていくと、「パワーパックさえ国産化出来れば」という韓国議員の思いはわかる気がする。タダそれが「不可能な夢」である事を除けば、だが。
そもそもK2戦車輸出に関しては、トルコのアルタイ戦車の実績があって、これもパワーパック問題で騒ぎになってしまった。アルタイに関しては三菱重工がパワーパックを供給するというとんでもない計画が持ち上がったこともあったが、結局、武器輸出の制限に抵触するとかでお流れになってしまった。
トルコ国内でもパワーパックの開発は難しいらしく、結局ドイツのMUT社のユーロパックを載せるとかいう話もあったのだが、政治情勢の問題もあって頓挫しているみたいだね。なお、トルコもアルタイを輸出しようとしていて、これが転けているのだが、案外原因はドイツの許諾が絡んでいる可能性はあるね。「何だと!パワーパックだけじゃなのか!」と。
こんな感じでパワーパックの開発は苦戦している国が多いのだけれど……、韓国がそれに成功できたとしても、他の部品も国産化しないとなかなか輸出まで漕ぎ着けることは難しそうだよ。世界にそれを売っていけるかはまた別の話である。
コメント
韓国の基礎技術は日本に対して50~150年遅れているとシンクタンクが今年公表していた、確実に冶金は150年遅れていますね韓国は。
なにせ、真鍮やステンレススチールの鉱脈が有ると思っている国民がいるんだもの。
韓国の技術的な遅れに関しては色々なところから指摘があります。
ですが、真鍮やステンレススチールに関しては日本国民の大半も余りしっかりと理解していない気がしますよ。
そして、真鍮に関して言えば、黄銅として出土しますから、一概に「鉱脈はない」とも言えないような。何処かのマンガで「愚か者の金」と呼ばれるとか書かれていた記憶があります。
何時も楽しく読ませていただいております。
ところで、「愚か者の金」は、黄鉄鉱(Pyrite)の方ですね。ゴールドラッシュのときに、山師が石英脈に黄鉄鉱の鉱石を打ち込んで、金鉱脈のように見せかけて素人を騙したことがあったようです。
これはお恥ずかしい。
黄銅が銅と亜鉛の合金であり興行的に作られる(時に真鍮と呼ばれる)知識はあったのですが、黄銅鉱という名前から、てっきり天然ものが存在したのかと。
「オリハルコンの正体」説があるほどに古代から利用されてきたという事実も勘違いした理由の一つなのですが、よくよく考えて見るとオリハルコンも錬金の結果(ゲーム的な意味ではない)できあがったと考えるべきなのでしょうね。
黄銅鉱(銅の硫化物)を精製しても真鍮にはならないのは当然の話でした。
まさに思い込みのトホホな話ですね。大変失礼しました。
続いてK2ですかァ~、いったいどんな管理(というか計画段階での嘘)をしてんでしょうね。
国産化を目指すのは防衛産業を強化するとともに、そのノウハウが民間レベルでも使えるなら産業の底上げに繋がりますから、理想論としても強い志は大切と思います。
しかし、南朝鮮の場合はこのコラムでも散々指摘されてきたように、他国の「パクリ」がメインで基礎技術をおざなりにしてきた事が問題続発の根本原因でしょう。
国産化の前に面倒で時間と労力・予算が掛かる、そういうやるべき事をやれない劣等な民族なんでしょうけど。
>実は国産化の問題は、パワーパックにばかり目が行きがちだが、他にも大きな問題があるというのである。
>こんな感じでパワーパックの開発は苦戦している国が多いのだけれど……、韓国がそれに成功できたとしても、他の部品も国産化しないとなかなか輸出まで漕ぎ着けることは難しそうだよ。
つまり輸出のハードルはますます高くなったというか(国内でも実戦に使えるかどうか不安だらけ)、最初から判ってた事を隠蔽してたのがバレちゃっただけという訳ですね。
国防部→次期○○の開発計画はどうなってるニダ。
開発部→設計を含めA・B・C及びetcは国内技術では無理です。
国防部→なんだそれ全部核心部分じゃないか、いったいどうするつもりだ。
開発部→あのォ~、素直にライセンス料を支払い純正部品を買って国内では組み立てでは...。
国防部→バカモン!!それじゃウソでもいいから国産と自慢できないニダ!!
開発部→へへーっ、それならいつもの試作品からパクリではどうでしょうか?
国防部→よし仕方ないそれでいけ、そして事実隠蔽も確実にやるニダ。
開発部の内心→やれやれパクリもどんどん難しくなってきてるし、今の核心技術には素材からパクルのは所詮無理難題、不完全なパクリ部品で不具合続出なのは判っているのに困ったなァ~。 まあ、開発完了までに時間があるから何とか定年退職まで誤魔化そう。
一から万事こんな感じで立案してたりして...。(爆笑)
これに限らず、外国製品の組み立てメインなのが韓国の実情でして、それは日本もかつて通過してきた道であります。
そんな訳で仕方が無い部分はあるのですが……、韓国の最大の欠点は身の程を知らないことですね。
率爾ながら。
ここで言うパワーパックは、発動機~変速機~操向装置を含めた、出力スプロケット以前まで全てを含んでいるかと思います。
現用戦車は、動力に何かあったらパワーパック一式まるごと全取っ替えが基本ですので……
まあ、どっちにしろ冶金技術がなくてギヤが作れてないだろう事に違いは無いのですが。
あ、ギヤだけじゃなくてベアリングかもですね、どっちにしろ基本は冶金ですが。
まるで戦前戦中の日本がドイツのDB601/605をライセンス生産できなかったのを見るようだ……
パワーパックって、発動機+変速機だと思っていたのですが、操向装置まで含むのですね。ちょっと調べて見たのですがハッキリ分からず。
調べて見るとブレーキも装甲変速機の中に組み込まれるものが多いということのようなので、今回のこのニュースも大きな括りではパワーパックの開発の行き詰まりだと考えるべきなのですね。
勉強になりました。ちょっと修正しておきます。
問題のパワーパック、特に変速機回りの製造に問題がある理由について、冶金分野の脆弱性が指摘されていますが、ご指摘の様にベアリングに関しても問題アリなのでしょうね。ベアリングのスペシャルメイドとなると、どこぞのヘンタイ国家が牛耳っているのが実情ですし、更にその特殊分野となると各国で囲っているのが実情です。韓国は無理でも仕方が無いのでしょう。
日本も大東亜戦争中は、色々作れませんでしたからねぇ。戦闘機のエンジンも潜水艦も随分と苦労していたような文献gああります。韓国も、頑張ればそのうち作れるようになるのでは?