世界で売れているK2戦車だけど、国産化ねぇ。
「完全国産化」K2戦車なるか…韓国軍、5年で150台余り追加生産
2023年6月1日 11:00
韓国防衛事業庁はこのほど、第154回防衛事業推進委員会で「K2戦車4次量産計画案」と「航空統制機2次事業購買計画案」を議決した。
AFPより
ご存じ、韓国のK2戦車だが第4次量産計画が議決されたようだ。
今度こそ国産パワーパックを搭載!
パワーパック問題
K2戦車の開発において、最も手を焼いたのがパワーパック問題である。
K2戦車の開発を開始したのは1995年で、量産車両が韓国陸軍に納入されたのは2014年になってから。
ここまで開発時間がかかった理由は、1つにはパワーパックの開発に成功できなかったことにある。パワーパックは、エンジンと変速機が一体化されたユニットのことで、戦車において、これを迅速に交換できることは極めて大切である。
「国産戦車」を名乗るためには、韓国陸軍としてはどうしても国産のパワーパックを手に入れたかった。
第四次量産計画
しかし、複数回にわたって量産計画が立てられているが、未だに国産のパワーパックを手に入れられてはいない。
- 第一次量産計画:2014年にドイツ製パワーパックを搭載した100両の納入開始
- 第二次量産計画:2018年に国産エンジンとドイツ製トランスミッションの組み合わせで、80両の納入決定、2019年より引き渡し開始
- 第三次量産計画:2020年に国産パワーパックを採用し、性能と価格をディスカウントして118両の納入計画が発覚(注:結局、第三次量産計画では、韓国産エンジン+ドイツ製トランスミッションの組み合わせが採用されて製造されている)
- 第四次量産計画:2023年に議決、150両を生産予定
何がそんなに難しいのか?といえば、K2戦車の重量は55tで、この重量の戦車を最大出力1500馬力のエンジンパワーを駆動輪に伝える必要がある。ところが、強大な力のかかる変速機の設計製造がイマイチうまくいかない。
「K2戦車4次量産事業」は2024~28年に約1兆9400億ウォン(約2057億円)かけて国産K2戦車150台余りを追加生産するもの。現代ロテムが製造する。耐久検査を通過できなかったSNT重工業のK2戦車用自動変速機が搭載されるかに関心が集まっている。
AFPより
耐久力が足りないのだ。
今度こそ通過するハズ!
なお、この変速機を製造しているSNT重工業は、「今度こそは大丈夫」だと胸を張っている。
[単独] SNT重工業、K2戦車「変速機問題解決、4次物量に入る」
公開日:2021年12月6日 – 18:27 更新日:2021年12月6日 – 18:45
半分という汚名を書いたK2戦車の国産化が目の前に迫ってきた。今回この足首をつかんだSNT重工業の変速機問題がついに解決されたことが確認された。
6日、防産業業界によるとSNT重工業は最近、自社の変速機欠陥を解決し、これによりK2戦車の4次量産物量からドイツ産変速機ではなく国産変速機搭載が可能となった。
コリア・ヘラルドより
2021年の記事で、これ以降、「検査を通過した」という報道を見ていない。これまで何度も失敗しているだけに、今度こそ成功したいという強い気持ちはみられるのだが。
当時、SNT重工業の変速機は開発段階では軍基準を通過したが、量産を控えて進行した耐久度評価を満たしていなかった。軍が提示した耐久度基準は9,600kmはるかに及ばない7,110km区間で作動を停止し、2次量産事業から脱落した。ボルトが一つ壊れたせいだった。
コリア・ヘラルドより
たった1本のボルトが壊れただけで耐久試験に脱落したとか、機械的に無理だと主張したり、訴訟したりしていた。
SNT重工業は当時「戦車が9,600kmを故障なく走るのは機械工学的に到達できない基準」と問題を提起したが、受け入れられなかった。
コリア・ヘラルドより
しかし、ドイツ製のパワーパックは、この基準がクリア出来ているのだから、機械工学的に到達できないというのは、ちょっと無理がある主張だよね。
防衛事業庁の関係者は「K2戦車4次量産事業では基本的に韓国産変速機の適用を推進する。検査通過に必要な320時間耐久検査は3~4カ月かかる」と説明している。
今回の4次事業で生産されるK2戦車は機動性、安全性なども運用中の戦車より改善される見通しだ。
AFPより
テストには最短で3か月なので、9月までには何らかの結論が出るはずだが、今度こそ上手くいくと良いね。
国産パワーパック試験の際のK2の機動能力は、停止状態から32km/hまでの加速時間が8.7秒で、ユーロパワーパック装着版の7秒未満に及ばず、要求仕様の基準が緩和された実績がある。今回の第四次生産分はそこもクリアできていると良いな。
国際的評価
というわけで、パワーパック問題を抱えているとはいえ、国際的には「優れた性能を備えている」と評価はされているようだ。
防衛資材は韓国製戦車を推奨したが、政府はドイツ製戦車を購入することを選択した
2023年3月16日 – 午後4時20分
ビョルン・アリルド・グラム国防大臣、ヨナス・ガール・ストア首相、トリグヴェ・スラグスヴォルド・ヴェドゥム財務大臣が新型戦車の選択を発表してから1か月半が経ちました。
54 両のレオパルト 2A7 がドイツのクラウス・マッフェイ・ヴェグマン (KMW) から取得される予定で、さらに 18 両の戦車のオプションがあり、総コスト枠は最大 200 億ノルウェー・クローネです。
この決定は、ディフェンス・マテリアル(FMA)が韓国のヒュンダイ・ロテムからK2ブラックパンサー型戦車の購入を推奨したという事実にもかかわらず行われた。
Teknisk Ukeblad が入手した文書によると、両戦車はドイツ製の方が韓国製よりも重量が約 10 トン重いことを除いて、ほぼ同様の性能を備えた非常に優れたものであるが、価格はヒュンダイ ロテム製の方が大幅に低かったという。
TUより
ノルウェーでは、K2戦車とレオパルド2戦車の比較をやって、性能的にはほぼ互角で価格はK2戦車の方が大幅に安かったという評価だった。が、政治的な要因が絡んで、結局はノルウェー陸軍はレオパルド2を取得。
一方、ポーランドでは、K2戦車1000両を取得することにしたようだ。注文から3か月ほどで韓国陸軍に配備されるはずだったK2戦車を10両輸出しちゃったので、その弊害は韓国陸軍が背負うことになったのだが……。
ともかく、戦車の性能としては合格だったようだ。
長期的にどうなるのか?という「信頼性」においては不安の残る韓国製品ではあるが、まあ、今の所は高評価である。果たして1000両の納入が可能なのか?という疑問は残るが、そこは生産能力を強化したという噂もあるので、恐らく問題ないのだろうね。
コメント
日本が参入すれば、すぐさま追い抜いちゃるものを。下らない縛りで。兵器を持たなきゃ、売らなきゃ平和とか考える奴らがいますからね。人間は石と棒の時代から戦争やってるし、じつは新石器時代の方が、人口あたりの暴力的死傷率は高かったと人類学は言うてるのですが。
つまりは武器があろうが無かろうが、売り買いしようがしまいが、争いは絶えんという事です。御花畑にはそこが理解できない。
日本の戦車は陸上自衛隊仕様ですから、韓国のK2戦車とはベクトルが違うんですよね。
ですから、90式をアップデートしたバージョンの方が売れるかも知れません。
何にせよ、外国に売れるものにしたいところですよ。
そういえば、2,3か月前にトルコがいよいよアルタイ戦車の量産を開始するというニュースがあったね。同じシャシーを使う安価な戦車という意味からも、国際輸出市場でK2の強力なライバルになりそうだ。
韓国政府と現代ロテムは、官民一体でK2を破格の条件で売り込んできたから、これ以上の切り札はありそうもないけど、たとえばウクライナに持ち込んで、ロシア製MBTと互角以上に戦える性能を見せれば、それが純国産ではなくても、また評価が上がり市場でも有利になるんじゃないかな。
アルタイ戦車も韓国製のパワーパックを手に入れるとかいう話はありましたね。
トルコは技術力が高い国ですから、案外ご指摘のような流れでアルタイ戦車がK2戦車のライバルになる未来はあるのかもしれません。
ただ、韓国の強みは現地生産込みのセールスが出来るからなんですよね。ただ、それが実現するかどうかは観察していくしかありませんね。
こんにちは。
国産……「国産の名品兵器」なかったんでしたっけ……(棒)
第三世代戦車の最後発ですから、まだ評価が決まってない3.5世代や第四世代は比較出来ないので、その意味では「枯れた、安い」お買い得戦車だと思います。>K2
およそ兵器というのは、ドクトリンと深く結びつくので、本邦のような
「地形を最大限利用し、対戦車自走砲(≒突撃砲)的運用を旨とする」
タイプはメジャーではないですよね。
※10式はそこに変態機動性が付いてきたバケモノですが。国産戦車の姿勢制御は全てハルダウンのため。10はハルダウンして待ち伏せて、「殺し間」に入った敵集団を小隊単位の一斉バースト射で瞬殺する……らしいですね。
その意味ではK2に匹敵するのは本邦では90式(そもそもk2は90対抗のはず)ですから、肥大化する一方の(よく言えば余裕のある)重戦車を必要とする国にはお買い物だと思います。
……なんですが。
そもそも、その重戦車、韓国内での運用(地形的に朝鮮半島は日本に近い、南側はまだ平地だけど……)はどうなんだろう……あと、輸出にかまけて国内の数揃わないとか、無駄に国産化しようとしてまた「変速機焼き付いた」みたいな初歩的トラブル出さないことを祈ります。
K2戦車の評価は、実際に外国で運用されてみないことには。
トルコでもアルタイ戦車として活躍しはじめれば、K2戦車の評価も上がるかも?
まあ、蓋を開けてみれば分かります。