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【デマ拡散注意】農水省まで出てきて否定する騒ぎになった「ジャンボタニシ農法」

報道
この記事は約7分で読めます。

デマを拡散する党員が多数所属する政党があるらしい。

当組合に対するSNS(X“旧Twitter”)の投稿について

SNS(X“旧Twitter”)上で、当組合が「ジャンボタニシ農法を推奨している」という内容の投稿がございますが、そのような事実はございません。

 「ジャンボタニシ農法」などと称する農法は、当組合では認知しておりません。水田における雑草対策とともに、ジャンボタニシを防除する一環として、ジャンボタニシを稲ではなく雑草に向かわせる「ジャンボタニシを活用した除草」に取り組んでいる事実はございます(平成8年頃より)。ただし、ジャンボタニシを除草のために水田に放つことや、ジャンボタニシを活用した除草を推奨している事実は一切ございませんのでご了承ください。

JA福岡市

困ったことだね。JA福岡市が明確に否定していたが、これだけだと話の前後が分かりにくい。デマにのせられて軽々に判断しない方が良いし、この手の怪しげな情報をバラ撒くのも控えた方が良いだろう。

デマの拡散にご注意

ジャンボタニシ除草

そもそもこの話が広まった原因は幾つかあるのだが、JA福岡市はこんな文章を紹介していた。おそらくこれも原因の一端だろう。

https://www.ja-fukuoka.or.jp/upload/save/content/button/cf3ee6934b258ec5a546a876457a52f8.pdf

こんな情報をJA福岡で紹介していて、注意書きを読まずに実施してしまう人がいるから問題になった。

同じ文章の中で、最後に注意喚起がなされている。

この話を、「自然と共生する素晴らしいことだ」みたいな切り取り方をしてポストする人が後を絶たないらしいのである。自然栽培を推奨するサイトにもこんな風に取り上げられているしね。

有害動物(ジャンボタニシ)の生態を逆手にとった草対策|平田真佐光の自然栽培米 | 達人の自然栽培米|10年以上無農薬の熟練農家のお米を産地直送
無農薬・無肥料の自然栽培歴10年以上の経験を持つ達人の自然栽培米(玄米・精米)をお届けする農家直送の宅配通販サイトです。自家採種したヒノヒカリ、コシヒカリをはじめ多品目安心安全を追求したお米を揃えてお...

文章中には、「既に田んぼの中にいるジャンボタニシ」という表現がなされているのだが、この手の文章は最初に注意喚起をしないと、読んで貰えないケースが多い。

しっかり情報収集していれば、こんな感じでジャンボタニシの数を減らすことを推奨している情報を得る事が出来るはずなのだが。

https://www.zennoh.or.jp/cb/topics/202009.pdf

まあ、頭の悪い新聞社は、更におかしな取り上げ方をしてしまっているのだが。

ジャンボタニシで水田除草、「天敵」逆手に無農薬稲作 難しい管理、食害広がる恐れも:中日新聞Web
田原市若見町の永田雅信さん(79)、みよ江さん(73)夫婦が稲の天敵「ジャンボタニシ」(和名スクミリンゴガイ)を利用し、住宅前の約2千...

困ったものである。

農水省も火消しに乗り出した

で、ついに農水省も動き出さざるを得なくなった。

何というか、「どうしてそうなった」と、頭を抱えたくなっただろうと思う。

どうやら参政党に所属する人物らしい。こんな不用意な発言をする人物を、議員として担ぐ気になった参政党自身が、無農薬とか有機肥料に拘るあまり、おかしな風説の流布をしてしまう政党なのだから、困った話である。

参政党代表、「メリケン粉ががん増加の原因」発言が物議…がんと小麦粉の関係は?
参政党の共同代表で、今回の参議院議員選挙に出馬して落選した吉野敏明氏は、自身の公式サイトで病気や健康に関して、さまざまな持論を展開している。しかし、吉野氏が発信...

参政党は保守寄りの主張をするということで、保守を中心に人気の出た政党なんだけど、いつの間にか農業カルトに傾倒しはじめてしまって、ついて行けない。あ、もともと支持していないんだけどね。

ともあれ、誰にせよ「ジャンボタニシ農法」などというおかしな話をバラマキ、ジャンボタニシを田んぼの中に放つような愚行はやらない方が良い。

あくまで、ジャンボタニシが蔓延して根絶が難しい田んぼで、苦し紛れで除草をやってもらったという色の強い話。

なお、参政党だけが問題ではなくって、この手のデマに簡単にのせられてしまう阿呆が問題なんだけど。

ジャンボタニシを田んぼにバラ撒くのはテロに等しい行為で、駆除できずに他の田んぼに蔓延してしまうリスクを抱えている。周囲の人に迷惑をかける行為なので、絶対にやってはいけない。

自然と共存するなどと、烏滸がましいお題目を唱える方々もいるが、人間が自然の一部をお借りするだけで、共存などとは何目線なんだろうか。その結果、取り返しの付かないことになってしまう可能性が高いのに。

そういえば、「クマが可哀想」と熊の駆除に反対する人々の話もあったが……、今回のことはアレより質が悪い。ご注意あれ。

追記

参政党が火消しに乗り出したっぽい。

SNS上で発信されている「ジャンボタニシ」の件について

2024.03.09

SNS上で、一部の支部や党員が「ジャンボタニシ」に関する投稿を行ったことについて、「ジャンボタニシ農法」と称する農法を、党や党員が推奨しているかのような内容の投稿が見受けられ、この内容を前提として、マスコミ等から党や支部に取材依頼が寄せられています。
 
この件に関して、党としては、これらの投稿の内容を承知しておらず、当然ながら、そのような農法を推奨しているわけではありません。農林水産省が指摘している通り、外来種である「ジャンボタニシ」は、地域固有の生態系に与える影響や水田への被害が問題とされており、その撲滅が必要だということに異論はありません。
誤解を招く可能性のある発信を行った支部や党員には、発信内容を訂正し、今後はそのような発信を控えるよう指導しました。

参政党のサイトより

……党員が「誤解を招く発言をした」ではなくて、党員が誤解をして誤った発信をしたというのが正しいのだけれど、大丈夫かな。

もちろん、政治家だって間違うことはあるから、訂正してくれればそれはそれで良いし、今回の対応も真摯なものだとは思う。だけれど、日頃の発信を見ていると、参政党は本当に大丈夫なの?と不安になるのは事実だ。

なお、コメントいただいた件にも触れておくが、このジャンボタニシ、結構厄介な生物である。

台湾衛生福利部疾病管制署、スクミリンゴガイの喫食による広東住血線虫の感染事例について公表

2018年3月9日

台湾衛生福利部疾病管制署は3月9日、スクミリンゴガイ(訳注:俗称はジャンボタニシ)の喫食による広東住血線虫の感染事例について公表した。確定診断されたのはタイ国籍の労働者5人である。概要は以下のとおり。

台湾南部の工場で働くタイ国籍の労働者9人が2月26日に工場付近でスクミリンゴガイを食材として採集し、加熱不十分な状態や生の状態で喫食した。これにより6人が発熱・頭痛・硬直等の深刻な症状を呈し、3月4日及び5日にそれぞれ医療機関を受診した。スクミリンゴガイを生食していたことが判明したため医師が広東住血線虫感染症を疑い通報し、このうち5人が広東住血線虫に感染していることが確認された。現在6人はいずれも入院治療中である。

広東住血線虫のヒトへの感染経路は、加熱不十分の汚染・寄生されたスクミリンゴガイ、カタツムリ、又はナメクジの喫食、幼虫に汚染された水や生野菜(巻貝の粘液が付着したもの)の摂取によるものが主である。通常、寄生虫は脳、脊髄等の神経組織に侵入し様々な神経症状を引き起こす。患者の多くは髄膜炎を発症し、最もよく見られるのは急性の激しい頭痛である。発熱、悪心、嘔吐、頸部の痛み、硬直等の症状が出ることもある。眼球に侵入した場合は視力を損なう。

同署は生や加熱不十分の巻貝やカタツムリ等を食べないよう市民に注意喚起し、処理する際は手袋をはめ、両手をきれいに洗い(まな板も洗う必要がある)、野菜や果物を生食する場合はその前によく洗うことで感染リスクを低減できるとしている。

内閣府のサイトより

庭先でよく見るカタツムリやナメクジなどもそうなのだが、ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)も広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis )を体内に飼っていることがある。 この寄生虫に起因する疾病を広東住血線虫症といい、2〜35日(平均16日)の潜伏期の後発症し、患者は微熱から中等度の発熱、激しい頭痛、 Brudzinski徴候、項部硬直、悪心、嘔吐、Kernig徴候、脳神経麻痺などを示し、さらに筋力の著しい低下、知覚異常、四肢の疼痛などを示す。酷い場合には昏睡に陥ったり、死亡する場合もあるので、注意しなければならない。

とはいえ、寄生虫に規制されるリスクは、生食したケースが最も高く、生野菜や果実をきちんと洗わずに食べた場合にもリスクがあるようだ。もちろん、該当生物を手で触った場合にはきちんと手洗いすべきだし、そもそも素手で触れることは避けたほうが良い。

こういった生物を水田にばらまくなど、まさにバイオテロに等しいので、注意されたい。

コメント

  1. アバター 山童 より:

    あえて投稿します。
    これはバイオテロです!
    この生物には広東住血線虫が寄生しており、この寄生虫の幼体は0.45㍉と小さいため、触ったたけで気づかずに接触感染してしまう事例がある!
    また卵にはPV2という神経毒が含まれていて、コレも接触から罹患する可能性かある。神経毒は南米原住民のクラーレなどと同じですからね。傷口などあると。
    たしか素手で触れるな!
    何か器具を使うか、ゴム手袋を使用そろと警告がなされていたはすです。
    読者諸兄が発見された時は、行政機関に後を任せ、間違えても素手で触らぬよう
    お気をつけ下さい。

    • 木霊 木霊 より:

      わざわざ重要な注意喚起をいただきまして、ありがとうございます。
      触れておくべき話でしたね。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >この手のデマに簡単にのせられてしまう阿呆

    ここが重要ですよね。
    この件は、バカが功を焦ってSNSで拡散したから表沙汰になりましたが、これを見たお花畑が「良かれと思って」深夜にあちこちにジャンボタニシをバラ撒いたとしたら……
    やりかねないのが「お花畑」。

    ※その地域に本来存在しない外来生物を導入して、最終的に幸せになった例って、どれくらいありましたっけ……七面鳥は、寡聞にしてほぼ存じ上げません(西洋ミツバチ、セイヨウタンポポ含めて。国産種が絶滅に瀕している)。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      外来生物の持ち込みというのは、生態系のバランスを完全に理解した上で、そこに何かを追加したらどのような状態になるのか?ということをシミュレーションして、その上で導入する流れになると思うのですが、最初のステップが事実上不可能なので、予測不能な結果が出てしまうのが常なんですよね。
      おそらくは上手いこと行くケースもあるとは思いますが、長い期間を経て安定することになるケース(例えば、セイタカアワダチソウが海外から持ち込まれて、一時はあっちこっちに見られましたが、最近は外敵が入ってきた関係もあって、ススキとの陣取り合戦に負けて陣地が縮小しています)もあって、人間が予想した形にはならないことが多いようですね。
      セイヨウミツバチも、近年はその数を減らして、ニホンミツバチの勢力が取り戻されつつある様です。これは、セイヨウミチバチはススメバチ対策が出来ないことも影響しているようです。

      • アバター 七面鳥 より:

        然り。

        ただ、目に付きやすい陸上と違い、目に付きにくい水中は気を付けないと……
        観賞魚からの大量繁殖のプレコ(正確には水槽のコケ取り要員ですが)とか、ブラックバス、ブルーギルは言うに及ばず、ごく最近、長良川でしたか、よりによって(本来は鮎を守るべき)漁協が(外来魚で鮎を食う)ニジマスの釣り堀決壊させて大量放流してましたからね……

        水中は、目に付いた時はかなり手遅れですから。

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