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習近平氏は全人代で経済回復の加速を鼓舞

中華人民共和国ニュース
この記事は約9分で読めます。

あっはっは!

中国の習近平国家主席が全人代の分科会で経済回復の加速を指示 「社会の発展への自信を鼓舞せよ」

2024/3/6 14:44

中国の習近平国家主席は5日、同日開幕した全国人民代表大会(全人代)の江蘇省代表団の討議に参加し、「引き続き経済回復の勢いを固めて増強しながら、社会全体の発展への自信を鼓舞しなければならない」と指示した。

産経新聞より

なかなか素晴らしいスピーチをしたようだ。習近平同志の力強い鼓舞によって、支那人民は大いに勇気づけられ改革に邁進することだろう。

全人代で熱弁が奮われる

GDP成長率5%を掲げる

多分、幹部達は「もっと具体的な指示を出してよ!」と、頭を抱えているんだろうけどさ。

中国は全人代で今年の実質経済成長率の政府目標を「5%前後」に設定した。不動産不況により景気鈍化が続く中、経済回復を急ぐよう求めた形だ。

産経新聞「中国の習近平国家主席が全人代の分科会で」より

なお、「俺たちの国家統計局」の尽力によって、2023年の実質GDP成長率は5.2%を死守したようだ。

2023年の実質GDP成長率は5.2%、全人代で設定した目標を達成

2024年01月26日

中国国家統計局は1月17日、2023年の実質GDP成長率を前年比5.2%と発表した(添付資料表参照)。2022年(3.0%)から2.2ポイント上昇し、2023年3月の全国人民代表大会(全人代)で設定されたGDP成長率目標(5.0%前後)を達成した。2023年第4四半期(10~12月)のGDP成長率は前年同期比5.2%と、第3四半期(7~9月)の同4.9%より0.3ポイント増加した。

JETROより

この数字が正しいかどうかについては議論の余地があるのだが、支那の地方政府があちらこちらでGDP成長率を水増ししていたという話が出ていたにも関わらず、相変わらず5%というのがスバラシイね。

不動産開発業の不調は続く

ちなみにこのブログでも散々取り上げた話、支那の不動産開発業は不調なままである。

支那のGDPの3割程度が不動産開発業によって支えられていたのだが、これが転けてしまった。

その結果、関連業界もかなり酷い状況に。

アングル:中国恒大の再編・売却が市場の重荷、信認回復へ長い道のり

2024年2月1日午前 7:21

香港の高等法院(高裁)が29日、経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団に清算命令を出し、債権者の長期にわたる手続きが始まった。

手続きでは中国不動産不況の深刻さが浮き彫りになるとみられ、不動産デベロッパーは、投資家から敬遠され、世界の債券市場から締め出される可能性が高い。

ロイターより

中国碧桂園の債権者団、再編協議へデロイトなどをアドバイザーに

2024年3月6日午前 9:35

経営難に陥っている中国不動産大手・碧桂園の債権者団が、同社債務の再編協議を進めるためアレン・アンド・オーヴェリーとデロイトをアドバイザーに起用したことが分かった。事情に詳しい3人の関係筋が明らかにした。

ロイターより

中国・万科の債務リスクについて複数の保険会社が注意喚起-関係者

2024年3月5日 9:23 JST

中国の保険最大手数社が不動産開発会社、万科企業の債務リスクについて年金運用会社に注意喚起した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。万科の株と社債は債務返済を巡る懸念から過去最安値を更新している。

Bloombergより

不動産開発会社のトップ集団が軒並み債務リスクによって沈んでいて、おそらくは政府が手を差し伸べないということになってしまっている。

中国投資は勧めず-ゴールドマンのウェルスマネジメント幹部が警鐘

2024年3月5日 7:35 JST

ゴールドマン・サックス・グループのウェルスマネジメント事業の最高投資責任者(CIO)によると、中国の大幅な株安は、同国への投資を正当化するほどではないという。

Bloombergより

流石のゴールドマンもフォロー不可能で苦笑いである。

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不動産開発業界は底打ちしていない

ゴールドマン・サックスといえば、散々支那や韓国への投資を進めてきたことでも有名であるが、流石に今回の状況を見て、「ちょっと買うのをオススメしない」とな。

モサバルラマニ氏は短期的な景気刺激策が打ち出されるかもしれないが、中国の不動産セクターはまだ底打ちしていないと指摘。「データは不透明で、昨年の経済成長率も今年の成長率もよく把握できていない」と述べ、中国は公式に2023年成長率を5%超と発表しているが「大半の人はそれが本当の成長率ではないと考えている」とし、「現時点ではわれわれは中国への投資を顧客に勧めない」と語った。

Bloomberg「中国投資は勧めず」より

流石に、今回出ている経済成長率5%という数字を、ゴールドマン・サックスとしても信用出来ないということらいし。

まあ、「底打ちしていない」というのは分かり易い話だね。漏れ聞く情報を総合すると、まだまだ下落する可能性が高いと認識されているからだ。

何しろ、不良債権処理はこれから長く続くと報じられている通りで、その結果如何によっては半分以上の債権が紙くずになる可能性が。

全人代は空振り

あまり不動産のことを延々とやっても仕方ないので、株価全般の話に触れていくが、ロイターはこんな記事を。

焦点:中国全人代、「バズーカ砲」期待は空振り 外国人投資家は押し目買い維持

2024年3月6日午後 2:58

中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は5日開幕し、財政支出により景気を下支えする方針を示したが、株式市場のムードを好転させるには力不足だと受け止められている。外国人投資家は今後も中国株への大規模投資を控え、押し目買いに徹しそうだ。

中国株は昨年、大幅下落したが、今年2月からは資産運用会社による安値拾いの買いがちらほら戻りつつある。中国政府が証券監督当局のトップを交代させ、投機を巡る規則を強化したのを受けて株価が急反発したからだ。

ロイターより

なるほど、全体的に見たらヤバイという感じですな。

国内外を問わず、投資家は選別的な中国株買いを行っているが、それは電気自動車(EV)やハイテクといったセクターに限られているとインドスエズ・ウェルス・マネジメントの上席ディレクター、ウィニー・チュー氏は言う。

ロイタ「焦点:中国全人代、「バズーカ砲」期待は空振り」より

それでもEVやハイテク株は買われているんだ。

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EV銘柄も先行きは不安

なお、ハイテク株が買われているとされているのだけれども、EVは少々不安な面が出てきた。

こんな記事を先日書いたが、アメリカでもEVの購入は減速傾向らしい。

アメリカでEV販売失速、トヨタのHVがテスラのEVを逆転…値段手頃で燃費いいHVが見直される

2024/03/04 06:50

米市場で電気自動車(EV)の販売が失速している。インフレ(物価上昇)や金利上昇で高額なEVを購入する負担が増す中、値段が手頃で燃費のいいハイブリッド車(HV)が見直されており、メーカーの戦略にも影響を及ぼしている。

讀賣新聞より

HVの売り上げが増えているかどうかは一時的なブームの可能性もあって、何とも言えない。だけれどもEVの売り上げが減っているのは事実のようだ。

その象徴的な話がこちら。

アップルの開発中止はアメリカのEV市場にとって痛手

Mar. 04, 2024, 12:00 AM

  • アップルは10年間にわたって開発に取り組んできた電気自動車のプロジェクトを断念したと報じられている。
  • 現在の残酷な電気自動車市場における最新の犠牲者となるだろう。
  • アップルは自動車メーカーがEV計画の調整に奔走する最中に撤退することになった。

需要の低迷に苦しんでいるアメリカの電気自動車(EV)市場にとって、アップル(Apple)の自動車開発計画の白紙化は厳しいものになるだろう。ブルームバーグ(Bloomberg)は2024年2月28日、アップルは電気自動車の開発に10年間取り組んできたが、プロトタイプを発表する前にプロジェクトを中止すると報じた。

BUSINESS INSIDERより

アップルは早々に手仕舞いをしたらしいのだけれど、テスラも新車価格の値下げを敢行している模様。支那製のEVも相次いで値下げ攻勢をやっている様だね。

ハイテク銘柄が少し伸びているのは、単純に投資先を失った投資家が集まった結果なんだろうね。長期的にどうなるのかは良く分からないな。

新たな科学技術革命を!

で、こういった状況で習近平氏はこんな号令をかけたそうな。

中国国営新華社通信によると、習氏は「新たな科学技術革命と産業変革に直面している」との認識を示した。そのうえで「われわれは機会を捉え、イノベーション(技術革新)の力を増大させ、強大な新興産業を育成しなければならない」と訴えた。産業の高度化や「インテリジェント化」を進めるよう求めた。

中国は電気自動車(EV)や人工知能(AI)といった新興産業を育成し、世界の産業覇権をうかがうようになっている。同時に米中対立をはじめとした対外関係の悪化に直面し、外国技術への依存度を減らそうと急いでいる。江蘇省代表団からは「高水準の科学技術の自立自強の実現」などに関して発言があったという。

産経新聞「中国の習近平国家主席が全人代の分科会で」より

なるほど?技術革新をしろと。

確かに支那がEVに力を注ぎ、人工知能にも巨額の投資をしている実態は知っているし、相当先進的なことをやっているのは事実なのだが、それが直ぐに経済的効果に結びつくかというと、マーケットを作らねばならないので、簡単にはいかないんだよね。

更に、自前の技術力を高めようというスローガンは良いと思うが、それが実現可能かはどうなんだろうな。何しろ、この話は支那製造2025が掲げられた2015年5月の頃から出ていたもので、今回も似たようなことを言っちゃったと。掲げているスローガンが実現可能かは、推して知るべきだ。

何より、支那が外国に製品を売れなくなりつつある現状で、内需を拡大して経済を回していく気なのか?というのは興味深いね。

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追記

JB Pressさんが、何とも無慈悲なコラムを書いていたので紹介しておこう。

【こぢんまり全人代】政府活動報告もサラリ、首相の記者会見も「開催なし」の異例ずくめ

2024.3.6(水)

これは時代の趨勢というものなのかもしれないが、中国が何だか「ちっぽけでこぢんまりした存在」に見えてきた。

何のことかと言えば、3月5日に北京の人民大会堂で始まった、全国人民代表大会(以下「人大」)である。

~~略~~

首相による「政府活動報告」のスピーチ時間が50分というのは、私が知る30数年の間では、最短である。その間に「習近平」という単語が15回、闖入した。

JB Pressより

執筆者は比較的支那寄りだとされる近藤大介氏である。無論、そんなことはないのだが、支那の事情通ということで、そういう風に見られる事もあるのだろう。

さらに、この前日の4日には、衝撃の発表がなされた。閉幕日の恒例になっている首相の記者会見を、今年は中止するというのだ。しかも、今後とも行わないという。

この発表には、腰を抜かすほど驚いた。首相の会見は年に一度きりで、初日の首相の「政府活動報告」とともに、人大の「両翼」のようなものだ。

JB Pressより

そして、近藤氏にとっても首相の記者会見中止は度肝を抜かれたようだ。

今年の支那の大きなテーマが、「安全と発展のコントロール」ということで、習近平氏から「余計なことを言うな」と言われているのではないかと推測しているようだが、まあ、これを受けて香港証券取引所のハンセン指数が暴落したことを考えても、多くの市場関係者を失望させた全人代だったようだ。

コメント

  1. アバター 匿名 より:

    たしか不動産バブルのGDP比
    日本 28%
    中国 48%
    韓国 50%以上

    中国の場合は強引に解決できるけど、韓国は・・・

    • 木霊 木霊 より:

      この数字ってどういう数字でしょうか?

      不動産バブルのGDP比という話をする場合は、ピークで比べる必要があると思います。
      日本の場合は、平成2年がピークで日本の土地時価総額が2477兆円。当時のGDP比で581%であったそうです。
      支那は、どこがピークになるのか良く分からないのですが、2017年の住宅時価総額430兆元という試算があるそうで(注:データが正しいかは不明)、その時のGDPは79兆元(注:こちらも正しいかは不明)なので、GDP比は544%となるそうです。土地価格で比べていないので、評価は難しいですが。
      http://www.world-economic-review.jp/impact/article3119.html

      韓国は、2022年に韓国不動産資産規模は約1京4745兆ウォンだそうで、住宅時価総額は6551兆8000億ウォン。GDPが1867兆ウォンだったはずなので、350%(住宅)、790%(不動産資産)ですね。いやー、韓国、凄い!

  2. アバター みみこ より:

    ×イノベーション(技術革新)の力を増大
    ○技術強奪(窃盗含む)の力を増大

    ですよね?
    たとえば複合機の技術を移転しろと脅していましたよね。
    外国人技能者(?)の大量受け入れやら通信の外国への解放(?)やら
    日本という国も後押ししているようですし、成功しそうです。

    • 木霊 木霊 より:

      これはまた辛辣な。
      しかしその通りでしょう。必要ならあるところから持ってこれば良いというのが、彼らのやり方ですから。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >支那製のEVも相次いで値下げ攻勢

    EVに限らず「支那は国内のデフレをダンピング輸出して、全世界をデフレに巻き込む」対応をよくやるそうで、今回もまんまこれですね。
    韓国の得意な「焼き畑戦略」とよく似てますね。
    ※サムスンがDRAMとかでやった、他社が音を上げるまで低価格攻勢をしかけ、市場の他社を根絶やしにする。自社は国から金が出てるから短期的には保つ、その後で一社独占で値上げして立て直す。
    研究費とかの回収を考えなくて良いパクリの国はこれだから……いいかげん、今度は両国とも痛い目を見てもらいたいモノです。

    • 木霊 木霊 より:

      こんばんは。

      EVは支那国内でも値下げが相次いでいますが、アメリカでも販売に苦戦が目立ち始めたとか。
      世界的な情勢になるのではないでしょうか。

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