スポンサーリンク

大躍進政策化の進む支那、耕作地をどんどん拡大

中華人民共和国ニュース
この記事は約10分で読めます。

多分、この記事を読み終わった頃には、「ああ、大躍進政策だね」と思われるのではないか。

駐車場でサツマイモ栽培、樹木伐採して山の斜面に水田…中国で無謀な「耕地化」が問題に

2023年5月11日 06時00分

中国で駐車場に無理やりサツマイモを植えたり、山の斜面を水田にしたりするなどの無謀な「耕地化」が問題になっている。食糧確保のため耕地の維持を強調する中国政府の方針に従おうと形式的、画一的に政策を進める地方政府による弊害が浮き彫りになった形だ。

東京新聞より

トンチキな記事の多い東京新聞ではあるが、本日取り扱ったネタは11日に記事にされた内容。

ちょっと読むだけではさっぱり意味が分からない。

森林をやめて、耕作に戻す

駐車場でサツマイモ栽培

えーと?駐車場でサツマイモ栽培?

中国メディアや交流サイト(SNS)によると、福建省で農地を駐車場にしてしまった違法行為をごまかそうと、舗装の上に土をかぶせただけでサツマイモを栽培し、枯らした事例が紹介された。

東京新聞より

サツマイモ栽培を駐車場でやったということが、何の問題になったのだろうか?ネットを調べてみたがそれらしい記事は見当たらなかった。

が、文中に「違法行為」とあるのが気になる。で、関連性のありそうなニュースを調べてみた。

中国の食糧栽培面積が3年で約224万4000ヘクタール拡大

2022年12月23日17:17

間もなく開催される中国中央農村工作会議では、「三農(農業・農村・農民)」関連の事業の動向と任務を分析し、来年度の「三農」関連の事業を検討し、計画されることになっている。では、中国の今年の食糧生産はどんな状況となり、どんな特徴があったのだろうか?

~~略~~

減少の一途をたどっていた中国の食糧栽培面積は2019年に底を打ち、その後、増加に転じて、ここ3年で、天津市2つ分の大きさとなる累計約224万4000ヘクタールが増加した。

食糧栽培面積が増加の一途をたどるようになったバックグラウンドでは、各地が耕作放棄地を開墾したり、農地整備を進めたりするなど、さまざまな工夫をして、耕地面積の拡大に取り組んでいる。

人民網日本語版より

この記事には、支那の食料栽培面積が増加に転じて、沢山の作物が収穫できるようになった、という内容が書かれている。

実は、支那では以前、「退耕還林」政策を立ち上げて推進していた。文字通り、耕作地を林に戻そうという政策である。

中国の退耕還林政策は、黄河や長江の上流域における生態系回復・保全と農村開発を目指し、西部地域開発の一環として2000年前後から実施されている巨大な国家プロジェクトである。この政策の実施地域においては、原則として傾斜25度以上の農地を放棄させるとともに家畜の放牧を禁止し、放棄地に植林地とし、2010年までに総面積3200haもの新規造林を目標としている。新規造林地の管理主体は農民であり、放棄された農地面積に応じた食料補償を受け取るとともに、植林地の管理料を受け取って造林をまかされる。

CiNiiより

2000年に開始して、2010年までに新規造林を3200ha増やすという政策だったようだ。緑化政策というわけだね。

ところが、最近はその逆をやっているよという話で、これを「退林還耕」というらしい。

退林還耕

さて、Vision Timesにこれの関連記事が出ていたので、そちらも紹介しておきたい。

「退林還耕」 中国農民を苦しめる新たな政策 

2023年5月10日

中国当局はこのほど、「退林還耕(森林をやめて、耕作に戻す)」政策を打ち出し、野菜や果物などの作物を壊し、緑地帯を破壊し、適さない地域に強制的に穀物を植えさせるなど、農民を苦しめている。

Vision Times より

食糧確保のために、林を潰して農地を増やしていると言うことらしい。

「退林還耕」の実施中には、驚くべき行為が多数発生している。例えば、山の斜面にある木をすべて切り倒し、水稲を植えさせたが、大雨が降ると水稲畑が壊れ、裸地しか残っていない。

ネットユーザーによると、福建省漳州市の農業管理当局が畑の水管を壊し、自動散水機の使用を禁止し、農民は手で水を汲むしかなくなった。また、農管は排泄物を肥料として施すことを禁止し、違反した場合は5万元(約97万円)の罰金を科すという。

Vision Times より

ところがなかなかこれが混乱しているようで。この政策を進める為に「農管」と呼ばれる役人が取り締まりをしているらしい。そして、その指示がメチャクチャなので、その結果、サツマイモが駐車場のアスファルトの上で育てられて、それが枯れてしまうみたいな事件が発生するようなのだ。

中国では1990年代から2000年初頭にかけ、乱開発された耕地を森林や緑地に戻す「退耕還林」政策が進められた。一方で、急激な都市化により農地を住宅地や工場などに転用する違法行為も後を絶たない。今回の動きは「退林還耕」と言われ、食糧確保と環境保護の両立に揺れる中国の実情をのぞかせる。

東京新聞より

そして、「違法行為」となったのは、「勝手に農地を駐車場にしてしまったこと」という事らしい。それを誤魔化すために土を運んできてサツマイモを植えたら枯れてしまったと。そりゃ、枯れるよね。

当然、この方針を指示しているのは支那皇帝の習近平氏である。

大躍進政策の時には

これが、大躍進政策(1958年5月~1961年1月)の時に起こったエピソードとどうにも重なるのである。

スズメの大量駆除が中国で大飢饉を引き起こした理由とは?

2023年04月23日 15時00分

1950年代、毛沢東の手で進められた害虫・害獣を駆除する運動により、米を食べることで知られていたスズメが大量に殺害されました。害獣が減ったことにより本来であれば米の収穫量が増加するはずでしたが、実際は大凶作を引き起こす悲惨な結果となってしまいました。なぜそのようなことが起こったのかについて、歴史コンテンツをまとめるHistory Definedが解説しています。

Gigazineより

雀のエピソードは興味深くて、「四害駆除政策」と呼ばれる政策によって、雀・鼠・蚊・蝿を駆逐する運動が起こった。自発的に起こった訳ではなく、中央から命じられて、人民はそれに従ったという話なのだが。

雀を駆逐した結果、イナゴが大発生するという漫画のような結末を迎えて、この政策は失敗する訳なんだけど、これ以外にも、苗や種を密集植えをしろという指示が出て、収量を上げろという指示がでたら、苗が枯れるような植え方をする。さらには、地方政府が「密集植えをしました」というデータを作り上げて、凡そ実現不可能な密度で苗が植えられた「ことになっていた」という話もあった。

https://honz.jp/articles/-/3990

こちらに、その関連書籍が紹介されているので、参考にして欲しい。

ロックダウンで外出が制限され食べ物不足に苦しめられた人々は、1950年代後半に始まった社会主義建設の急進的試み「大躍進」を連想。大飢饉(ききん)を招き、多くの国民を餓死させた政策だ。コロナ撲滅を名目とする医療従事者によるペット処分を目にすれば、大躍進政策でスズメなどの徹底駆除を目指した「四害駆除運動」も脳裏に浮かぶ。「公衆衛生の観点から意味がない場合でも、何もかも消毒する」と同研究員は言う。

Bloombergより

武漢ウイルスが蔓延していた時には、「ゼロコロナ政策」と銘打って、何でもかんでも消毒するなんてことをやっていた。

今も昔も支那は極端なのである。

食糧確保は至上命題

何故こんな話になっているのかというと、支那は食糧の確保に躍起になっているのだ。

食糧や重要農産品の供給確保へ取り組み強化

2022年05月02日

中国政府は、糧食と重要農産品の安定供給確保に向けた取り組み姿勢を強めている。4月20日に開催された国務院常務会議では、糧食の十分な収穫量や重要農産品の安定供給の確保に向けて、春季の農業生産が適切に行われるよう、対策の実施を決定した。

JETROより

中央政府はこんなフワッとした政策を出すのだが、地方政府に行くとなぜだかこれが拡大されて、「何が何でも農地を増やせ」と言うことになってしまう。

その中で、普段は目立たない、ある習近平政権幹部のスピーチが、関係者の間で話題になった。5日に会場で行われた「2021年食糧現代サプライチェーン発展及び投資国際フォーラム」で、中国国家食糧・物資備蓄局の張務鋒局長が行ったスピーチだ。

張局長は、こう述べた。

「中国は国家の食糧安全保障を、国家の大事、それも一丁目一番地としている。中国は、全世界の9%の耕地、6%の淡水資源での生産食糧でもって、世界の20%近い人口を支えていかねばならないのだ。

JB pressより

こういった強いメッセージを下の役人が出して、それを地方の役人が更に解釈する。

そして、「なんとなく食料が増えた」という結果を得るために、メチャクチャな政策が進んでいくのである。

問題は、緑化政策がどう影響するか、だ。林野を切り開いて農地にする結果、土地の保水力が下がっていく。

中国南部で大雨被害が拡大、福建では4人不明 橋が崩落

2023年5月8日 21時30分

中国南部で5~7日に大雨が降り、福建省で4人が行方不明になるなどの被害が出ている。江西省では大規模な洪水が発生し、約50万人が被災。南部では今週末にかけて雨量が増える見込みで、気象台が注意を呼びかけている。

朝日新聞より

近年、支那で洪水が頻発しているのは、治水事業に失敗しているからなんじゃないっすかね?

まあ、数十年後に分かる話ではあるんだけど、ダイナミック・チャイナの影響は計り知れないだろう。世界を巻き込んで崩壊していきそうである。

追記

うーん、新しい記事にしても良かったのだが、追記レベルの記事だったので、軽く追記しておこう。

中国の食糧自給率がもう限界…!習近平の肝いりで始まった「食糧安全保障政策」に、14億人の国民が抱く「一抹の不安」

2023.6.20

中国のSNSやネット上では最近、次のようなニュースが頻繁に取り上げられるようになっている。

「福建省のある村の花畑が政府の強制的な命令で耕地に改造へ」
「成都市政府は341億元投じて建設した緑地帯を耕地に改造へ」
(5月22日付ニューズ・ウイーク)

キーワードは「退林還耕」。「退耕還林」をもじった用語だ。

~~略~~

今年3月の全国人民代表大会(全人代)の閉幕後の記者会見で新任の李強首相は「中国14億人のためのご飯茶碗が常に私たちの手でしっかりと握られているようにする」と述べ、自国の農家がより多くの穀物を生産することを奨励した。

現代ビジネスより

「退林還耕」の話がいつ始まったのか?と思ったら、今年の3月の全人代に話が出た程度の話らしい。これが5月には大変なことになったという報道に繋がり、6月にまた記事として扱う始末である。

どうなっているんだ?

方針として以前から出ていたので、影響が今になってで始めたのだということなのか。それとも猛烈な勢いで開発をしているのか。

何故か、山の斜面の道路に濁流が流れる映像が添付されているのだが、支那のメディアで報じられたニュースによると、これは「退林還耕」の影響らしい。

中国は「森林の農地への回帰」を強行し、米が山に押し寄せ、土砂崩れや国民の不満を引き起こしている。

2023/06/17

今年(2023年)、中国共産党は山腹の「森林の農地への復帰」と「米の改良」を強引に推進し、生態環境を破壊しているとの疑問があり、今では悪い結果となっている。ソーシャルビデオによると、14日に雲南省臨滄市で数回の豪雨が発生し、土砂崩れが発生し、田んぼが流されただけでなく、丘の中腹にある農家の家々に土砂が流れ込んだ。

支那メディアより

コレに添付されていたTwitterの映像が又凄い。

RFAの情報によると、山の斜面を削って田んぼを作って田植えをしたら、雨が斜面を流れ落ちて中腹の農家を襲ったということのようだ。

「米は山に登り、水と土は山に下りる。」臨滄だけでなく、中国本土のネットユーザーがコミュニティに投稿した多くの動画では、山の上にある多くの水田が大雨に耐えられず、崩壊的な地滑りを引き起こしていることが示されている。一部のネチズンは、いつになったら「人類は自然を征服する」に入ることができるのか、と皮肉を込めて尋ねた。

~~略~~

地域社会の情報によると、当局が「ライスアップヒル」を精力的に推進した後、多くの場所で奇妙な手が展開され、丘の中腹に段々畑の列が形成されたという。ネチズンは一般に、機械で作られた段々畑は土壌と水の保全に役立たず、大雨で流される可能性が高いことに疑問を抱いている。

支那メディアより

地滑りは起きるよねぇ、斜面を削っちゃえば。

しかし、奇妙な畑に米を植えるというのは、これ、陸稲方式なのだろうか?こんな斜面に稲を作ったら、刈り取りとかどうするつもりなんだろう。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    支那はいつの時代も収奪経済で、税は上部機関への”上納金”だ。
    それを権力者がバラまいて、下々へ下賜することで、その権威と権力を維持してきた。

    地方政府の主要財源だった土地・不動産業でバブルが弾け、カネ回りが悪化し、
    社会不安が増大している。
    反革命を恐れる紅王朝は、個人経営の屋台や農業を認め、就職先のない学生たちには、
    農村へ行って糊口を凌げと檄をとばす。餓死者でも出したらもう赤信号だ。

    『国破れて 山河あり 城春にして 草木深し』。支那の歴史は繰り返す。
    そのうち、紅いハチマキか、黄色いハチマキの暴徒たちが現れるのだろう。

    • 木霊 木霊 より:

      金の切れ目が縁の切れ目。
      黄巾党の乱が発生するか、紅衛兵が現れるか。
      大躍進政策が失敗した後は、文化大革命ですからね。

  2. アバター 匿名 より:

    工業廃水を浄化せずに地下水脈に流したり四川地震で被災した核兵器工場とか
    中国の水質汚染は日本を含む西側の常識を遥に超えている

    • 木霊 木霊 より:

      二つ前のブログで、支那の土壌汚染や河川の汚染について書きましたが、流石に今は少し減っているようですよ。
      ただ、完全に綺麗になったとは言い難いようで。目立つ場所にゴミを放置するようなことが減った程度みたいですね。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    ちょっと前にどこかの記事のコメントに書き込ませていただいた
    「アスファルトの上にジャガイモの苗を並べる」
    は、この件の事でしたか。
    進捗を衛星か何かでチェックするから、そのカメラさえ誤魔化せれば、っていう。
    「上に法あれば、下に策(抜け道)あり」でしたっけ。
    どっちもどっちで、どこまで行ってもあの国は「先進国」には程遠いですな……

    ※「山の上まで畑にしました!」で鉄砲水出して大災害、「二倍収穫するため、二倍の苗を同じ面積に植えました!」で全滅、をやらかした国を知ってます、半島の北の方でしたか……

    • 木霊 木霊 より:

      そういえば!
      ジャガイモだったので、サツマイモを並べた話を書いてもピンときていませんでしたが、おそらくは類似案件でしょう。
      航空写真とか衛星画像なんかでチェックするらしいので、上から見てOKなら何でも良いんでしょうね。

  4. アバター きたやまひと より:

    今晩は。
     密植って、毛沢東の3年大飢饉を再現する気でしょうか。習主席もそこまで毛主席の事跡をなぞらなくてもいいように思いますが。国民、立民党によれば人民でしたっけ、に塗炭の苦しみを味あわせる気満々ですね。

    • 木霊 木霊 より:

      いやほんとに、大飢饉に向けて邁進しているようにしか思えません。
      習近平氏は、毛沢東氏の事を神聖視しているようですが、失敗は失敗だと評価しないと。

タイトルとURLをコピーしました