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ロシア側の勝利を確信しているプーチン氏、降伏を焦る

ロシアニュース
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ロシアの勝機かぁ……。寧ろ、正気を疑うんだが。

「主導権は完全に露軍に移った」プーチン氏、ウクライナに降伏要求 「戦勝」へ自信深める

2024/2/5 17:26

ウクライナを侵略するロシアのプーチン大統領が最近、ウクライナに事実上の降伏を促すなど強気の発言を繰り返している。背景には、前線で露軍が優位に立ったとの認識やウクライナ支援を巡る欧米諸国の足並みの乱れから、ロシアの「戦勝」が近づいているとの自信を深めていることがあるとみられる。

産経新聞より

ウクライナ軍の2023年反転攻勢は完全に失敗。軍の内情も厳しいのは事実である。そういう意味ではロシア軍有利と言えるが、主導権は本当にロシア軍にあるのか?ロシアが焦っている様に見えるんだよね、最近は。

ウクライナにおける悪材料は多い

劣勢なウクライナ軍

戦局をどう判断するのかは、様々な要因が絡むことになるので素人には難しい。

だが、ウクライナ軍が深刻な人員不足に陥っており、かつ、兵器不足にも陥っていることは事実である。

ウクライナ軍、50万人の追加動員求める 「深刻な人数」とゼレンスキー氏

2023年12月20日

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は19日、同国軍が最大50万人の追加動員を望んでいると明らかにした。ロシアとの戦争は、開始から2年の節目を迎えようとしている。

ゼレンスキー氏はキーウでの記者会見で、「45万人から50万人」を求めていると説明。デリケートで負担の大きい問題だと述べた。

BBCより

しかし、去年の夏にも言及したように、ウクライナ大統領のゼレンスキー氏は一貫してクリミア奪還を掲げている。

ゼレンスキー氏、対露交渉は「クリミア奪還後」 原則的立場を強調

2023/7/2 17:04

ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、同国侵略を続けるロシアとの停戦交渉について、ロシアの実効支配下にある南部クリミア半島を含む自国本来の領土を回復した後にのみ可能だとする認識を示した。中途半端な形での停戦を改めて否定した形。首都キーウ(キエフ)で同日行われたスペインのサンチェス首相との共同記者会見での発言内容をウクライナメディアが伝えた。

産経新聞より

領土問題において、領土を奪われたままにしておくというのは悪手である。どんな犠牲を払ってでも取り戻す!という姿勢は少なくとも見せなければならない。

ただ、どこかで手打ちをする必要があるのも事実である。現状で、ウクライナ軍が領土の全てを取り返す目処は立っていないのだ。そういう意味では劣勢なままだと言えよう。

戦線自体も押され気味だしね。

取り返しのつかない深刻な打撃とは

ただ、ではウクライナ軍がどのような判断をすべきなのか?と言えば、おそらくは現大統領の元では引くことは妥当ではない。

ロシアの暴力によって始まった侵略行為に対して、領土の割譲をして許して貰ったとして、果たして一息ついた後に再び侵攻してこないと誰が言えるのだろうか。

少なくとも、プーチン氏が約束を守るに足る男だとは思えない。

プーチン氏は先月16日、ウクライナのゼレンスキー政権が対露交渉を否定していることについて「彼らが交渉したくないならそれでいい。だが、ウクライナ軍の反攻は失敗し、主導権は完全に露軍に移った」と主張。「このままではウクライナは取り返しのつかない深刻な打撃を受けるだろうが、それは彼らの責任だ」と述べ、ウクライナは早期に降伏すべきだとの考えを示した。

産経新聞より

ウクライナにとっての「取り返しのつかない深刻な打撃」とは、まさしく領土の割譲という事態そのものなのである。降伏したらロシア軍が撤退するのであれば、それはウクライナ側も受け入れるだろう。だが、そうでないのであればそれは寝言に過ぎない。

ロシアに次の戦争の準備期間を与えることは、ウクライナにとっても北欧諸国にとっても得策ではないのだから。

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司令官の刷新

ただ、ウクライナ軍の内情を考えると、突っ張るにも色々と問題がある。

総司令官解任検討認める ゼレンスキー大統領

2024/2/5 10:39

ウクライナのゼレンスキー大統領は、4日放送の国営イタリア放送協会(RAI)のインタビューで、ザルジニー軍総司令官の解任を検討していることを認めた。「単に一人の話ではなく、国を指導する方向性に関わることだ」と述べ、軍だけでなく、複数の高官の交代を考えていると明らかにした。

産経新聞より

実は総司令官を務めるザルジニー氏との意見対立が目立ち始めているのだ。

ザルジニー氏はウクライナの英雄と言われるほど、国民からの信頼が厚い。そして、反攻作戦の失敗の責任を採らされる形での解任というのには、些か問題があるように思われるというのが、大勢の見方ではある。

ただ、ザルジニー氏の政治的な発言や立ち回りなどが目立ち始め、ゼレンスキー氏との対立が解消不可能な状態になりつつある現状で、どちらかを替えざるを得ないのも事実なのだろう。

英大衆紙サン(同月20日付)に総司令官との意見対立を問われたゼレンスキー大統領は危機感を露わにした。「軍人が政治をやることを決めるなら、それは彼の権利だ。しかし政治や選挙を念頭に戦争を指揮するのであれば、前線においても軍人としてではなく政治家として振る舞うことになる。将軍たちが政治に関与することは国家の統一を危うくする」

JB Press「なぜゼレンスキーは国民の信頼厚いザルジニー総司令官の「解任」に動くのか」より

ここを「解任」で乗り切ろうとするゼレンスキー氏の判断は悪手のように思われるが、内情を詳しく知らないので何とも言えない。

ただ、ゼレンスキー氏が「このままで良い」と思っていないのは事実なのだろう。

防御戦術

なお、現状のウクライナ軍は反転攻勢を一旦諦め、防御戦術に重点を置いているようだ。

ただ、ロシアが望むような「戦勝」を得られるかは未知数だ。ゼレンスキー氏は対露交渉の可能性を完全に否定している上、ウクライナ軍は現在、攻撃から防御に転じ、陣地を守りつつ露軍の損害を拡大させる戦術に移行している。軍事専門家の間では、双方とも相当期間は勝敗を決することができず、戦局は全体的に膠着状態が続くとの見方が強い。

産経新聞より

反転攻勢で、多大なる犠牲を強いられたウクライナ軍にとって、一息つくためにも防御戦術への切り替えはどこかのタイミングで行う必要があった。

兵器の足りなくなった現状での切り替えは、戦略的に拙いように思えるが、それは後から判断したらそうだというだけの話。

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ロシアの形振り構わない攻撃

国家予算の1/3

ウクライナ軍側の窮状を紹介したが、ロシア軍側としても余裕があるわけではない。

今年に入ってからこんな記事を書いたが、ロシア国内ではかなり疲弊し始めている。国内経済がなかなか宜しくないのだ。

ウクライナ戦争、ロシア経済に打撃 米財務省が分析=FT

2023年12月14日午後 6:37

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、米財務省はウクラナ戦争がロシア経済に多大な影響を及ぼしているとの見解を文書草案で示した。

国内物価が値上がりしているほか、国家予算の3分の1を国防に充てることを余儀なくされているという。

ロイターより

これは去年末のロイターの記事だが、ロシアは現在、国家予算の1/3もの規模の予算を国防に費やしている。それを2年も続けているのだから、そりゃ窮乏するだろう。

流氷で航行不能のロシア船 ロシア側砕氷船が救助

01月31日 00時18分

道北の枝幸町沖のオホーツク海で、ロシアのタンカーが流氷に行く手を阻まれて動けなくなっていましたが、30日、ロシア側が手配した砕氷船によって救助されました。乗組員は全員、無事で、タンカーは本来の目的地に向かったということです。

NHKニュースより

ロシア産燃料運ぶタンカー、イエメン沖でフーシ派ミサイルに被弾

2024年1月27日 4:27 JST 更新日時 2024年1月27日 6:42 JST

大手資源商社トラフィグラ・グループの委託でロシア産のナフサを運んでいた石油タンカーが、イエメン沖を航行中にミサイルに被弾した。イエメンの親イラン武装組織フーシ派がタンカー「マーリン・ルアンダ」を攻撃したと表明。同組織による商船攻撃としてはこれまでで最も大規模なものとなった。

Bloombergより

ロシアの生命線を握る石油タンカーが色々なトラブルに見舞われているニュースを見かけるのだが、このタンカーは実は無保険なものが多いのだそうで。

ロシア産原油の輸送、無保険の「闇タンカー」船団が大半を担う…500隻に上ると英紙報道

2023/09/28 08:0

ロシアがウクライナ侵略に伴う米欧の対露制裁を回避して原油を高値で輸出するため、船舶保険をかけずに原油を輸送する「闇タンカー」と呼ばれる船団を多用しているとの指摘が相次いでいる。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は24日、8月に輸送されたロシア産原油の約4分の3は無保険の船舶が使われたとの分析結果を報じた。

讀賣新聞より

随分と無理を続けているんだよね、実際は。

これが「いつまで続けられるか」というところが問題なんだけれども、プーチン氏が焦りだしているのを見ると、結構苦しいのでは?と、思わざるを得ない。

追記

コメントを頂いたのだが、そういえば大統領選挙があった!

ロシア大統領選 反戦訴える候補 立候補認められない可能性

2024年2月6日 5時52分

ロシアによるウクライナ侵攻を批判し、3月行われる大統領選挙への立候補に向けた手続きを進めているナデジディン元下院議員側は、中央選挙管理委員会から書類上の不備が見つかったと指摘されたと明らかにしました。選挙管理委員会は7日に最終判断を下すとしていて、立候補が認められない可能性もでています。

NHKニュースより

反戦を訴える候補が立候補できない可能性が出てきたというニュースがあったのだけれども、おそらく出られまいと、僕は思っている。

ナデジディン氏の陣営幹部は、5日、選挙管理委員会に呼ばれ、提出した署名の15%以上に不備があったと指摘されたとSNSで明らかにしました。

署名の5%以上に不備があった場合は、立候補が認められず、ナデジディン氏側は今回の指摘には同意できないとしています。

NHKニュースより

手続きに不備があって、死者の名前が名簿にあったとかなんとか。

このニュースのどこまでが本当なのかはサッパリ分からないのだけれど、大統領選挙が始まるよ!という話は理解出来て、反戦派がそれなりの主張を掲げる感じになっていることは分かると思う。

なるほど、プーチン氏の焦りを後押ししている可能性はあるね。

ロシア中部で大規模なデモ ウクライナへの軍事侵攻以降まれ

2024年1月20日 8時34分 

ロシア中部のバシコルトスタン共和国で地元の著名な活動家に実刑判決が言い渡され、これに抗議する支持者らが相次いで大規模なデモを行い、拘束者も出ています。

ウクライナへの軍事侵攻以降、ロシアで大規模なデモが行われるのはまれで、大統領選挙が3月に行われるのを前に、政権は国内の安定維持に神経をとがらせています。

NHKニュースより

バシコルトスタン共和国に端を発する大規模デモのニュースもあわせて考えると、なかなかにプーチン氏のお膝元も「安定している」とは言い難い。

デモは今週に入って3度目で、実刑判決が下された17日には数千人規模に膨れ上がり、治安部隊との衝突も起きました。

ウクライナへの軍事侵攻が始まって以降、ロシアでは市民による抗議活動への取り締まりが強化され、大規模なデモが行われるのはまれです。

一連の抗議デモについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は19日、「大規模な暴動ではない」と述べ、地域の問題だと指摘しました。

NHKニュースより

暴動ではないらしいのだけれど、どうにも軍事組織が動いて事態鎮圧したようだ。

「治安部隊」と書かれているんだけど、おそらくはロシア国家親衛隊の事だと思う。バリバリの武闘派組織らしく、大統領直属だといわれている。形式上はロシア政府指揮下にある部隊だと言う事になっているんだけど、大統領令で設立されているからねぇ。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    プーチン氏がウクライナに降伏を呼び掛けた真意はわからないけど、
    ひとつは経済が疲弊していることだろうね。
    もうひとつは3月15日~17日に行われるロシア大統領選挙を前にして、
    (老いたけど) 強い指導者であるところを国民にアピールするためだろうと思う。
    さらにもうひとつは米大統領選挙でトランプ氏が予備選挙で優勢を保っており、
    しかも本選対抗馬のバイデン氏に対しても優勢に転じたことだろうか。
    https://www.youtube.com/watch?v=kRCwPjF6zWw
    観察するかぎり、プーチン氏は体力的に厳しいと思うのだけどね。
    戦争前には、今年の大統領選には出ないと本人が言っていたのだし。
    どうもロシアはトランプ氏によるウクライナ支援の中止を胸算用している
    ようにも見えるんだよね。

    • 木霊 木霊 より:

      そうでした、プーチン氏の大統領選挙の話を書いておかねばなりませんでした。
      プーチン氏のアピールという発想で話を切り取っていくと、今度は北方領土的なニュースも絡んで話をすべきですよね。
      これは、切り口を変えて見方を変える必要があるのかも知れませんね。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    大義のない戦をしかけた以上、負けは許されませんから<プー1号

    とはいえ、ウクライナの状況が悲観的なのも事実。
    「畑ならぬ刑務所で採れる」兵士を「大砲のエサ」に浪費出来る独裁国と、そもそも全ての面で劣る、仮にも民主的な国とでは、ハナから勝負にならず、武器の性能と西側の支援でどうにか決壊を防いでいる、という所と思ってます。最近は押され気味ですし。
    そもそも論で言えば、国連のあの体たらくがダメのダメダメですが、それでも、有志国で非難決議でも上げ続けないといけないのでしょう。

    なお、後がない、負けられない戦をしかけそうなプー2号と共に、国連崩壊の引き金になったら、それはそれで後の世界史的にはアリではあると思います、現時点での全世界的被害は想像を絶しますが……

    • 木霊 木霊 より:

      プーチン氏がどこまで突っ張れるのか。
      まあ、ウクライナが厳しいのは事実なんですが、ロシアも厳しい。
      割とチキンレースになっているのだと思います。

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