遅いよ。
処理水 早ければ24日放出開始へ 関係閣僚会議で決定
2023年8月22日 19時46分
東京電力福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に放出する計画をめぐり、政府は関係閣僚会議で国内外で計画への一定の理解が進んでいるとして、気象条件などに支障がなければ24日放出を始めることを決めました。
NHKニュースより
皮肉にも、大型案件は岸田政権が実行するパターンが多いね。ただ、この件を決定したのは菅義偉政権の時である。
廃炉を進める上ではどうしても必要な手続きでもある。
理解が進んだとか進んでいないとかではない
2011年3月11日より12年もかかった
東日本大震災(2011年3月11日)の際に発生した津波の影響で、福島第一原子力発電所は壊滅的なダメージを受けた。
しかし、その後の対応の不手際が今回の状況を招いたと言っていいだろう。その事自身は反省するよりほかにない訳だが、その後、廃炉処理するにあたって東京電力は大きな問題にぶち当たった。それが、「水」の問題だ。
福島第一原発では、2011年の事故で溶け落ちた核燃料デブリを冷却する水や、原子炉建屋へ流れ込む雨水などから、放射性物質の大半を取り除いた処理水がたまり続けています。
NHKニュースより
NHKは雑な説明をしているが、この処理水というのはALPSという装置によって処理した水の事を指す。この水を処理するのに12年の歳月をかけてしまったのである。
事故に遭っていない運転中の原発では、温排水を海に放出するのは各国共通の処理方法である。では、福島第1原発が特殊なのか?といえば、「汚染水」の処理の必要がある点では特殊ではあるが、処理を行った処理水を海洋放出する点について、科学的に問題は無い。もちろん処理水の中に放射線物質が全く含まれていないわけではないのだが、コレについては後述する。
そして、通常運転の原発であろうと、事故を起こした原発であろうと、排水を出さないに超したことはないのだが、多量の冷却水を必要とする施設である以上は、何らかの方法で排水を出さねばならない。
そもそも処理水ってなに?
地下水や雨水
説明が雑なままだと理解がおかしなことになるので、簡単にまとめておこう。そもそも「処理水」とは一体何なのか?
発生した「汚染水」を、複数の段階に分けて処理していくのだが、「処理水」といっているのは、ALPS処理を行った後の水のことだ。ALPSとは、放射性物質の除去をする装置のことである。
では、「汚染水」は一体何故溜まるのか?
これは事故前、2007年7月に撮影された福島第1原発の海側からの写真である。背景には十万山などが並ぶ阿武隈高地が見える。つまり山側から豊富な地下水が海に流れている地形なのである。当然、原発の敷地の地下にも多量の地下水が流れている。
その地下水が福島第1原発の敷地の地下を流れる時に問題となる。あとは、敷地に直接降り注ぐ雨だ。
メルドダウンが問題
何故これらの雨水や地下水が問題になるかというと、こちら。
原子炉建屋の地下に溜まった燃料デブリと呼ばれる放射性物質に対して冷却を行わねばならず、今もなお水を使った冷却を続けている福島第1原発1号炉~3号炉だが、この冷却水が流れ込む雨水や地下水と混じって汚染水として溜まるという理屈だ。こちらの絵がわかりやすいかな。
破損した原子炉だけではなく、放射性物質で汚染されている破損した建屋などが雨で洗われるなどの理由でも、地下水は汚染される。
一応、陸側遮水壁と海側遮水壁の2重構造にして、地下水が入り込むことを抑制しつつ、敷地内に溜まった汚染された地下水はサブドレンと呼ばれる井戸から水を組み上げる構造になっている。
なお、100%の汚染水を海側遮水壁で防げているとは思えないが、入り江や海の数カ所で定期的に放射線濃度を測定し、近海の魚などは放射線に関して全数検査を行っている。希に底物が放射線に汚染されたのが発見されたとニュースになるものの、概ねは問題なしというのが実情である。故に、現状の福島第1原発が外部を放射性物質で汚染し続けている証拠は出ていないという理解出良いだろう。
溜まり続ける汚染水
だが、当然ながら途切れなく供給される汚染水はタンクに溜まり続ける。
このように敷地内にタンクをどんどん建てて、中に「汚染水」をため続けるわけだが、「汚染水」はタンクに貯め続けることは危険なので、ALPSという巨大放射性物質処理装置を作って、「汚染水」から核種を取り除き、「処理水」としている。本来であればこの状態の水を、海洋放出する予定だったのである。
ところがここで面倒なことに物言いがつく。「海に流すことまかりならん!」と、色々なところから突き上げを食らう羽目になるのだ。そこで、「処理水」をタンクに溜め続けるというばからしいことになっている。
その理由が放射性物質の「トリチウム」だ。トリチウムは水素の同位体なので、極めて分子量が小さい。このために、フィルタなどを使っても取り除くことが難しい(実験室レベルでは除去に成功している)のだ。そりゃそうだろう、水分子と大きさの変わらないトリチウム水(HTOとDTOがある)は、原理的にフィルタで分離ができないのだ。
また、トリチウムと水以外の物質が全く含まれていないかというと、そんなことはない。ただし、通常の海水に含まれる量よりも微量なので、科学的に全く問題がない。健康被害を引き起こす可能性はない。これは第三者の国際原子力機関(IAEA)にも確認してもらっていて、監視は継続的に続けられる。万が一問題が起きれば放出をストップすることになっている。
だから、海洋放出をするという話には合理性があるのだ。流さずに済むのなら、それに越したことはないのだが、タンクを建てる敷地だって有限である。それでも12年間溜め続けたのは寧ろ称賛に値する。
IAEAのお墨付き
日本は海洋放出にあたって、国際原子力機関(IAEA)に評価してもらうことで、お墨付きを得たのだ。「流しても、問題ありませんよ」ということだ。
「近隣諸国に理解を求めろ」と主張される方がいるが、政治的理由によって反対をした上で利益を得ようとする輩が沢山いる。個々に話をつけるなどおよそ不可能なのである。
そこで、「国際機関にOKもらったから良いでしょ」というスタイルを選んだわけだ。国際機関は各国が出資して維持する組織なので、代表してOKを貰えば全員から了解をもらったことになる。
そこで、漸く海洋放出するだけの手筈が整ったというわけだ。
それでも文句を言ってくる国はあるんだけどね。
海洋放出以外の検討要求 中国、原発処理水巡り
2023/8/22 01:19
中国外務省の汪文斌報道官は21日の記者会見で、東京電力福島第1原発の処理水を巡り「海洋放出以外の選択肢を議論し、責任あるやり方で福島核汚染水を処置するべきだ」と求めた。大気への水蒸気放出を検討するようロシアと共同で日本に求めた対応を念頭に置いているとみられる。
産経新聞より
なかなかの面の皮の厚さである。だって、自国の原発は散々排水を垂れ流しているのだ。日本にだけダメと言う理由にはならない。
科学的根拠を持って海洋放出するのだから、文句を言われる筋合いはない。「あなただけにいわれたくはない」というヤツだね。
未だに風評被害を流し続けるメディア
最悪なのは、国内のメディアだ。
「魚が売れなくなる」処理水の海洋放出で地元は懸念 対策は
2023年8月22日 17時45分
東京電力福島第一原発にたまる処理水を薄めて24日にも海に放出するという政府の決定を受け、福島県の漁業者からは放出に納得できないという声や風評被害への不安が聞かれました。
水産庁は処理水の放出開始後は当面、毎日、福島第一原発の10キロ圏内で捕れた魚についてトリチウムの検査を行うなど、風評被害対策を強化することにしています。
NHKニュースより
未だにおかしな記事を書いて風評加害をし続けているのである。東京新聞やしんぶん赤旗といったアジビラならともかく、公共放送を標榜するNHKがこのザマである。
色々言われる岸田政権だが、これでも海洋放出が可能となるように、各国に働きかけて理解を取り付けてきた。それは岸田政権の成果として誇っても良い。それを、あろうことか公共放送を筆頭にメディアが邪魔をしようというのだから、呆れて物が言えない。
まあ、議員の中にもとんだ不心得者がたくさんいるのだけれど、岸田総理におかれましては有言実行をお願いします。
追記
こういった情報も載せておかないとフェアじゃないだろうね。
福島県沖 クロソイから基準超の放射性物質
2021年2月22日
福島県沖で行われている試験的な漁で、22日に水揚げされたクロソイという魚から、基準を超える放射性物質が検出され、福島県漁連はこの魚の出荷を停止しました。福島県沖の漁で基準を超える放射性物質が検出されたのはおよそ2年ぶりで、去年2月には、すべての魚種で出荷制限が解除されていました。
NHKニュースより
水揚げされた魚はクロソイ。
沿岸部に生息する魚で、仔魚は表層、稚魚は藻場・岩礁に棲み、2歳の秋から冬にかけて水深50 – 100 mの岩礁域に移動する習性がある。
福島県漁連によりますと22日に新地町の沖合8.8キロ、水深24メートルの漁場でとれた、クロソイという魚から放射性物質が検出されました。
県の研究所で詳しく測定した結果、放射性セシウムの濃度が、1キロ当たり500ベクレルと、国の食品の基準である1キロ当たり100ベクレルを上回ったということです。
NHKニュースより
発見された魚の体内から放射性セシウムが見つかったとのことで、おそらくはセシウム137(半減期20年)であろうと思われる。
国の基準を超える放射性物質が検出されたのは、2年前の2月にエイの仲間の魚コモンカスベで検出されて以来で、去年2月には福島県沖のすべての魚種で出荷制限が解除されていました。
NHKニュースより
コモンカスベもクロソイもいわゆる底物とか根魚とか呼ばれる類の、海底近くにいる魚である。つまり、海底に沈んだ放射性物質を何らかの理由で経口摂取した魚が捕れたという話だろう。
今尚、この手の魚が希に水揚げされるのは残念だが、逆に言えばしっかり検査されているという意味でもある。そして、この手の魚1匹食ったくらいで健康被害が引き起こされたりはしな。1kgあたり500ベクレルって、騒ぐような話では無い。
気持ちが良いものではないだろうが、食べたからと言って健康被害を引き起こすということはないのだから。
追記2
何というか、「広報不足」という人がいるんだけど。
経産大臣は頑張って説明していたよ。
コメント
こんにちは。
>最悪なのは、国内のメディアだ。
まさに然り。
「処理水の安全性は科学的に確保されている。安心して、復興支援のため福島の魚を食べよう」
たったこれだけのことを、マスコミが電波に載せるだけでいいのに。
あいつらこそがガンだ。
世が世なら、それこそ青年将校に真っ先に襲撃されて然るべき存在でしょう。
※そうはならない社会である事に感謝することすら、彼らはしないでしょうけれど。
マスコミが誠実に報じていれば、もうちょっとマシだと思うんですよね。
正確な情報は東電からも政府からも出ていますから、それを説明するだけなんですがね。
処理水は30~40年かけて海洋放出されるのだから、ただ自然無害というしかない。
福島県漁労組合長が、政府決定を理解するが納得できないと言っているそうだ。
(補償金が欲しいのだろう。政府は払う意向らしい。)
そのことも含みつつ、12年前に立ち返って、なぜ福島第一原発だけが、当時
非常電源喪失から炉心溶融に至ったのか、そのからくりを明らかにしておこう。
https://www.youtube.com/watch?v=0b4lno6XHe8
気の長い話ですけど、一歩を踏み出したことは大切ですね。
補償金に関しては、基金で積み立ててあって積み増しした格好なんですが、どうしても風評被害などが避けられないので用意しておく必要があるのでしょう。
過去の問題を検証して未来に活かすことはとても大切ですから、こういった点も情報共有しておきたいですね。
追記:「政府は何やっていた」憤る漁業者 処理水放出、中国が輸入停止(8/24毎日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9a2b7c59206a19256f2c5b77282572c9dafb45df
記事の漁業関係者らは処理水放出が無害であることを知らないようだ。補償も大切だろうが、啓蒙はさらに大事だろう。
記事にもあるが、支那が海産物を買わないなら、本土なり東南アジアなり欧州なりの市場へ玉を送ればいい。針小棒大に騒いでも百害あって一利にもならない。
先を見れば、支那市場から距離をとることはむしろ良いことだ。
啓蒙ですか。
出漁できなくても9割の補償が受けられる現状を、「もっと長く続けば良い」と考えている可能性もあります。
何というか、努力に見合う成果が得られるかは怪しいかなと思っています。それでも啓蒙は必要なのでしょうが。
こんにちは。
ざっと周辺を見回したところ、処理水放出に強硬に反対しているのは、日本左翼、朝鮮左翼、支那、ロシアと出ました。
朝鮮日報の記事によると、太平洋諸島18か国は「受け入れ」を表明し、支那は日本産農産物輸入禁止措置を強化したようですーこの中に”北海道”が含まれていないところが、支那のご都合主義をよく反映しています。
日本政府は、反対表明を気にすることなく、粛々と処理水放出を進めていただきたいです。
P.S.別件ですが、扇動活動家・尹美香の控訴審(5年求刑)が9月20日に判決されます。現役国会議員でもある尹美香が有罪となれば、正義連は正義を失い有名無実化するでしょう。
こんばんは。
まー、東側所属のオールスターという感じの構成になっています。え?韓国は違う?いえいえ、韓国左翼は北朝鮮カテゴリーですから。
それにしても、支那も韓国も政治マターで言い掛かりをつけてくるというのは、困ったことです。
逆に言えば、日本は聞き流しておいて問題はないんですよね。政治マターですから。