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イギリスの有人偵察機をロシア軍戦闘機が撃墜しかけた

北欧ニュース
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凄い話が出てきたな。

“英軍有人偵察機にロシア軍の戦闘機がミサイル” BBC

2023年9月15日 10時13分

去年9月、黒海上空を飛行中だったイギリス軍の有人偵察機に対し、ロシア軍の戦闘機が撃墜する意図でミサイルを発射していたと、イギリスの公共放送BBCが報じました。これについてイギリス軍のトップは、国際空域での偵察飛行の正当性を強調し、ロシア側を非難しました。

NHKニュースより

2022年9月の話ではあるが、今頃になってニュースになったね。

一歩間違えば全面戦争に

おそらくはRC-135W

イギリスの大型偵察機と言えば、ニムロッドAEW.3か。いや、あれは途中で調達中止になったっけな。

えーと、ニムロットR.1の後継機として導入されたRC-135W「リベットジョイント」が今回狙われた偵察機だね。

一方、狙った側がこちら。

お馴染みSu-27「フランカー」なのだが、こいつが空対空ミサイルをぶっ放したらしい。

BBCが14日に報じたところによりますと、去年9月、黒海上空を飛行していたイギリス空軍の30人乗りの偵察機に対し、ロシア軍のスホイ27戦闘機がミサイル2発を発射しました。

1発目は目標から外れ、2発目はそのまま落下したため、偵察機に被害はなかったということです。

NHKニュースより

この時は「被害なし」で特に問題とならなかったのだが。

技術的な不具合と説明

ただ、空対空ミサイルを発射したということは、当たらずとも大問題である。交戦の意志ありってことだからね。

ミサイルの発射について、ロシア側は当初、技術的な不具合によるものだと説明していましたが、傍受された交信記録などによると、管制官のあいまいな指示が原因で操縦士は偵察機を撃墜する意図で発射したことが明らかになったということです。

これについてイギリス軍のトップ、ラダキン参謀長は14日、ロンドン市内で開かれたフォーラムで「この事態のあと偵察飛行を短期間見合わせ、状況をよく理解するためロシア側との対話を行った」と説明しました。

NHKニュースより

で、当時、既に傍受された交信記録をつかんでいて、恐らくロシアが故意に発射したことはイギリス空軍としても理解していた。が、敢えて問題にはしなかったということのようだね。

尤も、それは「幸運だった」としか言いようがない。

ロシアの戦闘機、英偵察機にミサイル発射し「撃墜寸前」だった……関係筋がBBCに語る

2023/9/15

ロシア空軍の戦闘機が昨年9月、イギリス空軍の偵察機への攻撃許可が下りたと思い、撃墜を試みていたことが、BBCの取材で明らかになった。

この時、ロシア機はミサイル2発を発射していた。昨年10月の時点でロシアは、「機械不良」がミサイル発射の原因だったと説明。イギリス国防省は表向きは、この説明を受け入れていた。

しかし実際のロシア機の通話記録は、最初の1発は不具合で発射されたのではなく、実際にイギリス機を狙ったものの標的を外したのだと示しているという。2発目は単に翼から落下しただけという。

BBCより

あ、こっちの記事には、狙われたのがイギリス空軍の偵察機「RC-135 リヴェットジョイント」って書いてあった。

どうやら、Su-27のパイロットが、地上からの情報を聞き間違えて、「攻撃許可」が下りたと思ったらしい。いや、戦局を考えたらどう考えても撃墜しちゃダメなパターンだと思うんだが。

傍受された通信によると、ロシアのパイロットの1人が、地上からあいまいな指令を受け、イギリス機への攻撃許可が下りたと考えた。

しかし、もう1人のパイロットはそうは考えなかった。そのため、最初のミサイルが発射されると、このパイロットは同僚をいさめ、罵倒した。

偵察機リヴェットジョイントには、通信を傍受するセンサーが搭載されている。イギリス空軍の乗組員は、自分たちの死を招きかねない事態が繰り広げられるのを、耳にしていたはずだ。

BBCより

新兵じゃあるいまいし、「地上から曖昧な指令」が出たら、当然ながらその意思を確認するのが筋だろうに。この記事からもロシア空軍のパイロットの質の悪さが伺えるな。そして、僚機からは罵倒されたと。

西側消息筋の1人はBBCに対し、ロシアのパイロットたちが受信したのは、2機が「標的補足」という趣旨の言葉だったと話した。

このあいまいな言葉遣いを、1機目のパイロットは攻撃許可と解釈した。

情報筋は、この厳密でない言葉遣いは、関係者のプロとしての技量の低さを示すものののようだと話す。対照的に、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の軍パイロットは、攻撃許可の授受にはきわめて正確な言葉を使う。

BBCより

……地上からの情報もかなり質が悪かったというべきか。2022年9月の時点であれば既にロシアの地上軍の損耗は酷いことになっていて、黒海周辺に展開している部隊の質が低下していた可能性は高い。

攻撃失敗は操作ミスだった

更に、パイロットの質の悪さを示唆する内容がこちら。

ロシアのパイロットはその後、空対空ミサイルを発射。発射には成功したものの、標的に狙いを定めらなかったという。これは機械の不具合ではなく、ミスだった。

国防筋によると、ここでロシアのパイロット2人の間で言い争いが起きた。

BBCより

ロックオンせずに撃ったってことなのかな。空対空ミサイルで、標的はデカいRC-135だとすると、ちゃんと狙って撃てば当たらないなんてことはない。

そりゃ、僚機に罵倒されても仕方があるまい。

2機目の戦闘機のパイロットは、攻撃許可が下りたとは考えていなかった。

このパイロットはミサイルを撃った同僚に悪態をつき、実際に「何を考えているんだ」と問い詰めたとされている。

それでも1機目のパイロットは、ミサイルをもう1発発射した。

この2発目のミサイルは、翼から落下しただけで終わったと、消息筋はBBCに話した。その場合、ミサイルが故障したか、発射が中止されたかの可能性が考えられる。

BBCより

それどころか2発目まで発射手順に入ったが、途中で発射中止されたのか、あるいはミサイルが故障していたのか、翼から落下しただけだったそうな。恐らくはミサイルのエンジンに点火しなかったのだろう。

なるほど場所はかなり微妙な位置だ。クリミアはロシア軍の占領下にあって、偵察機が飛んでこれば、「撃ち落としてやる」と逸る新兵がいたとしても不思議はない。

まず、イギリスは自分たちの情報収集の範囲や傍受した通信の詳細を公表したがらないはずだ。

さらに重要なのは、イギリスもロシアもエスカレーションを望んでいない点だ。まして、この件はNATO加盟国のイギリスをロシアとの軍事衝突に巻き込む恐れがある。

しかし一方で、この出来事はまたしても、たったひとつのミスや、一人の計算違いが、大きな紛争につながりかねない危険を示している。

BBCより

ただ、撃墜の意図があったにせよ、大事には至らなかった。

そして、イギリスもロシアもさらに事態をエスカレートさせることを望まなかった。NATOの規定により、イギリス軍機が攻撃されれば、すぐさま戦闘状態に発展するだろうことは容易に想像がつく。そうなれば、第三次世界大戦の引き金を引きかねない。

そしてこのようなリスクは、ロシアがウクライナに居座る限り、続くのである。一刻も早いロシア軍の撤退を望みたい。……そう簡単ではないんだけれど。

コメント

  1. アバター けん より:

    おはようございます、

    開戦から1年半、ロシア軍、ウクライナ軍共に相当な損失を被っていて、ストレスも相当なものでしょうと。
    そこに、今週ウクライナ軍がクリミアのロシア船舶修理工場を”イギリス製”の長距離ミサイルで攻撃するという出来事がありました。ロシアの大型揚陸艦1隻とキロ級攻撃型潜水艦1隻が被弾したそうです。
    https://www.youtube.com/watch?v=w-eeSPaoLsI
    今回のロシア戦闘機によるイギリス偵察機への空対空ミサイル発射は、公海上空での出来事なので、「それをやっちゃーお終いよ」なやらかしでしたが、そのロシア戦闘機のパイロットは、イギリスに対する個人的な怒りでももっていたのかもしれませんね。

    • 木霊 木霊 より:

      今回のこの公表自体は1年前の出来事なので、事実を公表することで何らかの効果を狙っているモノと思われます。
      そろそろウクライナ支援につかれてきた国が増えてきていることと関係しているかも知れませんね。

  2. アバター 匿名 より:

    こうした偶発的な事故は公表されてないだけでもっとヤバそうなのはまだまだありそうなんですけどね。
    例えば、中印国境のカシミール地方では実際死者が出ていますし、そんな地域では空戦が行われていないと考えない方が不自然です。

    • 木霊 木霊 より:

      支那の方も相当情報を隠蔽していると思います。
      インドも素直に外交してくれるタイプではありませんし、出してくる情報には注意を要する国です。
      が、ウクライナとロシアとの関係は、なかなか厄介ですね。イギリスが情報を隠蔽していた理由も踏まえて、見えている情報と見えていない情報のことを考えなければならないかも知れません。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    ソビエト時代含め、ロシアによる、交戦国以外の非武装機撃墜は枚挙に暇がありませんからね(主に民間旅客機ですが)
    今回は本当に運が良かった。
    2発目は、モーターに点火しなかったのが故障か、シーカーアクティヴにならなくて手順ミスによる脱落か、だとしたら、パイロットの練度が相当落ちている(通常発射手順が守れないくらい、その場でパニクってしまっている)のかな、まで邪推してしまいます。
    ※ドン亀偵察機に1発目が中らない時点で……最低発射距離でも割ってたかな?

    そして、それに近い事をやりそう、というか既にやらかしている国が、大小二つ、日本海の向こうに……(体当たりしてP-3C落したバカと、火器管制レーダ撃ったバカ)

    どうしてこう、日本の隣には救いようのないバカしかいないのか……

    • 木霊 木霊 より:

      1発目が当たらなかった理由は、おそらくは正式手順で相手を攻撃するやり方を知らないパイロットだったと言うことなんだと思います。
      そういう意味では幸運だったとも言えますが、逆にこのレベルのパイロットが居ること自体がリスクですよね。

  4. アバター BOOK より:

    BOOK説
     Su-27はF-14,15対抗で開発され、凄腕パイロットが操ればスゴイ機動性能だが下手が操縦するとすぐ落ちるヤバイ・ピーキー機体?(笑)

    だからこいつはアニメや映画に時々出てくる「生意気な新入りの咥えタバコの火種を銃でぶち抜く」「腕は確かだが性格に問題が」って奴で、もしかすると3月にグロホに小便ひっかけた奴 

     ttps://www.youtube.com/watch?v=K2FGnUFTc3Q

    殆どコブラ機動モドキですね
     ttps://en.wikipedia.org/wiki/Cobra_maneuver (動画gifあり)

    なのでミサイル1発目はワザとロックオンせずに発射(ロックオンしたら命中しちゃうしね)
    2発目は故障と言い訳するため投棄 なのではと (笑)

    • 木霊 木霊 より:

      実際にSu-27は結構落ちています。
      そのおかげでまともなパイロットが居ない状況になったのかもしれませんね。

      グロホではなく、MQ9リーパーに燃料をぶっかけた奴ですね。確かになかなか凄い機動でした。

      で、ロックオンしなかった説ですが、それだとパイロットが「勘違いした」と主張する理由が良くわからなくなってしまう。状況的に僚機から「何やってるんだ」と罵声を浴びせかけられるのもちょっとおかしくなっちゃいますし。いや、敢えて「無茶をした」という可能性はあるのかなぁ。僚機はあいつならやりかねない。「分かっていて怒ってみせた」という説なら、説明が付けられます。しかしそうすると2発目を投棄するのはなんだか不自然な感じも。
      まあ、この辺りは妄想するしかアリませんが。