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イギリスのTPP新規加盟が決定

北欧ニュース
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日本にとってイギリスとの連携は大切だ。二枚舌外交に気をつけねばならない相手ではあるが、世界的な影響力がある国なのだ。

TPP新規加盟「威圧的な国は対象外」 後藤担当相、中国念頭か

2023/7/16 19:38

16日の閣僚級会合で英国の新規加盟が正式に決まった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、英国の次に加入を申請した中国の扱いに焦点が移る。

産経新聞より

参加11カ国全ての承認が得られたイギリスは、これで正式に加盟したという扱いになる。一方で、参加申請している支那は論外だろう。支那を入れるくらいなら、台湾を入れようぜ!

経済的な国際ルール

法の支配の重要性

そもそも支那との「約束」というのが、果たして効力があるのかどうかがイマイチ不明である。支那人は約束を守る人が多いとは思うが、国家としてはちょっとどうなんだろう。

そもそも、支那は国家としての体をなしているのかも、疑問が残る。

国家としてのあり方はともかく、一番の問題は、支那においては法の支配が「絶対」ではないという点だ。

ただ、国内市場の開放などに多くの課題を抱える中国の加盟を安易に認めれば、高水準の自由貿易協定であるTPPの特長が失われかねないとの懸念は根強い。後藤茂之TPP担当相は同日の会合後の記者会見で、「威圧的な対応や法令順守に的確な対応をしていないエコノミー(国・地域)は対象にできない」と強調。中国が念頭にあるとみられる。

産経新聞より

この点は、経済再生担当大臣の後藤氏の指摘通りで、支那の場合、法律のトップに憲法がある構成は他国と一緒だが、その上に支那共産党があるという構造になっている。

よって、支那共産党トップに君臨する習近平氏が、「シロといえばシロ」だし「クロといえばクロ」となる。支那共産党が利益にならないと判断すれば、国際間条約であっても容易くひっくり返す国が支那なのだ。

世界の国内総生産の15%

イギリスがTPPに加盟することで、世界の国内総生産の15%程度をカバーする条約になる。

TPP加盟国の経済規模は英国が加わっても、世界の国内総生産(GDP)の15%程度にとどまる。TPPを主導する日本は米国に復帰を促しているが、「日米交渉の場でTPPの話題を出しても5分後には『ノー』といわれる」(政府関係者)という。労働組合に支えられている米民主党政権にとって、自由貿易の推進は自国の労働者の失職につながりかねないと警戒しているためだとみられる。

産経新聞より

アメリカにとってはTPPへの加盟は利益にならないと判断しているのだろうが、イギリスにとっては違う。

イギリスは3年前のEU=ヨーロッパ連合からの離脱の前から、EU以外の国や地域との関係強化を進める「グローバル・ブリテン」という外交政策を掲げています。

TPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入はその一環で、成長著しいインド太平洋地域への門戸を開き、イギリス企業が巨大な市場に製品を輸出することができるようになるとイギリス政府は期待しています。

NHKニュースより

イギリスが抱えている産業はさほど大きくはないが、経済的な枠組みに加入したと言うことの意味は結構大きい。TPPに派手さはないが、様々な関税が撤廃されると共に、知的財産の保護ルールや国家間での訴訟の時のルールなどが決められていて、国際的な取引をするときの安心材料として機能するのだ。

本来ならば、二国間で様々なやりとりをして調整しなければならないところ、ある程度の枠組みが決まっていると言うことの意味は大きい。

そして、イギリスがTPPに加わったという意味は、日本にとってもかなり大きいのだ。イギリスとは民主主義的な価値観を共有できるため、支那の横暴に対して抑止力として機能してくれる可能性がある。

IPEFとRCEP

一方で、NHKなどはIPEFやRCEPなどを対抗馬に挙げている。

img

確かに枠組みとしてIPEFやRCEPという経済的な連携の枠組みは存在するが、それぞれ特徴が異なるので、並べて比較するというのもおかしな話ではある。

なぜかNHKはTPPに支那を加入させろという論調だが。

一方、中国や韓国、ASEAN諸国が加わるRCEP=地域的な包括的経済連携は、国の数は15に増えて、29兆6000億ドルとなります。どちらかというとRCEPは緩やかな経済連携であり、単純な比較はできませんが、スケールメリットの違いは明らかです。やはりTPPはアメリカが離脱したことが痛手になっています。

ちなみにアメリカが主導するIPEFには中国が加わっていませんが、代わりにインドが加わっていることもあり、GDPの合計は38兆3000億ドルとなります。

NHKニュースより

RCEPは、支那が加わっていることで経済規模は大きくなっているが、ルールが緩く、関税の撤廃率は91%となっている。

貿易を行う上での統合ルールがあるという意味では、RCEPに加盟する意味はあるのだが、意外に決まっていないことも多い。アジア太平洋資料センターでこんな図があったので、紹介しておこう。

関税を撤廃すれば全ての国がハッピーになれるというわけではない。そういう意味で、段階的に選ぶことの出来るルールセットがあるという意味はそれなりにあるだろう。

なお、IPEFなんだけれども、これはまだ極まっていないことが多い。アメリカが主導で動いているので、経済規模が多いというメリットはあるんだけど、さて、これが真っ当に稼働するかどうかはまだ不透明なところが多い。

TPPと比べてIPEFの自由化度は低くなるだろうと予想されているので、どうなっていくのかは要観察ということだろう。

そもそも支那は加入できないTPP

というわけで、自由化を強制する条約のTPPは、支那包囲網の側面もあって、そうすると支那がTPPへの加盟申請をしているというのはお笑いでしかない。

そのうえで、中国と台湾の加入申請については「非常に難しい問題だ。日本とアメリカは同盟国であるという視点からは日本は台湾を優先するという決定になるのではないかと思うが、日本の最大の貿易相手国はアメリカから中国に変わったという、この現実はやはり重い。少し時間をおき、加入したらどういうことになるかよく時間をかけて検討するべきだ」と述べ、日本政府は慎重に判断するのではないかという見方を示しました。

NHKニュースより

ではなぜ、支那はTPPに加盟申請をしたのだろうか。

それは、台湾がTPPに加盟申請したからだと言われている。台湾であれば、TPPへの加盟は容易だ。ルールに関しても高い水準で守る事が可能だろうし、国際的な訴訟に関わるルールがあることも台湾にとってはありがたいことである。

支那を入れずに台湾を組み込むという選択肢を採ると、個別の国に嫌がらせをしてくる可能性が高い。

「難しい問題」というよりは、支那をTPPに入れるべきではないのだ。TPPというプラットフォームは、ルールを守る事の出来る国が参加してこそ、価値があるのだ。

TPPは申請順ではなく、あくまでも自由貿易に関する高水準のルールを守れる国から加入交渉を開始する。今回の閣僚会合でも世界貿易機関(WTO)など貿易に関するコミットメントの順守状況を踏まえ、全締約国の合意を得て対象を絞り込むことを確認した。

産経新聞より

そういう意味で、イギリスがTPPに参加するというのは、まあ経済の面で言えば許容範囲なのではないだろうか。インドも加わってくれると嬉しいところだ。

No chance China will join Pacific trade pact in near term, Australia warns

China has no hope of being accepted into a major regional trade pact in the near term, the Australian government has signalled, as members prepare to welcome the UK into the fold this weekend.

The assistant trade minister, Tim Ayres, is visiting New Zealand for a meeting with fellow members of the CPTPP. The UK, which sees joining as part of its “tilt” to the Indo-Pacific region, is to be formally accepted as the 12th member on Saturday.

~~対訳~~

中国が太平洋貿易協定に参加する可能性は当面ない オーストラリアが警告

オーストラリア政府は、中国が近いうちに主要な地域貿易協定に参加する見込みはないと警告している。

ティム・エアーズ通商大臣補佐官は、CPTPP加盟国との会合のためニュージーランドを訪問している。インド太平洋地域への「傾斜」の一環として参加する英国は、土曜日に正式に12番目のメンバーとして受け入れられる予定だ。

The Gerdianより

オーストラリアはかなり批判的らしいね。

安全保障と経済連携はリンクする

そして、良くも悪くも経済連携協定と安全保障政策はリンクしている。

通商政策に詳しい民間のシンクタンク、地経学研究所の鈴木均主任客員研究員は、TPPの位置づけの変化について「ロシアがウクライナに侵攻してビジネスはビジネスの論理でずっとやればよいといった状態ができなくなってきている。加速度的に経済安全保障の見地が不可欠になっているのではないかと思う」と述べました。

NHKニュースより

NHKでコメントをしている民間シンクタンクの方、やんわり指摘しているが、経済安全保障という言葉で括ってはいるが、経済連携と安全保障は密接に関わっている話なのである。

そういえば、イギリスは核兵器を持っていたよね?

その辺りに目を付けたウクライナがTPP加盟申請したというのは、なかなか面白い展開である。この記事でも書いたのだけれど、TPPにウクライナが加わるというのも、ウクライナの努力次第ではあるんだけど、アリだと思う。

その上で、日本は武器輸出出来るように頑張っていくべきじゃないかな。TPP加盟国に優先的に武器が売れるようになれば、きっと安全保障にも繋がっていくし。

追記

支那が仲間に入れてほしそうにこちらを見ている!

どうする?

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  • 断る

How to view China’s application is the litmus test of CPTPP: Global Times editorial

Published: Jul 16, 2023 11:10 PM

On Sunday, members of the Comprehensive and Progressive Trans-Pacific Partnership (CPTPP) met in Auckland, New Zealand, and the United Kingdom formally signed the pact to join the CPTPP, becoming the first new member state to join after the agreement came into force in 2018.

~~対訳~~

支那の申請をどう見るかがCPTPPのリトマス試験紙:Global Times社説

日曜日、包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ(CPTPP)の加盟国がニュージーランドのオークランドで会合を開き、イギリスがCPTPPに参加する協定に正式に署名し、2018年の協定発効後初の新規加盟国となった。

globaltimesより

Global Timesは支那の環球時報の英訳版である。つまり、支那共産党の広報誌である。当然ながら、支那に都合の悪いことは一切書かない。

The CPTPP is rather unique. Its predecessor, the Trans-Pacific Partnership (TPP), is a product under the US’ leadership. In the eyes of many economic and trade specialists, it is believed that TPP’s initial intention was to compete with China’s influence in the Asia-Pacific economic and trade sphere, and some of its standards and norms are considered to be aimed at China. When Donald Trump, who likes to “walk off the beaten path,” became the US president, he pushed for the US to withdraw from the agreement as he called the TPP “a rape of our country.” The remaining 11 member countries did not give up, so they completed the CPTPP negotiations in early 2018 and the new pact officially came into force at the end of that year.

~~対訳~~

CPTPPはかなりユニークだ。その前身である環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、アメリカ主導の産物である。多くの経済・貿易専門家の目には、TPPの当初の意図は、アジア太平洋の経済・貿易圏における中国の影響力に対抗することであり、その基準や規範の一部は中国に向けられたものと考えられている。「人の道を外れる」ことが好きなドナルド・トランプがアメリカ大統領に就任すると、彼はTPPを “わが国をレイプするもの “と呼び、アメリカの協定からの離脱を推し進めた。残りの加盟11カ国はあきらめなかったため、2018年初めにCPTPP交渉を完了し、同年末に新協定が正式に発効した。

globaltimesより

トランプ氏が「人の道を外れることが好き」というの意味不明だが、まあ、TPPを抜けたのは事実である。

しかし、トランプ氏が抜けたからと言って、TPPが対支那包囲網の性格が有ることは変わっていない。

The sincerity of China’s application to join the CPTPP is beyond doubt. Some people make an issue of China’s difficulty in meeting the “high standards” of the CPTPP, questioning China’s ability in this regard. However, if one has knowledge about China’s accession negotiations to the WTO, this would not be seen as a problem. At that time, China was considered to have gaps in various standards of the World Trade Organization (WTO), but after several years of effort, China has become a recognized top performer within the WTO. Since China has the confidence to apply for membership, it will definitely fulfill its commitments. China’s international credibility in terms of commitments is among the highest among major countries.

From joining the WTO to the Regional Comprehensive Economic Partnership (RCEP), and now the CPTPP, China has embraced the world with open arms. Initiatives such as the Belt and Road Initiative and the Asian Infrastructure Investment Bank (AIIB) are also open to all countries. We hope that the 12 member countries of the CPTPP can share the same level of openness and spirit. How the CPTPP member countries view China’s accession will become an important criterion for evaluating their fairness and openness, and it will also show people whether the CPTPP has the potential to become the “most outstanding trade agreement in the world.”

~~対訳~~

中国のCPTPP参加申請の誠実さは疑う余地がない。中国がCPTPPの「高い基準」を満たすのが難しいことを問題視し、中国の能力を疑問視する人もいる。しかし、中国のWTO加盟交渉についての知識があれば、これは問題視されないだろう。当時、中国は世界貿易機関(WTO)のさまざまな基準でギャップがあると考えられていたが、数年の努力の末、中国はWTO内でトップ・パフォーマーと認められるようになった。中国には加盟を申請する自信があるのだから、約束は必ず果たすだろう。コミットメントにおける中国の国際的な信頼性は、主要国の中でもトップクラスである。

WTO加盟から地域包括的経済連携(RCEP)、そして今回のCPTPPに至るまで、中国は両手を広げて世界を受け入れてきた。一帯一路構想(Belt and Road Initiative)やアジアインフラ投資銀行(AIIB)などの構想も、すべての国に開かれている。私たちは、CPTPP加盟12カ国が同じレベルの開放性と精神を共有できることを願っている。CPTPP加盟国が中国の加盟をどのように見ているかは、加盟国の公正さと開放性を評価する重要な基準となり、CPTPPが “世界で最も優れた貿易協定 “となる可能性があるかどうかを人々に示すことにもなるだろう。

globaltimesより

意味がわからないな。WTOが事実上機能していないことを問題視して、より自由化の度合いの高いTPPという枠組みを作ったのである。まさか、支那が入れるとは思わないよ。

WTOを引き合いに出したところで、説得力は皆無だ。

本文中にも書いたが、支那は共産党の支配体制があり、人治国家の性格を続ける限りは、TPPのルールを守るなどと信じられるはずもないのだ。順番的に、イギリスの次は支那だというのは、申請の順番というだけで、支那がルールを受け容れない以上は、TPPの枠組みに入ってくることはない。

むしろ、中に入れてはならないのである。

途中で紹介したNHKもそうだったが、朝日新聞が「支那をTPPに入れないと!」とキャンペーンをやりだした。時代錯誤も甚だしいね。

コメント

  1. アバター けん より:

    おはようございます、

    >経済的な枠組みに加入したと言うことの意味は結構大きい
    英国のCPTPP加盟のメリットについては、BBCも木霊さんと同じ見方をしていますね。
    いますぐ大きな経済的見返りは”ない”けれど、成長するアジア経済に今からコミットすることが大事という評価です。
    https://www.bbc.com/news/explainers-55858490

    英国にしてみれば、CPTPPはアジア再挑戦という側面もあるでしょう。本来英国は香港島を返還する必要はなかったのですから、当時の事情はあったにせよ、丸々香港を支那共産党に返還してしまったことの後悔はいまも大きいはずです。

    • 木霊 木霊 より:

      イギリスの戦略が銅なのかと言うことも認識していく必要はあると思いますが、EUとばかり付き合ってはいられないという状況なんでしょうな。
      そして、ご指摘の通り香港を手放したのは、本当に失敗だったと思いますよ。

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