韓国政府、サービス産業に64兆ウォン突っ込んで黒字化を目論むことに

5年間で64兆ウォン（6兆8,600円規模）も突っ込んで大丈夫か？

サービス産業に金融支援、５年で64兆ウォン

2023年6月7日

韓国の秋慶鎬経済副首相兼企画財政相は５日、サービス産業の輸出に関する政策案を発表した。今後５年間にわたり、64兆ウォン（約６兆8,600億円）規模の輸出金融を実行するほか、税制優遇など支援策も拡大する。

NNA ASIAより

韓国政府はよくこういった壮大な計画を立てるのだが、成功したという話を聞かない。いや、今度こそ成功するつもりかも知れないが。

韓国経済が危ない

貿易収支はマイナス

さて、先ずは経済における貿易依存度の高い韓国の経済状況なのだが、ここのところ韓国の貿易赤字は酷い。

韓国、輸出７カ月連続減少…２６年ぶりの最長貿易赤字

登録:2023-05-01 20:16 修正:2023-05-02 06:57

大韓民国経済の支えである輸出が揺らいでいる。半導体業況の悪化と対中国輸出の不振などで、韓国の輸出は昨年10月以降7カ月連続でマイナス成長だった。貿易収支も14カ月連続で赤字が続いた。

ハンギョレより

貿易収支とは、輸出額から輸入額を差し引いたものである。

韓国では、ここのところずっと赤字が続いていて、韓国政府としても危機感を抱いているようだ。まあ単純に言えば輸入超過なのだ。

改善の見込みはない。

韓国の対中輸出依存度、急速に低下…もはや「中間財輸入・完成品輸出」の中国ではない

登録:2023-06-06 06:26 修正:2023-06-06 07:58

最近、韓中間の輸出競争度（重複度）が高まったという分析が出た。中国企業の競争力がそれだけ韓国企業と似たような水準まで上がってきたか、追いついているという意味だ。

～～略～～

具体的にみると、特に目を引くのは韓国の主要な対中輸出品目である「高度技術中間財」部門で中国の「輸出自立度」が急速に高まった点だ。

ハンギョレより

何しろ、稼ぎ頭だった対支那貿易が完全に赤字で、それも支那企業が作れる中間財が増えた為に、今後買って貰える見込みがないという状況なのである。

一応、別の国、インドやベトナム、アメリカやオーストラリアなどへの輸出が増えていることから、頑張って輸出額を稼ぎたいところのようだが、そんなに簡単な話ではなさそうだ。

経常収支が縮む

そして、この貿易に加えてサービス収支、第１次所得収支、第２次所得収支を合計したモノが経常収支と呼ばれるものである。

これがマイナスになると、国家が傾くことになる。これまでは韓国経済の稼ぎ頭は貿易収支だったことから、当然ながら貿易収支がマイナスになれば経常収支もマイナスになる。

マイナス４４億ドル…韓国の第１四半期の経常収支、１７年ぶりに最大の赤字

登録:2023-05-11 03:40 修正:2023-05-11 07:38

韓国が対外取引でおさめた実績を示す経常収支が、今年第1四半期（1～3月）中に44億ドルを越える赤字を記録した。輸出額と輸入額の差を示す商品収支で史上最大の赤字が発生したことが大きく影響した。第2四半期以降で輸出が回復しない限り、韓国政府と韓国銀行が予想する今年の年間200億ドル台の経常収支黒字達成は難しいものとみられる。

ハンギョレより

蛇足ながら、第1次所得収支と第2次所得収支についても少し解説を。

第１次所得収支というのは、居住者と非居住者との間の労働や資本の提供に対する報酬の収支であり、第２次所得収支というのは、居住者と非居住者との間の対価を伴わない試算の提供に関わる収支という風に定義されている。

具体的には、第１次所得収支が海外投資から得た利子・配当で、第２次所得収支は政府や民間の海外資金援助ということになる。

韓国2022年の経常収支

①貿易収支：150億6,090万ドル
②サービス収支：-55億4,750万ドル
③第1次所得収支：228億8,420万ドル
④第2次所得収支：-25億6,670万ドル
経常収支（上掲①～④の合計）：298億3,090万ドル

『韓国銀行』公式サイト「ECOS」より

2022年度の実績で見ると、第１次所得収支が過去最高額になったからなんとか黒字で済んでいるが。

グラフで見るとこんな感じだね。

そして、2023年は更に減少する可能性が高いというのが現状の分析である。下手すれば赤字化が視野に入ってくる。

一方、賃金、配当、利子所得の流出入の流れを反映する第一次所得収支は、第1四半期に過去最大の133億1千万ドルの黒字を記録した。中でも配当所得収支が113億3千万ドルの黒字で、第一次所得収支黒字の85%を占めた。韓銀のシン・スンチョル経済統計局長は「今年1月から国外現地法人から入ってくる配当収益に対し、法人税減免の恩恵を施行したことで、大幅な第一次所得収支黒字の効果をもたらした」と述べた。

経常収支の黒字を支えている第一次所得収支は、今後4月の実績が重要とみられる。毎年4月には国内外国人投資家に対する配当金支給が集中し、第一次所得収支が赤字になる可能性が高くなる。

ハンギョレより

第１次所得収支は過去最大になっているが、これが法人税減税の恩恵によるモノだという所がまた危うい。

ここはサービス産業を活性化するしか

というわけで、赤字になっているサービス産業の黒字化を目指したいと言うことなのだ。

政府は同案を通じて、サービス産業の輸出額を2022年の世界15位（1,302億米ドル、約18兆円）から10位圏内に引き上げると同時に、年間貿易収支も30年までの黒字転換を目指す構えだ。

NNA ASIAより

分かりやすい方針ではあるが、貿易が不振である以上はそうせざるを得ないのもまた事実である。

ただ、サービス産業が本当に黒字化できるのか？というと、これがまた。何しろ、韓国におけるサービス収支というのは滅多に黒字にならないシロモノで、2000年以降ずっと赤字を計上する分野なのだ。

韓国貿易保険公社が、コンテンツや情報通信技術（ＩＣＴ）などサービス企業の財務状態や成長性を基に、最大10億ウォンの成長金融（成長はしごファンド）を提供する制度も新設する。サービス輸出企業向けの税制支援策も検討中だという。

NNA ASIAより

韓国はコンテンツ産業や情報通信技術産業を盛り上げてなんとかしたいらしいのだが、「5,000億ウォンレベルの「K-コンテンツファンド」を組成」とか、「高級観光の拡大」とか、これまで散々やってきて失敗してきた話が多い。

• 『韓国 企画財政部』公式サイト「サービス輸出活性化のために’27年までに輸出支援50%以上拡大、輸出金融64兆ウォン供給」

いやー、レゴランド開発事業失敗とか、反省しないんですかね？

目新しいところでは、医療ツーリズムに力を入れるとかいう話もあるんだけど、韓国で成功しているとされるのは美容整形くらいだ。

デジタル輸出などと言っているが、韓国のデジタル技術はそこまで優れているのか？というと、ちょっと疑問である。

これで国内需要が活発なら未だ救いもあるんだけど、これがまたねぇ。

まあ、頑張ってくださいとしか。

技術をクレクレ

貿易産業を活発化するには

さて、サービス収支の黒字化を目指すのは良いんだけど、これまで散々失敗してきていて、本当に黒字化できるかはかなり怪しい。

となると、やっぱりこれまで稼いできた貿易収支の方に力を入れつつ、第１次所得収支にも力を割いていくということになる。ただ、第１次所得収支に関しては海外投資を始めとした当たり外れの振れ幅がデカい要素なので、やっぱり貿易収支は黒字を維持したいというのが本音だろう。

でまあ、どうするのかと思っていたら、こんな方針が示されていた。

• 『韓国 産業通商資源部』公式サイト「産業技術国際協力活性化政策の確立」

ふむふむ。……！

政府は米国、日本など首脳訪問のフォローアップ措置の一環として、産業技術国際協力活性化のための政策策定を本格的に進めている。この過程で、企業の国際協力需要と研究開発(R&D)参加研究者の生の声を十分に収集し、政策に反映する計画だ。

～～略～～

産業部のファン・スソン産業基盤室長は、世界（グローバル）レベルの研究開発（R&D）競争力向上及び先端技術確保のための国際協力の重要性を強調し、「世界最高レベルの研究陣と国内企業・研究機関が協力を活性化するための国際（グローバル）技術協力総合戦略を早急に策定する」と明らかにした。

注：赤字は当サイトにて

『韓国 産業通商資源部』公式サイトより

いやいや、産業技術国際協力って、韓国はいつも貰うばっかだよね？！

グローバルを連呼しているが、結局の所、日本とアメリカに目を付けているという話である。

韓国経済関係者

これの前提としているのが、日韓首脳会談や米韓首脳会談での話だと書かれているのだが、いやしかし、そんな話出たっけ？

現地時間5月8日午前10時10分から約45分間（日本時間同じ）、韓国・ソウルを訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、韓国経済関係者との懇談を行ったところ、概要は以下のとおりです。

1. 冒頭、岸田総理大臣から、経済界は常に両国経済関係の潜在力を信じ、日韓産業間の協力を絶え間なく前進させてきたと承知している、これまでの日韓関係への多大な貢献に改めて敬意と感謝を表明する旨述べるとともに、今後の日韓経済関係の発展について忌憚のない期待や意見を伺いたい旨述べました。
2. 懇談では、韓国の経済関係者から、岸田総理の訪韓と「シャトル外交」の本格化を歓迎する旨発言がありました。また、日韓間の経済交流・協力に係る各団体の取組について紹介があり、サプライチェーンの強靭化や先端分野での産業協力の推進等、今後の更なる日韓経済関係の発展に強い期待が表明されました。

外務省のサイトより

うはぁ。なんとも。

岸田氏は、韓国経済関係者と懇談をして、韓国の経済関係者から「日韓間の経済交流・協力に係る各団体の取組について紹介があり、サプライチェーンの強靭化や先端分野での産業協力の推進等、今後の更なる日韓経済関係の発展に強い期待が表明」されている。

いや、そうはいってもチップ４への参加を、韓国は保留しているよね？関係強化とか言われても……。

韓国外交部は当初今回のチップ4会議について「国益の観点から参加を検討する」としていた。韓国の半導体業界は生産では米国の技術を必要とし、販売は中国への依存度が高いからだ。しかしこれについて先月の年頭業務報告で「新たな協力を通じて主体的に国益を追求する」との説明があり、これは事実上チップ4参加の方向へと舵を切るものだった。韓国外交部は24日、前回9月の会議について「（半導体の）輸出規制問題の議論、あるいは知的財産や企業機密に関する情報のやり取りはなかった」「民間企業も（会議には）参加しなかった」と伝えた。チップ4本会議に参加はするが、あくまで低姿勢を維持したようだ。

朝鮮日報より

これは2月の時点での記事ではあるが、ここから更に韓国がチップ４に前向きになったなんて話は聞かない。未だ、「まだ、ちょっとまって」状態なのだ。そういえば、サムスン電子が日本に半導体開発拠点を作るとか言っていたっけ。

サムスン、日本に半導体開発拠点　素材・装置企業と研究 - 日本経済新聞

韓国サムスン電子が日本に半導体開発拠点を新設する。300億円超を投じ、横浜市内に先端半導体デバイスの試作ラインを整備する。日本政府の補助金も活用する方向で調整しており、日本の素材や製造装置メーカーとの...

www.nikkei.com

日本がホイホイと技術を渡していたら、また日本経済の成長は出来なくなってしまう。とてもではないが先端技術など協力できる状況ではないはずだ。断固としてこういったアホな流れを阻止しなければならない。

もう、韓国は韓国海苔とかK-POP、韓流映画とか売っていれば良いんじゃないかな？

追記

フラグだったー！

韓国政府、2027年までにK-コンテンツ3兆円超輸出…観光客3000万人誘致

2023年6月8日 8:00

韓国政府が2027年までにK-コンテンツ輸出を250億ドル（約3兆5000億円）を目標に育成し、外国人観光客数を3000万人まで増やすと明らかにした。コンテンツ輸出を強化するため1兆ウォン（約1074億円）規模の政策金融を2024年までに提供する。また、仁川空港に専用ターミナルを設置するなど、消費力の高い海外の観光客を誘致するため利便性を高める方針だ。

AFPより

うわぁ、これまで以上にメディアで韓国ゴリ押しが始まるのかぁ。そういえば、セブンイレブンも何とかフェアやっていたっけ。

テレビを付ければ韓国ゴリ推しはこれまでもあったんだけど、コレからは更にコレが増えると。勘弁して欲しい。もう、テレビなんて見ないけどさ。

ゲーム、映像、ウェブトゥーンなどジャンル別に輸出支援に乗り出し、2021年には124億ドルだったコンテンツ輸出を2027年に250億ドルと倍増させたい考えだ。

AFPより

でも、ネットでも下品なウェブトゥーンが繰り返し表示されて辟易しているんだけど、あれ、なんとかならないモノか。