どうした、マクロン。まくろーん!
ロシアがウクライナで勝てば、次は欧州-マクロン仏大統領が警告
2024年3月15日 19:33 JST
フランスのマクロン大統領は、ロシア軍がウクライナで敗北しない限り欧州連合(EU)はロシアの侵攻という「存亡の危機」に立たされることになるだろうと警告した。
Bloombergより
マクロン氏が真面なことを言っている、だと……。
フランス国内事情も関係ありそう
ウクライナのクリミア返還を支援
いやもう、最初からそういう姿勢で臨んでいてくれたら、もうちょっとウクライナが楽に戦えたのに。
マクロン大統領、ウクライナのクリミア返還を支援すると約束
2024 年 3 月 15 日
同国のエマニュエル・マクロン大統領は、フランスはウクライナがロシアとの戦争に負けることを許すことはできず、キエフのクリミア返還を支援しなければならないと述べた。
マクロン大統領は「われわれはウクライナがロシアを倒すのを支援するために全力を尽くしている。ウクライナの主権とクリミアを含む国際的に認められた国境への復帰なしには永続的な平和はあり得ないからだ」と述べた。
moscow timesより
うーん、そういえば先日も似たような事を言っていた気がするな、マクロン氏は。
確かこの時は、ヨーロッパ各国にフランスが叱られて、NATO各国は地上部隊のウクライナ派遣を否定していたのだが。
序でに、プーチン氏からも「この、ナポレオン気取りめ!」とお叱りを貰っていたはずだ。
マクロン氏が誰に何を吹き込まれたかは知らないが、この時の発言の焼き直しをもう一度したということだろう。ただ、発言自体はより強硬な姿勢を示すモノとなった。
どこかの時点で参戦
マクロン氏は「私は望まないし、主導する気もない」と発言した上で、それでも「どこかの時点でロシア軍に反撃するために地上戦を実施しなければならないだろう」と主張したそうな。予言者か!
「どこかの時点」で派兵必要 ウクライナ支援で仏大統領
2024年03月17日14時42分配信
ランスのマクロン大統領は15日、ロシアの侵攻を受けるウクライナを支援するため、どこかの時点で欧米諸国が派兵する必要があるとの認識を改めて示した。16日付の地元紙パリジャンが報じた。同氏は2月下旬、部隊派遣の可能性を排除しないと発言。ドイツなど欧州諸国から反発の声が上がっていた。
時事通信より
まあ、真っ当に考えればロシアは侵略者であって、その野望を挫かない限りはウクライナ一国で終わるはずがないというのは、至極当然の帰結なのだが、一体どういう心変わりなのか。
加えて同氏は、フランスの役割は、チャーチルの言うところの「戦争の神経」となることだと指摘した。同氏は、「つまり、一方で、ウクライナの防衛能力を強化するために全ての必要なものを提供しなければならないが、しかし、その際、情勢緩和も促さねばならない。私たちは、持続可能で強靭で公正な平和に達しなければならない。正にそのために、急に彼が何か提案したがるのであれば、私は彼の提案の本質を聞くだろう。しかし、当然、唯一の協議は、両国(編集注:ウクライナとロシア)首脳が向かうものである」と発言した。
ウクルインフォルム「マクロン仏大統領、ロシアによる情勢エスカレーションに対応する準備があると発言」より
ロシアから連絡があれば「話を聞く」という姿勢を崩してはいないけれども、圧力を高める必要があるとの認識ではあるようだ。
そういえば、先日もそんな記事が出ていたな。
仏大統領、ウクライナ巡り同盟国の「弱腰」不適切と指摘
2024年3月6日午後 2:17
フランスのマクロン大統領は5日、訪問先のプラハで、ロシアの侵攻を受けるウクライナの同盟国が行動を強める時が来たと述べ、欧州で「弱腰にならない」ことが近く適切になるとの見方を示した。
マクロン氏は2月26日にパリで開いたウクライナ支援の国際会合で、同国に欧州諸国の地上部隊を将来的に派遣する可能性を排除しない考えを示し、欧米で波紋が広がった。
ロイターより
フランスの我慢の限界がどこにあるかは知らないが、少なくとも戦局をこれ以上悪化させないようにNATOでもっと圧力を加えるべきだという主張をしているようだね。
そういえば、フランスには諜報機関である対外治安総局(DGSE)というのがあって、かなりの情報収集能力があると聞く。何か掴ん出いるのかも知れないね。
マリーヌ・ルペンが再び支持される
なお、このマクロン氏の心変わりの原因の1つと目されるのがこちら。
生活に苦しみ、移民に反発する「庶民」が熱狂…マリーヌ・ルペン「国民連合」が再・旋風を起こすフランスの今
2024年03月05日(火)19時16分
フランスの右派ナショナリスト政党「国民連合」(旧国民戦線)のマリーヌ・ルペン国民議会党代表は3月3日、フランス南部マルセイユで集会を開き、6月の欧州連合(EU)欧州議会選に向けてスタートを切った。
「政治には時代がある。大きな変化の時だ。時代の終わり、サイクルの終わり、システムの終わりを告げる。友よ、今がその時だ。私たちは崩壊したシステムの瓦礫の上を歩いているという感覚を深めている。私たちは支配の終わりを告げる空気の中を生きているのだ」(ルペン氏)
2017年、22年の仏大統領選でエマニュエル・マクロン大統領と決選投票を争ったルペン氏は党名を穏健な「国民連合」に変え、脱悪魔化を進めてきた。欧州議会選の世論調査で国民連合は30%前後の支持率を維持し、マクロン氏の政党「再生」(旧共和国前進)を約10ポイント引き離す。
Newsweekより
Newsweekは「脱悪魔化」などと表現しているが、ルペン氏がかつてプーチン氏と連んでいたのは周知の事実である。
そして、Newsweekが指摘するように、長引くウクライナ支援でフランスもウンザリしてきている。
もし、アメリカ大統領にトランプ氏が当選すれば、マクロン氏が率いるフランスも独自の軍事力の強化と共にEU自身も軍事力強化を進める必要がある。概ねその方向に向かいつつはあるが、更に加速する必要があるわけだ。
だが、ルペン氏の主張は移民によってフランスは苦しんでいるのだから、移民を国外に追放して自国第一主義になれ!というものらしいんだけど、その為にロシアから安価なエネルギーを買ったら、元の木阿弥である。
ルペン氏の反EUレトリックは英国のEU強硬離脱派のそれとダブる。英誌エコノミストの予測では11月の米大統領選を前にトランプ氏は47%対45%でジョー・バイデン現大統領をリードする。欧州でも、米国でも民主主義は危機に瀕している。
ルペン氏の後継者である28歳のジョルダン・バルデラ党首は選挙集会でこう叫んだ。
「フランスに吹く希望の風はイタリア、スウェーデン、ハンガリー、オランダ、オーストリアなど欧州全土に吹いている。6月9日(フランスの欧州議会選投票日)、私たちとともにフランスは復活し、欧州は再び生き返る。共和国万歳、フランス万歳!」
Newsweek「生活に苦しみ、移民に反発する「庶民」が熱狂」より
記事を読んでいると、想像以上に凄いこと言っているね、ルペン氏は。確かに移民政策について懸念があるのは事実だし、フランスがこれ以上の移民を受け入れるというのは、宜しくないことだと思う。
そして、何より移民受け入れ政策のヤバイところは、地方で外国勢力のコミュニティが出来上がると、そこが最終的には「独立」を叫びだしてしまうところだ。
フランス政府の政策によって、こうした地方への移民流入があり、その結果、困ったことになっているところも少なくない。
頻発する暴動も、移民問題の発露だという指摘はしたんだけど、地方は移民受け入れが相当負担に感じているようだ。
敵を外に作れば、国内の団結は強固なモノになるというが、マクロン氏がそうした方向性を目指しているとすれば、ちょっと見当違いの様にも思われる。
反ロシア方針
とはいえ、反ロシアの方針を確認したことは間違いないようだ。
ウクライナ支援へ兵器調達 ドイツ フランス ポーランドが一致
2024年3月16日 10時31分
ドイツ、フランス、ポーランドの3か国の首脳が会談し、弾薬不足に悩むウクライナへの軍事支援を強化するため、世界の市場でより多くの兵器を調達することや兵器の生産の拡大に取り組むことで一致しました。
NHKニュースより
腰の重かったドイツにポーランドが、フランスに引っ張られる格好で軍事支援の強化を約束したらしい。
だから、ヨーロッパ全体としてはどのような理由があるにせよ反ロシアの方向で結束しようとしているのは間違いなさそうだ。
コメント
こんにちは。この話で木霊樣にお聞きしたいんですよねぇ……。
この毛糸洗いは日本にNATO連絡事務所を置くことを拒否してる野郎でないすか。
まぁ「日本は北大西洋じゃない!」てのは正解なんですけど。
では、国連に掛けずにNATOが独自介入したユーゴスラヴィア紛争は北大西洋なわけ? アフガンにも介入しとるけど(知人の元仏外人部隊OBがアフガンへ空挺降下したと言ってるし、証拠の写真も見てます!)アフガンはヨーロッパですらないよなぁ??
何が言いたいかと言うと、NATOに私は入りたいし、その為に9条を改正したい!
それがどこまで信用できるかは未知数でおるものの、米国が完全に日本を(リスク背負ってまで)護るてくれるか?に疑いを持つので、NATO参加はその安全の可能性を少しでも高めてくれるかと。
その為ならウクライナに支援しよでないですか。どの口からと申されようと、
NATO加盟は日本の安全保障を高める想うので。しかし、しか〜し!
NATOは加盟加盟国の全員の賛成一致が必要らしいんですよ!
つことは、連絡事務所の設置ですら妨害する毛糸洗いが政権取っていやがると、
その可能性はセロかなと。
もちろん欧州のATMにされる危険性は承知の上で、NATO加盟は考えてみる価値はあると想うスね。
するとルペンなら「前進」はあるのか?
そもそも日本が加盟てきる可能性って本当にあるのか??
そこ聞きたいんです。
ルペンが連絡事務所に強硬に反対するのは、対中国利権もあるが、結局は人種偏見、白人優位主義による差別だと思ってます。リベラリストとか中道とか強調する欧米人に限って人種偏見が強いんだよね。米国南部を旅してて思いましたね。
トランプ支持者みたいな人のほうが、意外に多民族に穏健だったりする。
ルペンが連絡事務所に反対するのは
→マクロンが連絡事務所設置に強硬に反対するのは
こんにちは。
日本がNATOへ加盟ですか。
NATOが、世界各地で色々活動しているのは事実でありまして、地域性という限定を付けて日本における活動を制限するモノではないでしょう。こんな資料もあります。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100156880.pdf
北大西洋条約機構(NATO)ではなく、北大西洋及び太平洋条約機構(North Atlantic & Taiheiyou Treaty Organization:NATTO)として水戸に本部を置けば良いというジョークを言う人がいましたが、ありといえばありだと思います。ただ、実現性があるかと問われると、相互防衛協力は難しいのかと。別記事で触れてみましたので、ご一読ください。
こんにちは。
>どうした、マクロン。
ママにでも叱られたのでは?
実際問題、今イッチョ噛みして主導権握っておけば、戦後の復興政策でも主導権握れてウマー、なんて事を経済界から囁かれたのでは……なんて邪推してみます。
「マクロンなら、政治姿勢に不信が持てます~♪」
>移民受け入れ政策のヤバイところは、地方で外国勢力のコミュニティが出来上がると、そこが最終的には「独立」を叫びだしてしまう
ほんこれ、ですね。
ま、左翼はそれを後押しして政府転覆を狙っているのでしょうけれど……100歩譲って政権盗ったとして、お花畑リベラルに移民という猛獣を御せるかというと……天地ひっくり返っても無理ですよね。
こんにちは。
マクロン氏の変節は本当にどうしちゃったんでしょうね。
記事では選挙対策の意味もあると纏めましたが、それだけではない空気がEUにはあるんでしょう。