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愚策を講じて株価の下げ止まりを狙う支那

中華人民共和国ニュース
この記事は約8分で読めます。

支那の国有企業が海外資産を売却し、支那国内の株を買い支えるように指示が出ているらしいというニュースが出てきた。

中国、国有企業に海外資金を引き揚げ同国株の購入を命じている可能性

2024.02.09

中国指導部の経済・金融面での愚策には際限がないようだ。中国の指導者たちは何年間も不動産危機の悪影響を食い止めることができなかったが、新たな報道によると、国有企業に海外に保有する資金を引き揚げて中国株の購入に充てるよう命じることで中国の株式市場を支援しようとしているようだ。噂では、この取り組みで2兆元(約42兆円)が動くという。共産主義の政権にしては実に奇妙な動きであり、中国経済が直面している根本的な問題にも対処しない限り、失敗に終わるだろう。

Forbesより

いきなり「愚策」とか書かれていて失笑するのだが、約42兆円が動くとか結構大きな話が書かれている。それでも、「直面している根本的な問題にも対処しない限り、失敗に終わるだろう」などとバッサリ切られている辺り救いがない。でも、普通に考えたらそうだよね。

経済停滞は長く続きそうだ

海外資産を売却

支那の国有企業が、海外で不動産を大量に買っているという話は有名ではあるが、どうやら現在随分と保有する海外資産を売却しているようだ。ただ、この話はあくまで「噂」に過ぎない。

分かっていることは、支那の国有企業が海外資産の売却をしたという点だけ。

記録的なペースで海外資産売却進める中国企業

2021/09/08 21:00

ほんの数年前は高級ホテルからサッカークラブまで海外のあらゆるものに惜しみなく資金を投じていた中国企業が、今では海外事業から撤退しようとしている。

ブルームバーグの集計データによると、中国企業が今年これまでに売却計画を発表した海外資産の総額は105億ドル(約1兆1500億円)と、少なくとも1998年以降で2番目の大きさ。現在のペースなら、2021年は通年で昨年の150億ドルを超える可能性がある。

東洋経済より

既に3年ほど前からこの傾向は続いていて、2021年にはこんな記事が出ていた。それよりもグラフの方が分かり易いか。

グラフは2019年に大きく凹んでいるが2020年に回復している。これは武漢ウイルス感染症から「いち早く立ち直った」という評価があったからこそなのだが、2021年は再び減った。

最近は、碧桂園の資産売却の話が幾つかあったね。

中国の碧桂園、英住宅開発プロジェクトを売却へ 5.7億ドル相当

2024年2月1日午前 11:04

海外債務不履行後に国内外で資産売却を進めている中国不動産開発大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)は、英イーストロンドンにある4億5000万ポンド(5億7000万ドル)相当の住宅開発プロジェクトを売りに出している。

ロイターより

碧桂園は資金繰りが非常に宜しくないので、全力で資産売却をやっているという話があって、何度もこの手のニュースは目にしていた。恒大集団も似たようなことはやっていたが、何れも台所事情は厳しい。

支那の不動産開発業は、どこも碧桂園や恒大集団と似たような状況であると考えられる。

このことが冒頭紹介した記事の噂に繋がったんだね。

資産売却と株価

さて、噂が本当かどうかはともかくとして、現実問題、支那の株価は低迷している。

中国の株式市場はかなり長い間低迷している。米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、上海総合指数は過去3年で21%超下落。それにともない時価総額も減っている。株式の投資価値を判断する際に重視される株価収益率は、過去10年間の平均12.5倍をはるかに下回る10.4倍まで低下している。政府の大型支出計画の噂が思惑買いを誘い、主要株価指数はわずか3日間で5%近く上昇したが、その後再び下落に転じ、2021年の高値を大きく下回ったままだ。

Forbesより

一時的に、改善の気配はあったんだけど……。

中国株、「介入」で下げ止まり 買い支えで個人資金誘う - 日本経済新聞
中国株が下げ止まりの兆しをみせている。先週(5〜8日)は1年3カ月ぶりの上昇率を記録した。「国家隊」と呼ばれる政府資金の買い支えや空売り規制など強引な株価対策が奏功した。海外投資家を中心に経済成長の鈍...

日本経済新聞が嬉しそうに「介入で下げ止まり」と書いてはいるのだけど、他社は随分と辛口で、全体的な傾向としても辛口に評価しているところが多い。

中国株、大型連休前に上昇ぺース鈍る-地合い改善には至らず

2024年2月8日 19:26 JST

8日の中国株式相場は上昇したが、春節(旧正月)の大型連休を前に勢いを失った。当局が株式市場の低迷を食い止めようと決意を示したが、投資家の懐疑的な見方が続いている。

本土株のCSI300指数は0.6%高で引けた。同指数は前日までの2日間で合わせて約4.5%上げていた。

Bloombergより

旧正月に突入して、しばらくは支那の株価も動かないと言われていて、直前にできるだけ引き上げようと必死だったのだけれど、ソレも上手くいかなかった。

本当に、支那国内で不動産開発企業が国内の株を買い支えていたのだとしたら、この傾向は不味い。

現在直面している危機は3年ほど前、政府が不動産開発企業への積極的な支援を突然打ち切ったことから始まった。この動きは大手不動産開発企業の経営難を引き起こした。

Forbesより

何年もそんなことをやっていれば、そのうちに海外資産は枯渇することは目に見えている。問題は、支那国内の経済構造が改善されていない点だからだ。

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外資も支那に投資されない

まあ、不動産開発だけではないんだけどね、問題は。

これだけでも十分だが、中国政府は安全保障に執着するあまりに企業の事業運営に徹底的に介入するようになり、外国企業の対中投資は減少している。政府の中央集権的な統制への執着により、国内の民間企業の投資も伸び悩んでいる。

Forbesより

アメリカがトランプ政権の時代に、支那とのデカップリングを始めたあたりから、「支那ってやべーんじゃねぇ」という空気が世界に広がった。切っ掛けはソレだけじゃないとは思うが、確実にアメリカの方針が後押しをしたとは思う。

で、これがトランプ氏個人の問題ならまだ良かったんだけど……。実際はアメリカ議会の方針で、北欧諸国も薄々「ヤバいんじゃないの」と思っていたので、トランプ政権が終わっても、この流れは止まらなかった。

あと、支那の反スパイ法などといった特殊な法制度も、問題であったようで、事態はますます悪化している。

そんな話が今の株価に反映されているということだね。

今後の展望

まあ、ハッキリ言って良い材料がないので、当面は厳しい状態が続くだろうと、誰もが予想できる話。

不動産バブルの日中比較と中国経済の展望

2024年02月09日

中国では不動産不況になかなか歯止めが掛からない。そして住宅価格はじりじりと下落している。図表-1は国家統計局が毎月公表している70都市の中古住宅価格を基に、2010年12月を基準(=100)として、その後の推移を示したものだ。これを見ると、2021年7月の133.60をピークに下落し始め、2023年12月には121.68と1割弱の下落となった。チャイナショックに見舞われた2014年後半から2015年前半にかけても5%ほど下落したことはあったが、今回はそれを超える下落幅となっており、しかも底打ちする兆しすらない。

ニッセイ基礎研究所のサイトより

こちらのレポートでも日本のバブルと比較して傾向を分析し、長期化するだろうと予想している。ただ、このレポートでも最後は割と楽観的なシナリオなんだよね。「まだ、先進国と比べて余力がある」という分析になっている。

中国株への投資を考えている投資家にとっては危険な状況だ。この公的買い入れによって株価が上昇すれば、多くの投資家はそれに乗じて儲けようと買いを入れるだろう。だが、根本的な解決策がなければ、その後すぐさま株価は下落する可能性が高く、公的買い入れ措置は失敗し、便乗していた投資家も打撃を受けることになる。

Forbesより

とはいえ、Forbesが警告しているように、根本的な解決策が出てこないと、株価下落に歯止めがかからないだろうと予想される。

自国の状態を分析して、対策を講じられない状態が続いているだけに、結構厳しい局面は長期化するんだろうと思う。そして、習近平氏が退陣するまでは、これ、解決しないんじゃないかと。

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追記

そうそう、こんなニュースがあったので、ご紹介しておこう。

中国企業、日本など30カ国で偽サイト カナダ研究機関が報告

2024年02月08日16時16分配信

カナダの研究機関は7日、中国企業が日本を含む約30カ国で地元メディアを装った偽ニュースサイトを運営し、中国に好意的な情報を発信しているとの報告書を公表した。これらのサイトはいずれも中国・深センのPR会社が運営に関わっており、2020年春ごろから開設されたという。

時事通信より

このニュース自身は得影響がある話であるとは思っていないのだが、こういう努力もしているんだろうというオモシロニュースではある。

サイトはそれぞれの国の地元メディアの記事やニュースリリースなどを転載しているが、その中に中国政府の主張に沿ったニュースを紛れ込ませているという。

時事通信より

これらのサイト、訪れて頂ければかなりの馬鹿馬鹿しさを感じて頂けるようだが、僕自身は行き着けなかったので内容を確認していない。

こんな感じの雑なサイトっぽい。

ただ、こういったサイトを通じてプロパガンダをばらまいている実態が明らかになり、この情報の一部を切り取って報道されると、なかなか真偽を見抜けないという事にもなりかねない。

経済的に困窮する一方で、こういった工作活動は今も続いているんだねぇ。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    つい最近視聴した米経済アリーナでの討論会では、いまの支那が最も必要としているものは”海外からの投資”であることが異常なほど強調されていた。まぁごっそり逃げちゃったからね。

    とはいえど、米政府と米連邦議会がどちらも支那封じ込めに走っているため、支那は大きなカネの流れをつくることができない。
    それで、海外資産売却に踏み切らざるを得なくなったんでしょう。

    かつての日本(の不動産バブル)と同じ轍を踏んでいますな。
    日本の場合、不良債権の償却にGDPの2割を要したそうですけど、支那の場合はその100倍とも謂われているらしく、解決は事実上無理筋ですな。そんな途方もない資産はありませんからね。

    • 木霊 木霊 より:

      米経済アリーナでの討論会ですか。
      アメリカは支那の状態が分かった上でやっていると言うことですか、それはそれで意地が悪い(もっとやれー)。
      海外資産売却で市場に結構な影響がありそうなので、アメリカとしても他人事ではないかも知れませんが、まあ、規模を考えたら「大混乱」というところには至らないのかな?韓国のメディアは結構焦った記事を載せていましたが。

      支那の不動産開発の闇はどこまで掘ったら健全な部分が出てくるか分からないのが、大変ですなぁ。
      誰もその資産の健全性を判断できないというのは、恐ろしい話です。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    タコが、遂に手足を食い始めましたかね。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      タコが自分の足を食べるのは、ストレスが原因だと言われています。
      支那国民も、習近平氏も相当なストレスを抱えていることは間違いありませんが……、この判断は宜しくないですな。

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